信用保証協会とは?保証付融資の申込書類・保証料・代位弁済後の返済
信用保証協会は、事業者が金融機関から融資を受ける際に、借入債務を保証する公的機関です。融資を実行するのは金融機関で、事業者は金利のほかに信用保証料を負担します。
協会が金融機関へ代わりに返済する「代位弁済」があっても、事業者の返済義務は残ります。保証料を払えば借金がなくなる制度ではありません。
以下は、借り手側の担当者が申込資料と費用、契約を確認するための参照表です。全国共通の仕組みと、東京信用保証協会の公表例を分けて説明します。
金融機関と信用保証協会の役割
保証付融資では、事業者が資金を借り、金融機関が貸し、信用保証協会が債務を保証します。誰と何の契約をするかを分けると、保証料と利息の支払先も整理できます。
| 当事者 | 役割 | 借り手が確認するもの |
|---|---|---|
| 事業者 | 融資と保証を申し込み、借入金を返済する | 資金使途・返済計画・提出資料 |
| 金融機関 | 融資を審査し、資金を貸し付ける | 融資契約・金利・返済予定表 |
| 信用保証協会 | 保証を審査し、金融機関に保証を付ける | 信用保証委託契約・保証条件・保証料 |
協会が保証する業務の根拠は、信用保証協会法20条です。この記事では、同条に掲げられた業務のうち、事業資金の借入れに伴う保証を扱います。
利用対象と資金使途の確認
対象となるかは、会社の規模だけでは決まりません。業種、事業を営む区域、資金使途、利用する保証制度の条件も確認します。
| 確認する条件 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 企業規模 | 業種別の規模要件と、法人の種類による別扱いを確認する |
| 業種・許認可 | 保証対象業種か。許認可・届出等が必要な事業は、その取得等の条件も確認する |
| 区域・業歴 | 申込先の管轄区域に事業実態があるか。制度が定める業歴も確認する |
| 資金使途 | 事業経営に必要な運転資金・設備資金か |
企業規模には業種別の特例や法人の種類による別扱いがあります。農林漁業や金融・保険業には対象外となる業種と一部例外があります。反社会的勢力は利用できません。詳細は全国信用保証協会連合会「ご利用条件」で確認できます。
経理の準備としては、仕入代金や設備代金など、何に使う資金かを資料と結び付けます。設備の支払いなら見積書、運転資金なら仕入れや売上入金の予定を手元にそろえます。相談時に金額の理由を説明しやすくなります。これは準備例で、必要な添付資料は申込先が指定します。
申込から融資実行まで
金融機関の窓口で融資と保証を相談する方法と、信用保証協会へ直接相談する方法があります。直接申込の受付方法は協会ごとに異なるため、訪問前に確認します。自治体や商工団体が受付を行うケースもあります。
- 相談・申込:借入希望額、資金使途、必要な時期を伝え、申込先の指定資料を提出します。
- 保証審査:協会が申込内容を審査します。訪問・面談を行う場合があります。
- 保証承諾:協会が保証を適当と認めると信用保証書を発行します。東京の直接申込などでは、金融機関の承諾後に発行します。
- 融資実行:金融機関が保証書の条件に沿って融資を実行します。保証委託契約や保証料の手続きも確認します。
- 返済:返済条件に従って金融機関に借入金を返済します。
金融機関経由では、金融機関が融資を適当と判断した後、必要書類を協会へ提出します。東京信用保証協会への直接申込では、協会の保証審査のほかに金融機関の融資審査もあります。協会への相談だけで融資実行が決まるわけではありません。
融資実行時に保証委託契約書を提出します。東京信用保証協会では、それより前に作成・提出する場合もあります。契約書の用意と提出時期は、同協会「信用保証委託契約について」と担当窓口で確認します。
申込資料の準備表
必要な書類や追加資料は、法人・個人、初回・継続、制度によって異なります。次の表は、全国信用保証協会連合会「信用保証のお申込の流れ」が挙げる主な提出書類です。提出前の照合用として使い、正式な一覧は申込先から受け取ります。
| 書類 | 準備時の確認例 |
|---|---|
| 信用保証委託申込書・保証人等明細 | 今回の申込用の様式と記入欄を確認する |
| 申込人・企業概要 | 事業内容と現在の連絡先等を整理する |
| 信用保証依頼書 | 金融機関に作成・提出の担当を確認する |
| 個人情報の取扱いに関する同意書 | 対象者と同意欄を確認する |
| 確定申告書・決算書 | 必要な期と添付範囲を確認する |
| 商業登記簿謄本・印鑑証明書 | 必要な対象者・有効な発行時期を確認する |
このほかに用意する資料があるか、制度名を伝えて確認します。設備資金の見積書や許認可関係の資料などを求められる場合もあります。社内の保管場所を整理しておくと、追加依頼に対応しやすくなります。
資料管理では「提出した版」と「手元の最新版」を区別します。担当者名、提出日、追加依頼の内容を控えておけば、金融機関と協会から異なる資料を求められたときも、対応状況を確認できます。
保証料は何で決まるか
信用保証料は、保証を委託する対価です。東京信用保証協会の案内では、借入金額・保証料率・借入期間・返済方法によって算出します。
保証料は借入金利とは別に確認します。借り手の返済を免除する保険料ではなく、協会が負担する信用保険料や制度運営の経費などに充てられます。料率は経営状況等を踏まえて決まり、利用する制度によっても変わります。
担保の提供などによる割引や、セーフティネット保証などの特別料率があります。割引対象外の制度もあり、事業者選択型経営者保証非提供制度では割増となります。一般の料率を、そのまま別制度の見積りに使わないようにします。
