土地売却の税金|税率・取得費・確定申告の確認表
土地売却の所得税・住民税は、売却代金ではなく、取得費や譲渡費用などを差し引いた利益を基に計算します。売った金額と買った金額が分かる資料を集め、費用を仕分けるところから始めます。
個人の土地・建物の譲渡所得を対象に、税率の参照表と確定申告前の確認手順をまとめました。法人の売却や、販売用の商品である不動産は対象外です。
売却額・取得費を入れて税額を試算する →長期・短期の税率と所有期間
次は令和8年分の個人の土地・建物売却の一般税率です。所有期間は売った年の1月1日現在で判定します。軽減税率などの特例は除き、合計は所得税・復興特別所得税・住民税を含む、端数処理前の税率です。
| 区分と所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 長期:5年超 | 15% | 5% | 20.315% |
| 短期:5年以下 | 30% | 9% | 39.63% |
令和8年分の復興特別所得税は、基準所得税額に2.1%を掛けて計算します。上表の合計にはこの税額に対応する率を含めています。国税庁の長期譲渡所得・短期譲渡所得の税額を参照してください。
長期か短期かは、売却当日までの経過年数で決めません。購入した契約書の日付と引渡日を確認し、年の途中で長期に切り替わると思い込まないことが大切です。
相続・贈与で得た不動産は、被相続人・贈与者の取得時期を引き継いで判定します。相続した日から数え直すと、区分を取り違えることがあります。
税金は売却の利益にかかる
基本は、譲渡所得=売却収入−取得費−譲渡費用です。取得費には購入時の費用などを含め、建物は減価償却費相当額を差し引きます。譲渡費用は売却のために直接かかった費用です。
特別控除を使える場合は、その控除後の金額を基に税額を出します。ほかの所得から引ききれなかった所得控除がある場合などは、課税される金額がさらに変わります。
個人の土地・建物の譲渡所得は、給与や事業所得などと分けて税額を計算する申告分離課税です。ただし、申告書は他の所得と一緒に作成します。根拠は国税庁の譲渡所得の計算方法と租税特別措置法31条です。
契約書・領収書をどう仕分けるか
売るときに支払ったお金を、まとめて経費にはしません。購入時の取得費、売却に直接かかった譲渡費用、控除できない維持管理費を分けます。次は主な資料と費用の例です。
| 確認する資料 | 確認する中身 | 譲渡所得での扱い |
|---|---|---|
| 売却時の契約書・精算書 | 売買代金、買主から受け取った未経過分の固定資産税・都市計画税相当額 | 売却収入に含める |
| 購入時の契約書・領収書 | 購入代金、購入手数料、設備費・改良費など | 取得費の資料。建物は減価償却費相当額を差し引く |
| 売却の仲介手数料等の領収書 | 売却のための仲介手数料、売主負担の印紙税、売却目的の建物取壊し費用など | 売却に直接かかった譲渡費用 |
| 維持・管理の支払記録 | 修繕費、固定資産税、売却代金の取立費用など | 譲渡費用には含めない |
固定資産税の精算金は、買主から受け取れば売却収入に含まれます。一方、自分が納めた固定資産税は譲渡費用になりません。名前が同じでも、受け取ったお金と支払ったお金を分けて確認します。
取得時の登録免許税・不動産取得税などは、業務用か非業務用かで取得費への算入が変わります。既に事業所得などの必要経費にした金額も重ねて算入しません。詳しい区分は国税庁の取得費となるもの、売却時の費用は譲渡費用となるもので確認できます。
取得時の会社の会計処理は不動産取得税の仕訳で扱っています。個人の譲渡所得における取得費の計算とは分けて確認してください。
取得費が分からないとき・相続したとき
令和8年分の土地・建物売却では、取得費が不明、または実額が売却収入の5パーセント未満なら、売却収入の5パーセントを概算取得費にできます。取得費をゼロとして扱う必要はありません。
購入額が分かる場合は、取得費に含まれる購入手数料や改良費なども調べます。建物があるときは減価償却も必要です。資料を確認してから、実額と概算の取得費を比べます。金額の試算は不動産売却の税金計算機で行えます。
相続した土地では、相続税の評価額をそのまま取得費にしません。被相続人が購入したときの代金・手数料などを基に計算します。古い契約書や領収書が残っているかを確認する意味があります。
概算取得費を使う場合、相続人が支払った登記費用などを、その取得費にさらに加えることはできません。非業務用資産の実額取得費を使う場合との違いは、国税庁の相続・贈与による取得費の説明を参照してください。
マイホームの特別控除を確認する
令和8年分のマイホーム売却では、要件を満たす場合、譲渡所得から最高3,000万円を特別控除できます。所有期間の長短は問いませんが、土地を売れば一律に使える控除ではありません。
現に主として住む家屋や、その家屋とともに売る敷地などが対象です。更地にしてから売る場合と、家屋を残して売る場合では条件が違います。
令和8年分、主として住んでいたマイホームを通常の退去・取壊し後に売る場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却が条件です(災害の例外は下の注)。次表は主な確認点で、全要件の一覧ではありません。
| 売却するもの・状況 | 主な確認点 |
|---|---|
| 以前に住んでいた家屋・ともに売る敷地 | 退去後の用途は問わない。家屋を賃貸していても対象になり得る |
