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遺言書の作り方|方式・財産目録・保管・検認の比較表

遺言書は、選んだ方式の要件を満たして作り、保管先と死亡後の手続まで決めておく書面です。自分で本文を書く自筆証書、公証人が作る公正証書、内容を封じて存在を証明する秘密証書では、作り方も検認の要否も違います。

まず下の表で方式を比べ、その後に自筆証書の財産目録・訂正、法務局保管、相続開始後の流れを確認できます。財産の分け方を合意する遺産分割協議書とは別の書面です。

遺言書の方式と保管・検認の比較

自宅等で保管する自筆証書と秘密証書は、死亡後に検認が必要です。公正証書と法務局で保管中の自筆証書は、検認が不要です。以下は日本の民法による普通方式の比較で、危急時などの特別方式は扱いません。作成・保管の欄は主な要件で、詳しい手順は後の節にまとめています。

方式・保管先作成の要点死亡後の検認
自筆証書・自宅等で保管本人が本文・日付・氏名を自書し押印。財産目録に自書の特例あり必要
自筆証書・法務局で保管中自筆証書の要件に加え、保管制度の様式と申請が必要不要。遺言書情報証明書を取得して手続
公正証書欠格事由に当たらない証人2人以上が必要。作成手順と特則を確認不要
秘密証書欠格事由に当たらない証人2人以上が必要。署名・封印・申述と封紙の手順を確認必要。公証人は内容を確認しない

遺言は、方式だけでなく、遺言をする時の判断能力や内容も問題になります。法務局の保管や家庭裁判所の検認を受けても、有効性が保証されるわけではありません。公正証書でも判断能力などが争点となることはあります。

遺言書を作ってから相続手続までの確認順 方式を選ぶ自書・公証の要件を確認 作成・保管保管先を決める 死亡後の手続検認の要否→執行 検認が必要:自宅等の自筆証書・秘密証書検認不要:公正証書・法務局で保管中の自筆証書
作成方法と保管先を分けて確認すると、死亡後に検認が必要かを判断できます。

自筆証書の本文・財産目録・訂正

自筆証書遺言は、本文・日付・氏名を本人が手書きして押印します。本文をパソコンで印刷して署名だけ手書きにしても、自筆証書の方式にはなりません。根拠は民法968条です。

財産目録を添付するときの要件

財産目録はパソコン作成や通帳コピーも使えますが、本文と一体で添付し、毎葉に本人が署名・押印します(自書でない記載が両面にあれば両面)。

財産目録を印刷できる特例を、財産の渡し方を書く本文にまで広げないでください。

訂正は変更箇所への印だけでは足りない

自筆証書の加除・変更は、場所を示し、変更した旨を付記して特に署名し、変更箇所に押印する方式です。財産目録の訂正も同じです。修正液で消す、二重線を引いて印を押すだけでは、この要件を満たせません。

夫婦で作る場合も、同じ証書に連名でまとめることはできません。それぞれ別の遺言にします(民法975条)。

公正証書と秘密証書の作成手順

公正証書は公証人に依頼して作り、秘密証書は本人が署名・押印し、証書に押したものと同じ印章で封印して公証人に提出します。どちらも欠格事由に当たらない証人2人以上が必要です。

公正証書は公証役場で内容と資料を打ち合わせる

公正証書遺言は、公証人に依頼して作ります。財産と受取人の希望をメモにして打ち合わせます。主な資料の例は、本人確認資料、相続関係を示す戸籍、不動産を承継する場合の登記事項証明書や評価資料、預貯金を承継する場合の通帳です。受取人が相続人でない場合の資料や追加資料は、公証役場に確認してください。

公正証書遺言は、欠格事由に当たらない証人2人以上の立会いで、遺言の趣旨を公証人に口授します(話せない人の特則は下の注)。根拠は民法969条・969条の2です。

公証人が作成した内容は、読み聞かせ又は閲覧で確認します(通訳人を使った場合は下の注)。電磁的記録で作る場合と書面の場合で手続が異なるため、印鑑だけを用意すればよいとは限りません。作成方法と持ち物は依頼先で確かめます。

話せない人は、公証人・証人の前で通訳により申述するか、自書して口授に代えます。作成時に通訳人を使った場合は、その通訳人による公正証書の趣旨の通訳を経て承認します(公証人法40条)。

公正証書・秘密証書の証人を自分で用意するときは、次の欠格事由を確認します。民法974条の現行規定です。

証人になれない人
未成年者
推定相続人・受遺者と、これらの人の配偶者・直系血族
公証人の配偶者、四親等内の親族、書記・使用人

公正証書全般の効力や費用は公正証書の記事にまとめています。遺言を作ることと、債権の差押えができる執行証書を作ることは別です。

秘密証書は封紙にも手続がある

秘密証書遺言は、遺言書に本人が署名・押印し、その印章で封印します。封書を公証人1人と欠格事由に当たらない証人2人以上の前に提出します。そして、自己の遺言書である旨と筆者の氏名・住所を申述します(話せない人の特則は下の注)。

