年金の扶養親族等申告書:令和9年分の改正点・提出要否・紙と電子の手順
年金の扶養親族等申告書は、年金額の条件を満たし、本人や家族について各種控除に該当する人が提出します。案内が届いても、控除に該当しなければ提出は不要です。
この記事は、日本年金機構が扱う令和9年分の老齢・退職年金(老齢福祉年金を除く)の手続きです。日本年金機構の令和9年分は、案内の送付基準と所得税の源泉徴収対象額が異なります。
給与用の書類は給与所得者の扶養控除等申告書、本人の確定申告は年金受給者の確定申告で確認できます。
提出が必要かを先に確認する
令和9年分の申告書は、家族の所得要件も改正されています。前年は対象外だった家族も、当年分の「大切なお知らせ」で改めて確認してください。
日本年金機構の令和9年分は、老齢・退職年金(老齢福祉年金を除く)の年間額が「所得税の源泉徴収対象」または「住む市区町村の単身者の住民税非課税限度額以上」である人について、次のように確認します。
| 本人・家族の状況 | 提出の扱い |
|---|---|
| 本人が障害者・寡婦・ひとり親の控除に該当 | 提出する |
| 控除対象となる配偶者・親族がいる | 提出する |
| 退職手当等を受ける見込みのある配偶者・親族が、退職所得を除いて判定すると控除対象となる | 提出する |
| 上の控除・家族の条件のいずれにも該当しない | 提出不要 |
扶養家族がいなくても、本人の障害者控除などに該当する場合があります。退職手当等がある家族の判定は、所得税と住民税を分けた日本年金機構「大切なお知らせ」の確認図を使ってください。
案内の送付基準と源泉徴収基準は別
令和9年分は、住民税の課税対象となり得る人にも提出対象が広がりました。届いた理由と所得税が引かれる理由を分けて確認します。
案内の送付対象となる年金額
日本年金機構の令和9年分の送付基準です。老齢・退職年金(老齢福祉年金を除く)の年間額で確認し、退職共済年金の別区分に該当する人はその行を使います。
| 機構の区分 | 送付対象となる年間額 |
|---|---|
| 65歳未満 | 98万円以上 |
| 65歳以上 | 148万円以上 |
| 退職共済年金を受け、老齢基礎年金の支給もある人 | 退職共済年金が70万円以上 |
この基準は、住民税の課税対象となる可能性のある人へ案内するためのものです。実際の住民税非課税限度額は市区町村で異なり、案内が届いたことだけで課税は決まりません。
日本年金機構の令和9年分の申告書は、送付対象者がペーパーレス化しているとマイナポータルのお知らせ等で案内されます。紙が来ないときは、電子の案内も確認してください。
所得税の源泉徴収対象となる年金額
日本年金機構が案内する令和9年分以降の源泉徴収対象額です。老齢・退職年金(老齢福祉年金を除く)の年間額で確認し、退職共済年金の別区分に該当する人はその行を使います。
| 機構の区分 | 源泉徴収対象となる年間額 |
|---|---|
| 65歳未満 | 164万円以上 |
| 65歳以上 | 214万円以上 |
| 退職共済年金を受け、老齢基礎年金の支給もある人 | 退職共済年金が137万円以上 |
源泉徴収の対象でも、控除後に実際に引かれる税額があるかは別です。
提出対象の説明は機構の紙の提出方法、源泉徴収の区分は老齢年金から源泉徴収される所得税の控除を受けるときに掲載されています。他の年金支払者の手続きは、この記事では扱いません。
紙で出す:変更なし・紛失・期限後
提出が必要な人は、届いた申告書の内容を確認し、同封の返信用封筒に切手を貼って郵送します。提出期限は本人の案内に記載された日を確認し、間に合わなかった場合もなるべく早く提出してください。
| 状況 | 書く・用意するもの |
|---|---|
| 前年提出済みで、申告内容に変更がない | 前年から「変更なし」で申告する欄に丸を付け、氏名を記入する。他項目の記入は不要 |
| 前年から変更がある・今回から申告する | 当年分の手引きに沿い、必要な本人・配偶者・親族の情報を記入する |
| 用紙を紛失・き損した | 機構の当年分様式と提出先を確認し、印刷・記入して送る |
押印は不要です。国外居住の配偶者・親族を控除対象として申告する場合は添付書類も必要になるため、記入方法と添付書類の案内を確認してください。
電子で出す:準備から提出完了まで
