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リース取引の税務 — 税法上のリースは賃貸借ではなく「売買」。90%を超えると当たる

結論から言うと、税法上のリース取引は「借りている」扱いになりません。法人税法64条の2第1項は、リース取引を行った場合には「そのリース取引の目的となる資産の賃貸人から賃借人への引渡しの時に当該リース資産の売買があつたものとして……所得の金額を計算する」と定めています。契約書の題名が賃貸借契約でも、毎月リース料を払っていても、要件に当たれば税務上は資産を買ったものとして扱われます。

要件は2つだけです。①中途解約ができないこと、②その資産から得られる利益を実質的に享受し、費用を実質的に負担すること(フルペイアウト)。そして②については、法人税法施行令131条の2第2項が「賃借料の金額の合計額がその資産の取得のために通常要する価額のおおむね百分の九十に相当する金額を超える場合」は該当すると定めています。この90%という数字は、実は条文まわりに2か所出てきて、しかも分母が違います。混同すると判定を誤ります。

もうひとつ、実務でよく誤解されるところがあります。売買とされたリース資産のうち「所有権移転外リース取引」に当たるものには、少額の減価償却資産の損金算入(10万円未満)も、一括償却資産の3年均等償却(20万円未満)も、圧縮記帳も、特別償却も適用されません。国税庁が4つを名指しで挙げています。「リースだから小さい金額でも一括で落とせる」は逆で、リースだからこそ落とせません。以下、条文の原文から確認できることと、確認範囲を超えるため断定を避けたことを分けて示します。

税法上のリース取引は、引渡しの時に「売買があったもの」とされる

根拠は法人税法64条の2第1項です。条文はこう書かれています。

内国法人がリース取引を行つた場合には、そのリース取引の目的となる資産(以下この項において「リース資産」という。)の賃貸人から賃借人への引渡しの時に当該リース資産の売買があつたものとして、当該賃貸人又は賃借人である内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する。

ポイントはタイミングが「引渡しの時」で固定されていることです。リース期間の経過に応じてではなく、契約でもなく、引渡しの時点で売買があったものとして所得を計算します。国税庁はこの引渡しを「リース譲渡」と呼んでいます。

したがって賃借人側は、そのリース資産を自己の資産として計上し、償却していくことになります。賃貸人側は、リース譲渡に係る収益の額と費用の額を、原則としてそのリース譲渡の日の属する事業年度の益金・損金に算入します(一定の計算による計上方法も認められています)。

「うちは毎月リース料を経費で落としているだけだが」

その処理が直ちに誤りになるわけではありません。法人税法施行令131条の2第3項が、賃借人が「賃借料その他当該リース資産を賃借するために支出した費用として損金経理をした金額」は「償却費として損金経理をした金額に含まれる」と定めているためです。詳しくはリース期間定額法の節で扱います。ただし、含まれるのは償却限度額までの範囲という枠組みになります。

当たるかどうかは2つの要件だけ

法人税法64条の2第3項が、リース取引の定義を置いています。「資産の賃貸借(所有権が移転しない土地の賃貸借その他の政令で定めるものを除く。)で、次に掲げる要件に該当するもの」として、次の2つを挙げています。

要件条文の文言(法人税法64条の2第3項)
① 中途解約不能当該賃貸借に係る契約が、賃貸借期間の中途においてその解除をすることができないものであること又はこれに準ずるものであること
② フルペイアウト当該賃貸借に係る賃借人が当該賃貸借に係る資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受することができ、かつ、当該資産の使用に伴つて生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものであること

この2つを両方満たすものがリース取引です。どちらか一方でも欠ければ、税法上のリース取引ではなく、単なる賃貸借取引(いわゆるオペレーティング・リース取引)になります。

