ねんきんネットで条件を変えて試算する
見込額はねんきんネットの試算で確認できます(国民年金・厚生年金・船員保険の加入歴がある75歳未満の方)。公的な試算も、将来の確定額ではありません。
- かんたん試算:現在と同じ条件で60歳まで年金制度に加入する前提で、見込額を出します。
- 詳細な条件で試算:今後の働き方・収入、受給開始年齢、保険料の納付・追納の条件を変え、見込額を比べられます。
この計算機が扱う3つの部品
老齢年金は1つの数字ではなく、別々の条文で計算された部品の足し算です。この計算機が出すのは次の3つで、それぞれ根拠が違います。
端数処理は1円単位の四捨五入です(国民年金法17条1項が「50銭未満は切り捨て、50銭以上1円未満は1円に切り上げ」と定めています)。
受給者の平均額は、自分の見込額とは別
令和6年度末の厚生年金保険第1号の「老齢年金」は、併給する老齢基礎年金を含め、受給者の平均月額が約15万1千円です。加入期間などが異なる人の統計で、厚生年金部分だけの平均や、自分の見込額を示すものではありません。
この集計は「通算老齢年金・25年未満」を別区分にしています。公的年金受給者全体の平均ではありません。
繰上げ・繰下げは付加年金にもかかる
繰上げの減額率は1か月あたり0.4%です(昭和37年4月2日以後生まれ)。繰下げの増額率は1か月あたり0.7%です(国民年金法施行令4条の5第1項)。ここで見落とされやすいのが付加年金にも同じ率がかかることです。施行令12条2項と4条の5第2項が、法44条の額に減額率・増額率を乗じると明記しています。
老齢基礎年金と老齢厚生年金の繰上げ請求は原則として同時ですが、繰下げは別々に選べます。この計算機は、両方を同じ月から受け取り始める前提で試算します。基礎年金だけを繰り下げる場合など、開始月を分けた試算には対応していません。付加年金は老齢基礎年金と同じ率で増減します。
試算と実際の繰上げ請求は分けて考える
繰上げ受給の減額は生涯続き、請求後は取り消せません。繰上げ請求後は、国民年金の任意加入も保険料の追納もできなくなります。計算機で受給開始時期を変える操作は、請求手続きではありません。
繰下げの上限は受給権の取得時期でも変わる
繰下げの上限は、受給権の取得時期などで異なります。詳しくは日本年金機構の受給開始時期の説明をご確認ください。
一方、繰上げの減額率(施行令12条1項)には上限の定めがありません。実際の減額は、請求できる年齢と生年月日によって限られます。
このツールの繰下げ試算は65歳で受給権を取得する場合を想定しています。65歳より後に受給権を取得した場合の繰下げ試算には対応していません。
繰下げができる時期と、できない場合
- 繰下げの申出ができるのは66歳からです(国民年金法28条1項)。65歳1〜11か月を入れると、この計算機は月数分の増額を計算しますが、実際にはその時期に繰下げの申出はできません。
- 65歳になったとき、または66歳になるまでの間に、他の年金の受給権がある人(付加年金・老齢厚生年金を除く)は、老齢基礎年金の繰下げができません。根拠は国民年金法28条1項ただし書です。
- 繰下げ中に障害年金などの受給権が生じた場合の扱いは、国民年金法28条2項をご確認ください。
- この計算機は、他の年金の受給権の有無を判定していません。
このツールが計算しない範囲
このツールの報酬比例部分は通常乗率の本来水準のみの参考試算で、従前額保障等と次のものは計算に入れていません。当てはまるかたは、出てくる金額が実際の額と変わります。増える方向のものと減る方向のものが両方あるので、多めにも少なめにもずれます。
金額に入れていない加算・減額
- 加給年金額— 家族に関する加算です。対象・停止条件は厚生年金保険法44条・46条でご確認ください。この計算機には含めません。
- 振替加算— 老齢基礎年金への加算です。対象・停止条件は昭和60年改正法附則14〜16条でご確認ください。この計算機には含めません。
- 経過的加算(差額加算)— 加算の条件・算式は昭和60年改正法附則59条をご確認ください。増える方向です。
- 特別支給の老齢厚生年金— 対象・開始年齢は厚生年金保険法附則8条・8条の2でご確認ください。この計算機には含めません。
- 在職老齢年金による支給停止— 働き方や報酬により、老齢厚生年金が停止される場合があります。老齢基礎年金は、在職に伴う支給停止の対象にはなりません。停止範囲は厚生年金保険法46条でご確認ください。
