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財産債務調書:所得・金融資産・債務の3つの金額と2026年末の評価例

財産債務調書の提出要否は、その年の所得と年末の財産総額・有価証券等の価額で確認します。借入金を差し引いた純資産では判定しません。所得税の申告書とは別に、財産と債務を報告する調書です。

この記事は、提出要件の早見表と国内の普通預金・現物上場株式・借入金の評価例を扱います。所得税の申告手順は確定申告の進め方、口座の課税関係は特定口座の確定申告へ分けています。

提出要件の早見表

先に所得と財産の要件を照合し、該当したら記載用の評価と明細を準備します。勤務先の給与年収や、預金と株式を合算した金融資産額だけでは、要否は決まりません。

2026年分の通常の提出要件です。所得合計は退職所得などの除外所得(下の節)を外し、申告分離課税の特別控除・所定の繰越控除後で確認します。2026年分の財産の価額は12月31日時点で確認し、提出判定には債務控除前の金額を使います。有価証券等には未決済信用取引等・未決済デリバティブ取引の権利を含みます。還付申告の限定と相続開始年の除外は表の下の注を参照してください。

2026年分の財産債務調書:通常の提出要件
区分所得の要件年末の財産要件
確定申告義務者・一定の還付申告可能者(下の注)退職所得を除く各種所得金額の合計額が2,000万円超財産総額3億円以上、又は有価証券等1億円以上
12月31日時点の居住者(非永住者を含み、上の区分に該当しない方)所得額によらない財産総額10億円以上

主な例外:相続開始年にその相続・遺贈で取得した財産は、提出義務の判定から除外します。2026年分では、年末の一口の預入高が50万円未満の預貯金は、所在欄に金融機関名・支店名・所在地を記し、所在欄か備考欄に口座番号を記載すると、預入高の記載を省略できます。省略した預貯金の金額は、提出義務を判定する財産総額に含めないことができます。対象年の翌年に、提出期限まで調書を提出しないまま亡くなった場合は、その対象年分の財産債務調書の提出は不要です。一定の還付申告可能者の定義は、国税庁FAQで確認できます。

根拠は国税庁「財産債務調書の提出義務」です。退職所得を除く所得の範囲や、相続財産の記載を省略できる扱いは、下の例外の節で確認できます。

年末残高を同じ設例で照合する

金融資産の合計と、有価証券等の合計は別の欄に置きます。下の設例では、普通預金は財産総額に含め、有価証券等の基準には加えません。

2026年末の架空の設例です。国内居住者で確定申告義務があり、所得は給与所得だけ、以下の普通預金・国内所在の現物上場株式・単独借入以外の財産債務はないとします。相続・遺贈、信用取引、外貨、共有財産はなく、金額は端数なしです。株式の年末最終価格も仮定値です。

設例:所得・金融資産・債務の照合欄
項目金額照合する欄
その年の給与所得2,500万円所得要件。給与収入ではなく給与所得
普通預金の年末預入高6,000万円財産に計上。有価証券等には含めない
現物上場株式の年末評価額8,000万円財産に計上し、有価証券等にも含める
財産総額(この設例では金融資産合計)1億4,000万円預金+株式。債務控除前で判定
借入金の年末元本残高7,000万円債務に別記。財産総額から引かない
参考:純資産7,000万円財産−債務。提出要件の判定には使わない

この設例では所得要件を超えていますが、有価証券等・財産総額とも早見表の基準未満なので、財産債務調書の提出義務は生じません。預金と株式を合算した金融資産額を、有価証券等の基準に当てはめないことがポイントです。

財産総額と純資産の区別預金と株式を足した財産総額で提出要件を確認し、借入金は債務欄に分けます。純資産を提出要件に使いません。預金 + 株式財産総額 → 提出要件の確認借入金債務欄へ別記財産総額から差し引かない
国内預金・現物上場株式・単独借入だけの設例の集計順序。

年末評価と取得価額を分ける

財産の評価時点は年末です。財産は取得時や提出日の残高に置き換えず、その年の12月31日の時価又は見積価額で整理します。

普通預金の見積価額には年末の預入高を使います。通常の単独借入は年末の借入元本残高を債務として記載します。土地・非上場株式・外貨建資産などの評価はこの設例の対象外です。

上場株式を時価で評価する場合は、その年の12月31日の最終価格を使い、その日の最終価格がなければ同日前の最も近い日の最終価格を使います。財産は、時価に代えて見積価額を算定して記載することも認められます。

設例の現物上場株式は、保有2万株×仮定の年末最終価格4,000円=年末評価額8,000万円とします。設例の取得価額は5,000万円と仮定し、年末評価額とは別に記載します。これは未来の株価や投資損益の予測ではありません。

