建退共とは|対象者・共済手帳・証紙と電子申請・掛金の経理処理
建退共は、建設現場の労働者について事業主が掛金を納め、建設業界で働かなくなったときの退職金につなげる制度です。会社の担当者は、加入対象者、共済手帳、就労日数、掛金の納付実績をひも付けて管理します。
証紙方式は手帳への貼付・消印、電子ポイント方式は就労実績に応じた掛金充当で納付します。購入しただけでは処理が終わらないため、経理では未使用分の資産と費用に振り替えた分を分けます。
建退共の掛金と担当者の確認表
建退共は、建設業の事業主を共済契約者、対象となる労働者を被共済者とする退職金共済です。建設業界で働き続け、転職先も建退共に加入していれば、転職後も掛金納付を継続できます。
証紙方式で掛金を納めるときに使う、2026年10月26日確認の共済証紙の額です。赤色・青色で券種の額は同じです。
| 共済証紙の券種 | 購入額 |
|---|---|
| 1日券 | 320円 |
| 10日券 | 3,200円 |
会社の担当者が確認するものを、書類や記録ごとに整理した表です。
| 確認するもの | 会社で行う作業 | 取り違えやすい点 |
|---|---|---|
| 対象者 | 現場での仕事と既加入制度を確認 | 建設会社の社員全体を対象と考えない |
| 手帳・被共済者情報 | 既存の手帳と本人情報を照合 | 転職者に重ねて新規加入させない |
| 就労日数 | 現場別実績と休暇・休業区分を確認 | 給与の出勤日数をそのまま転記しない |
| 納付実績 | 証紙の貼付・消印又はポイント充当を確認 | 購入額と納付済額を混同しない |
| 経理 | 未使用分の残高と費用振替を確認 | 購入と使用で二重に費用計上しない |
加入できる人・できない人
加入の入口は、建設業の現場で働く労働者かどうかです。職種・月給制か日給制か・国籍・工長や班長という役付だけでは対象から外れません。現場事務員も対象になり得ますが、本社等の事務専用社員とは区別します。
同じ人は、建退共・中退共・清退共・林退共へ重複加入できません。他制度から移る場合は、移動通算の手続きを確認します。
| 区分 | 建退共での扱い |
|---|---|
| 建設現場の労働者 | 加入対象。下記の除外と既加入制度も確認する |
| 事業主・役員報酬を受けている人 | 加入対象外 |
| 本社等の事務専用社員 | 加入対象外 |
| 一人親方 | 機構が認定した任意組合を通じて加入。法人代表者・役員報酬受給者は不可 |
雇用労働者と一人親方では納付日数・税務の扱いが異なるため、以下の月次処理は会社が雇用する被共済者の掛金を対象にします。
事業主は、それぞれの制度の対象従業員がいれば建退共と中退共の両方に加入できます。同じ労働者の重複加入とは別の話です。中退共の掛金や解約時の扱いは中退共の解説で確認できます。
共済手帳は労働者に引き継ぐ
共済契約が結ばれると、事業主に共済契約者証、労働者に共済手帳が交付されます。新しく雇用した人には、以前の勤務先で建退共に入っていたか、共済手帳を持っているかを確認します。
退職時は、退職日までの就労日数に応じた掛金を納付し、共済手帳を本人に渡します。建設業界で働き続ける人が加入済みの事業所へ転職する場合、その手帳を使って納付を継続できます。
証紙方式の手帳更新は、貼付を終えた場合に加え、手帳記載の次回更新時期が来た場合も確認します。初回に交付されるのは掛金助成手帳です。
更新前に、手帳の「交付年月」と「次回更新時期」を確認します。更新可否は、記載時期だけでなく交付後の経過期間によっても変わります。具体的な申請可否・様式は公式の共済手帳更新手続きで確認します。オンラインで更新申請をしても、支部への手帳送付は必要です。
