賦課区分が3つから4つになった
国民健康保険料(税)は、いくつかの賦課区分ごとに保険料を計算して合算します。長らく医療分・後期高齢者支援金等分・介護分の3つでしたが、令和8年度から「子ども・子育て支援納付金賦課額」が加わって4つになりました(国民健康保険法施行令29条の7第1項1号〜4号)。
区分ごとに、次の3つを計算して足します。
- 所得割 — 所得に率を掛ける
- 均等割 — 被保険者1人あたり
- 平等割 — 1世帯あたり
区分によって、負担する人が違います。介護分は介護保険第2号被保険者だけが対象です(同項3号)。子ども・子育て支援金分の均等割は、18歳に達する日以後の最初の3月31日まで全額減額されます(未就学児と18歳未満の減額)。
料率に全国共通の値は存在しない
施行令29条の7が全国共通で定めているのは賦課の組み立て方であって、料率そのものではありません。所得割率・均等割額・平等割額は市町村が条例で定めます。都道府県単位化の後も、賦課と徴収を行うのは市町村です。平等割をそもそも採らない市町村もあります(施行令は所得割・被保険者均等割・世帯別平等割・資産割の組み合わせ方を複数認めています)。
だからこの計算機は、料率を入力してもらう形にしています。市町村ごとに料率が異なるため、お住まいの市町村の料率を確認して入力してください。保険料の計算機でいちばん困る誤り方は「もっともらしい額が出るが、納付通知書と合わない」ことなので、空欄のまま計算ボタンを押した場合は金額を出さずに入力を促します。
賦課限度額は区分ごとに個別にかかる
令和8年度の賦課限度額は医療分67万円・後期高齢者支援金等分26万円・介護分17万円・子ども・子育て支援金分3万円です(施行令29条の7第2項9号・3項・4項・5項)。合計は、介護分の対象者(40歳以上65歳未満の第2号被保険者)がいる世帯で113万円、いない世帯で96万円です。条文に「113万円」という数字があるわけではありません。区分ごとの上限を足しただけの数です。
この違いは実際の金額に出ます。たとえば所得が高く医療分だけが67万円に張り付き、他の3区分は上限に届いていない世帯を考えると、区分ごとに上限を当てる正しい計算では医療分の超過分だけが切り落とされます。いずれかの区分が個別上限を超えているのに合計が113万円未満なら、合計だけに113万円の上限を当てる計算では過大になります。上限による調整額は、各区分の上限適用前の金額によって変わります。
軽減されるのは均等割と平等割だけ
所得が基準以下の世帯では、均等割と平等割を7割・5割・2割軽減します(施行令29条の7第6項1号〜3号)。所得割は軽減されません。所得割まで7割引にする計算は、低所得世帯の保険料を大きく過小に出します。
令和8年度の判定は次の表のとおりです。複数に当たる世帯には、最も大きい軽減割合を適用します。基準額は43万円+(給与所得者等の数−1)×10万円で、この加算は給与所得者等が2人以上のときだけ効きます。
| 軽減割合 | 判定所得がこの額以下なら該当 |
|---|---|
| 7割軽減 | 基準額 |
| 5割軽減 | 基準額 + 31万円 × (被保険者数+特定同一世帯所属者数) |
| 2割軽減 | 基準額 + 57万円 × (被保険者数+特定同一世帯所属者数) |
給与所得者等は、次のどちらかに当たる人です(同項1号)。
- 前年の給与収入が55万円を超える人
- 前年の公的年金等の収入が、65歳未満で60万円、65歳以上で110万円を超える人。給与所得のある人は上で数えます。
判定に使う所得は次の節で説明します。6割・4割などの別方式を採る市町村の軽減は、このツールが計算しない範囲です。
判定所得は基礎控除を引く「前」
軽減判定に使う所得は基礎控除43万円を引く前の総所得金額等です(施行令29条の7第6項1号)。確定申告の課税所得ではありません。次の人の所得を合算します。
- 国保に加入している被保険者
- 世帯主 — 国保に加入していない世帯主(擬制世帯主)でも、その所得を算入します。
- 特定同一世帯所属者 — 後期高齢者医療制度に移って国保の資格を失った日の前日から、継続して同じ世帯にいるかたです。保険料はかかりませんが、所得にも人数にも算入します。
世帯主や特定同一世帯所属者の所得を落とすと、軽減が過大になる場合があります。所得が0円の場合や基準をまたがない場合は、段階が変わりません。
所得割は基礎控除を引いた「後」で計算する
所得割は、各人の基礎控除後の総所得金額等を基に計算します(同条2項4号)。基礎控除の額は、各人の合計所得金額で決まります。
