「世帯全員が均等割非課税」でなければ非課税世帯ではない
住民税には均等割(定額)と所得割(所得に比例)の2つがあり、非課税の限度額はそれぞれ別に定められています。給付金や高額療養費の区分が使う「住民税非課税世帯」は、世帯全員が均等割非課税である世帯を指します。
| 均等割の非課税限度額 | 所得割の非課税限度額 | |
|---|---|---|
| 根拠 | 地方税法295条3項+施行令47条の3 (政令の基準に従い条例で定める) | 地方税法附則3条の3 (法律が直接定める) |
| 基本額 | 35万円 ×(本人+同一生計配偶者+扶養親族) ★級地で1.0/0.9/0.8倍される | 35万円 ×(同左) 全国一律 |
| 加算額 | 10万円 +(扶養等がいれば)21万円 | 10万円 +(扶養等がいれば)32万円 |
65歳以上と65歳未満で、境界が50万円違う
年金暮らしの世帯の判定を左右するのは公的年金等控除です。所得税法35条4項が定める最低保障額は60万円ですが、65歳以上はこれが110万円に読み替えられます(租税特別措置法41条の15の3第1項)。住民税の所得計算は「所得税法その他の所得税に関する法令の規定による…計算の例による」と定められているため(地方税法313条2項)、この特例は住民税にも及びます。
同じ収入でも、住んでいる市区町村で境界が変わる
均等割の非課税限度額は「政令で定める基準に従い条例で定める」もので(地方税法295条3項)、その基準となる基本額と加算額が生活保護法の級地区分によって1.0倍・0.9倍・0.8倍されます(同法施行規則9条の21第2項)。所得割の限度額が法律で全国一律なのとは対照的です。
| 級地 | 基本額 | 加算額 | 単身の限度額 | 年金だけなら(65歳以上) |
|---|---|---|---|---|
| 1級地(東京23区・政令指定都市など) | 35万円 | 21万円 | 45万円 | 155万円 |
| 2級地(中規模の市など) | 31万5千円 | 18万9千円 | 41万5千円 | 151万5千円 |
| 3級地(町村など) | 28万円 | 16万8千円 | 38万円 | 148万円 |
政令の額はあくまで参酌基準で、最終的に決めるのは各市区町村の条例です。境界に近いときは、お住まいの市区町村の住民税担当窓口で確認してください。
子のアルバイト代が、世帯の非課税を壊すことがある
非課税世帯の条件は世帯全員が均等割非課税であることなので、子ども本人が課税されると世帯全体が該当しなくなります。1級地なら子ども自身の限度額も合計所得45万円=給与収入110万円です。
扶養の付け方を変えると、非課税になることがある
均等割の限度額は本人+同一生計配偶者+扶養親族の人数で決まります。したがって共働きで子どもが複数いる世帯では、子どもを誰の扶養に付けるかで世帯の判定が変わることがあります。
1級地で、夫の合計所得100万円・妻60万円・子2人の場合 — 子2人を夫にまとめると夫の限度額は136万円になりますが、妻は扶養なしで限度額45万円のため課税になり、世帯は非課税世帯になりません。 子を1人ずつ分けると、夫も妻も限度額101万円になって2人とも非課税=世帯非課税になります。
本ツールは扶養の付け方を全通り試し、非課税になる付け方があればそれを使って判定します。「所得が多い人にまとめる」という思い込みで計算すると、この差を取りこぼします。なお夫婦が互いを扶養に数えることはできないものとして計算しています(同じ人を二重に数えないための安全側の扱いです)。
よくある質問
Q. 住民税非課税世帯とはどういう世帯ですか?
A. 世帯全員が住民税の均等割を課されない世帯のことです。給付金・高額療養費の自己負担限度額の区分・保育料の減免・大学の修学支援などが使っている定義はこれで、所得割だけが非課税でも該当しません。世帯のうち1人でも均等割を課される人がいれば、その世帯は住民税非課税世帯ではありません。判定は前年の合計所得金額で行い、令和8年度(2026年度)の判定なら令和7年(2025年)1年間の所得を使います。