資産の賃貸借 ① 中途解約不能(これに準ずるものを含む) ② フルペイアウト ── 両方満たすか? いいえ 賃貸借取引 (オペレーティング・リース) はい 税法上のリース取引(法法64の2①) 引渡しの時に「売買があったもの」として所得を計算 所有権が移転する6つの要件(下記)の どれかに当たるか? 当たらない 所有権移転外リース取引 償却は リース期間定額法 少額・一括償却・圧縮記帳・特別償却は不可 当たる 所有権移転リース取引 償却は 自社が選定している償却方法 (資産の種類に応じた定額法・定率法など)
図1: 賃貸借 → リース取引 → 所有権移転外かどうか、の順に判定する。分岐は2回だけ。

「90%」は2か所に出てくる。分母がまったく違う

リースの話で「90%基準」と言われるとき、実は別々の2つの90%が混ざっています。両方とも「おおむね90%」なので紛らわしいのですが、何に対する90%なのかが違います。

どの要件の話か分子(何が)分母(何の90%か)出どころ
90%
その1
② フルペイアウトの判定 賃借人が支払う賃借料の合計額 その資産の取得のために通常要する価額(事業の用に供するために要する費用を含む) 法人税法施行令131条の2第2項
90%
その2
① 中途解約不能の「これに準ずるもの」 中途解約する場合に支払う違約金など 未経過期間に対応するリース料の額の合計額 国税庁 タックスアンサー No.5702

その1は「その資産をいくらで買えるか」に対する割合、その2は「残りの期間のリース料」に対する割合です。前者は資産の値段、後者は契約の残り。まったく別のものを見ています。

90% その1 — フルペイアウトの判定(法令131条の2第2項) この帯の全幅 = その資産の取得のために通常要する価額(例: 3,000,000円) 90%の線 賃借料の合計額がこの線を超えたら該当 100% 90% その2 — 中途解約不能の「これに準ずるもの」(国税庁 No.5702) この帯の全幅 = 未経過期間に対応するリース料の額の合計額(上の帯とは別のもの) 90%の線 解約時に払う額がここ以上なら該当 100% ※ 2つの帯は幅を意図的に変えている。分母が別のものなので、長さを見比べても意味はない。
図2: 同じ「おおむね90%」でも、上下で分母が違う。上は資産の値段、下は残りのリース料。

所有権移転外リース取引 — 6つのどれにも当たらないもの

税法上のリース取引に当たったら、次は所有権移転外かどうかを判定します。ここで償却方法が変わるためです。

法人税法施行令48条の2第5項第5号は、所有権移転外リース取引を「リース取引のうち、次のいずれかに該当するもの(これらに準ずるものを含む。)以外のもの」と定義しています。つまり「当たらないもの」が所有権移転外です。条文が挙げるのは4つですが、国税庁のタックスアンサー No.5704 は「これらに準ずるもの」を具体化して6つを挙げています。

要件条文(法令48の2⑤五)に明記
1譲渡条件付 — リース期間終了時または中途に、資産が無償または名目的な対価で賃借人に譲渡されるイ に明記
2名目的な再リース — 期間終了後、無償と変わらない名目的な再リース料で再リースすることが定められている(契約書に明示がなく事実上予定されていると認められるものを含む)「準ずるもの」
(No.5704 が具体化)
3割安購入選択権付 — 買取りの権利が与えられており、かつその権利が行使されることが確実と見込まれるロ に明記
令和7年度改正で変更
4特別仕様・識別困難 — 賃借人の特別な注文で製作された機械装置のように賃借人によってのみ使用されると見込まれる、または建築用足場材のように識別が困難ハ に明記
5金融機関の資金引受構造 — 賃貸人に取得資金を貸し付けている金融機関等が、賃借人から資金を受け入れて賃貸人の借入金の元利に対応する債務を引き受ける構造「準ずるもの」
(No.5704 が具体化)
6期間が耐用年数に比して相当短い — 賃借人の法人税の負担を著しく軽減すると認められるものに限るニ に明記
6番の「相当短い」には具体的な数字がある

国税庁 No.5704 は、「リース期間がリース資産の法定耐用年数に比して相当短いもの」とは、法定耐用年数の70%(法定耐用年数が10年以上のリース資産については60%)に相当する年数(1年未満の端数切捨て)を下回る期間であるものをいう、としています。再リースをすることが明らかな場合は、リース期間に再リースの期間を含めて判定します。

