国外財産調書:2026年末の5,000万円判定・所在国・換算と提出期限
2026年末に非永住者以外の居住者で、国外財産の合計額が5,000万円を超える方は、国外財産調書の提出要否を確認します。判定では相続年等の例外も考慮します。所得税の確定申告とは別の書類です。財産の所在を確かめ、円に換算して提出要件を確認します。
この記事は、通常の預金・口座管理の証券・不動産を中心に、残高明細から所在地・年末価額・記載欄を整理するための参照表です。財産債務調書の提出要件や両調書の記載省略とは分けて扱います。
提出要件と相続年の例外
年末の居住者区分と、国外財産の合計額を組み合わせて提出要否を確認します。勤務先の給与額や、その年に海外で得た所得の額だけで決まる制度ではありません。
2026年分の、非永住者以外の居住者の通常の提出要件です。居住者区分と財産価額は2026年12月31日の現況で確認します。相続開始年に相続・遺贈で取得した国外財産は、記載を省略する場合に合計額から除外して判定します。死亡・出国による例外は表の下にまとめています。
| 確認する項目 | 要件・扱い |
|---|---|
| 対象者 | 居住者のうち、非永住者を除く方 |
| 国外財産の年末合計額 | 5,000万円を超える場合が提出対象。ちょうど同額は対象外 |
| 所得税の確定申告との関係 | 確定申告の要否と分けて確認する |
| 相続開始年の相続・遺贈による国外財産(記載を省略する場合) | 判定額から除外し、調書に記載しないで提出できる |
主な例外:当該年分の提出が不要となるのは、対象年の翌年1月1日から提出期限までに、調書を提出しないまま死亡又は所定の出国(納税管理人の届出なしで国内に住所・居所を有しなくなる等)をした場合です。
税法上の居住者は、国内に住所を有するか、現在まで引き続き1年以上居所を有する個人です。住所は生活の本拠を客観的な事実で判断します。海外との転居や一時出国には特別な取扱いがあります。
非永住者は、居住者のうち日本国籍がなく、過去10年以内に国内に住所・居所を有していた期間の合計が5年以下の個人です。在留資格の名称だけで区分しません。根拠と転出入の注は国税庁FAQ「提出義務者」で確認できます。
所在国を残高明細から確認する
外貨預金でも国内所在なら、この調書の対象にはなりません。銀行の本店がある国と、実際に預金を受け入れた支店の国を分けて確認します。
国外財産の所在を確認する代表例です。証券の行は、金融商品取引業者等の営業所に開設した口座の振替口座簿に記載等される有価証券等の場合を扱います。
| 財産・管理方法 | 所在の確認先 | 調書へ整理する情報 |
|---|---|---|
| 国外支店で受け入れた普通預金 | 受入営業所・事業所の所在地。円建てでも国外所在 | 国名・所在地、金融機関名・支店名、預金種類・用途・価額 |
| 国内支店で受け入れた外貨預金 | 国内所在。外国銀行の国内支店も同じ | 国外財産の集計対象から外す |
| 口座管理の有価証券等 | 口座を開設した営業所等の所在地。銘柄の発行国だけで決めない | 種類・銘柄・用途・所在別に数量と価額等を整理 |
| 国外の土地・建物 | 不動産自体の所在地。国内業者を通じた購入でも同じ | 国名・住所、用途、面積、価額等を整理 |
証券を口座で管理していない場合や、信託・保険・ストックオプション等は別の確認が必要です。国税庁FAQ「財産の所在」の財産別の区分を参照してください。
年末残高と円換算の設例
所在を確かめてから円換算し、国外所在の財産だけを合計します。口座明細の外貨残高と、日本円の集計欄を分けると照合しやすくなります。
2026年末の架空の設例です。年末時点の非永住者以外の居住者が、表の国外普通預金と国外不動産だけを保有するとします。相続・遺贈、共有、信用取引、デリバティブはありません。預金残高・TTB・不動産の円評価は仮定値で、円換算に端数は生じません。
| 項目 | 確認・計算 | 円の価額 |
|---|---|---|
| 国外支店の普通預金 | 残高20万米ドル × 仮定TTBの1米ドル当たり150円 | 3,000万円 |
| 国外の不動産 | 年末の円評価額を仮定 | 2,400万円 |
| 国外財産の合計額 | 普通預金の円換算額 + 不動産の円評価額 | 5,400万円 |
この設例では、年末の財産価額が早見表の金額基準を超えています。国内支店の外貨預金を別に保有していても、国外財産の合計には加えません。
評価方法と換算日の確認
国外財産の価額は、年末の時価又は時価に準ずる見積価額で整理します。買ったときの金額を、そのまま年末の価額として使うとは限りません。不動産の契約書だけでなく、評価の根拠になる資料も保管します。
以下は2026年末の通常の評価・外貨換算を確認するための表です。不動産の具体的な見積方法や特殊な財産の評価は、国税庁FAQ「財産の価額」の該当区分を確認してください。
| 対象 | 確認する価額・相場 | 残しておく資料の例 |
|---|---|---|
| 普通預金 | 年末の預入高 | 年末残高明細・ステートメント |
| 土地・建物(所得に係る減価償却資産を除く) | 年末の時価又は合理的方法による見積価額 | 評価根拠、購入資料、現地の課税資料など |
