住宅ローン減税の計算方法と初年度の確定申告
住宅ローン減税は、住宅取得の借入金等を基に計算した額を所得税から差し引く制度です。所得税で使いきれない場合は、翌年度の住民税の控除額も別に計算します。住宅ローン控除とも呼ばれ、税務上の名称は住宅借入金等特別控除です。
受け取れる額を確認する順序は、入居年と住宅区分を選ぶ、控除額を計算する、税額の範囲を確かめる、の順です。ここでは2026年入居の住宅取得を扱います。給与所得者も、初めて控除を受ける年分は確定申告が必要です。
入居年と住宅区分を選ぶ
制度の表は、契約年ではなく実際に住み始めた年で選びます。次に取得のしかたを分け、住宅性能を証明書で確認してください。
| 確認するもの | 見分け方 |
|---|---|
| 入居年 | 取得した年と、実際に住み始めた年を分ける |
| 新築・未使用住宅 | 自分で新築した家屋、又は建築後未使用の家屋を取得 |
| 買取再販住宅 | 宅建業者が一定の増改築等をした住宅で、税制上の要件を満たすもの |
| 中古住宅 | 買取再販を除く使用済み家屋で、建築時期・耐震などの適用要件を満たすもの |
| 住宅性能 | 認定通知書・住宅省エネルギー性能証明書など、適用区分の証明書で確認 |
「リフォーム済み中古」という販売名だけでは、買取再販の区分は決まりません。売主等に、国税庁の買取再販住宅の要件を満たすか確認します。
ここで扱うのは住宅取得の計算です。増改築は国税庁の増改築等の案内、過去の入居年は住宅ローン控除計算機の入居年別表で確認してください。
借入限度額と控除期間の早見表
表の認定住宅は認定長期優良住宅・認定低炭素住宅、ZEH水準はZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合は省エネ基準適合住宅を指します。
以下は2026年入居・床面積50㎡以上で、所得・借入れ・居住等の適用要件を満たす住宅取得の表です。中古は買取再販を除きます。特例対象個人の列は下の家族要件を満たす場合の借入限度額で、通常額への加算額ではありません。
| 取得区分・住宅性能 | 通常の借入限度額 | 特例対象個人の借入限度額 | 控除期間 |
|---|---|---|---|
| 新築・ 認定住宅 | 4,500万円 | 5,000万円 | 13年 |
| 新築・ ZEH水準 | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| 新築・ 省エネ基準適合 | 2,000万円 | 3,000万円 | 13年 |
| 買取再販・ 認定住宅 | 4,500万円 | 5,000万円 | 13年 |
| 買取再販・ ZEH水準 | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| 買取再販・ 省エネ基準適合 | 2,000万円 | 3,000万円 | 13年 |
| 買取再販・ その他 | 2,000万円 | 上乗せなし | 10年 |
| 中古・ 認定住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| 中古・ ZEH水準 | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| 中古・ 省エネ基準適合 | 2,000万円 | 3,000万円 | 13年 |
| 中古・ その他 | 2,000万円 | 上乗せなし | 10年 |
特例対象個人は、居住年末の現況で、配偶者がいる40歳未満の人、40歳未満の配偶者がいる40歳以上の人、又は19歳未満の扶養親族がいる人です(年途中死亡の場合は死亡時)。
2026年入居の床面積40㎡以上50㎡未満の住宅には、特例対象個人の上乗せはありません。小規模住宅の適用には、その年の合計所得金額や住宅区分などの追加条件があります。
2026年入居・床面積50㎡以上の新築「その他の住宅」は、2023年12月31日までの建築確認又は2024年6月30日までの建築を満たす場合に限り、借入限度額2,000万円・控除期間10年の対象です。小規模住宅の建築確認条件は国税庁の新築等の案内の注で確認してください。
表の限度額まで借りていれば、その額が返ってくるわけではありません。次の式で、その年の控除額を求めます。
控除額の計算方法と具体例
2026年入居の住宅取得では、年末残高・調整後の取得対価・借入限度額の最小額に0.7%を掛け、100円未満を切り捨てます。
調整後の取得対価は、取得対価から国・地方公共団体の補助金・給付金やこれらに準ずるものと、住宅取得等資金の贈与の特例を受けた額を引いた額です(新築等の補助金等は2011年6月30日以後の取得契約が対象)。共有・連帯債務・店舗併用住宅では、本人に帰属する残高や取得対価、居住用部分の調整も必要です。
贈与の特例は、住宅取得等資金の贈与税の非課税と、住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例です。
年末残高から税額までを計算する例
以下は2026年入居の新築ZEH水準省エネ住宅の計算例で、床面積60㎡・単独所有・全て自己居住、上乗せなしで適用要件を満たすとします。補助金・贈与税特例・連帯債務・他の税額控除等はなく、控除に使える住民税所得割額は十分にある仮定です。
| 項目 | 仮定・計算結果 |
|---|---|
| その年の年末残高 | 2,800万円 |
| 調整後の取得対価 | 3,000万円 |
| 通常の借入限度額 | 3,500万円 |
| 算式で求める控除額 | 2,800万円を基礎に計算し、196,000円 |
