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ROEとは?ROAとの違いと計算式|期首・期末平均の計算例

ROE(自己資本利益率)は、当期純利益を自己資本で割った比率です。ROA(総資産利益率)は、利益を総資産で割った比率です。ROEは株主の持分に対する利益、ROAは負債も含めた資産全体に対する利益を見ます。

同じROEでも、東証の決算短信と財務省の法人企業統計では、分子の利益と自己資本の範囲が違います。どちらも分母は期首と期末の平均です。社内で計算するときは、下の表で式を1つに決め、その条件を比率と一緒に残します。

ROE・ROAの計算式

決算短信(日本基準の連結)のROEは、親会社株主に帰属する当期純利益を、期首と期末の自己資本の平均で割って100を掛けます。期首と期末の自己資本の合計がマイナスなら、数値でなく「-」と記載します。日本基準の決算短信での名前は「自己資本当期純利益率」です。

日本基準の決算短信でROAに当たる指標は「総資産経常利益率」で、分子は当期純利益ではなく経常利益です。財務省の法人企業統計は、これとは別の定義を使います。

次の表は、東証「決算短信・四半期決算短信作成要領等」(2026年7月版)の日本基準の連結の様式と、財務省「キーワードで見る法人企業統計」(ROEは2007年度調査以降)の算式です。どの式も分子÷分母に100を掛けて%で表し、[平均]は(期首+期末)÷2です。決算短信のROEは、分母がマイナスなら「-」と記載します。

資料と指標分子分母
決算短信(日本基準)のROE(自己資本当期純利益率)親会社株主に帰属する当期純利益自己資本[平均]
決算短信(日本基準)のROA(総資産経常利益率)経常利益総資産[平均]
法人企業統計のROE(自己資本利益率・2007年度調査以降)当期純利益純資産-新株予約権[平均]
法人企業統計のROA(総資本利益率)営業利益・経常利益などの利益総資本[平均]

法人企業統計のROEの分母は、2006年度調査以前は新株予約権を除かない純資産でした。同統計の総資本は、負債・特別法上の準備金・純資産の合計です。

「当期純利益÷期末の純資産」のように単純化した式でも、社内の推移を見ることはできます。決算短信や統計の比率と並べるときは、上の表の定義にそろえて計算し直します。

自己資本と総資産の範囲

決算短信(日本基準)の自己資本は、純資産合計から株式引受権・新株予約権・非支配株主持分を除いた額です。総資産は、貸借対照表の資産合計です。

決算短信の個別情報(単体)では、自己資本は純資産合計から株式引受権と新株予約権を除いた額です。どちらもなければ、純資産合計がそのまま自己資本です。控除する項目の見つけ方は、自己資本比率の解説で表にしています。

日本基準の連結のROEの分子は、連結損益計算書の「親会社株主に帰属する当期純利益」の行を使います。分子の利益の段階は、損益計算書の見方で確認できます。

IFRSの決算短信では、ROEに当たる指標を「親会社所有者帰属持分当期利益率」、ROAに当たる指標を「資産合計税引前利益率」と呼びます。米国基準の様式では「株主資本当社株主に帰属する当期純利益率」と「総資産税引前当期純利益率」です。会計基準が違う会社と並べるときは、指標の名前と分子の利益を確かめます。

架空の決算で計算する

同じ決算でも、平均で割るか期末だけで割るかで、ROEは11.0%と約10.5%に分かれます(下の仮設例)。

次の表は、日本基準・単体の会社を想定した仮設例です。金額の単位は百万円です。株式引受権と新株予約権はなく、純資産の全額を自己資本とします。この仮設例の期中の純資産の動きは、当期純利益44と配当4だけとします。

貸借対照表期首期末平均
総資産9001,1001,000
自己資本380420400

同じ仮設例の当期の損益は、売上高1,600、経常利益66、当期純利益44です(単位は百万円)。次の表は、その数字を各式に当てはめた結果です。

指標計算結果
ROE(平均の自己資本)44÷400×10011.0%
ROE(期末の自己資本)44÷420×100約10.5%
ROA(経常利益・平均の総資産)66÷1,000×1006.6%
ROA(当期純利益・平均の総資産)44÷1,000×1004.4%

決算短信の式にそろえると、この仮設例のROEは11.0%、ROAに当たる総資産経常利益率は6.6%です。この仮設例のように黒字で自己資本が増えた年は、期末の自己資本で割ったROEのほうが低く出ます。

期末の自己資本で割った仮設例の値は10.476…%で、小数第2位を四捨五入して約10.5%と表示しています。

売上高に対する利益率は、利益率・原価率計算で確かめる

ROEとROAの違いと関係

ROEは株主の持分に対する利益、ROAは事業に使う資産全体に対する利益を見る比率です。分母の差は負債などの部分なので、分子の利益と分母の時点をそろえると、ROEはROAに「総資産÷自己資本」を掛けた値になります。