国内所在の通常の現物上場株式では、年末評価額と取得価額を混同しないことが大切です。取得価額を確認する資料と、年末残高・評価額を確認する資料を分けてそろえます。

特定口座内の上場株式等は、銘柄ごとに分けず、所在別・種類別に価額と取得価額を一括記載できる扱いがあります。株式・公社債・投資信託などの区分は残します。一般口座と同じ記載方法と決めつけず、国税庁FAQの特定口座の記載方法を確認できます。

所得の範囲と主な例外

年収ではなく、対象となる所得を集計する

所得要件の集計からは退職所得を除きます。源泉分離課税の所得も含めません。源泉徴収あり特定口座の譲渡所得などは、確定申告しないことを選択したものを除きます。口座内の株式そのものが財産の集計から外れる、という意味ではありません。

申告分離課税の所得は特別控除後を加算し、所定の損失の繰越控除を受けた場合は適用後の金額を使います。申告不要を選択した一定の利子・配当を含む詳しい範囲は、国税庁FAQの提出義務者の注で確認できます。申告方式の個別の選択は扱いません。

その年の相続財産と国外財産を混同しない

相続開始年の調書は、その相続・遺贈で取得した財産と債務を記載しないで提出できます。この場合、提出義務の判定でも取得した相続財産を除外します。過去に相続した財産を毎年除外する扱いではありません。

両調書を提出する場合、国外財産調書に記載する国外財産は、財産債務調書では価額以外の事項を省略できます。国外財産調書に記載した財産の価額は、財産債務調書と合計表にも記載します。国外財産調書自体の提出要件は本稿の対象外です。

合計表を添えて所轄税務署に提出する

年末資料で明細を作り、その区分別合計を合計表に合わせて提出します。調書を提出する場合は、財産債務調書合計表の添付が必要です。

  1. 預金の年末残高、証券の保有数量・年末評価額・取得価額、借入元本残高が確認できる資料をそろえます。
  2. 財産と債務は、種類に応じて必要な区分・記載事項を整理します。記載の省略が認められる場合は、国税庁FAQの記載方法を確認できます。特定口座の一括記載などは該当する範囲を確認します。
  3. 財産債務調書の明細と、財産債務調書合計表の区分別合計を照合します。債務を財産から相殺しない形で確認します。
  4. 調書と合計表を、提出先の税務署へ提出します。電子提出後は、受信通知で受付結果を確認します。

2026年分の通常の提出期限は、翌年の2027年6月30日(水)です。期限が土日祝日等に当たる場合は翌開庁日になります。災害等による期限延長は別途確認します。

電子提出にはダウンロード版のe-Taxソフトを利用できます。e-TaxソフトのWEB版では財産債務調書の作成・送信はできません。確定申告書等作成コーナーでは、所得税の確定申告書等を作成する際に併せて財産債務調書を作成・提出できます。

所得税の納税義務がある方は、提出時の納税地の所轄税務署へ提出します。財産額による居住者の区分に該当し、所得税の納税義務がない方は提出時の住所地、国内に住所がないときは居所地の所轄税務署となります。

記載漏れ等があると、財産に関する所得の申告漏れがあった際の加算税の取扱いにも関係します。率や適用除外の詳細は国税庁の注意事項を確認してください。

所得税の概算を計算する(財産債務調書の提出要否は判定しません)

よくある質問

借入金が多ければ、提出義務はなくなりますか?

借入金を財産総額から差し引いて要否を判定することはできません。借入金は債務として別に記載し、提出要件の財産額は債務控除前で確認します。

源泉徴収ありの特定口座は、調書に書かなくてよいですか?

特定口座内の株式も財産の集計対象です。確定申告しない選択をした譲渡所得を所得要件から除く扱いと、株式自体の財産計上は別です。特定口座内の上場株式等には、所在別・種類別に価額と取得価額を一括記載できる扱いがあります。

株式は買ったときの金額で提出要件を確認しますか?

年末の時価又は見積価額で確認します。国内所在の通常の現物上場株式では、調書に取得価額も別に記載するため、購入資料と年末の残高資料を区別します。

所得税の申告書だけ提出すれば終わりですか?

財産債務調書の提出義務に該当する場合は、所得税の申告書とは別に財産債務調書と合計表の提出が必要です。所得税の確定申告書を出しただけでは代わりになりません。

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出典

国税庁の提出要件・評価方法を参照しています。制度の確認日は2026年10月18日です。設例の年末残高と株価は仮定で、実績値ではありません。

この記事は一般的な情報提供です。個別の税務・労務相談には応じられません。実際の申告や取扱いは、税理士・所轄の税務署等にご確認ください。

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