証紙方式と電子ポイント方式
証紙方式は紙の手帳に納付実績を残し、電子ポイント方式は専用サイトで就労実績と充当実績を管理します。掛金は事業主が全額負担し、給与天引きで労働者に負担させることはできません。
| 項目 | 証紙貼付方式 | 電子ポイント方式 |
|---|---|---|
| 購入 | 契約者証原本を提示し、同じ色の共済証紙を購入 | 建退共のID・初期パスワードでログインし、ペイジー又は口座振替で購入 |
| 納付 | 賃金支払のつど、少なくとも月1回、就労日数分の証紙を貼付・消印(助成欄は消印のみ) | 就労実績を入力・承認し、購入済ポイントを充当 |
| 管理記録 | 共済手帳・共済証紙受払簿 | 専用サイトの購入・掛金充当の記録 |
| 確認書類 | 金融機関の掛金収納書と貼付等の記録 | 掛金収納書と掛金充当書 |
共済証紙の購入
初回の掛金助成手帳に貼る共済証紙は1日券です。共済契約者証又は特別共済契約者証の原本を使用します。コピーや専用サイトの契約者証PDFでは購入できません。
電子ポイント方式は購入後の充当まで確認する
電子ポイント方式は、被共済者ごとの毎月の就労日数を専用サイトへ報告し、あらかじめ購入したポイントを掛金に充当する仕組みです。ポイント購入だけで各労働者の納付が完了するわけではありません。
専用サイトで、被共済者・工事の情報を登録します。就労実績の入力・承認後は、掛金充当書で対象者と日数を確認します。
CCUSの就業履歴を連携する場合は、別途CCUS側の設定が必要です。利用者IDを持っていない事務組合・任意組合の申込みなど、利用開始の詳細は公式の電子申請専用サイト案内にまとまっています。
掛金を納める日数の集計
雇用する被共済者の現場就労分は、公共工事だけでなく民間工事も納付対象です。勤怠の「出勤」だけを拾うと、有給休暇や会社都合の休業日の掛金が漏れます。
| 雇用する被共済者の日の区分 | 納付日数への扱い |
|---|---|
| 公共工事の現場就労 | 対象 |
| 民間工事の現場就労 | 対象 |
| 有給休暇 | 対象 |
| 事業主の都合による休業日 | 対象 |
| 休日・欠勤日 | 納付できない |
例えば、給与の勤怠一覧に「現場勤務」「有休」「欠勤」が混在する場合は、現場勤務と有休を納付対象として確認し、欠勤を除きます。工事台帳だけで集計せず、勤怠区分も照らす作業が必要です。
超過勤務と深夜作業には加算基準があります。月内の残業時間を合算して納付日数に換算せず、同一事業主のその日の労働時間と、深夜作業が翌日に及ぶ場合の加算条件を公式の掛金納付の基準に照らします。同じ日に複数の事業主に雇用された場合は、それぞれの事業主が納付します。
勤怠の分類に用いる営業日計算機は会社カレンダーの予定確認に使えますが、建退共の納付日数を計算するものではありません。
会社カレンダーの営業日を確認する購入時と費用計上時を分ける
未使用の証紙・未充当のポイントは資産として管理し、納付等を行った分を費用へ振り替えます。建退共本部の案内は、ポイントと証紙で資産科目と振替時点を分けています。
| 会社が購入するもの | 購入時の資産科目例 | 費用に振り替える時点 |
|---|---|---|
| 退職金ポイント | 前払い掛金等 | 自社又は下請の被共済者への掛金充当時 |
| 共済証紙 | 材料貯蔵品 | 共済手帳への貼付又は下請への現物交付時 |
費用科目は福利厚生費の内訳として「退職金共済掛金」等を設ける方法が案内されています。証紙は購入時の資産計上と貼付・交付時の振替、ポイントは購入時の資産計上と掛金充当時の振替を、別々の取引として記録します。
未充当のポイントや未貼付・未交付の証紙を、購入しただけで損金・必要経費に算入することはできません。