例えば法定耐用年数6年なら 6×0.7=4.2 → 端数を切り捨てて4年。リース期間が4年を下回れば該当します。法定耐用年数10年なら 10×0.6=6年、15年なら 15×0.6=9年が境目です。

リース期間定額法 — 賃借料で処理していても「償却費」に含まれる

所有権移転外リース取引により賃借人が取得したものとされるリース資産は、リース期間定額法で償却します(法人税法施行令48条の2第1項第6号)。他の償却方法は選べません。計算は単純です。

各事業年度の償却限度額 = リース資産の取得価額 ÷ リース期間の月数 × その事業年度におけるリース期間の月数

取得価額3,000,000円・リース期間5年(60か月)のリース資産で、当期に含まれるリース期間が7か月なら、3,000,000 ÷ 60 × 7 = 350,000円が償却限度額です。丸1年(12か月)含まれる期は 3,000,000 ÷ 60 × 12 = 600,000円になります。定率法のような償却率も、残存価額も出てきません。

月数の端数は「切り上げ」

この計算に使う月数について、法人税法施行令48条の2第6項が「第一項第六号及び第四項の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする」と定めています。1か月に満たない期間は切り捨てではなく1か月として数えます。期の途中で引渡しを受けた場合、分母のリース期間の月数と分子側の当期の月数のどちらもこの規定で数えることになります。

そして実務上いちばん効くのが、法人税法施行令131条の2第3項です。

……売買があつたものとされた……リース資産につき……賃借人が賃借料その他当該リース資産を賃借するために支出した費用として損金経理をした金額……は、償却費として損金経理をした金額に含まれるものとする。

つまり、帳簿上「リース料」という科目で費用処理していても、税務上はそれを償却費として損金経理した金額とみなして、償却限度額と突き合わせます。科目名を「減価償却費」に付け替えなければ損金にならない、という話ではありません。

ただし「限度額まで」という枠は残る

損金経理した金額が償却費に含まれるということは、償却限度額を超えた部分は償却超過額として扱われるという枠組みの中に入るということです。リース期間と償却期間が一致していれば通常は問題になりませんが、契約期間の途中で条件が変わった場合など、金額がずれうる場面では限度額の計算が必要になります。個別の判定は顧問税理士へご確認ください。

減価償却費の計算機でリース期間定額法以外の償却スケジュールも確認する

所有権移転外リース資産に使えない制度が4つある

ここが実務でいちばん誤解されるところです。国税庁 No.5704 は、所有権移転外リース取引により取得したものとされるリース資産について、次の制度は適用がないと明記しています。

使えない制度根拠として挙げられているもの意味するところ
圧縮記帳法法47、措法65の7 等補助金や保険金、買換えによる圧縮記帳ができない
特別償却措法42の6、42の10 等即時償却・特別償却の上乗せができない
少額の減価償却資産の損金算入法令133取得価額が10万円未満でも、事業供用時に全額損金にできない
一括償却資産の損金算入法令133の220万円未満でも3年均等償却が使えない

この4つは、いずれも「早く落とす」ための制度です。それが所有権移転外リース資産では封じられ、リース期間定額法という一本道だけが残ります。「金額が小さいリースだから経費で落として終わり」という感覚は、税務上の建て付けと逆になっています。

中小企業者等の少額減価償却資産の特例(措法67条の5)は、上の4つとは別枠

No.5704 が名指しで挙げているのは上記4つで、そこに措法67条の5(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)は列挙されていません。同条1項を読むと、対象は「その取得価額が四十万円未満であるもの(その取得価額が十万円未満であるもの及び第五十三条第一項各号に掲げる規定の適用を受けるものその他政令で定めるものを除く。)」とされ、除外されるものの範囲は政令に委ねられています。本記事ではその政令(措置法施行令)を確認していないため、所有権移転外リース資産がこの特例の対象になるかどうかは断定しません。顧問税理士または所轄の税務署へご確認ください。