| 住宅ローン控除前の所得税額 | 150,000円(復興特別所得税を含まない) |
| 所得税から引く額 | 150,000円 |
| 所得税から引ききれない残額 | 46,000円 |
| 所得税の課税総所得金額等の合計 | 2,475,000円(総合課税のみ) |
| 翌年度の住民税から引く額 | 46,000円 |
| 所得税と住民税の控除合計 | 196,000円(復興特別所得税の減額を含まない) |
これは説明用の計算例です。還付金は源泉徴収などで納めた税との精算額であり、住民税の控除分が所得税の還付に上乗せされるわけではありません。復興特別所得税は、住宅ローン控除後の基準所得税額を基に別途計算します。
所得税で引ききれない分と住民税
2026年入居の住民税の住宅ローン控除は、所得税の課税総所得金額・課税退職所得金額・課税山林所得金額の合計の5%と97,500円の小さい額が限度です。
実際に控除できるのは、その住民税所得割額の範囲内です。所得税と住民税で使いきれない控除額が、現金で支給される制度ではありません。
住民税用の控除残額を計算する所得税額は、他の税額控除・災害減免等を適用しなかったものとして計算する場合があります。根拠と対象は地方税法附則第5条の4で確認できます。
初年度の確定申告と必要書類
初めて住宅ローン控除を受ける年分は、給与所得者も確定申告します。会社の年末調整で住宅取得を伝えただけでは、初年度の控除手続は完了しません。
| 資料 | 確かめる内容・注意 |
|---|---|
| 住宅借入金等特別控除額の計算明細書 | 入居日、取得対価、住宅区分、残高、控除額を整理する。申告する年分の様式を選ぶ |
| 年末残高等証明書 | 金融機関ごとの残高を確認。調書方式の書類の相違は下の注を参照 |
| 登記事項証明書・契約書等 | 取得日、床面積、取得対価を確認。土地も控除対象に含める場合は土地の資料も用意 |
| 住宅区分の証明書類 | 認定通知書や性能証明書など。必要な組合せと調査・評価等の期限は区分・入居時期ごとに確認 |
| 補助金・贈与税特例の資料 | 該当する場合は補助金額や、特例を受けた住宅取得等資金の額を確認 |
| 連帯債務の付表 | 連帯債務がある場合に、本人の控除対象となる年末残高を計算 |
| 給与の源泉徴収票 | 申告書作成時に使用。確定申告書への添付・提示は不要 |
調書方式に対応する金融機関から借り、適用申請書を提出した場合は提出書類が一部異なります。登記事項証明書は明細書への不動産番号の記載又は写しで代えられます。書類の全件と省略条件は、新築等・買取再販・中古の各案内で確認してください。
2026年10月28日の確認時点で、国税庁の計算明細書の様式一覧には令和7年分用が掲載されています。令和8年分の申告には、公開後の該当年分の様式・記載要領を使ってください。
資料をそろえたら、申告する年分の確定申告書等作成コーナーで住宅区分・取得対価・残高を入力し、計算明細書と確定申告書を作成します。提出方法ごとの添付・省略の案内も確認してください。
年末調整の対象となる給与所得者は、初年度の確定申告後、2年目以後は勤務先で控除を受けられます。具体的な提出書類は住宅借入金等特別控除申告書の書き方にまとめています。
申告前に確かめること
2026年入居の借入限度額は、取得区分・住宅性能に加え、特例対象個人への上乗せと小規模住宅の除外も確認して選びます。調整後の取得対価と年末残高も比べてください。算式額が出たら、所得税と翌年度の住民税で使える範囲を確認し、初年度の申告書類をそろえてください。
床面積・所得・借入先・居住状況などの要件は、金額の計算とは別の判定です。対象外になる場合や転勤・繰上返済などは住宅ローン控除が受けられないケースで確認できます。
よくある質問
住宅ローン減税と住宅ローン控除は違いますか?
同じ制度を指す呼び方です。税務上の名称は住宅借入金等特別控除で、住宅区分や入居年などに応じて控除額を計算します。
計算した控除額は、そのまま還付されますか?
そのままとは限りません。所得税の還付は、源泉徴収などで納めた税との精算額です。住民税の控除は翌年度の所得割の軽減で、所得税の還付金に加算されません。
会社員も初年度の確定申告が必要ですか?
必要です。初めて住宅ローン控除を受ける年分は確定申告をします。その後、年末調整の対象となる給与所得者は勤務先で控除を受けられます。
中古住宅なら、すべて同じ限度額ですか?
同じではありません。2026年入居の認定住宅では、買取再販かそれ以外の中古かで借入限度額が異なります。特例対象個人への上乗せや、小規模住宅が上乗せ対象外であることも確認してください。
出典
- 国税庁:住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合
- 国税庁:買取再販住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合
- 国税庁:中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合
- e-Gov法令検索:租税特別措置法第41条
- e-Gov法令検索:地方税法附則第5条の4
- 国税庁:申告書・申告書付表と税額計算書等 一覧(申告所得税)
- 国税庁:所得税のしくみ
- 国税庁:所得税の税率
この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する助言ではありません。実際の確定申告・年末調整については、勤務先の給与担当者または税理士・所轄の税務署へご確認ください。個別の税務・労務相談には応じられません。