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勤務間インターバルとは — 法律に「インターバル」という言葉は1度も出てこない。努力義務の正体と、同時に入った発注側の配慮義務

結論から言うと、勤務間インターバルは「義務」ではなく「努力義務」です。2019年4月1日から、労働時間等設定改善法2条1項が事業主に対して「終業から始業までの時間の設定」に努めることを求めています。守らなくても罰則はなく、時間数の定めもありません。

そして、この制度を調べるときに最初につまずくのがここです。根拠になっている法律の条文には「インターバル」という言葉が1度も出てきません。法令全文13,340字を機械で走査した結果は0回でした。条文が使っているのは「終業から始業までの時間」という日本語です。労働基準法(65,357字)も同じで、「インターバル」も「勤務間」も「終業から始業」も0回です。厚生労働省の資料や助成金の名称では「勤務間インターバル」と呼ばれますが、それは制度の通称であって、法令用語ではありません。

もう一つ、実務で効いてくるのに知られていないことがあります。2019年の同じ改正は、勤務間インターバルと一緒に「発注する側」への努力義務も入れました(2条4項)。著しく短い納期を出さないこと、発注内容を頻繁に変えないこと、です。自社の終業から始業までの時間は、自社だけでは作れない——立法はそう考えて、2つを同時に入れています。この記事では、条文の新旧を並べてそこまで見ていきます。

結論 — 努力義務であり、罰則も時間数の定めも無い

先に全体像を表にします。勤務間インターバルについて実務で聞かれることは、だいたいこの5つに収まります。

聞かれること答え根拠
義務ですか努力義務(「講ずるように努めなければならない」)労働時間等設定改善法2条1項
いつからですか2019年4月1日働き方改革関連法(平成30年法律第71号)の施行日
何時間ですか法律に数字の定めは無い同上(条文に時間数の記載が無い)
罰則はありますか無い(罰金・懲役・過料が全文0回)同法の全文走査
全員に適用されますかされない。公務員と船員法の船員は適用除外同法3条の2

「努力義務」という言葉は、行政の文書では「望ましい」くらいの意味に読まれがちですが、条文の書きぶりははっきりしています。2条1項の末尾は「講ずるように努めなければならない」で、労働基準法の多くの条文が使う「〜してはならない」「〜しなければならない」とは動詞が違います。この差が、罰則の有無にそのまま対応しています。

1日目 勤務(所定+残業) 終業 終業から始業までの時間(条文の言葉) =通称「勤務間インターバル」。長さの定めは法律に無い 本来の始業時刻 2日目 設計A:始業を繰り下げる 働かない時間 勤務(終業も後ろにずれる) 設計B:繰り下げた分を勤務したものとみなす みなし 勤務(終業は動かさない)
条文が定めているのは、終業から始業までの時間の設定を含む必要な措置を講ずるよう努めること、までです。2日目の始業をどう扱うか(設計A・B)は法律が指示していないので、就業規則の側で決めることになります。

条文はどこにあるか — 法律の中で2か所だけ

根拠になる法律は「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」(労働時間等設定改善法)です。労働基準法ではありません。ここを取り違えると、労基署の監督や是正勧告の対象になると誤解することになります。

この法律の全文13,340字のうち、勤務間インターバルに関係するのは2か所だけです。1つ目は定義規定である1条の2第2項で、「労働時間等の設定」とは何かを列挙する中に入っています。

この法律において「労働時間等の設定」とは、労働時間、休日数、年次有給休暇を与える時季、深夜業の回数、終業から始業までの時間その他の労働時間等に関する事項を定めることをいう。

2つ目が本体で、事業主の責務を定めた2条1項です。

事業主は、その雇用する労働者の労働時間等の設定の改善を図るため、業務の繁閑に応じた労働者の始業及び終業の時刻の設定、健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定、年次有給休暇を取得しやすい環境の整備その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない。
読むときの要点

2条1項は「勤務間インターバルの条文」ではありません。3つの措置が並列に並んだ列挙の、真ん中の1項目です。前後には「始業及び終業の時刻の設定」と「年次有給休暇を取得しやすい環境の整備」が並んでいます。つまり法律の構えとしては、フレックスや年休取得促進と同じ棚に置かれた選択肢の1つであって、独立した制度として立てられてはいません。