なお同条1項の取得価額の基準は40万円未満です(令和8年法律第12号による改正。令和8年4月1日以後に取得したものから適用され、令和8年3月31日以前の取得は30万円未満。現行条文をe-Gov法令API v2で確認)。「30万円未満」と説明している資料は改正前の記述の可能性があります。適用対象の取得期間は「平成18年4月1日から令和11年3月31日まで」、年間の合計限度額は300万円(事業年度が1年未満なら月数按分)と定められています。

もうひとつ、混同しやすい点があります。ここで「適用がない」とされているのは、いずれも法人税(国税)の制度です。No.5704 が挙げているのは法人税法47条・租税特別措置法65条の7・42条の6・42条の10、法人税法施行令133条・133条の2で、地方税の規定は入っていません。設備投資に関する固定資産税の特例である先端設備等導入計画では、リース取引により引渡しを受けた機械装置等も一定の条件のもとで対象に含まれるとされており、扱いが同じとは限りません(詳細は先端設備等導入計画の記事を参照。固定資産税側の要件は本記事では確認していません)。国税で使えないことを、そのまま地方税でも使えないと読み替えないでください。

令和7年度改正で2か所変わった(条文の版を比べて確かめた)

リース税制は令和7年度改正で手が入っています。どこが変わったのかを、e-Gov法令API で令和6年4月1日施行版と現行版を取得して、条文の文言そのものを突き合わせて確認しました。変わっていたのは次の2か所です。

変更1: 割安購入選択権の判定が「価額」から「行使が確実か」に変わった

法人税法施行令48条の2第5項第5号ロ の文言
令和6年
4月1日
施行版
当該リース取引に係る賃借人に対し、リース期間終了の時又はリース期間の中途において目的資産を著しく有利な価額で買い取る権利が与えられているものであること。
現行 当該リース取引に係る賃借人に対しリース期間終了の時又はリース期間の中途において目的資産を買い取る権利が与えられており、かつ、当該権利が目的資産を著しく有利な価額で買い取るものであることその他の事情により当該権利が行使されることが確実であると見込まれるものであること。

旧文言は「著しく有利な価額で買い取る権利があるか」という1本の判定でした。現行は「買取りの権利がある」+「その権利の行使が確実と見込まれる」の2段になり、しかも「著しく有利な価額であること」は行使が確実と見込まれる事情の一例(「その他の事情により」)という位置づけに移っています。国税庁 No.5704 も、令和7年4月1日前に締結された契約については旧の要件による旨を注記しています。

変更2: 残価保証額の控除が「令和9年3月31日以前に締結した契約」限定になった

リース期間定額法の取得価額から残価保証額を控除する取扱いに、契約締結日による限定が付きました。令和6年4月1日施行版には、この限定がありません。

リース期間定額法における取得価額のカッコ書き
令和6年
4月1日
施行版
当該リース資産の取得価額(当該取得価額に残価保証額に相当する金額が含まれている場合には、当該取得価額から当該残価保証額を控除した金額)
現行 当該リース資産の取得価額(当該リース資産についての所有権移転外リース取引に係る契約が令和九年三月三十一日以前に締結されたものの取得価額に残価保証額に相当する金額が含まれている場合には、当該取得価額から当該残価保証額を控除した金額)

ここでいう残価保証額とは、同条第5項第6号の定義によれば「リース期間終了の時にリース資産の処分価額が……契約において定められている保証額に満たない場合にその満たない部分の金額を……賃借人がその賃貸人に支払うこととされている場合における当該保証額」をいいます。

現行の条文をそのまま読むと、契約の締結日が令和9年3月31日以前か、令和9年4月1日以後かで、償却の分子が変わります。取得価額3,000,000円のうち残価保証額が300,000円、リース期間60か月のケースで比べると次のようになります。

契約の締結日償却の分子1か月あたり12か月ぶんリース期間で償却される合計
令和9年3月31日以前3,000,000 − 300,000 = 2,700,000円45,000円540,000円2,700,000円
令和9年4月1日以後3,000,000円(控除しない)50,000円600,000円3,000,000円

