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代表取締役とは|代表権・選定方法と就任・退任の登記確認表

代表取締役は、株式会社を代表して契約などの行為をする権限を持つ取締役です。「社長」は社内の呼称なので、その肩書だけでは代表権の有無は分かりません。

選び方は、取締役会を置く会社と置かない会社で異なります。就任・退任の手続きを進めるときは、先に定款と登記事項証明書で会社の機関構成を確認し、決議資料・就任承諾・退任を証する資料をそろえます。

この記事は株式会社の代表取締役を扱います。指名委員会等設置会社の代表執行役は別制度です。役職の違い、機関別の選定、変更登記の確認点の順に整理します。

代表取締役・取締役・社長の違い

代表取締役は取締役としての地位に、会社を代表する権限が加わった立場です。取締役とは別の候補者を、取締役にしないまま代表取締役へ選ぶ制度ではありません。

呼び方位置づけ代表権の確認
取締役会社法上の役員取締役という名称だけで有無を決めない
代表取締役取締役の中から定める会社の代表者会社の業務に関する裁判上・裁判外の行為をする権限を持つ
社長会社が用いる社内の呼称肩書と、代表者としての地位を分けて確認する

取締役は株主総会の決議で選任します。監査等委員会設置会社では、監査等委員である取締役とそれ以外を区別します(会社法329条)。代表権は同349条で確認します。

取締役会を置かず、代表者を別に定めていない場合

取締役会を置かない株式会社で、他に代表取締役その他の代表者を定めていないときは、取締役が各自会社を代表します。この場合まで「代表取締役でない取締役に代表権はない」と説明すると誤りです。

例えば、取締役会のない会社で甲と乙が取締役となり、代表者を別に定めていなければ、甲も乙も会社を代表します。同じ会社でも、適法な手続きで甲を代表取締役に定めた場合は、その定めを踏まえて代表権を確認します。

社長という肩書にも注意が要る

社長の呼称を付けただけで、その人を代表取締役に選定したことにはなりません。

会社が代表権のない取締役に社長等の代表権があると認められる名称を付したときは、その取締役の行為について、善意の第三者に会社が責任を負います(会社法354条)。ここでの善意は、その取締役に代表権がないことを知らないことです。

社長を自称した場合や、取締役でない従業員の肩書まで、同じ条文で一括して判断するものではありません。肩書の付け方と具体的な取引の効力は、事情に応じた確認が必要です。

機関構成別の選定方法

代表取締役の選定方法は、会社の機関構成によって異なります。まず、取締役会の有無と、監査等委員会・指名委員会等の有無を確認します。定款と登記事項証明書を手元に置くと、別の会社向けの議事録を流用する誤りを避けられます。

会社の区分代表者の定め方先に確認するもの
通常の取締役会設置会社取締役会が取締役の中から代表取締役を選定する取締役会の決議・選定対象者
取締役会非設置会社:定款で定める定款で取締役の中から代表取締役を定める定款の具体的な定め
取締役会非設置会社:互選定款の定めに基づき取締役が互選する互選を認める定款の条項
取締役会非設置会社:株主総会株主総会の決議で取締役の中から定める株主総会の決議資料
監査等委員会設置会社取締役会が監査等委員でない取締役から選定する監査等委員かどうかの区分
指名委員会等設置会社取締役会が執行役から選定。執行役が単独なら、その人が代表執行役に選定されたものとする代表取締役とは別制度として確認

通常の取締役会設置会社は会社法362条、非設置会社は同349条、監査等委員会設置会社は同399条の13、指名委員会等設置会社は同420条によります。

非設置会社の互選には定款の根拠が必要です。一方、会社法349条の株主総会決議による方法には、互選と同じ定款の根拠条件は付いていません。

定款・登記で機関構成を確認機関に合った選定資料を用意就任の承諾・退任の資料を確認変更登記と社内の引継ぎ代表執行役は別制度として確認
選定方法を確かめてから、必要な資料をそろえます。

代表権と社内の決裁権限を分ける

代表取締役には、会社の業務に関する裁判上・裁判外の行為をする権限があります。ただし、代表者として外部と契約できることと、社内でその契約を単独で決定できることは同じではありません。

例えば、通常の取締役会設置会社では、重要な財産の処分・譲受けや多額の借財など、重要な業務執行の決定を取締役へ委任できません。代表取締役が契約の名義人になる場合も、必要な取締役会決議を確認します。

上の例は会社法362条による会社を対象とします。監査等委員会設置会社には、一定の場合に重要な業務執行の決定を取締役へ委任できる特則があります(同399条の13)。

内部的な制限は、善意の第三者に対抗できない

代表取締役の代表権に社内で加えた制限は、その制限を知らない善意の第三者に対抗できません。会社法349条が、会社内部の制限と取引相手への効力を分けています。

例えば、社内規程で「設備購入の契約は所定の事前承認を受ける」と制限していても、その制限を知らない取引相手に、内部ルール違反だけを理由に対抗することはできません。

これは、必要な取締役会決議がない契約や利益相反取引などについて、事情を問わず有効とする説明ではありません。社内の決裁違反と、法令が求める承認の欠缺は区別して確認します。

就任・退任時にそろえる資料

登記の準備では、代表者を選んだ資料と、本人が就任を承諾した資料を分けて確認します。退任側も、辞任・任期満了・解職など、退任の理由に合う証明資料が必要です。

次は代表取締役の変更登記を準備する際の主な確認資料です。添付書面の全件リストではありません。実際に会議を開いた場合を中心に示し、みなし決議は表の下で補足します。

場面確認する主な資料読み合わせる点
株主総会で代表取締役を定めた株主総会議事録・株主リスト選定された人、効力発生日、押印・印鑑証明書
定款に基づく互選で定めた定款・互選を証する書面互選の根拠と、実際に同意した取締役
取締役会で選定した取締役会議事録選定結果、出席者、押印・印鑑証明書
代表取締役に就任する就任を承諾したことを証する書面選定だけでなく承諾も確認する
代表取締役を退任する辞任届・退任理由を証する議事録など代表取締役だけを退くか、取締役も退くか

