納品書の書き方|記入例と分納・返品・数量訂正の照合表
納品書には、今回納める品名・数量と、どの注文に対応するかを書きます。分納なら注文全体の数量を写さず、今回分と残りを分けます。そうすると、受け手の検品と経理の請求照合をつなげやすくなります。
以下は、会社間で物品を納める場合の記入・管理の運用例です。任意の実務項目と、納品書をインボイスの一部に使う場合の記載要件を分けて確認します。発行義務・保存期間は納品書とはで扱います。
まずは納品書の記入例
納品書には品名だけでなく、型番と単位まで合わせて書きます。注文番号は受注内容を探すため、納品書番号は今回の納品を探すための項目です。同じ注文を分納するときも、納品ごとの書類を区別します。
次は架空の税抜明細例です。青葉商事が若葉販売へ、注文10台のうち今回6台の卓上トレーを納め、税抜単価2,000円で記入する想定です。税額・税込請求総額はこの表に含めません。会社名・商品名・番号も架空です。
| 記入欄 | 記入例 |
|---|---|
| 宛名 | 若葉販売株式会社 御中 |
| 発行者 | 青葉商事株式会社/営業部/連絡先 |
| 納品書番号 | DN-A |
| 注文番号 | PO-A |
| 発行日 | この書類を発行した日 |
| 納品日 | 実際に納めた日 |
| 品名・型番 | 卓上トレー/TR-A型 |
| 今回数量・単位 | 6台 |
| 税抜単価 | 2,000円/台 |
| 今回の税抜金額 | 12,000円 |
| 備考 | 注文10台のうち今回6台納品、未納4台。残りの納期は別途確認 |
これは請求書と組み合わせる前の税抜明細例です。この表だけでは適格請求書の記載事項を満たしません。税率ごとの金額・税額などをどの書類に載せるかは、後の「インボイスに使うときの確認」で整理します。
納品日が未確定なら、出荷日や到着予定日を実際の納品日として確定記入する扱いは避けます。この運用例では欄名を「出荷日」「納品予定日」に分け、実際の納品後の記録と対応させます。取引年月日に何を使うかは、帳票の発行日だけで決めません。
公的な記載項目の例として、神戸市の納品書の案内には、供給人名・納入年月日・場所・品名・数量・単価・総額が挙げられています。同市への納品向けの案内で、民間共通の義務ではありません。以下の番号設計や受注残の管理は、このページの運用例です。
各欄で迷いやすい点
各欄では、取引先や品名、数量などを注文・現物と照合できるように記入します。次の表は、物品納品の照合に使う任意の実務項目です。契約や先方指定様式に必要欄がある場合は、それも確認します。ここに並べた項目を、納品書共通の法定必須項目として示しているものではありません。
| 欄 | 書き方・確認すること |
|---|---|
| 取引先・納品先 | 取引先の正式名称と、倉庫・店舗などの届け先を区別する |
| 品名・型番 | 注文書と現物を特定できる名称にする。似た商品は型番も記載 |
| 数量・単位 | 今回納める数量を記入。台・個・箱など、注文時の単位との違いを確認 |
| 単価・金額 | 税抜か税込かを明示。値引き後など、合意した単価と照合する |
| 日付 | 発行日・出荷日・納品日・検収日を混同せず、何の日付か示す |
| 番号 | 注文番号と納品書番号を分け、請求書から対象の納品をたどれる形にする |
| 備考 | 分納・未納・訂正元など、通常の明細だけでは分からない内容を書く |
「一式」とだけ書くと、今回どこまで納めたかが分からなくなることがあります。この物品例では型番・数量・単位で特定します。箱単価で契約したものを個数で記入する場合は、入り数と金額の計算単位も合わせます。
金額を相手の届け先に見せない運用なら、金額を省いた納品書と請求用の明細を区別します。インボイスの一部として使う場合に不足する事項は、関連を明確にした請求書などとの全体で満たす必要があります。
分納は今回分と未納分を分ける
分納の記入では、注文済みと納品済みを分けます。発注書の数量をそのまま納品書に写すと、まだ届けていないものまで請求候補に入るためです。次は、このページの記入例を管理するための運用表です。
| 管理する対象 | 記録のしかた |
|---|---|
| 注文 | 注文番号PO-Aに受注内容と合意した納期を残す |
| 今回の納品 | 納品書番号DN-Aで今回分の品名・数量・納品日を記録 |