この法律には目的規定もあり、全体が何を狙っているかがそこに書かれています。

事業主等による労働時間等の設定の改善に向けた自主的な努力を促進するための特別の措置を講ずる

「自主的な努力を促進する」——これが法律自身の言葉です。命令して従わせる作りではなく、事業主が自分で決めることを前提に、指針の策定(4条)や要請(5条)で後押しする構造になっています。罰則が無いのは書き忘れではなく、設計です。

2019年4月1日に何が変わったか(新旧を並べる)

「2019年4月から努力義務化された」とよく言われます。では条文の何が変わったのか。e-Gov法令API で2019年3月31日まで適用されていた版(404AC0000000090_20180706_430AC0000000071)と現行版を両方取得して、同じ条文を並べました。

条文2019年3月31日まで2019年4月1日から
1条の2第2項
(定義)
労働時間、休日数、年次有給休暇を与える時季その他の労働時間等に関する事項 労働時間、休日数、年次有給休暇を与える時季、深夜業の回数、終業から始業までの時間その他の労働時間等に関する事項
2条1項
(事業主の責務)
…始業及び終業の時刻の設定、年次有給休暇を取得しやすい環境の整備その他の必要な措置… …始業及び終業の時刻の設定、健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定、年次有給休暇を取得しやすい環境の整備その他の必要な措置…
2条4項
(取引上の配慮)
存在しない(旧版に「著しく短い期限」は0回) 新設

並べると、変わり方がはっきりします。新しい条文が作られたのではありません。既存の努力義務の列挙に、語句が挿し込まれただけです。2条1項に足されたのは「健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定、」という一続きの語句で、それ以外の文言は1字も動いていません。

参考までに、改正前の2条1項は次のとおりでした。真ん中の1項目が無いだけで、あとは現行と同一です。

事業主は、その雇用する労働者の労働時間等の設定の改善を図るため、業務の繁閑に応じた労働者の始業及び終業の時刻の設定、年次有給休暇を取得しやすい環境の整備その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない。
「努力義務化された」の中身

2019年4月に生まれたのは新しい義務ではなく、既にあった努力義務の対象に1項目が加わったことです。だから施行に伴う経過措置も猶予期間もありません。中小企業への適用猶予(時間外労働の上限規制などで設けられたもの)も、勤務間インターバルにはありません。最初から全事業主に、同じ日から、同じ強さで適用されています。

定義規定の側で「深夜業の回数」と同時に足されている点も見落とされがちです。立法者は、終業から始業までの時間を、深夜業の回数と同じ性質の「事業主が設定できる労働時間の要素」として位置づけました。労働時間の長さ(労基法32条の1日8時間・週40時間)を削る話ではなく、同じ労働時間をどう配置するかの話だ、ということです。

同じ改正で入ったもう1つの努力義務 — 発注する側の配慮

ここが、競合の解説記事でほぼ触れられていない一段です。2019年4月1日に新設されたのは2条1項の1項目だけではありません。同じ改正で2条4項が丸ごと新設されています。

事業主は、他の事業主との取引を行う場合において、著しく短い期限の設定及び発注の内容の頻繁な変更を行わないこと、当該他の事業主の講ずる労働時間等の設定の改善に関する措置の円滑な実施を阻害することとなる取引条件を付けないこと等取引上必要な配慮をするように努めなければならない。

旧版の全文を走査すると「著しく短い期限」は0回です。この項は2019年4月1日に現れています。読むと、名宛人が入れ替わっていることが分かります。2条1項は「自社の労働者」に対する努力義務ですが、2条4項は「取引の相手方」に対する努力義務です。同じ条の中で、内側を向いた義務と外側を向いた義務が並んでいます。

なぜ2つ同時なのか

終業から始業までの時間は、自社の意思だけでは作れないからです。夕方に翌朝納期の発注が飛んでくれば、受けた側の終業時刻は発注側が決めていることになります。1項だけを入れると「守れない努力義務」になる——その構造を立法が認識していたことが、4項が同じ日に入っていることから読み取れます。