公証人は提出日と申述を封紙に記載します(話せない人が封紙に自書した場合は下の注)。その後、本人・公証人・証人が署名押印します。

公証人は内容を見て作るわけではなく、作成後の保管も自分で手配します。

話せない人は、公証人・証人の前で、自己の遺言書である旨と筆者の氏名・住所を通訳による申述又は封紙への自書で伝えます。公証人は、話せない人が通訳による申述をした場合はその旨を封紙に追記し、話せない人が封紙に自書した場合は申述の記載に代えて自書した旨を記載します(民法972条)。

法務局に保管を申請する手順

法務局の遺言書保管制度は、自筆証書遺言のための制度です。公正証書や秘密証書を預ける制度ではありません。法務局に保管されている自筆証書は検認が不要になりますが、内容の有効性を保証する仕組みではありません。

  1. 所定の様式で自筆証書を作成し、封をしない状態で用意する。
  2. 他の遺言書が現に保管されていればその保管所へ、そうでなければ住所地・本籍地・本人所有不動産所在地を管轄する遺言書保管所へ申請します。
  3. 申請書・添付書類・本人確認資料と手数料を準備し、遺言者本人が保管所へ出頭して申請する。代理人だけで保管申請を済ませることはできません。

用紙の余白や添付書類など、具体的な様式は申請先の最新案内で確認してください。法務局に預ければ、財産の分け方や文章の有効性まで相談できるわけではありません。

死亡後は検認の要否を確認して執行へ

遺言者の死亡後、自宅等の自筆証書や秘密証書を見つけたら、検認の手続を確認します。封印のある遺言書は自分で開けず、家庭裁判所で相続人又は代理人の立会いの下で開封します。

遺言者の死亡後に行う確認です。検認は遺言書の状態を確認して偽造・変造を防ぐ手続で、有効・無効を決める手続ではありません。

見つかった遺言書最初にする手続
自宅等の自筆証書・秘密証書保管者は相続開始を知った後、保管者がなければ発見した相続人は発見後、遅滞なく検認を申し立てる。申立先は遺言者の最後の住所地の家庭裁判所。
法務局で保管中の自筆証書相続人や、その遺言書に記載された受遺者・遺言執行者などが遺言書情報証明書を請求する
公正証書検認は不要。保管する公証役場へ正本・謄本等の取得を確認する

遺言書情報証明書を請求できる相続人には、相続放棄をした人や、欠格・廃除により相続権を失った人も含まれます。

検認では、申立書と戸籍等を準備します。必要な戸籍の範囲は相続関係により変わり、追加書類を求められることもあります。具体的な書類は裁判所「遺言書の検認」で確認できます。

検認後は検認済証明書を申請し、遺言書に付けて手続に使います。

遺言執行者が就任を承諾した場合は直ちに任務を始め、遅滞なく相続人に遺言の内容を通知します。遺言執行者は、内容を実現するために財産の管理や必要な手続を担います。銀行や登記の必要書類は手続先にも確認します。

まとめ

まず方式、次に保管、死亡後は検認の要否を確認します。自筆証書では本文と財産目録を分けて要件を確認し、公証を使う方式では証人と当日の手続を公証役場と調整します。

保管や検認だけで遺言の有効性が確定するわけではありません。内容や判断能力に争いがある場合は、相続財産を動かす前に弁護士などへ相談してください。

よくある質問

遺言書はパソコンで作れますか?

自筆証書遺言の本文はパソコンでは作れません。本人が本文・日付・氏名を自書して押印します。一体として添付する財産目録は自書不要ですが、各ページに本人の署名・押印が必要で、自書でない記載が両面にあれば両面に行います。

法務局に保管すれば有効な遺言になりますか?

保管だけで有効性は保証されません。自筆証書の方式を満たして申請する制度であり、内容の有効性や遺言時の判断能力とは別に確認が必要です。法務局で保管されている遺言書は検認が不要になります。

秘密証書遺言も検認は不要ですか?

秘密証書遺言には検認が必要です。公証人が関与していても、公正証書遺言とは扱いが違います。封印のある遺言書は家庭裁判所で相続人又は代理人の立会いの下で開封します。

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出典

2026年10月28日現在。施行済みの制度を扱っています。

この記事は一般的な情報提供であり、個別の税務・法務相談ではありません。実際の申告・登記の判断は、税理士・司法書士など有資格者にご確認ください。

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