保証料の支払いは金融機関経由で行います。分割支払、繰上完済時の返戻、自治体による保証料補助を検討するときは、それぞれの対象条件と申請手続きを確認します。「分割返済の借入れ」と「保証料の分割払い」は別の話です。
見積りでは、金利だけでなく、保証料の支払額と支払時期も確認します。借入金の入金と同日に保証料を支払うなら、その支出も含めて資金繰りを組む必要があります。
保証料の公表計算例
東京信用保証協会「信用保証料の計算例」は、同じ貸付条件でも返済方法によって保証料が変わることを示しています。以下は同協会の公表例で、現在の個別見積りではありません。
東京信用保証協会の公表例は、貸付金額1,200万円・保証料率年1.15%・保証期間24か月です。基本式は円未満切捨て。一括返済の行は確定日保証を除き、均等分割の行は据置期間なし・分割係数0.60の例です。
| 返済方法 | 公表例の算式 | 信用保証料 |
|---|---|---|
| 満期一括返済 | 貸付金額 × 年率 × 期間月数 ÷ 12 | 276,000円 |
| 均等分割返済 | 貸付金額 × 年率 × 期間月数 ÷ 12 × 0.60 | 165,600円 |
据置期間がある場合は、据置部分と分割返済部分を分けて計算します。確定日保証は日割りとなり、返済方法によって基本式が当てはまらない場合もあります。適用する係数・期間・料率は、申込先の計算で確認します。
上の表は、保証料を借入元本に単純に掛ければよいとは限らないことを示すものです。保証料率を借入金利に足して、そのまま借入れ全体の年率とする計算にも使えません。
契約前に確認する項目
融資契約と保証委託契約は、確認する相手と内容が違います。社内で契約を回覧するときは、金額だけでなく、誰がどの条件に同意するかも確認します。次の表は社内確認の例です。
| 確認項目 | 確認先・資料 |
|---|---|
| 融資の金額・実行日・金利・返済日 | 金融機関の融資条件・返済予定表 |
| 保証制度名・保証条件 | 金融機関・協会の案内、信用保証書の条件 |
| 保証料・支払方法 | 協会の計算、金融機関の支払案内 |
| 代表者保証・担保の有無 | 保証制度の要件、契約書 |
| 代位弁済・求償・損害金の条項 | 信用保証委託契約書 |
法人では代表者の連帯保証が必要となる場合があります。一方、経営者保証を不要とする保証制度等もあります。信用保証協会を利用すれば代表者保証もなくなる、とまとめず、制度と契約の条件を確認します。
責任共有制度は、対象となる保証について協会と金融機関がリスクを分担する仕組みです。対象外の保証制度もあります。借り手の返済額を減らす制度ではありません。保証割合の話と、経営者が保証人になるかという話は、区別して確認します。
書類準備日などの日程の目安は、営業日計算ツールで確認できます。融資実行日や返済日は、契約と金融機関の指定を確認してください。
営業日計算ツールで日程の目安を確認する代位弁済後の求償債務
代位弁済があっても借金はなくなりません。協会が金融機関へ弁済した後は、事業者は協会に返済します。協会が事業者に償還を求める権利を、求償権と呼びます。
東京信用保証協会の公表する信用保証委託契約では、代位弁済額のほか、損害金や避けることのできなかった費用等も償還の対象です。借入元本の残高だけを見て、協会への債務額が同じだとは判断できません。
同契約には、一定の事由が生じたとき、代位弁済の前に求償権を行使できる条項もあります。返済を遅滞した場合など、契約で定める事由とその効果を確認します。代位弁済の日だけを基準に対応を考えないことが大切です。
また、割合保証の借入れでは、金融機関に保証対象外の債権が残る場合があります。協会の請求書と金融機関の残高を分けて確認し、双方を合わせた債務の状況を把握します。
返済方法は、協会が事業者の実情を踏まえて対応します。自動で分割返済になると考えず、返済が難しい段階で金融機関と協会へ相談します。契約書・返済予定表・現在の資金繰り資料をそろえます。債務整理や保証人の責任の判断が必要な場合は、弁護士等の相談先につなぎます。
よくある質問
信用保証協会が直接お金を貸してくれますか?
この記事で扱う保証付融資では、貸すのは金融機関です。信用保証協会は借入債務を保証します。協会へ直接相談・申込をする場合も、融資の審査と実行は金融機関が行います。
保証料を払えば、返済できなくなっても借金はなくなりますか?
なくなりません。信用保証料は保証委託の対価です。協会が代位弁済した後も、事業者は協会へ返済します。
保証料は借入金額と料率だけで計算できますか?
それだけでは決まりません。東京信用保証協会の案内では、保証期間と返済方法も計算に関わります。据置期間や確定日保証などの扱いも確認が必要です。
申込書類をそろえれば融資は決まりますか?
書類の提出だけでは決まりません。協会の保証審査と金融機関の融資審査があり、保証条件や融資条件も確認します。必要書類は申込先・制度によって異なります。
出典
- e-Gov法令検索「信用保証協会法」20条
- 全国信用保証協会連合会「信用保証協会と信用保証制度」
- 全国信用保証協会連合会「ご利用条件」
- 全国信用保証協会連合会「信用保証のお申込の流れ」
- 全国信用保証協会連合会「信用保証料」
- 東京信用保証協会「初めてのご利用かんたんガイド」
- 東京信用保証協会「保証手続きの流れ」
- 東京信用保証協会「信用保証料の計算例」
- 東京信用保証協会「信用保証料」
- 東京信用保証協会「信用保証委託契約について」
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案への回答ではありません。保証・融資の利用条件は金融機関・信用保証協会に、契約や債務整理の判断は弁護士等に確認してください。個別の税務・労務相談には応じられません。