実務での使い方も、ここから素直に出てきます。自社が発注側に回るとき、金曜の夕方に月曜朝納期を出すのは、相手の勤務間インターバルを直接壊す行為です。2条4項は、それを「取引上必要な配慮」の問題として名指ししています。

なお、下請代金支払遅延等防止法(下請法)とは別の法律です。下請法は代金の支払や受領拒否を規制する法律で、資本金区分などの適用要件があります。労働時間等設定改善法2条4項にはそうした適用要件が無く、すべての事業主に、すべての取引についてかかります。ただしこちらは努力義務なので、下請法のような勧告・公表の仕組みはありません。下請法(取適法)の側の規制はこちらで整理しています。

何時間にすればよいか — 法律に数字は1つも書かれていない

「勤務間インターバルは何時間ですか」は最もよく聞かれる質問ですが、法律を読んでも答えは出てきません。2条1項が求めているのは「健康及び福祉を確保するために必要な」時間の設定であって、時間数は書かれていません。9時間とも11時間とも、法律には無いのです。

よく見かける「11時間」は、法令が定めた数字ではありません。厚生労働省の助成金や導入事例でこの水準が使われてきたため、事実上の相場として広まったものです。法律上は、何時間に設定しても違法にはならず、そもそも設定しなくても違法にはなりません。

ここを取り違えると判断を誤る

「法律で11時間と決まっている」と思い込むと、自社の実情に合った時間数を検討する余地が見えなくなります。逆に「法律に無いのだから何もしなくてよい」と読むのも行き過ぎで、2条1項は「講ずるように努めなければならない」と書いており、検討しないことまでは許容していません。条文が求めているのは数字ではなく、健康及び福祉を確保するために必要な長さを自社で決めることです。

実務上の決め方としては、逆算が分かりやすいです。1日の拘束を「インターバル+勤務+休憩+通勤」に分解すると、通勤往復2時間・休憩1時間・睡眠を含む生活時間を確保する前提で、残業の上限が自動的に決まります。たとえばインターバルを11時間と決めれば、終業から翌日の始業まで11時間を空ける必要があるので、始業9時・終業18時の会社では、残業が4時間を超えた日は翌日の始業を後ろにずらすことになります(18時+4時間=22時終業、22時+11時間=翌9時)。この「何時間の残業までなら翌日が通常どおり始まるか」を先に計算しておくと、現場が運用できる形になります。

残業代の計算はこちら(割増率・深夜・法定休日に対応)

罰則はあるか — 罰金・懲役・過料はいずれも0回

労働時間等設定改善法の全文13,340字を走査すると、「罰金」0回・「懲役」0回・「拘禁」0回・「過料」0回です。「罰則」という語は10回出てきますが、その10回はすべて附則の「罰則に関する経過措置」という定型文で、内容は「この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による」というものです。この法律自身が科す罰則は1つもありません。

労働基準法と比べると差がはっきりします。労基法は32条(労働時間)違反に119条1号で罰則を置いていますが、勤務間インターバルにはそれに当たる条文がありません。したがって、勤務間インターバルを導入していないことを理由に労働基準監督署から是正勧告を受けることはありません。

ただし「無関係」ではない

勤務間インターバルそのものに罰則が無いことと、長時間労働が問題にならないことは別です。終業から始業までの時間が極端に短い状態が続いていれば、労働契約法5条の安全配慮義務の問題として民事の損害賠償で争われることがあります。行政の罰則が無い領域が、民事で無風とは限りません。安全配慮義務の側の整理はこちらをご覧ください。

適用されない人がいる — 公務員と船員(3条の2)

この法律には適用除外の規定があります。条文は1文です。

この法律は、国家公務員及び地方公務員並びに船員法(昭和二十二年法律第百号)の適用を受ける船員については、適用しない。

つまり国家公務員・地方公務員・船員法の船員には、勤務間インターバルの努力義務はかかりません(それぞれ別の法体系で労働時間が規律されています)。民間企業であれば、規模・業種を問わず適用されます。中小企業だから対象外、ということはありません。