| 合計所得金額 | 所得割の基礎控除 |
|---|---|
| 2,400万円以下 | 43万円 |
| 2,400万円超 2,450万円以下 | 29万円 |
| 2,450万円超 2,500万円以下 | 15万円 |
| 2,500万円超 | 0円 |
繰越控除などで合計所得金額が総所得金額等と異なる場合は、合計所得金額も入力してください。
判定に控除後の所得を使うと、軽減が過大になる場合があります。段階が変わらない場合もあり、必ず1段階ずれるわけではありません。
この43万円は地方税法314条の2第2項1号の基礎控除額です。所得税の基礎控除とは別物なので、取り違えないでください。所得税の額は基礎控除の解説にまとめています。
未就学児と18歳未満の減額
子どもに関する減額は2つあって、対象も割合も違います。
- 未就学児(6歳に達する日以後の最初の3月31日以前)— 均等割が5割減額(施行令29条の7第6項6号・7号)。
- 18歳未満(18歳に達する日以後の最初の3月31日以前)— 子ども・子育て支援金分の均等割が全額減額(同項10号・11号)。
減額の順序と対象
- 未就学児の5割は、7割・5割・2割の軽減を当てた「後」の額から減額します。7割軽減世帯なら元の額の0.3×0.5=15%が残ります。
- 未就学児の5割減額の対象は、医療分・後期高齢者支援金等分・子ども・子育て支援金分の均等割です。このうち子育て分は、18歳未満の全額減額で0円になります。
- 子育て分の一般均等割は全年齢に賦課した上で、上の期間は全額減額します。
- その期間を過ぎた被保険者には、十八歳以上被保険者均等割額を加算します(同条5項3号)。7割・5割・2割の軽減は、この加算額にも当たります(同条6項1号・3号)。
どちらも均等割の減額で、所得割は別に計算します。医療分・後期高齢者支援金等分・子育て分の所得割には、年齢による対象制限がありません。高校生等でも、基礎控除後の総所得金額等があれば子育て分の所得割の対象です。給与所得控除と基礎控除の範囲内のアルバイト収入には、所得割はかかりません。
このツールが計算しない範囲
保険料は最終的に市町村が決定します。このツールは施行令29条の7の本文どおりの計算で年額を概算するもので、次のものは計算に入れていません。当てはまるかたは、出てくる金額が実際の納付額と変わる場合があります。
- 産前産後期間の免除(第6項8号・9号)— 出産する被保険者本人の所得割と均等割を、出産予定月の前月から翌々月までの4か月分減額します。多胎妊娠は3月前からの6か月分です。出産予定月は、厚生労働省令で定める場合は出産の日の属する月を指します。
- 非自発的失業者の軽減(施行令29条の7の2)— 特定受給資格者と、受給資格のある特定理由離職者が対象です。離職日の翌日が属する年度の翌年度末まで、給与所得を30%として計算します。
- 軽減の別方式(第6項4号・5号)— 7割・5割に代えて、6割・4割または5割・3割で軽減する市町村の方式。
- 特定世帯・特定継続世帯の平等割の減額(第2項8号など)— 特定同一世帯所属者がいて、国保の被保険者が1人だけの世帯の平等割を減らす措置。特定月(国保の資格を失った日の前日の属する月)から5年を経過する月までが特定世帯、その翌月から8年を経過する月までが特定継続世帯です。
- 事業専従者がいる世帯の判定所得(第6項2号)— 軽減の判定では、専従者給与・専従者控除を適用しない所得で計算し直します。
- 所得の補正(第2項4号ただし書)— 賦課額が限度額を上回ることが確実と見込まれる場合に、基礎控除後の総所得金額等を補正する措置。
- 資産割(第2項2号イ)— 固定資産税額に応じた賦課。採用している市町村は少数です。
- 市町村の条例による独自の減免(国民健康保険法77条)— 災害・所得の激減などに応じた減免。
- 年度途中の資格取得・喪失にともなう月割— このツールは年額(12か月分)を出します。
- 期別の割り振り— 実際の納付は8〜10期などに分割され、1期目だけ端数を寄せる市町村が多くあります。
保険料と保険税の別— 賦課の枠組みは同じですが、根拠が国民健康保険法76条(保険料)か地方税法703条の4(保険税)かで、時効や滞納処分の扱いが変わります。金額の計算はどちらも同じ形です。
公的年金を受けているかたは、判定所得の取り扱いがこのツールと異なる場合があります。確定した金額は必ず納付通知書か市町村の窓口でご確認ください。
よくある質問
国民健康保険料は全国共通ではないのですか?
