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住宅ローンの繰り上げ返済|利息・控除・手数料を同じ条件で比較

住宅ローンの繰り上げ返済は、減る利息から、失う住宅ローン控除と手数料を差し引いて比較します。利息だけ、控除率だけでは負担の差は分かりません。

一部繰上返済の期間短縮型は、月返済額を維持して完済を早めます。返済額軽減型は、満期を維持して月返済額を減らします。この記事では架空の固定金利ローンを使い、同じ日に同じ元金を返した場合を計算します。

住宅ローン控除の適用要件の総覧とは分け、返済後の残高・利息・控除額がどうつながるかを扱います。

返済方法ごとの比較表

この設例では、期間短縮型のほうが利息削減額は大きく、返済額軽減型では月返済額が下がります。控除の減少額も同じにはなりません。

主例は借入2,000万円・固定年1.2%・当初20年間の元利均等返済で、初回返済は2024年2月29日です。2026年1月30日の通常返済直後に300万円を一部繰上返済し、手数料0円・ボーナス返済なしと仮定します。主例は2024年1月入居の中古その他の住宅です。中古その他の主例は、取得対価が借入額以上で、補助金等と贈与税特例はありません。主例は適用要件を維持し、各年の控除前所得税本体30万円・他税額控除なしで、控除を全額使う設例です。月利計算で、金額表示は1円四捨五入・内部丸めなし・最終返済調整です。利息と控除の集計期間は表題のとおりです。

主例:利息は2026年2月〜完済、控除は2026〜2033年分の所得税本体
項目繰上返済なし期間短縮型返済額軽減型
月返済額93,774円93,774円78,325円
最終返済月2044年1月2040年11月2044年1月
残り返済回数216回178回216回
残存利息2,046,370円1,393,643円1,709,221円
利息削減額0円652,727円337,149円
控除合計787,500円610,100円657,600円
控除減少額0円177,400円129,900円
返済手数料0円0円0円
差引額0円475,327円207,249円

差引額は、利息削減額から控除減少額と手数料を引いた額です。所得税本体の控除だけを反映しています。復興特別所得税等の付随する税額差、資金の時間価値、運用益、保証料返戻は含みません。

繰上返済する元金は、将来返す元金の前払いです。利息削減額に元金を足して「節約額」とする計算ではありません。どの方法でも、返済した資金は手元から減ります。

実契約では、月ごとの円未満処理や期間短縮の単位がこの試算と異なることがあります。金融機関の返済予定表と手数料見積りで金額を置き換えて確認します。

繰上返済の負担差を比べる流れ返済予定から減る利息、年末残高と税額から失う控除を求め、手数料を引いて比較する。返済予定を再計算減る利息を求める年末残高と税額を確認失う控除を求める借入先・申込経路を確認手数料等を求める利息削減 − 失う控除 − 手数料対象期間と費用の範囲をそろえる
利息と控除は別々に計算し、対象期間と費用の範囲をそろえて比較します。

年末残高から控除額を計算する

この主例では、方式によって年末残高と控除額が変わります。期間短縮型では、その後の月返済額を維持するため、返済額軽減型より元金が早く減っていきます。

本設例の2024年入居・中古その他の住宅は、年末残高等に0.7%を掛けて100円未満を切り捨て、年14万円を上限として控除します。年末残高等は、借入残高と、補助金等・贈与税特例適用額を差し引いた取得対価との少ない額です(国税庁No.1211-3)。

2026年分の主例です。2024年入居の中古その他で、取得対価は借入額以上、補助金等と贈与税特例なし、控除前所得税本体30万円・他税額控除なし、適用要件を維持すると仮定します。主例は借入2,000万円・固定年1.2%・当初20年間の毎月元利均等返済・初回返済2024年2月29日です。主例で2026年1月の通常返済直後に300万円を返済した後の年末残高を示します。主例の残高は円単位で四捨五入して表示します。

主例:繰上返済した年の年末残高と控除額
項目繰上返済なし期間短縮型返済額軽減型
年末残高17,373,513円14,340,348円14,511,147円
住宅ローン控除額121,600円100,300円101,500円

同じ額を繰上返済しても、その後の月返済額が違うため年末残高は一致しません。

入居年・住宅区分から住宅ローン控除を計算する

控除は実際に使える額で比べる

主例は、控除の計算額を所得税本体から全額使える人の比較です。所得税で引ききれない場合は、翌年度の住民税所得割から控除されることがあります。残高だけでは実利用額を決められません。

2024年入居の中古その他の主例について、2026〜2033年分を比較します。取得対価は借入額以上、補助金等と贈与税特例なしと仮定します。主例は借入2,000万円・固定年1.2%・当初20年間の毎月元利均等返済・初回返済2024年2月29日です。2026年1月の通常返済直後に300万円を返済する仮定です。中古その他の主例では適用要件を維持し、控除前所得税本体は各年30万円・他の税額控除なしのため、各年の計算額を全額使えます。各年の所得税本体の控除額を表示します。

主例:年分ごとの住宅ローン控除の実利用額
年分繰上返済なし期間短縮型返済額軽減型
2026年分121,600円100,300円101,500円
2027年分115,100円93,600円96,100円
2028年分108,600円86,800円90,700円
2029年分102,000円80,000円85,200円
2030年分95,300円73,000円79,600円
2031年分88,500円66,000円73,900円
2032年分81,700円58,800円68,200円
2033年分74,700円51,600円62,400円