なお、この法律には委員会に関する規定もあります。6条は労使を構成員とする委員会の設置に努めることを求め、7条・7条の2はその委員会が5分の4以上の多数で決議したときに、労働基準法上の労使協定に代えられる特例を定めています。勤務間インターバルの導入を労使で議論する場としては、この委員会の枠組みが使えます。

導入率の実態 — 導入6.9%に対し「知らなかった」15.7%

厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」によると、勤務間インターバル制度の導入状況別の企業割合は次のとおりです。

区分令和6年調査令和7年調査
導入している5.7%6.9%+1.2pt
導入を予定又は検討している15.6%13.8%−1.8pt
導入予定はなく、検討もしていない78.5%78.7%+0.2pt
令和6年 5.7 15.6 78.5 令和7年 6.9 13.8 78.7 導入している 予定又は検討している 予定はなく検討もしていない 導入+検討の合計は 21.3% → 20.7%(−0.6pt)。関わっている企業の母数は増えていない
厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」(令和6年調査との比較)。単位は企業割合(%)。

導入は5.7%から6.9%へ増えました。しかし「導入を予定又は検討している」は15.6%から13.8%へ減っています。導入と検討を足すと、令和6年の21.3%から令和7年の20.7%へ、0.6ポイント減っています。増えた導入企業の多くは、前年に「検討している」と答えていた層が動いた結果と読むのが自然で、新たに関心を持った企業がその減った分を埋めていないことになります。導入率だけを見て「着実に普及している」と読むと、この動きを見落とします。

導入していない理由も公表されています。「導入予定はなく、検討もしていない」と答えた企業のうち、最も多いのは「超過勤務の機会が少なく、当該制度を導入する必要性を感じないため」で57.3%(令和6年調査57.6%)でした。

いちばん効く数字はここ

「当該制度を知らなかったため」を挙げた企業は、全企業に対して15.7%でした(令和6年調査14.7%)。導入している企業6.9%の、2.3倍です。しかもこの割合は前年から1.0ポイント増えています。制度が始まって6年以上経ってなお、導入企業より「知らない」企業のほうがはるかに多く、その差は縮まっていません。

実務的な含意は単純です。取引先や同業他社がやっていないことは、この制度が不要であることの証拠になりません。多数派は「検討して見送った」のではなく「そもそも知らない」か「残業が少ないので関係ない」と答えている、というのが調査の姿です。

就業規則に落とすときに詰まるところ

勤務間インターバルを実際に導入すると、就業規則を触ることになります。法律上の理由があります。労働基準法89条は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に就業規則の作成・届出を義務づけ、その1号でこう定めています。

始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

始業・終業の時刻は絶対的必要記載事項です。インターバルを確保するために翌日の始業を後ろにずらす仕組みを入れると、この1号の記載に手を入れることになります。労働時間等設定改善法の側は努力義務でも、就業規則の記載義務は労働基準法の側にあり、そちらには罰則(120条1号)があります。制度そのものは努力義務なのに、入れた瞬間に義務の側の手続が発生する——ここが実務でいちばん詰まるところです。

設計の分かれ目は、冒頭の図に示した2つです。

設計翌日の始業繰り下げた時間の賃金実務上の性格
A:始業を繰り下げ、終業も後ろにずらす 後ろにずれる 働いた時間で計算されるので、その日の所定労働時間は変わらない 賃金の計算は素直だが、終業が遅くなるため翌々日のインターバルに波及する
B:始業を繰り下げるが、繰り下げた分は勤務したものとみなす 後ろにずれる みなした時間の賃金が発生する(就業規則でそう定めた場合) 終業を動かさないので運用しやすいが、会社の負担が増える

どちらを採っても法律には触れません。前述のとおり、法律は時間数も設計も指示していないからです。決めなければならないのは会社の側で、決めた内容を就業規則に書く、という順序になります。就業規則の作成・届出の手順もあわせてご確認ください。

見落としやすい連動

設計Aを採ると、繰り下げた分だけ終業も遅くなるため、その日の終業から翌々日の始業までのインターバルが再び短くなることがあります。残業が2日続くと、繰り下げが雪だるま式に積み上がる形です。運用ルールとしては「繰り下げは1日あたり◯時間まで」「連続◯日を超えたら業務配分を見直す」といった上限を同時に決めておくのが実務的です。これも法律が指示していないので、会社が決めることになります。