共通ではありません。共通なのは「組み立て方」だけで、所得割率・均等割額・平等割額は市町村がそれぞれ条例で定めます。平等割を採らない市町村もあります。料率は納付通知書か市町村のサイトに載っています。
令和8年度から何が変わったのですか?
賦課区分が3つから4つになりました。子ども・子育て支援納付金賦課額(限度額3万円)が新設されています(国民健康保険法施行令29条の7第1項4号)。医療分(基礎賦課額)の限度額も、66万円から67万円へ引き上げられました。3区分のままの計算機は、新設分をまるごと落とします。
子どもの分の保険料はどうなりますか?
減額が2つあります。未就学児は均等割が5割減額されます(施行令29条の7第6項6号)。18歳に達する日以後の最初の3月31日までは、子ども・子育て支援金分の均等割が全額減額されます(同項10号・11号)。どちらも均等割の減額で、所得割は別に計算します。
軽減の判定に使う所得は、確定申告の課税所得ですか?
違います。軽減判定に使うのは基礎控除43万円を引く「前」の総所得金額等で、社会保険料控除や扶養控除といった所得控除も引きません(施行令29条の7第6項1号)。世帯主と特定同一世帯所属者の所得も加えます。所得割のほうは、各人の基礎控除後の総所得金額等を基に計算します。
賦課限度額の113万円を超えたら、そこで頭打ちですか?
113万円という上限が1本あるのではありません。医療分67万円・後期高齢者支援金等分26万円・介護分17万円・子ども・子育て支援金分3万円という上限が、区分ごとに個別にかかります。113万円はその4つを足した数字です。医療分だけが上限に張り付き、他の区分は届いていない世帯も生じます。
出典
- 国民健康保険法施行令(昭和33年政令第362号) — 29条の7(市町村の保険料の賦課に関する基準)
- 1項1号〜4号(賦課4区分)
- 2項4号(基礎控除後の総所得金額等)・2項9号(医療分67万円)
- 3項(後期高齢者支援金等分26万円)/4項(介護分17万円)
- 5項(子ども・子育て支援金分3万円)・5項3号(十八歳以上被保険者均等割額)
- 6項1号〜3号(軽減の判定と7割・5割・2割)
- 6項6号7号(未就学児の5割減額)・6項8号9号(産前産後の免除)
- 6項10号11号(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの子ども・子育て支援金分均等割の全額減額)
- 29条の7の2(特例対象被保険者等に係る特例)
- e-Gov法令検索で確認(2026年8月1日施行版)
- 地方税法(昭和25年法律第226号)
- 314条の2第2項1号(基礎控除43万円)
- 703条の4・703条の5(国民健康保険税の場合の賦課と減額)
- e-Gov法令検索で確認(2026年9月24日施行版)
- 国民健康保険法(昭和33年法律第192号) — 76条(保険料)/77条(条例による減免)
料率は市町村の条例によりますので、確定した金額は納付通知書または市町村の窓口でご確認ください。