決議等の資料は商業登記法46条、就任の承諾・退任を証する書面は同54条、株主リスト・印鑑関係は商業登記規則61条で確認します。

みなし決議では、議事録に代えて、その場合に該当することを証する書面を添付します。株主リストや定款等の要否も決定方法に応じて確認します。定款で直接代表者を定める場合の変更も、定款とその変更手続きを確認してください。

印鑑証明書は、何の書面の印鑑かを分ける

代表取締役を定めた資料に関する印鑑証明書は、選定方法によって対象が違います。書面で代表取締役の就任による変更登記を申請する場合は、商業登記規則61条の区分を確認します。

選定方法選定資料について確認する押印者
株主総会議長と出席した取締役
取締役の互選互選を証する書面に押印した取締役
取締役会出席した取締役と監査役

選定資料の印鑑が変更前の代表取締役の届出印と同一なら、その印鑑証明書の添付を要しない例外があります。取締役を兼ねる変更前の代表執行役の届出印も同条の対象です。

新任時の就任承諾書の印鑑証明書や、取締役の就任に伴う本人確認証明書は、選定資料の証明書とは別の要件です。取締役会の有無、新任・再任、印鑑証明書を既に添付する場合の例外を分けて確認します。

登記所に印鑑を提出した代表取締役が辞任する場合は、辞任を証する書面に押した印鑑の証明も確認します。本人が届け出た会社の印鑑と同じ印鑑を押した場合には、その印鑑証明書を添付しない扱いがあります。

登記所に印鑑を提出した人がいない場合も、代表者の辞任には同条の規定があります。成年後見人・保佐人が本人に代わって承諾・辞任する場合は別途確認してください。議事録の具体的な書き方は株主総会議事録の解説で扱います。

変更登記の期限と退任時の注意

代表取締役の就任・退任や住所など登記事項の変更登記は、変更から2週間以内に本店所在地で申請します(期限が行政機関の休日なら、その後の行政機関の休日でない日が期限です)。

根拠は会社法911条・同915条と、行政機関の休日に関する法律2条です。ここでいう休日には土日・祝日と、12月29日から翌年1月3日までの年末年始が含まれます。

代表取締役の変更登記で期限を数える起点は、その登記事項に変更が生じたときです。資料がそろった日から数えるものではありません。選定の決議日と就任の効力発生日が同じかどうかも、承諾・決議の内容と照らします。

辞任届を出しても、権利義務が残ることがある

任期満了又は辞任で代表取締役が欠けるか、定款で定めた員数が欠けた場合、退任者の権利義務は、新たな代表取締役又は裁判所が選任する一時代表取締役の就任まで残ります(会社法351条)。

例えば、定款上必要な代表取締役が辞任する場合は、欠員の有無と、新たな代表取締役や一時代表取締役の就任状況を確認します。

この継続規定は任期満了・辞任による退任についてのものです。死亡や解職にも同じ説明を当てはめるものではありません。また、代表取締役の解職と取締役自体の解任は別の手続きです。

経理・総務への引継ぎ確認表

社内の引継ぎでは、登記申請の準備と並行して、旧代表者に残っている操作権限や名義を洗い出します。次の表は社内作業の例で、法定の届出先一覧ではありません。金融機関・契約先ごとの必要資料を確認して進めます。

確認するもの引継ぎで残す記録の例
契約・発注署名者、名義変更の要否、社内決裁の承認者
銀行・振込代表者情報の変更手続き、振込承認者、届出印
印章・電子証明書保管者、利用権限、失効・再発行の確認結果
経理システム承認経路、管理者権限、旧アカウントの停止予定
役員報酬別途確認した報酬決定資料と給与処理の開始時期

報酬の決定・税務は役員報酬の決め方、執行役員などとの役職比較は執行役員の解説を参照してください。

社内の書類回収日を営業日で確認する →

営業日の計算は社内の日程調整に使います。登記期限の起算日・休日の法的な扱いを判定するツールではありません。

よくある質問

代表取締役と社長は同じ人ですか?

同じ人が兼ねることはありますが、同じ意味ではありません。代表取締役は会社を代表する取締役、社長は社内の呼称です。社長という肩書だけで代表権の有無は判断できません。

代表取締役ではない取締役にも代表権がありますか?

取締役会を置かない会社で、他に代表取締役その他の代表者を定めていない場合は、取締役が各自会社を代表します。会社の機関構成と代表者の定めを確認します。

取締役の互選で代表取締役を決められますか?

取締役会を置かない会社では、定款の定めに基づく互選で取締役の中から代表取締役を定められます。定款の根拠なしで互選すればよい、という制度ではありません。

代表取締役を複数置くことはできますか?

できます。代表取締役を単独に限る制度ではありません。定款と選定資料・登記で、誰が代表者かを確認します。社内の担当分担と、その制限を知らない善意の第三者への効力は別に考えます。

代表取締役を辞任すれば、その日で引継ぎは完了しますか?

完了するとは限りません。辞任で代表取締役が欠けるか定款の員数を欠くときは、退任後も権利義務が残る場合があります。新たな代表取締役や一時代表取締役の就任状況と、取締役も退くかを確認します。

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出典

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の登記手続きは管轄法務局・司法書士に、契約の効力や紛争は弁護士にご確認ください。個別の税務・労務相談には応じられません。

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