| 通常の取壊し後の敷地 | 取壊しから1年以内に譲渡契約を締結し、取壊しから契約日まで貸駐車場など他用途に使っていないこと |
| 売却先・住まい方 | 親子・夫婦など特別の関係がある人への売却、別荘、仮住まいなどは対象外 |
| 他の特例を使っている場合 | 過去の同控除・譲渡損失の特例、買換え・交換の特例、住宅ローン控除等との制限を確認する |
主な例外:災害で家屋が滅失した敷地は、取壊し後の敷地と期限の起点・用途の条件が異なり、震災による期限延長もあります。住宅が複数ある場合の対象や、過去の空き家特例の扱いも含め、国税庁「マイホームを売ったときの特例」で全要件を確認してください。
特別控除の適用で納税額がなくなる場合も、適用を受けるには確定申告が必要です。特例を使わず税額が出ない場合の申告要否とは、分けて考えます。
確定申告が必要かを分けて準備する
申告は、売却利益に対する税額がある場合と、特例を適用する場合を分けて確認します。給与所得者の申告要否には、給与の額・支払先の数・源泉徴収の対象かどうか・他の所得なども関係します。売却利益だけで申告不要と決めず、確定申告が必要になる所得の条件と合わせて確認してください。
売却損が出た場合は、給与などと自由に相殺できるわけではありません。マイホームの譲渡損失には損益通算・繰越控除の特例がありますが、条件や申告期限の確認が必要です。適用を検討するときは国税庁「土地や建物を売ったとき」の譲渡損失の節を参照してください。
申告前に集める資料と作成する書類
まず売買契約書や領収書を手元に集め、計算の資料と提出する申告書類を分けます。次の表の資料が、そのまま全部一律の添付書類になるわけではありません。
| 段階 | 資料・書類 | 用途 |
|---|---|---|
| 収入・取得費の確認 | 売却時と取得時の契約書、決済精算書、購入費用・改良費の領収書など | 売却収入・取得費・取得時期を確認 |
| 譲渡費用の確認 | 仲介手数料、測量費、売却目的の取壊し費用などの領収書 | 売却に直接かかった費用を確認 |
| 所得の計算 | 譲渡所得の内訳書(土地・建物用) | 収入・取得費・譲渡費用・特例を整理 |
| 申告書の作成 | 確定申告書と申告書第三表(分離課税用) | 他の所得も合わせて確定申告 |
| マイホーム控除の追加確認 | 必要に応じて戸籍の附票の写しなど、住んでいたことを示す書類 | 売買契約日の前日の住民票住所が、売却物件の所在地と異なる場合などに追加 |
書類の組合せは国税庁「譲渡所得の申告期限」の手続き欄にあります。税額を分けて計算する場合も、土地の売却だけを別の確定申告書で提出するわけではありません。
国税庁の各案内から確定申告書等作成コーナーへ進むと、必要な付表や明細書も入力に沿って作成できます。申告先は所轄税務署です。申告・納付の期限や休日の扱い、出国・死亡がある場合の特別な期限は、確定申告の期限で確認できます。
申告前の確認リスト
- 契約書の売買代金だけでなく、買主から受け取る税金の精算金も確認する。
- 購入時の取得費と売却時の譲渡費用を分け、建物は減価償却を反映する。
- 長期・短期は売った年の年初で判定し、相続なら取得時期の引継ぎを確認する。
- 特別控除を使う場合は、適用要件と申告・添付書類まで確認する。
よくある質問
売れた金額の全部に税金がかかりますか?
いいえ。個人の土地・建物の譲渡所得は、売却収入から取得費と譲渡費用を引いて計算します。特別控除を適用できる場合は、その控除も反映します。建物の取得費は減価償却費相当額を差し引きます。
昔買った土地で、取得費の資料がありません。
概算取得費を使える場合があります。古い契約書などの有無を確認したうえで、本文の取得費が分からない場合の説明を参照してください。相続した場合は、被相続人が買ったときの費用や時期を引き継ぎます。
マイホームの特別控除で納税額がなくなったら申告不要ですか?
特別控除の適用を受けるには、納税額がなくなる場合も確定申告が必要です。土地・建物用の譲渡所得の内訳書などを添えて申告します。住んでいたことを示す追加書類が必要な場合もあります。
分離課税なら給与の申告とは別に提出しますか?
いいえ。税額は給与などと分けて計算しますが、確定申告は他の所得と一緒に行います。土地・建物の譲渡所得では、分離課税用の第三表と土地・建物用の内訳書などを併せて作成します。
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出典
制度の内容と税率は、国税庁の案内と下記の法令を参照しています。
- 国税庁「譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」
- 国税庁「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」
- 国税庁「長期譲渡所得の税額の計算」・「短期譲渡所得の税額の計算」
- 国税庁「取得費となるもの」・「譲渡費用となるもの」
- 国税庁「取得費が分からないとき」・「相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」
- 国税庁「マイホームを売ったときの特例」
- 国税庁「譲渡所得の申告期限」・「給与所得者で確定申告が必要な人」
- 国税庁「土地や建物を売ったとき」
- e-Gov法令検索「租税特別措置法」31条・32条・35条
このページは一般的な情報提供であり、個別の税務相談への回答ではありません。個別の税務・労務相談には応じられません。実際の申告・判断は、税務署または税理士にご確認ください。