同条第4項(評価換え等が行われた場合の読み替え)にも同じ締結日の限定が付いており、2か所とも同じ扱いで揃っています。現行の条文の中に、令和9年4月1日以後に締結した契約について残価保証額を控除する別の定めは見当たりませんでした。

この節で断定していないこと

上記は条文の文言がそう変わっているという事実です。改正の趣旨・背景、および経過措置の詳細については、本記事では確認していません。国税庁 No.5702・No.5704 は根拠として「令7改正法附則17」「令7改正法令附則7」を挙げていますが、これらの附則の本文は本記事では読んでいません。実際の適用にあたっては附則の確認が必要になりますので、顧問税理士へご確認ください。

同じ「令和7年4月1日」でも、見ている対象が違う

ここで注意が要ります。令和7年4月1日という同じ日付が出てきますが、何を基準に切るかが違います。

したがって、3月決算の法人が令和7年3月に締結したリース契約は、割安購入選択権の判定については旧要件のまま、オペレーティング・リースに当たる賃貸借の損金算入については令和7年4月1日以後に開始する事業年度から新しい取扱い、という組み合わせになります。契約書の日付を見るのか、決算期を見るのかを取り違えないでください。

令和7年4月1日 令和9年3月31日 切り口A ── 契約をいつ締結したか 割安購入選択権の判定が新要件へ (この日より前に締結した契約は旧要件のまま) 切り口B ── 事業年度がいつ始まるか オペレーティング・リースの損金算入が条文に (この日以後に開始する事業年度から) 切り口A ── 契約の締結日 ここまでの契約は残価保証額を控除 (翌日以後に締結した契約は控除なし) ※ 横軸は時間の前後だけを表す。目盛りの間隔は実際の期間に比例していない。
図3: 区切りとなる日は2つ。ただし切り口は「契約の締結日」と「事業年度の開始日」の2種類あり、同じ令和7年4月1日でも見る対象が違う。

オペレーティング・リースは令和7年4月1日以後開始事業年度から条文になった

2つの要件を満たさない資産の賃貸借(オペレーティング・リース取引)については、国税庁 No.5705 が次のように整理しています。

法人が、令和7年4月1日以後に開始する各事業年度において、賃貸借取引によりその賃貸借取引の目的となる資産の賃借を行った場合に、……その契約に基づきその法人が支払うこととされている金額があるときは、その支払うこととされている金額のうちその各事業年度において債務の確定した部分の金額は、その各事業年度において損金の額に算入されます。

ポイントを整理すると次のとおりです。

また No.5705 は、資産の賃貸借には民法601条の賃貸借契約に基づく行為のほか、「資産を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する行為」も含まれるとしています。この定義は No.5702(リース取引の側)にも同じ注記として置かれています。

セール・アンド・リースバックは「金銭の貸借」とされることがある

法人税法64条の2第2項は、自分が持っていた資産を売って、それをそのまま借り直す取引について定めています。

内国法人が譲受人から譲渡人に対する賃貸(リース取引に該当するものに限る。)を条件に資産の売買を行つた場合において、当該資産の種類、当該売買及び賃貸に至るまでの事情その他の状況に照らし、これら一連の取引が実質的に金銭の貸借であると認められるときは、当該資産の売買はなかつたものとし、かつ、当該譲受人から当該譲渡人に対する金銭の貸付けがあつたものとして……所得の金額を計算する。

この場合、譲渡人(=借手)が受け入れた金額は借入金として扱われ、リース期間中に支払うリース料の合計額のうち借入金の額に相当する金額は借入金の返済額として扱われます(No.5702)。資産の譲渡益・譲渡損は出ません。売買がなかったことになるからです。

「必ず金銭の貸借になる」わけではない

条文は「実質的に金銭の貸借であると認められるとき」と条件を付けており、その判定は「当該資産の種類、当該売買及び賃貸に至るまでの事情その他の状況に照らし」て行うとされています。どのような場合に該当するかの具体的な判断基準は、本記事で確認した条文および No.5702・No.5704・No.5705 の範囲内には示されていませんでした。