よくある質問

Q. 勤務間インターバルは義務ですか、努力義務ですか?

A. 努力義務です。労働時間等設定改善法2条1項が、事業主に対し「健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定」その他の必要な措置を「講ずるように努めなければならない」と定めています。「〜しなければならない」ではなく「〜するように努めなければならない」という書きぶりで、この法律には罰金・懲役・過料の規定が1つもありません。したがって、導入していないことを理由に労働基準監督署から是正勧告を受けることはありません。ただし2019年4月1日から全民間事業主に適用されており、中小企業への猶予期間もありません。

Q. 勤務間インターバルは何時間にすればよいですか?

A. 法律に時間数の定めはありません。条文は「健康及び福祉を確保するために必要な」時間としか書いておらず、9時間とも11時間とも書かれていません。よく見かける11時間は、厚生労働省の助成金や導入事例で使われてきた水準が事実上の相場として広まったもので、法令が定めた数字ではありません。実務では、始業時刻と通勤時間から逆算して「何時間の残業までなら翌日を通常どおり始められるか」を計算し、その水準で決めるのが分かりやすい方法です。始業9時・終業18時でインターバルを11時間とすれば、残業4時間までなら翌日の始業は動きません。

Q. 法律の条文に「勤務間インターバル」と書いてあるのですか?

A. 書かれていません。労働時間等設定改善法の全文を機械で走査すると「インターバル」は0回で、労働基準法も「インターバル」「勤務間」「終業から始業」がいずれも0回です。条文が使っている言葉は「終業から始業までの時間」です。勤務間インターバルは厚生労働省の資料や助成金の名称で使われる通称であって、法令用語ではありません。条文を探すときは「終業から始業までの時間」で探すと見つかります。

Q. 2019年4月に新しい法律ができたのですか?

A. 新しい法律も新しい条文もできていません。働き方改革関連法(平成30年法律第71号)により、既にあった労働時間等設定改善法2条1項の努力義務の列挙に「健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定、」という語句が挿し込まれ、あわせて定義規定の1条の2第2項に「深夜業の回数、終業から始業までの時間」が加えられました。改正前後の条文を並べると、それ以外の文言は変わっていません。同じ改正で、取引上の配慮を定めた2条4項が新設されています。

Q. 発注する側にも何か義務があるのですか?

A. 努力義務があります。2019年4月1日に新設された労働時間等設定改善法2条4項は、他の事業主との取引について「著しく短い期限の設定及び発注の内容の頻繁な変更を行わないこと」などの取引上必要な配慮をするよう努めることを求めています。自社の労働者に向けた2条1項と異なり、こちらは取引の相手方に向いた規定です。下請法と違って資本金による適用区分がなく、すべての事業主のすべての取引にかかりますが、努力義務なので勧告や公表の仕組みはありません。

Q. 勤務間インターバルを導入すると就業規則の変更は必要ですか?

A. 一般に必要になります。労働基準法89条1号は始業及び終業の時刻を絶対的必要記載事項としており、インターバル確保のために翌日の始業を繰り下げる仕組みを入れると、この記載に影響するためです。制度そのものは努力義務ですが、就業規則の作成・届出義務は労働基準法の側にあり、そちらには罰則があります。繰り下げた時間を働かない時間とするのか勤務したものとみなすのか、繰り下げの上限を何時間にするのかは法律が指示していないので、会社が決めて規則に書くことになります。

Q. 公務員にも勤務間インターバルは適用されますか?

A. この法律は適用されません。労働時間等設定改善法3条の2が、国家公務員及び地方公務員並びに船員法の適用を受ける船員について適用しないと定めているためです。それぞれ別の法体系で勤務時間が規律されています。民間企業であれば、企業規模や業種を問わず適用されます。

出典

この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案についての助言ではありません。勤務間インターバルの時間数の設定、就業規則の変更の要否と記載内容、繰り下げた時間の賃金の取扱いについては、所轄の労働基準監督署、または社会保険労務士にご確認ください。

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