機構の申告書の送付対象であっても、旧法老齢年金の受給者(旧公社・農林共済から記録が移管された旧法退職年金を除く)と、国外居住の配偶者・親族を控除対象とする人は電子申請できません。送付対象で電子申請できない区分に該当し、提出が必要な人は紙で提出します(詳しい区分は機構の電子申請案内)。
電子申請で用意するものは本人のマイナンバーカード、署名用電子証明書のパスワード、対応スマートフォン、またはインターネット環境とカード読取装置のあるパソコンです。事前にパスワード設定・マイナアプリの利用登録・マイナポータルとねんきんネットの連携を済ませます。
- 連携済みの人は、マイナポータルの「お知らせ」から機構の申告書の案内を開き、「申請」を選びます。
- 未連携の人は連携手続き後、「年金」→「老齢年金の受給」→「扶養親族等申告書の作成」へ進みます。
- 対象年金を選び、前年の内容を確認するか必要事項を入力します。内容確認後に「申告書を提出する」を選び、本人のカードで電子署名して提出します。
- 提出後はマイナポータルの「やること」で受付状況を確認します。反映には時間がかかる場合があります。
日本年金機構で源泉徴収対象となる年金が複数表示される場合は、控除を希望する年金を選びます。複数の申告書を出すなら、年金の種類ごとに作成します。
| 申告書の提出と入力 | 確定申告での所得税の精算 |
|---|---|
| 両方の申告書に扶養親族等を入力して提出する | それぞれで人的控除を受けるため、追加納付になる場合がある |
| 片方に扶養親族等を入力して提出し、他方は提出しない | 他方は人的控除なしで源泉徴収され、還付になる場合がある |
入力誤りと提出後の扶養の変化を分ける
次は、電子申請で提出した申告書についての確認・訂正方法です。
| 起きたこと | 扱い |
|---|---|
| 提出時の入力内容に誤りがあった | ねんきんネットで申請済みの届書を開き、内容を修正して再提出する |
| 提出した後に扶養状況が変わった | 申告書を再提出せず、翌年の確定申告で所得税を精算する |
| 受付状況が「要再申請」になった | マイナポータルの詳細画面から不備を確認して再申請する |
入力誤りの修正は、ねんきんネットの「届書を電子申請する」→「申請済みの届書を確認する」から該当申請を照会し、「申告内容を修正し再提出する」へ進みます。電子申請の後に紙を送っても、紙の内容は反映されません。
翌年に紙が来ないときはペーパーレス設定を見る
電子申請で提出した人は、扶養親族等申告書の送付希望が「ペーパーレス化する」に初期設定されます。ペーパーレス化対象者が提出期限までに申告しない場合は、別途書面で案内されます。控除に該当し提出が必要な人は、ペーパーレス化後も毎年申告します。
紙の送付を希望する場合は、マイナポータルとねんきんネットの事前連携後、「年金」→「通知書のペーパーレス化」で毎年7月末日までに解除すると、その年9月以降に送る翌年分の申告書に反映されます。
よくある質問
扶養家族がいなければ提出不要ですか?
家族がいないことだけでは決まりません。日本年金機構の令和9年分は、老齢・退職年金の年金額条件に当たり、本人の障害者・寡婦・ひとり親の控除に該当する場合も提出します。老齢福祉年金は対象から除きます。
前年から変更がなくても出しますか?
提出が必要な控除に該当する人は、変更がなくても提出します。紙で、前年分を提出済みで申告内容に変更がない人は、前年から「変更なし」の欄に丸を付け、氏名を記入します。本人・家族について各種控除に該当しない人は提出不要です。
電子申請の後、紙で訂正できますか?
電子申請後に紙を送っても、紙の内容は反映されません。提出時の入力誤りは、ねんきんネットで申請済みの届書を開き、修正して再提出します。提出後に扶養状況が変わった場合は、再提出せず翌年の確定申告で所得税を精算します。
出典
- 日本年金機構「令和9年分『公的年金等の受給者の扶養親族等申告書』の紙の提出方法」
- 日本年金機構「老齢年金から源泉徴収される所得税の控除を受けるとき」
- 日本年金機構「個人の方の電子申請(扶養親族等申告書)」
- 日本年金機構「扶養親族等申告書を提出した場合の源泉徴収税額の計算」
- 日本年金機構「大切なお知らせ」
申告書の記入・提出は日本年金機構、住民税の非課税限度額は住む市区町村が問い合わせ先です。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。