土地の賃貸借は原則として対象外。ただし例外の例外がある

法人税法64条の2第3項は、リース取引の定義から「所有権が移転しない土地の賃貸借その他の政令で定めるもの」を除いています。その政令が法人税法施行令131条の2第1項です。条文の作りが二重否定になっていて読みにくいので、整理します。

同項は、除かれる賃貸借を「土地の賃貸借のうち、①法人税法施行令138条の規定の適用のあるもの、および②次に掲げる要件(これらに準ずるものを含む。)のいずれにも該当しないもの」としています。②に掲げられているのは次の2つです。

つまり、この2つのどちらにも当たらない土地の賃貸借は、リース取引から除かれます(= 通常の土地の賃貸借は対象外)。逆に言えば、どちらかに当たる土地の賃貸借は除外リストから外れ、リース取引の判定土俵に乗ります。「土地は関係ない」と一律に切り捨てられる作りにはなっていません。

個人事業主も条文の作りは同じ

所得税法67条の2が、法人税法64条の2とほぼ同じ文言で置かれています。主語と所得の単位が違うだけです。

法人税法64条の2第1項所得税法67条の2第1項
主語内国法人居住者
効果引渡しの時に当該リース資産の売買があつたものとして(両者同じ)
計算の単位各事業年度の所得の金額各年分の各種所得の金額
2項セール・アンド・リースバックの金銭貸借とみなす規定(両者同じ)
3項の要件①中途解約不能 ②フルペイアウト(文言が一致

したがって個人事業主でも、要件に当たるリース契約は「借りている」ではなく「買った」として所得を計算することになります。なお、個人側の償却方法および所得税法施行令における取扱いの詳細は、本記事では確認していません。

間違えやすいところ

よくある理解条文・国税庁資料から確認できること
契約書が「賃貸借契約」なら賃貸借処理でよい契約の題名は要件になっていない。中途解約不能とフルペイアウトの2要件で判定する(法法64の2③)
90%基準はひとつだけ2か所にあり分母が違う。フルペイアウト=取得のために通常要する価額の90%(法令131の2②)/中途解約不能に準ずるもの=未経過リース料の90%(No.5702)
リース料を経費計上していたら否認される賃借料として損金経理した金額は「償却費として損金経理をした金額に含まれる」(法令131の2③)
10万円未満のリースなら即時に損金少額の減価償却資産の損金算入(法令133)は適用がない(No.5704)
20万円未満なら3年均等償却が使える一括償却資産の損金算入(法令133の2)も適用がない(No.5704)
補助金で導入したリース資産も圧縮記帳できる所有権移転外リース資産には圧縮記帳の適用がない(No.5704)
買取りの権利が付いていても、価額が安くなければ所有権移転外のまま現行はそう言い切れない。「行使されることが確実であると見込まれる」かで判定し、有利な価額はその一例(法令48の2⑤五ロ)
残価保証額はいつ契約しても取得価額から引ける令和9年3月31日以前に締結した契約に限られる(法令48の2①六)
リース期間が短いほうが早く損金にできて有利耐用年数の70%(10年以上は60%)を下回ると所有権移転リース取引に振れる可能性がある(No.5704)
土地の賃貸借はリース税制と無関係無償・名目的対価での譲渡、または著しく有利な価額の買取権が付くと除外リストから外れる(法令131の2①)

よくある質問

Q. 毎月のリース料をそのまま経費で処理していますが、問題になりますか?

A. その処理が直ちに誤りになるとは限りません。法人税法施行令131条の2第3項は、売買があったものとされたリース資産について、賃借人が「賃借料その他当該リース資産を賃借するために支出した費用として損金経理をした金額」は「償却費として損金経理をした金額に含まれるものとする」と定めています。つまり科目が「リース料」であっても、税務上は償却費として損金経理したものとして扱われます。ただしこれは償却費の枠組みに乗せるという意味なので、償却限度額との突き合わせが前提になります。所有権移転外リース取引であれば償却限度額はリース期間定額法で計算した金額です。リース期間と支払期間が一致していない場合など、金額がずれうるケースの判定は顧問税理士へご確認ください。

