住宅取得資金の贈与は非課税になる?条件・期限・申告書類の確認表
直系尊属から自己居住用の住宅取得等資金をもらい、要件を満たして申告すれば、贈与税の非課税特例を受けられます。住宅の性能だけでなく、受け取る人・取得と入居の時期・申告書類も確認が必要です。
非課税枠内でも、この特例を使うための贈与税申告は必要です。住宅ローンの返済用にもらうお金や、住宅そのものの贈与は対象が異なります。
以下は令和8年中の贈与についての確認表です。基礎控除と税率表は贈与税計算機の解説、契約書の記録は贈与契約書の書き方で扱います。
非課税限度額は住宅性能で分かれる
令和8年中の直系尊属からの住宅取得等資金贈与の非課税限度額は、受贈者ごとに次の区分です。令和6年分・令和7年分にこの特例で非課税となった額は、令和8年分の限度額から差し引きます(災害時の再適用等は下の注)。
| 住宅の区分 | 非課税限度額 |
|---|---|
| 省エネ等住宅:所定の性能を証明する書類を申告書に添付 | 1,000万円 |
| それ以外の住宅 | 500万円 |
父と祖父からそれぞれ受け取っても、受贈者ごとの枠は増えません。複数の贈与者から受けた住宅取得等資金を合計して枠に当てはめます。
過去にこの特例を使った住宅が一定の自然災害で滅失した場合などには、再適用の扱いがあります。通常の残額計算と分けて国税庁No.4508の災害関係資料を確認します。
受け取る人の年齢・所得・続柄を確認
令和8年中の贈与では、贈与を受けた時に贈与者の直系卑属であり、贈与年の1月1日に18歳以上であることが必要です。
配偶者の父母・祖父母は、贈与時に養子縁組をしている場合を除き、自分の直系尊属には当たりません。
令和8年中に贈与を受けた人の所得要件は、贈与年分の所得税の合計所得金額で判定します。給与収入の額ではありません。次の床面積は登記簿上の面積で、区分所有建物は専有部分の面積です。
| 住宅の登記簿上の床面積 | 受贈者の合計所得金額の上限 |
|---|---|
| 40㎡以上50㎡未満 | 1,000万円以下 |
| 50㎡以上240㎡以下 | 2,000万円以下 |
このほか、過去の適用歴・取引相手・所有持分・納税義務の区分を確認します。次の表は主な確認点で、取得・入居・申告の条件は後の節に分けています。
| 確認点 | 必要な確認 |
|---|---|
| 過去の適用歴 | 平成21年分から令和5年分にこの非課税特例の適用を受けていないこと。一定の場合は例外あり |
| 住宅の契約相手 | 配偶者・親族など特別の関係がある人からの取得や、それらの人との請負契約による新築・増改築ではないこと |
| 家屋の所有 | 受贈者自身が所有すること。共有持分を持つ場合を含む |
| 住所・納税義務 | 贈与時の住所等で適用対象の納税義務者か確認。国内住所だけで判定しない |
国内に住所があっても、一時居住者で贈与者が外国人贈与者または非居住贈与者の場合は除かれます。国外居住者でも一定の場合は対象になるため、海外居住歴等がある場合は税務署に確認します。
住宅の面積・耐震・増改築の条件
令和8年中の贈与による新築・取得では、日本国内の住宅で、登記簿上40㎡以上240㎡以下、かつ床面積の2分の1以上を受贈者の居住用とする必要があります(区分所有建物は専有部分で判定)。
取得する家屋は、未使用の住宅か、次のいずれかに当たる中古住宅であることが必要です。災害による期限延長が適用される場合を除く、令和8年中の贈与の区分です。
| 中古住宅の区分 | 確認すること |
|---|---|
| 建築時期で確認 | 昭和57年1月1日以後に建築された住宅 |
| 耐震性能で確認 | 耐震基準に適合することを一定の書類で証明された住宅 |
| 取得後に耐震改修 | 上記に該当しない住宅は、取得日までに所定の申請等をし、2027年3月15日までの改修による耐震適合を所定書類で証明 |
令和8年中の贈与による増改築等では、自己所有・自己居住の家屋に対する一定の工事で、工事費用が100万円以上、かつ費用の2分の1以上が居住部分の工事であることが必要です。
増改築後も家屋の面積と居住割合の要件を満たし、確認済証・検査済証の写しや増改築等工事証明書などで対象工事と証明される必要があります。工事名だけで対象とは判断しません。
省エネ等住宅は証明書類まで確認