Q. 年金収入がいくらまでなら住民税非課税ですか?
A. 1級地に住む単身の人なら、65歳以上は年金収入155万円まで、65歳未満は105万円までです。差が出るのは公的年金等控除の最低保障額で、65歳以上は110万円、65歳未満は60万円だからです(租税特別措置法41条の15の3)。65歳以上かどうかはその年の12月31日の年齢で判定します。2級地は151万5千円まで、3級地は148万円までと、お住まいの市区町村の級地によって境界が変わります。
Q. 給与収入だけの単身者はいくらまで非課税ですか?
A. 1級地なら給与収入110万円までです。均等割の非課税限度額が合計所得45万円(35万円+10万円)で、給与所得控除の最低保障額が65万円なので、45万円+65万円=110万円が境界になります。令和7年分から給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられたため、この境界は100万円から110万円に上がりました。所得税がかからない範囲(いわゆる160万円の壁)とは別の基準です。
Q. 子どものアルバイト代で世帯が課税になることはありますか?
A. あります。住民税非課税世帯は世帯全員が均等割非課税であることが条件なので、子ども本人が均等割を課されると世帯全体が非課税世帯でなくなります。1級地なら子ども自身の限度額は合計所得45万円(給与収入110万円)です。ただし18歳未満の未成年者は合計所得135万円以下なら非課税になるため(地方税法295条1項2号)、同じ収入でも年齢によって結果が反転します。19歳の子の給与収入115万円は課税、17歳なら非課税です。
Q. 級地とは何ですか。自分の市区町村の級地はどこで分かりますか?
A. 生活保護法8条1項の保護の基準における地域の級地区分のことで、均等割の非課税限度額の基本額がこれによって1.0倍・0.9倍・0.8倍されます(地方税法施行令47条の3、同法施行規則9条の21第2項)。おおよそ東京23区・政令指定都市・県庁所在地などが1級地、中規模の市が2級地、町村が3級地です。政令の額はあくまで参酌基準で、最終的には各市区町村の条例が定めるため、境界に近い場合はお住まいの市区町村の住民税担当窓口でご確認ください。
Q. 扶養の付け方で判定が変わることがあるのはなぜですか?
A. 均等割の非課税限度額が本人+同一生計配偶者+扶養親族の人数で決まるからです。共働きで子どもが複数いる場合、子どもを1人にまとめて扶養させるより1人ずつ分けたほうが、両親それぞれの限度額が上がって世帯全体が非課税になることがあります。たとえば1級地で夫の合計所得100万円・妻60万円・子2人なら、子2人を夫にまとめると妻が課税になりますが、1人ずつ分ければ2人とも非課税になります。本ツールは付け方を全通り試し、非課税になる付け方があればそれを表示します。
Q. 障害者や寡婦・ひとり親には別の基準がありますか?
A. あります。障害者・未成年者・寡婦・ひとり親にあたる人は、前年の合計所得金額が135万円以下であれば均等割も所得割も課されません(地方税法295条1項2号)。この判定は人数による限度額の計算より先に効くので、限度額を超えていてもこちらで非課税になることがあります。給与収入だけなら約204万円、65歳以上の年金収入だけなら245万円までが合計所得135万円の目安です。
出典
- 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号) — 292条1項7号・9号(同一生計配偶者・扶養親族の合計所得金額58万円以下)/295条1項2号・3項(障害者等の135万円・均等割の非課税限度額)/313条2項(所得の計算は所得税法その他の所得税に関する法令の例による)/附則3条の3(所得割の非課税限度額)
- 地方税法施行令47条の3・地方税法施行規則9条の21第2項 — 均等割の非課税限度額の基準額(35万円・21万円)と級地区分による1.0/0.9/0.8倍
- 所得税法35条 — 公的年金等控除額(4項1号のイ40万円+ロ、最低保障60万円)
- 租税特別措置法41条の15の3 — 65歳以上の最低控除額を110万円に読み替える特例(4項=年齢は12月31日で判定)/同41条の3の11第2項 — 給与所得と公的年金等雑所得の双方がある場合の所得金額調整控除
- 国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係 — 公的年金等に係る雑所得の速算表(本ツールの計算がこの表を全区分で再現することを機械で確認しています)
条文は e-Gov 法令検索の法令APIから取得して逐語で確認しています。均等割の非課税限度額は各市区町村の条例で定まるため、境界に近い場合はお住まいの市区町村にご確認ください。このページは一般的な情報提供であり、個別の判定を保証するものではありません。
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