Q. 「おおむね90%」とは何に対する90%ですか?

A. 2種類あります。ひとつは法人税法施行令131条の2第2項のもので、「賃借人が支払う賃借料の金額の合計額がその資産の取得のために通常要する価額(当該資産を事業の用に供するために要する費用の額を含む。)のおおむね百分の九十に相当する金額を超える場合」に、フルペイアウトの要件に該当するとするものです。分母は資産の値段です。もうひとつは国税庁タックスアンサー No.5702 が中途解約不能の「これに準ずるもの」を説明する中で挙げているもので、「賃借人が中途解約する場合には未経過期間に対応するリース料の額の合計額のおおむね全部(原則として90パーセント以上)を支払うこととされているものなど」というものです。こちらの分母は未経過期間のリース料です。分母が違うので、どちらの話をしているかを区別する必要があります。

Q. 取得価額が10万円未満のリース資産なら、少額減価償却資産として全額損金にできますか?

A. 所有権移転外リース取引に該当する場合はできません。国税庁タックスアンサー No.5704 は、所有権移転外リース取引により賃借人が取得したものとされるリース資産について「次のような制度は適用がありません」として、圧縮記帳(法法47、措法65の7等)、特別償却(措法42の6、42の10等)、少額の減価償却資産の損金算入(法令133)、一括償却資産の損金算入(法令133の2)の4つを挙げています。金額が小さいことを理由に早期に損金化する制度が、まとめて適用外になっている形です。償却はリース期間定額法によることになります。

Q. リース期間が耐用年数より短いと、何か影響がありますか?

A. 所有権移転外リース取引ではなく、所有権移転リース取引に振れる可能性があります。法人税法施行令48条の2第5項第5号ニは「リース期間が目的資産の……耐用年数に比して相当短いもの(当該リース取引に係る賃借人の法人税の負担を著しく軽減することになると認められるものに限る。)であること」を、所有権移転外から除かれる要件のひとつとして挙げています。国税庁タックスアンサー No.5704 は「相当短いもの」を、法定耐用年数の70パーセント(法定耐用年数が10年以上のリース資産については60パーセント)に相当する年数(1年未満の端数切捨て)を下回る期間であるものと説明しています。たとえば法定耐用年数6年なら4年、10年なら6年が境目になります。再リースをすることが明らかな場合には、リース期間に再リースの期間を含めて判定するとされています。

Q. 残価保証額があるリース契約は、契約した時期で償却額が変わりますか?

A. 現行の法人税法施行令48条の2第1項第6号は、リース期間定額法の取得価額について「当該リース資産についての所有権移転外リース取引に係る契約が令和九年三月三十一日以前に締結されたものの取得価額に残価保証額に相当する金額が含まれている場合には、当該取得価額から当該残価保証額を控除した金額」と定めています。締結日による限定が付いているため、条文の文言としては令和9年3月31日以前に締結した契約と、令和9年4月1日以後に締結した契約とで分子が変わることになります。令和6年4月1日施行版の同号にはこの締結日の限定がなく、比較すると限定が後から加えられたことが確認できます。なお、経過措置の詳細(改正法令の附則)は本記事では確認していないため、実際の適用にあたっては顧問税理士へご確認ください。

Q. オペレーティング・リースの取扱いはいつから変わったのですか?

A. 国税庁タックスアンサー No.5705 は「法人が、令和7年4月1日以後に開始する各事業年度において、賃貸借取引によりその賃貸借取引の目的となる資産の賃借を行った場合に……その支払うこととされている金額のうちその各事業年度において債務の確定した部分の金額は、その各事業年度において損金の額に算入されます」としています。対象となるのは法人税法64条の2第3項に規定するリース取引以外の資産の賃貸借、およびリース取引の範囲から除かれる土地の賃貸借です。対象金額には付随費用を含む借手の支払リース料が含まれ、法人税法22条3項1号の原価の額や、固定資産の取得に要した金額とされるべき費用・繰延資産となる費用は除かれます。