項目ROEROA
分母自己資本総資産(負債も含む)
決算短信(日本基準)の分子親会社株主に帰属する当期純利益経常利益
法人企業統計の説明株主から調達した資金と内部留保した資金で、どの程度の利益をあげているか企業の総合的な収益性

財務省の法人企業統計は、ROEを3つの比率の掛け算に分けて説明しています。

ROE=売上高利益率×総資本回転率×財務レバレッジ

売上高利益率は当期純利益÷売上高、総資本回転率は売上高÷総資本、財務レバレッジは総資本÷自己資本で、自己資本比率の逆数です。前の2つを掛けると、分子を当期純利益にしたROAになります。

仮設例の平均残高(百万円)と当期純利益44 総資産 1,000 負債など 600 自己資本 400 ROA=44÷1,000 =4.4% ROE=44÷400 =11.0%
仮設例では、総資産÷自己資本=2.5倍なので、4.4%×2.5=11.0%になります。

上の仮設例では、売上高利益率が2.75%(44÷1,600)、総資本回転率が1.6回(1,600÷1,000)、財務レバレッジが2.5倍(1,000÷400)です。3つを掛けた11.0%は、平均の自己資本で割った仮設例のROEと一致します。

同じ平均総資産1,000・当期純利益44で、平均自己資本が200の仮設例なら、ROAは4.4%のままで、ROEは財務レバレッジ5.0倍により22.0%です。ROEだけが高い場合は、利益の大きさと自己資本の薄さのどちらによるものかを、ROAや自己資本比率と並べて確かめます。

日本基準の決算短信のROAは分子が経常利益なので、そのROEをROAで割っても財務レバレッジとは一致しません。連結では、ROEの分子が親会社株主の分に限られる点でもずれます。

比べる前にそろえる条件

他社や過年度と比べる前に、式の条件をそろえます。この記事では、業種平均や「何%以上なら良い」という水準は示しません。

確かめる条件社内資料に残す内容
連結か単体か日本基準の連結なら、ROEの分子は親会社株主に帰属する当期純利益
分子の利益当期純利益・経常利益・営業利益・税引前利益など、どの利益か
分母の時点期首・期末の平均か、期末の残高か
自己資本の範囲株式引受権・新株予約権・非支配株主持分を除いたか
会計基準日本基準・IFRS・米国基準のどれか
利益の期間1年分の利益か、四半期・中間の累計か

自社の過年度と比べるときも、毎年同じ式で計算し直します。連結の範囲や会計基準が変わった年は、その旨を比率の横に書きます。

ROEがマイナス・「-」のとき

自己資本がプラスで当期純利益が赤字なら、ROEはマイナスになります。決算短信では、ROEの分母の(期首自己資本+期末自己資本)がマイナスのときは、数値でなく「-」と記載します。

自己資本がマイナスの年に赤字を割ると、計算上はプラスの比率が出ます。社内資料でも分母がマイナスの年は比率を出さず、自己資本の額を別に示すと、利益が出ていると読み違えずに済みます。純資産がマイナスの状態は、債務超過の解説で扱っています。

まとめ

ROEは自己資本、ROAは総資産で利益を割った比率です。日本基準の決算短信のROEは親会社株主に帰属する当期純利益と期首・期末平均の自己資本、ROAに当たる指標は経常利益と期首・期末平均の総資産を使います。比べるときは、連結か単体か・分子の利益・分母の時点をそろえます。

よくある質問

ROEとROAはどちらを見ればよいですか?

目的で分けます。株主の持分に対する利益を見るならROE、負債も含めた資産全体に対する利益を見るならROAです。分子の利益と分母の時点をそろえて両方を並べると、ROE÷ROAの倍率が財務レバレッジになります。

ROEの分母は純資産でよいですか?

株式引受権・新株予約権・非支配株主持分がなければ、純資産合計と自己資本は一致します。決算短信(日本基準)の定義では、これらを純資産合計から除いた額を自己資本とします。

期末の自己資本で割ってもよいですか?

社内の推移を見るだけなら計算できますが、決算短信や法人企業統計は期首・期末の平均で割ります。比べる相手と同じ時点にそろえ、どちらで計算したかを書き添えます。

ROAの分子は何の利益ですか?

決算短信(日本基準)の総資産経常利益率は経常利益です。法人企業統計では、使う利益によって総資本営業利益率・総資本経常利益率などと呼び分けます。

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出典

東京証券取引所の決算短信作成要領と、財務省の法人企業統計の用語解説で算式を確認して作成。

本記事の金額と比率は説明用の仮設例で、特定企業の決算実績や目標水準を示すものではありません。銘柄の選び方や投資判断は扱っていません。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。

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