- 第3種被保険者(坑内員・船員)の特例— 被保険者期間を3分の4倍・5分の6倍する期間があり、乗率の読替えも入ります。
- 厚生年金基金の代行部分— 基金・連合会に代行給付義務が残る期間は、国からの支給額がその分少なくなります。
- 合算対象期間(カラ期間)— 受給資格期間の10年には算入されますが、老齢基礎年金額の計算には反映されません。
金額を出さない場合
次に当てはまると、別の率・別の算式が要るため、このツールは金額を出さず、理由を表示します。
- 平成21年3月以前の保険料免除期間— 当時の国庫負担は3分の1だったため反映率が違います。当時の反映率は、日本年金機構の年金額の説明でご確認ください。このツールは入力があれば金額を出さずに申告します。
- 昭和37年4月1日以前生まれの方の繰上げ— 減額率が1か月0.5%(改正前)で、このツールが使う0.4%と異なります。生年月日から機械的に判定して金額を出しません。
- 昭和27年4月1日以前生まれの方の繰下げ— このツールとは繰下げ上限の扱いが異なります。同じく判定して金額を出しません。
- 昭和16年4月1日以前生まれの方の加入可能年数— 大正15年4月2日以後生まれでは40年より短く(昭和60年改正法附則13条・別表第四)、分母が480月になりません。同じく判定して金額を出しません。
税・保険料は、条件に応じて年金から差し引かれる場合があります。このツールが出すのは差し引く前の年金額です。
受給資格期間(10年)を満たしているかどうかはこのツールでは判定していません。満たしていない場合は、月数を入れれば金額が出ますが、実際には支給されません。
免除期間は「率を掛ける」だけでは足りない
免除期間の反映には、区分ごとの条件と算入限度があります。ただし国民年金法27条ただし書には、率のほかに「号ごとの上限」があります。この計算機は、上限まで含めて計算します。
免除期間の算入には国庫負担が関係します。区分ごとの扱いは国民年金法85条に定められています。
一部免除の限度超過分の反映率は、国民年金法27条3・5・7号をご確認ください。
上限は納付済月数から順に計算します。国民年金法27条2・4・6・8号の上限は、480月から先行する各期間の元の月数を引いて求めます。
例外は全額免除です。 27条8号には上限を超えた分を拾う号がありません。つまり限度を超えた全額免除の月数は、年金額に一切反映されません。
もう1つの急所は、上限の計算に使う月数です。条文は「保険料四分の一免除期間の月数」と書いており、限度を適用したあとの月数とは書いていません。つまり上限を消費していくのは各号の「もとの」月数です。
なお学生納付特例と納付猶予の期間は、追納しない限り年金額には反映されません(27条8号のかっこ書が90条の3第1項の期間を除いています)。受給資格期間の10年には算入されるので「カウントされている」と誤解しやすいところです。追納すれば納付済月数になります。
一部免除は、残りの保険料を納めていることが算入の条件です。学生納付特例・納付猶予の期間を年金額に反映させるには追納が必要です。
追納には期限と加算がある
追納の対象期間・条件は、国民年金法94条でご確認ください。免除等の承認を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納すると、当時の保険料に加算額が付きます。
一部免除で残りの保険料を納めていない期間は、追納できません。老齢基礎年金を受け取れる人も追納できません。
国内居住者の任意加入の条件
国民年金の任意加入で納付月数を増やす方法もあります。国内居住者が増額のために任意加入するには、次の条件をすべて満たす必要があります。
| 確認すること | 国内居住者の任意加入の条件 |
|---|---|
| 住所・年齢 | 日本国内に住所があり、60歳以上65歳未満である |
| 繰上げ受給 | 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない |
| 納付月数 | 20歳以上60歳未満の保険料納付月数が480月未満である |
| 他制度への加入 | 厚生年金保険・共済組合等に加入していない |
日本国籍がなく、在留資格が特定活動の医療滞在・その付添人、または観光・保養等の長期滞在・その同行配偶者である人は除かれます。
海外居住者や、受給資格を確保するための特例加入は別の枠です。