Q. 買取りの権利が付いているリースは、所有権移転リース取引になりますか?

A. 権利が付いているだけでは決まりません。現行の法人税法施行令48条の2第5項第5号ロは「目的資産を買い取る権利が与えられており、かつ、当該権利が目的資産を著しく有利な価額で買い取るものであることその他の事情により当該権利が行使されることが確実であると見込まれるものであること」と定めています。買取権の存在に加えて、その権利が行使されることが確実と見込まれるかどうかが判定の軸になります。令和6年4月1日施行版では「著しく有利な価額で買い取る権利が与えられているものであること」という文言で、価額を中心にした判定でした。国税庁タックスアンサー No.5704 は、令和7年4月1日前に締結された契約については旧の要件による旨を注記しています。

Q. セール・アンド・リースバックをすると、必ず金銭の貸借として扱われますか?

A. 必ずではありません。法人税法64条の2第2項は「当該資産の種類、当該売買及び賃貸に至るまでの事情その他の状況に照らし、これら一連の取引が実質的に金銭の貸借であると認められるとき」に限って、売買はなかったものとし、金銭の貸付けがあったものとして所得を計算すると定めています。該当する場合は、譲渡人が受け入れた金額は借入金として、リース料の合計額のうち借入金の額に相当する金額は借入金の返済額として扱われます(国税庁タックスアンサー No.5702)。どのような場合に「実質的に金銭の貸借」と認められるかの具体的な判断基準は、本記事で確認した条文および同資料の範囲内には示されていませんでした。

Q. 個人事業主にもリース税制は適用されますか?

A. 所得税法67条の2に、法人税法64条の2とほぼ同じ規定が置かれています。同条1項は「居住者がリース取引を行つた場合には、そのリース取引の目的となる資産……の賃貸人から賃借人への引渡しの時に当該リース資産の売買があつたものとして、当該賃貸人又は賃借人である居住者の各年分の各種所得の金額を計算する」としています。2項のセール・アンド・リースバックの規定、3項のリース取引の定義(中途解約不能とフルペイアウト)も、法人税法64条の2と同じ文言です。ただし個人側の償却方法や所得税法施行令における取扱いの詳細は、本記事では確認していません。

Q. 土地を長期間借りている場合もリース取引になりますか?

A. 通常の土地の賃貸借は対象から除かれます。法人税法64条の2第3項が「所有権が移転しない土地の賃貸借その他の政令で定めるもの」を定義から除いており、その政令である法人税法施行令131条の2第1項が、除かれる土地の賃貸借の範囲を定めています。同項は、法人税法施行令138条の適用があるもの、および「賃貸借期間の終了の時または中途において土地が無償もしくは名目的な対価で賃借人に譲渡されるものであること」「同じく著しく有利な価額で買い取る権利が賃借人に与えられているものであること」の2つの要件のいずれにも該当しないもの、としています。裏を返せば、この2つのどちらかに当たる土地の賃貸借は除外の対象から外れることになります。

Q. リース取引の消費税はどう扱いますか?

A. 本記事では確認していません。本記事が確認したのは法人税法64条の2、法人税法施行令48条の2・131条の2、所得税法67条の2の各条文と、国税庁タックスアンサー No.5702・No.5704・No.5705 で、いずれも対象税目は法人税です。消費税におけるリース取引の取扱い、仕入税額控除の時期、賃貸借処理をしている場合の取扱いについては、これらの範囲内に定めが見当たらなかったため、本記事では扱っていません。顧問税理士または所轄の税務署へご確認ください。

Q. 新しいリース会計基準(企業会計基準第34号)との関係はどうなりますか?

A. 本記事では会計基準の内容および適用時期を確認していないため、扱っていません。本記事が示しているのは法人税法・同施行令・所得税法の条文と、国税庁タックスアンサーから確認できる法人税上の取扱いに限られます。会計基準と税務上の取扱いは別の体系であり、会計上の処理がそのまま税務上の取扱いを決めるわけではありません。会計基準の適用については、公認会計士または顧問税理士へご確認ください。

出典

本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務相談ではありません。記載は2026年8月16日時点で確認した法令・国税庁資料に基づいています。実際の処理にあたっては、顧問税理士または所轄の税務署へご確認ください。

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