例えば、決算日にまだ手元にある未使用証紙は、現物と受払簿、材料貯蔵品の残高を照合します。電子ポイントは購入額だけで締めず、掛金充当の実績と未充当残高を照合します。
この節は雇用する被共済者の掛金処理です。一人親方本人の掛金の税務は別扱いで、法人事業税の外形標準課税にも別途留意が必要です。
月次・決算・退職時の照合
担当者間の受渡しには、「誰の・どの工事の・どの日数を・どう納付したか」が追える記録を残します。以下は、公式の納付・経理手続きを社内で照合するための確認例です。
| 場面 | 照合する記録 | 確認する点 |
|---|---|---|
| 月次の就労集計 | 被共済者情報・現場実績・勤怠 | 民間工事、有休、会社都合休業の漏れ |
| 証紙の納付 | 共済手帳・受払簿 | 購入・元請からの受領・下請への交付・貼付 |
| 電子の納付 | 就労報告・掛金充当書 | 報告した人と日数の充当完了 |
| 決算 | 資産残高・未使用証紙・未充当ポイント | 費用振替済み分との重複や残高差 |
| 退職 | 最終就労実績・手帳 | 退職日までの納付と本人への手帳返却 |
証紙方式では、購入・受領・交付・貼付が分かる共済証紙受払簿を作成し、加入・履行証明書の発行時にはその写しを提出します。購入額の領収記録である掛金収納書も保存します。
電子ポイント方式も、掛金収納書だけでなく掛金充当書まで確認します。元請・下請間でやり取りがあるときは、ポイントの購入・交付と被共済者への掛金充当を同じ処理と考えないことが大切です。
建退共の管理は、対象者の確認から納付実績の照合まで。証紙は貼付・消印、ポイントは実績に応じた充当を確認し、経理の未使用残高と突き合わせます。
よくある質問
建退共の掛金は給与から天引きできますか?
できません。建退共の掛金は事業主の全額負担で、一部でも給与天引き等で労働者に負担させることはできません。
中退共と建退共の両方に加入できますか?
事業主は、それぞれの制度の対象従業員がいれば両方に加入できます。ただし、同じ労働者の中退共・建退共への重複加入はできません。制度を移る場合は掛金を引き継ぐ移動通算の手続きを確認します。
民間工事や有給休暇の日も納付しますか?
雇用する被共済者について、民間工事の現場就労分と有給休暇の日は納付対象です。休日・欠勤日は納付できず、事業主都合の休業日は対象となります。一人親方の扱いは別です。
ポイントを買った月に全部費用にできますか?
未充当分を含めて費用にはできません。会社が購入した退職金ポイントは前払い掛金等に計上し、自社又は下請の被共済者への掛金充当時に費用へ振り替える方法が案内されています。
会社を辞めたら建退共の退職金を請求しますか?
会社を辞めただけで請求する制度ではありません。建設業界で働かなくなったときの制度です。建設業界で働き続け、転職先も建退共に加入していれば納付を継続できます。実際の受給要件・請求は建退共の案内を確認します。
出典
建退共本部の制度案内と掛金納付・税務の案内、中小企業退職金共済法を参照しています。
- 建退共本部「加入条件」
- 建退共本部「建退共制度の手順」
- 建退共本部「証紙貼付方式」
- 建退共本部「電子ポイント方式とは」
- 建退共本部「電子申請専用サイトについて」
- 建退共本部「掛金納付の基準」
- 建退共本部「共済手帳の更新」
- 建退共本部「掛金の税法上の取り扱い」
- e-Gov法令検索「中小企業退職金共済法」第44条(特定業種の掛金納付)
本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務・労務相談への回答ではありません。加入・納付・請求の手続きは建退共の支部へ、個別の税務処理は税務署・税理士へご確認ください。