省エネ等住宅は、省エネルギー・耐震・バリアフリーのいずれかの基準を満たし、一定の書類を贈与税申告書に添付して証明した住宅です。令和8年中の贈与の性能基準は次のとおりです。
| 性能 | 新築・未使用住宅の取得 | 中古住宅の取得・増改築等 |
|---|---|---|
| 省エネルギー性能 | 断熱等性能等級5以上、かつ一次エネルギー消費量等級6以上 | 断熱等性能等級4以上、または一次エネルギー消費量等級4以上 |
| 耐震性能 | 耐震等級〔構造躯体の倒壊等防止〕2以上、または免震建築物 | 同左 |
| バリアフリー性能 | 高齢者等配慮対策等級〔専用部分〕3以上 | 同左 |
断熱等性能等級の評価では、結露の発生防止対策の基準を除きます。旧基準の建築時期の条件は、令和5年12月31日までの建築確認、または令和6年6月30日までの建築です。旧基準の性能条件は、断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上です。旧基準への適合は、所定の証明書を申告書に添付して証明します(建築確認日の条件だけに当たる家屋は確認済証か検査済証の写しも添付)。
性能証明には、書類の種類と家屋区分に応じて調査・評価時期の条件があります。取得後に発行を頼めば足りるとは限らないため、契約段階で証明を担当する事業者に確認します。
贈与・取得・入居・申告を日程で分ける
次の表は令和8年中の贈与を対象とする通常の日程です。災害による取得・入居の延長や滅失時の措置は、この通常日程とは分けて確認します。
| 段階 | 令和8年中の贈与の期限・条件 |
|---|---|
| 贈与を受ける | 適用期間内の金銭贈与は2026年12月31日まで。契約締結の期限と取り違えない |
| 新築・取得・増改築等 | 2027年3月15日までに贈与資金の全額を対価に充て、新築等をする。新築・増改築は所定の準ずる状態を含む |
| 入居する | 2027年3月15日までに居住するか、同日後遅滞なく居住することが確実と見込まれること |
| 贈与税を申告する | 2027年2月1日から2027年3月15日までに、必要書類を添付して所轄税務署へ特例適用の申告 |
令和8年中の贈与で入居見込みにより適用を受け、2027年12月31日までに居住していない場合は、災害による救済等を除き、特例が適用されず修正申告が必要です。
注文住宅の新築と建売等の購入では、取得期限の確認点が異なります。新築は屋根の骨組みを含め土地に定着した所定の状態も含みますが、建売や分譲マンションの取得は引渡しを受ける必要があります。
増改築の完了に準ずる状態は、増築・改築部分に屋根の骨組みがあり、既存家屋と一体で土地に定着した状態です。着工や契約だけで期限を満たすとはいえません。
税額がなくても申告と添付書類が必要
特例を使う人は、贈与税額がなくても、特例を受ける旨を記載した贈与税申告書と必要書類を納税地の所轄税務署へ提出します。住宅ローン控除の所得税申告だけでは、この贈与税申告を済ませたことにはなりません。
以下は令和7年分の新築・取得用添付書類一覧を使った準備表です。令和8年分の申告では、その年分の手引き・様式で提出書類と省略条件を確認してください。
| 証明すること | 準備する主な資料 |
|---|---|
| 氏名・生年月日・続柄 | 受贈者の戸籍の謄本など |
| 贈与年分の合計所得金額 | 源泉徴収票など。所得税申告をして所定の欄に記載する場合は別途提出を省略できる |
| 契約相手・取得等の内容 | 売買契約書や工事請負契約書の写しなど。必要事項が登記事項証明書で分かる場合の代替あり |
| 家屋・土地、面積、建築時期 | 登記事項証明書など。内容によって補足資料が必要 |
| 省エネ等住宅の性能 | 住宅性能証明書などの所定書類。長期優良住宅等は認定関係書類との組合せを確認 |
| 未完成・未入居の事情 | 工事状態・完了予定の証明、居住予定時期と遅滞なく居住する旨の書類など |
土地・建物の登記事項証明書は、不動産番号を申告書に記載するなどにより添付を省略できます。契約書や性能証明書まで省略できるものではありません。
中古住宅の耐震証明・性能証明には、調査日・評価日等の条件があります。増改築や取得後耐震改修では添付書類が異なるため、手引きの該当区分と各証明書の注を確認します。