| 未納分 | 受注残の欄に残数量と残りの納期の確認状況を残す |
| 後日の納品 | 同じ注文番号を使い、別の納品書番号DN-Bを付ける |
| 請求対象 | 対象期間の納品書番号と、契約上の請求条件を確認する |
備考だけで管理を完結させず、受注残の一覧も更新する方法が考えられます。先方への送付時には、今回分の受領確認先を決めておくと、経理への伝達漏れを減らせます。残りの納期を確認する担当者も決めておきます。
納品書の発行だけで、検収や請求条件の充足まで確認済みにはしません。契約上、検収後に請求する取引なら、納品書とともに検収の結果を確認します。受け取る側の記入は受領書の書き方で確認できます。
返品と数量の誤記は処理を分ける
実際に納めた後に戻ってきた商品と、書類の数量だけを間違えたものは分けて記録します。元の納品書を書き換えるだけでは、何が実際に動いたのかが分からなくなるためです。次は社内で対応を決めるための運用例です。
| 起きたこと | 元の納品との対応 | 請求前に確認 |
|---|---|---|
| 後日、商品が返品された | 返品記録に元納品書番号・品名・数量・返品日を残す | 返品の合意と対価の返還・減額内容 |
| 納めた数量は正しいが納品書を誤記 | 訂正前の番号・誤記箇所・正しい数量を対応させる | 訂正版と請求明細の数量 |
| 納品書と、受領側の数が食い違う | 相違の記録を残し、出荷記録・受領記録と照合する | 不足・誤配送・数え違いなどの事実 |
相違の連絡を受けただけで、先に返品や値引きを確定した扱いにはしません。現物の動き、契約上の取扱い、担当部署が合意した内容を確かめます。その結果を請求担当へ渡します。
インボイスでは、返品などに伴う対価の返還は、当初の記載誤りの修正とは別の扱いです。国税庁Q&A問27には適格返還請求書の交付義務と免除が示されています。返品記録を作っただけで税務上の確認も終わったとはせず、返還請求書の要否と記載事項を別に確認します。
数量を訂正したら元の書類と結ぶ
訂正版には、どの納品書の何を直したかを書きます。以下は、納品書の数量欄に誤記があり、記入例の今回数量へ直す場合の連絡欄の文例です。法定様式ではなく、取引先と訂正内容を共有するための運用例です。
納品書番号DN-Aの数量欄に誤記があったため、訂正版DN-A改を送付します。今回数量を記入例の数量へ訂正し、対応する税抜金額も修正しました。元のDN-Aを追加納品分として処理せず、訂正前後の対応を確認してください。実際の納品日と注文番号に変更はありません。
文例の「変更はありません」は、事実として変わっていない場合に使う表現です。単価や日付も誤っていたなら、その項目も訂正対象に含めます。訂正版の発行日を記録するときも、元の取引日を新しい日付へ置き換えることとは区別します。
| 訂正時の記録 | 残す内容の例 |
|---|---|
| 訂正元と訂正版 | 元DN-A/訂正版DN-A改 |
| 変更内容 | 誤った記載・正しい記載・修正した金額の範囲 |
| 理由と確認者 | 数量の転記誤り/出荷記録と照合した担当者 |
| 送付・受領 | 送付先・送付日・相手方の受領確認 |
| 社内処理 | 請求明細への反映と、旧版の重複計上を防ぐ管理状態 |
適格請求書として交付済みの書類に誤りがある場合は、発行者による修正交付が必要です。これは電子データで提供した場合も含みます。根拠は消費税法57条の4と国税庁Q&A問33です。
同Q&Aは、誤りを修正し、記載事項をそろえた書類を改めて交付する方法を示しています。当初書類との関連を明らかにし、修正事項を明示した書類を交付する方法なども示しています。修正版を交付した事業者は、当初と修正後の写しを保存します。
受領側で数量や金額を黙って書き換えて処理を終えるのではなく、発行側へ相違を連絡します。複数書類を組み合わせたインボイスであれば、納品書を直した結果、請求書側の金額・税額も直す必要がないか確認します。
インボイスに使うときの確認
納品書をインボイスに使うときは、適格請求書の記載事項を満たすか確認します。注文番号や数量・単価をそろえることとは別の確認です。登録を受けた発行事業者が通常の適格請求書を作る場合には、次の記載事項をそろえます。適格簡易請求書の省略事項は、この表では扱いません。
| 確認する事項 | 記載内容 |
|---|---|
| 発行者 | 氏名または名称と登録番号 |