主例では所得税本体から控除しきれるので、住民税へ回る控除はありません。控除期間は入居年から数えるため、繰上返済で新しい控除期間が始まることもありません。

税額がなく控除を使えない人は別の結果になる

同じ返済条件でも、住宅ローン控除前の所得税本体と翌年度の住民税所得割がどちらも全期間0円という仮定では、住宅ローン控除の実利用額は返済前後とも0円で、その減少額も0円です。

所得税で引ききれない額がある人と、控除する税額自体がない人を分けて確認します。住民税が非課税または均等割だけの人は住民税の住宅ローン控除を使えないことが、足立区の案内にも示されています。

自分の計算では、各年の所得税本体と住民税所得割の見込みを置き、繰上返済前後それぞれの実利用額を求めます。所得税だけの控除残を、そのまま「失う控除」として足し上げないようにします。

期間短縮で控除を失う別例

期間短縮型は、当初の最初の償還月から短縮後の最終償還月までが10年未満になると、その年以後は住宅ローン控除を受けられません。残りの返済期間だけを数える判定ではありません(国税庁「繰上返済等をした場合の償還期間」)。

別例は主例と同じ借入2,000万円・固定年1.2%・当初20年間で、2026年1月30日の通常返済直後の繰上返済額だけを変える期間短縮の試算です。月返済額を維持し、最終回を調整します。最初の償還月は2024年2月で、期間要件を外れた別例は2026年以後の控除を使えません。主例の控除は2024年入居の中古その他で、取得対価は借入額以上・補助金等と贈与税特例なし、所得税本体各年30万円・他税額控除なし・他の適用要件維持の仮定です。

別例:繰上返済額だけを変えた期間短縮型
項目主例別例
繰上返済する元金300万円1,200万円
短縮後の最終償還月2040年11月2031年10月
最初の償還月からの期間10年以上10年未満
繰上返済した年の住宅ローン控除額100,300円0円(期間要件を外れる)

別例は完済前の年末に残高があっても、期間要件を外れたため控除できません。この繰上返済をしたことだけを理由に、要件を満たしていた過去の年分まで取り消す扱いではありません。

当初の契約と変更後の返済予定表を並べて、最初と最後の償還月を確認します。借換えを伴う場合は判定が異なるため、この設例を当てはめず借入れの適用要件を確認してください。

申し込む前に確認すること

申込前には、変更後の返済予定表と、借入先の商品・申込経路ごとの費用をそろえます。手数料が無料でも、経過利息などの支払いが発生する場合があります。

借入先に確認する項目
確認項目確認する内容
方式と実行日選べる返済方式、最終償還月、通常返済との前後関係、休日の扱い
手数料・経過利息窓口とネットの手数料、返済日までの利息、保証料返戻と返戻時の費用
申込条件最低返済額、申込期限、ボーナス返済分の制限、変更・取消期限
控除書類繰上返済後の年末残高が分かる資料と、既に受け取った証明書等の訂正方法
返済後の家計と保障手元に残る生活費・予定支出用の資金、完済や残高減少に伴う団信の保障範囲

住宅金融支援機構の繰上返済案内でも、全額・一部、窓口・インターネットの手続きが分かれています。他の金融機関に同じ条件が適用されるとは限りません。

勤務先に住宅ローン控除の書類を出した後で返済した場合も、計算に使う年末残高を返済後の実額へ更新します。住宅借入金等特別控除申告書の手続きと借入先の訂正案内を確認します。

まとめ

繰上返済は、利息・控除の実利用額・費用を同じ条件で計算して比べます。期間短縮型と返済額軽減型では、月返済額も年末残高も変わります。控除の期間要件と、返済後に手元へ残る資金も別に確認します。

よくある質問

期間短縮型と返済額軽減型は何が違いますか?

一部繰上返済の期間短縮型は、月返済額を維持して最終返済を早める方法です。返済額軽減型は満期を維持し、月返済額を減らします。選べる方式や期間短縮の単位は借入先の商品で確認します。

住宅ローン控除の期間中は繰上返済をしないほうがよいですか?

控除期間中という理由だけでは決まりません。利息削減額と、実際に使えなくなる控除額、手数料等を比べます。各年の税額によって控除の実利用額が変わるため、控除率とローン金利だけを比べても負担の差は出ません。

残りの返済期間が短いと住宅ローン控除を失いますか?

残存期間だけでは判定しません。期間短縮型の繰上返済後、当初の最初の償還月から短縮後の最終償還月までが10年未満になると、その年以後は控除を受けられません。完済して年末残高がなくなった場合も控除の対象額はなくなります。

年末残高の証明書を受け取った後に繰上返済したらどうしますか?

計算に使う年末残高を、返済後の実額に直します。先に受け取った書類の見込残高をそのまま使わず、借入先で訂正や確認に必要な手続きを調べ、年末調整に提出済みなら勤務先にも連絡します。

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出典

制度・手続きの確認日は2026年10月28日です。将来の金利・所得・税制の変化は予測していません。

本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務・労務相談には応じられません。実際の適用判断は税務署・税理士などへご確認ください。

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