任意加入は申出のあった月からで、過去にさかのぼって加入することはできません。
満額の改定率は生年月日で区分される
老齢基礎年金の満額は、国民年金法27条本文の78万900円に、その年度の改定率を乗じ、100円単位で四捨五入した額です。改定率の区分は、受け取り始めたかどうかで分かれるものではありません。改定率には2つの区分があります。令和8年度の満額は、昭和31年4月2日以後生まれかどうかで異なります(日本年金機構の年金額の説明)。
この計算機は生年月日から該当する満額を選び、どちらを使ったかを結果に表示します。
平成15年4月で乗率と分母が同時に変わった
報酬比例部分は、平成15年4月の前後で計算を分けます。総報酬制の導入により、乗率と、乗率を掛ける相手の意味が変わったためです。
- 平成15年3月以前の期間 — 通常乗率による本来水準は、平均標準報酬月額 × 1000分の7.125 × 月数(平成12年改正法附則20条)。
- 平成15年4月以後の期間 — 通常乗率による本来水準は、賞与を含む平均標準報酬額 × 1000分の5.481 × 月数(厚生年金保険法43条)。
生年月日別の乗率の読替えや従前額保障があります。平成12年改正法附則20条2項・21条をご確認ください。
乗率が下がったのは給付の削減ではなく、賞与という分母が加わったことに合わせた調整です。ねんきん定期便でも、この2つの期間は分けて記載されています。
よくある質問
保険料を免除してもらった期間は、年金額にどれくらい反映されますか?
免除期間の反映率は区分で異なります。一部免除は残りの保険料の納付が条件です。反映率は日本年金機構の年金額の説明をご確認ください。ただし号ごとに上限があり、限度超過分の反映率は国民年金法27条3・5・7号をご確認ください。限度を超えた全額免除の月数だけは反映されません。学生納付特例と納付猶予の期間は、追納しない限り年金額に反映されません。
繰上げ・繰下げをすると、付加年金も一緒に増減しますか?
します。国民年金法施行令12条2項と4条の5第2項が、付加年金の額にも同じ減額率・増額率を乗じると定めています。この計算機は、両方を同じ月から受け取る前提です。特別支給の対象者や一部繰上げは試算の対象外です。開始月を分ける試算には対応していません。
繰下げは何歳まで、どれだけ増えますか?
繰下げは1か月あたり0.7%増えます(国民年金法施行令4条の5第1項)。上限は受給権の取得時期などで異なります。詳しくは繰下げの上限をご覧ください。繰上げ率は繰上げの説明をご覧ください。
厚生年金の乗率が2つあるのはなぜですか?
平成15年4月に総報酬制が導入され、乗率と、乗率を掛ける相手の意味が同時に変わったためです。算式と例外は報酬比例部分の説明をご覧ください。
この計算機の金額は、実際に振り込まれる額と同じですか?
違います。この計算機が出すのは老齢年金の本体部分だけで、加給年金額や在職老齢年金による支給停止などは入れていません。入れていないものは「このツールが計算しない範囲」に全部並べています。税・保険料は、条件に応じて年金から差し引かれる場合があります。見込額の確認方法はねんきんネットの試算をご覧ください。確定した年金額は「ねんきんネット」または年金事務所でご確認ください。
出典
- 日本年金機構「ねんきんネットによる年金見込額試算」
- 日本年金機構「任意加入制度」
- 日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」
- 厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」令和6年度
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」
- 国民年金法(昭和34年法律第141号)
- 国民年金法施行令(昭和34年政令第184号)
- 厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)
- 平成12年改正法(平成12年法律第18号)
- 日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
見込額の確認方法はねんきんネットの試算をご覧ください。確定した年金額は年金事務所でご確認ください。
満額は毎年度の改定率で変わるので、毎年4月に取り直す前提のデータにしてあります。