| 取引日 | 課税資産の譲渡等を行った年月日。課税期間内の一定期間の取引をまとめた場合は、その期間 |
| 取引内容 | 資産・役務の内容。軽減税率対象ならその旨も記載 |
| 対価・税率 | 税率ごとに区分して合計した税抜額または税込額と適用税率 |
| 消費税額等 | 税率ごとに区分した消費税額等 |
| 交付先 | 書類を受け取る事業者の氏名または名称 |
出典:国税庁Q&A問65。
納品書と請求書を組み合わせる場合は、書類相互の関連が明確で、対象取引を正確に認識できる方法で交付します。そのうえで、全体で必要事項を満たします。請求書への納品書番号の記載は、その関連を示す方法の例です。番号を記載しただけで、足りない税率や税額などが補われるわけではありません。
請求書に必要事項をそろえて記載する方法もあります。どちらの方式かを取引先と共有します。分納後の請求や修正版の受領時も、組み合わせる書類を確認します。
請求書へ移す前の照合表
請求書を作る前に、対象の納品書と返品・訂正の記録を突き合わせます。以下は社内手順の例です。締日だけでなく、契約上の請求条件と請求済みかどうかも確認します。
| 照合するもの | 見る点 |
|---|---|
| 注文と今回納品 | 品名・型番・単位・単価と、今回の数量が合うか |
| 分納と受注残 | 今回分を重複計上せず、未納分を今回の請求へ混ぜていないか |
| 返品の記録 | 合意した返品・減額が請求対象へ反映されているか |
| 訂正前後の版 | 訂正内容を反映し、旧版を追加納品として取り込んでいないか |
| 請求済みの記録 | 同じ納品を既に請求していないか |
| インボイスの組合せ | 関連する書類をそろえ、必要事項が全体にあるか |
受領側で請求書を照合するときも、数量の根拠になる納品書を確認します。金額を変更する返品・訂正の連絡も合わせて確認します。合わないときは、相手方に「どの注文・納品・修正版の相違か」を伝えられる形にします。
まとめ
納品書は今回納めた内容を記入し、注文・分納・返品・訂正版との対応を残します。請求前に現物と記録の相違を解消し、インボイスに使う書類では、任意の管理欄とは別に記載要件を確認します。
よくある質問
納品書には注文数と今回の納品数のどちらを書きますか?
今回納める数量を書き、注文数や残数量とは分けて記録するのが、このページの運用例です。注文番号で受注内容と結び、残りの納品には別の納品書番号を付けます。
分納のたびに同じ注文番号を使ってよいですか?
このページの運用例では、同じ注文番号を使い、納品書番号で各回を区別します。先方の受発注システムで枝番などの指定があれば、それと対応できる番号を使います。
返品があったら、元の納品書の数量を直せばよいですか?
実際の返品と、元の数量欄の誤記は分けて扱います。返品は元納品書と結んだ返品記録を残す運用とし、対価の返還を伴う場合は、適格返還請求書の要否も別に確認します。
インボイスとして交付した納品書の誤りは、受け手が直せますか?
受け手が黙って書き換えて終える扱いにはしません。交付済みの適格請求書等の記載事項に誤りがある場合は、発行者が修正した書類を交付します。元書類との関連と、修正した事項を分かる形にします。
納品書と請求書に同じ項目を全部書きますか?
複数書類を組み合わせて適格請求書にするなら、相互の関連が明確で、取引内容を正確に認識できる方法で交付し、全体で記載事項を満たせば対応できます。納品書番号で結ぶ場合も、不足する項目がないか両方を確認します。
出典
神戸市「入札によらない物品購入等における見積書・納品書等の様式」:同市向けの納品書の記載項目例。
e-Gov法令検索「消費税法」57条の4:適格請求書等の記載事項と修正交付。
国税庁「適格請求書等保存方式に関するQ&A」問65:一定期間の取引をまとめた請求書と納品書の組合せ。
同Q&A問33:修正した適格請求書の交付方法と写しの保存。
同Q&A問27:返品等の適格返還請求書の交付義務と免除。
記入例と社内の照合手順は、物品取引のための任意の運用例です。公的な共通様式や、納品書の法定必須項目として示したものではありません。
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の税務相談には応じられません。税務上の個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。