マイナンバーを記載した紙の申告書では、マイナンバーカードなど所定の本人確認書類の提示か写しの添付も必要です。
ローン返済資金・住宅そのものは対象外
この非課税特例の対象は、自己居住用住宅の新築・取得・増改築等の対価に充てる金銭です。次の区分を分けます。
| 受け取るもの・使い道 | 住宅取得等資金非課税の取扱い |
|---|---|
| 住宅の取得等の対価に充てる金銭 | 受贈者・住宅・取得入居・申告の各要件を満たせば対象 |
| 既存の住宅ローンの返済用資金 | 対象外 |
| 家屋や土地そのものの贈与 | この金銭贈与の特例の対象外 |
| 土地の取得資金 | 住宅の新築等とともにする取得等に含まれる場合が対象。新築に先行する敷地取得も含む |
住宅に関係する贈与であっても、資金の使い道が返済なら、この特例には当たりません。他の非課税・控除の適否とは別の確認です。
住宅ローン控除では取得対価を調整
住宅ローン控除の要件も満たす場合は併用できますが、その計算で用いる取得対価から、住宅取得等資金の贈与の特例を受けた部分の金額を差し引きます。贈与総額を無条件に引くわけではありません。
住宅取得等資金の贈与の特例適用部分を、住宅ローン控除の取得対価から差し引きます。家屋と敷地の居住用割合が同じで両方に住宅借入金等があるときは合計額から差し引き、それ以外は充当先を確認します。
| 充当先・借入れの条件 | 取得対価からの差引き |
|---|---|
| 家屋と敷地の居住用割合が同じで、両方に住宅借入金等がある | 家屋・敷地の取得対価の合計額から差し引く |
| 合計額から差し引く場合以外で、贈与資金の充当先が分かる | 家屋・土地のそれぞれで、特例適用資金を充てた取得対価から差し引く |
| 合計額から差し引く場合以外で、充当先が不明 | 自己の持分に応じた家屋・土地の取得対価で特例適用資金を按分して差し引く |
次は国税庁の公表設例です。この公表設例は、家屋の取得対価3,000万円、単独名義の銀行借入2,500万円、贈与の特例適用額800万円を前提とします。
| 設例の項目 | 設例の金額・計算 |
|---|---|
| 調整後の家屋取得対価 | 3,000万円 − 800万円 = 2,200万円 |
| 銀行借入 | 2,500万円。借入全額をそのまま控除計算の基礎としない |
この設例の2,200万円は調整後の取得対価で、控除税額ではありません。借入限度額・居住割合・控除可能な税額などは別に確認します。
調整後の取得対価を使い、住宅ローン控除の目安を計算する計算機の詳細欄では、補助金等の差引きも確認した取得対価を入力します。控除の適用要件全体は住宅ローン控除の要件で確認できます。
よくある質問
非課税枠内なら申告しなくてもよいですか?
いいえ。この住宅取得等資金の非課税特例を使うには、贈与税がかからなくても特例適用の贈与税申告と必要書類が要ります。通常の基礎控除内の贈与とは分けて判断します。
父と祖父から受け取れば枠は別々ですか?
別々にはなりません。この住宅資金の非課税枠は受贈者ごとの枠です。複数の贈与者から受けた額を合計し、既に適用を受けた額がある場合は残額も確認します。
住宅ローンを返すためにもらった資金は使えますか?
この特例は使えません。住宅の取得等の対価に充てる金銭の贈与と、すでに借りた住宅ローンの返済用の贈与は異なります。
配偶者の親からの贈与も対象ですか?
配偶者の親は自分の直系尊属には当たりません。ただし、贈与時にその親と養子縁組をしていれば直系尊属となり、他の要件も満たす場合は対象になります。
住宅取得等資金の贈与は、受贈者の条件、住宅の条件、取得・入居の日程、申告書類を順に確認します。非課税額の大きさだけで適用を判断しないことが大切です。
出典
- 国税庁 No.4508「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
- 国税庁 No.4508の質疑応答
- 国税庁「令和7年分 贈与税の申告のしかた」住宅取得等資金のチェックシート・添付書類一覧
- 国税庁 住宅借入金等特別控除の質疑応答「住宅取得等資金の贈与を受けた場合」
この記事は一般的な情報提供を目的とし、個別の事案に対する助言ではありません。実際の適用や申告については、所轄の税務署または税理士にご確認ください。個別の税務相談には応じられません。