| 不動産所得等に係る減価償却資産 | 年末の時価又は年末の償却後の価額による見積価額 | 減価償却の明細・年末の評価根拠 |
| 外貨から円への換算 | 取引金融機関公表の年末最終TTB又は準ずる相場。当日なければ年末前の最も近い日の相場。預入先が特定される預貯金等はその機関。 | 採用した相場の日付・金融機関と換算計算 |
外貨を購入した日のレートや、調書を作成した日のレートで置き換えないようにします。TTBは対顧客直物電信買相場です。
国外財産調書では、国外財産を借入金で取得した場合でも、その財産の時価・見積価額から借入元本を差し引くことはできません。年末の未決済信用取引等・デリバティブ取引に係る権利を、年末に決済したとみなす利益・損失で見積もる場合、負の価額は他の財産価額と通算します。
相続した年と翌年以降を分ける
相続開始年には、相続・遺贈で取得した国外財産を記載せず、判定額から除外することができます。自分で以前から持っていた国外財産は、この除外の対象にはなりません。
相続又は遺贈で取得した国外財産についての整理です。各年の年末に保有している財産を確認します。分割が未了の場合の価額は、寄与分を反映させず、民法所定の相続分に従って配分します。
| 年分 | 提出義務の判定 | 調書への記載 |
|---|---|---|
| 相続開始年に記載を省略する場合 | その相続・遺贈で取得した国外財産を除外 | その相続国外財産を記載しないで提出できる |
| 相続開始年の翌年以降 | 年末に保有する相続国外財産も含める | 提出義務がある場合は、保有する相続国外財産も記載する |
未分割でも、翌年以降ずっと集計を待つ扱いにはなりません。後の遺産分割が遡及することだけを理由に、既に提出した年分を訂正して出し直す必要はありません。詳しくは国税庁FAQ「相続により財産を取得した場合」を確認してください。
調書・合計表の作成と提出
国外財産調書と国外財産調書合計表をそろえて提出します。所得税の確定申告書を提出しても、この手続の代わりにはなりません。
2026年分の国外財産調書の通常の提出期限は、翌年の2027年6月30日です。災害等による期限延長がある場合は、その適用を確認してください。
提出期限が土日祝日等に当たる場合は休日明けの日が期限となります。死亡・所定の出国の例外は提出要件の節を参照してください。
| 段階 | 確認すること |
|---|---|
| 財産明細を整理する | 種類・用途・所在別に数量・価額等を整理。財産債務調書も出す方は取得価額の記載要否も確認 |
| 調書・合計表を作る | 財産ごとの明細と種類別の合計を照合する |
| 電子で提出する | パソコンにe-Taxソフトをダウンロードし、調書・合計表を作成・提出する |
| 書面で提出する | 調書・合計表を作成し、税務署に持参又は送付する |
| 提出時の住所地等で提出先を確認する | 所得税の納税地を所轄する税務署。納税義務がない方は住所地等の所轄税務署 |
様式と記載要領は国税庁「国外財産調書(同合計表)」から確認できます。提出後も、採用した残高・評価・為替の資料と提出控えを対応させておきます。
財産債務調書も必要になるかは、財産債務調書の提出要件と年末評価で別に確認してください。両調書の併記・省略の扱いも同記事にまとめています。
所得税の概算を確認する(国外財産調書の提出要否は判定しません)よくある質問
外国銀行に預けた預金は、国外財産ですか?
銀行の本店ではなく、預金を受け入れた営業所・事業所の所在で確認します。外国銀行でも国内支店が受け入れた預金は国内所在で、この調書の対象にはなりません。円建て・外貨建ての違いだけでは判断しません。
外国株式は、国外財産に含めますか?
有価証券等が、金融商品取引業者等の営業所に開設した口座の振替口座簿に記載等されている場合などは、その営業所等の所在で確認します。国内の金融機関の口座で管理する外国株式を、発行国だけで国外財産に加える扱いではありません。口座管理以外の場合は別の所在判定を確認します。
相続した財産は、分割が終わるまで集計しなくてよいですか?
分割未了だけを理由に集計を先送りする扱いではありません。相続開始年の相続国外財産は、記載を省略して判定額から除外できますが、翌年以降は年末に保有する相続国外財産も含めます。未分割の価額は、寄与分を反映させず、民法所定の相続分で配分します。
海外不動産の借入金は差し引けますか?
国外財産調書では、財産の時価・見積価額から借入元本を差し引くことはできません。信用取引等・デリバティブ取引に係る権利の評価・通算とは別の話です。
出典
国税庁の国外財産調書の案内と制度FAQを参照しています。確認日は2026年10月27日です。設例の残高・為替・不動産価額は仮定です。
- 国税庁「No.7456 国外財産調書の提出義務」
- 国税庁「国外財産調書制度FAQ」(提出義務者・所在・評価・円換算・相続・借入金)
- 国税庁「国外財産調書(同合計表)」(様式・記載要領・提出方法)
- e-Gov法令検索「国税通則法」第10条・第11条
- e-Gov法令検索「国税通則法施行令」第2条
この記事は一般的な情報提供です。個別の税務・労務相談には応じられません。実際の申告や取扱いは、税理士・所轄の税務署等にご確認ください。