紹介予定派遣とは|受入れ企業の確認表
紹介予定派遣は、派遣の許可に加えて職業紹介の許可を受けるか届出をした派遣会社が、本人と受入れ企業の間の職業紹介を行う、または予定して行う派遣です。派遣中の雇用主は派遣会社で、受入れ企業が直接雇用するには採用の合意が必要です。
受入れ側は、派遣期間中の条件と直接雇用後の条件を分けて確認します。とくに確認したいのは、雇わない場合の理由の伝え方、採用後の試用期間、年休の勤務期間の通算です。一般事務の受入れを想定し、契約書と書面の流れを整理します。
紹介予定派遣の仕組みと期間
紹介予定派遣で同一の派遣労働者を受け入れる期間は、6か月が上限です。派遣先と派遣元の指針で、それぞれ受入れと派遣の上限が定められています。
紹介予定派遣では、直接採用と同様の差別防止のルールに従い、派遣開始前の面接や履歴書の受付、派遣期間中の求人条件の明示・意思確認・採用内定ができます。
紹介予定派遣の定義は、労働者派遣法2条4号にあります。派遣終了前に採用を約束する場合も含まれますが、紹介予定派遣という名称だけで正社員採用が決まるわけではありません。
通常の派遣の事業所・個人ごとの期間制限は、派遣の期間制限と抵触日で確認できます。
契約書で確認する項目
紹介予定派遣では、直接雇用後の業務内容と労働条件も派遣契約の確認対象です。派遣中の時給や就業時間が書かれているだけで、採用後の条件も決まっているとは扱いません。
下表は、紹介予定派遣に関する契約事項の確認表です。通常の派遣契約に必要な事項の全一覧ではありません。根拠は厚生労働省「労働者派遣事業を適正に実施するために」の労働者派遣契約の節です。
| 確認する欄 | 受入れ側が確認する内容 |
|---|---|
| 契約の種類 | 紹介予定派遣である旨が記載されているか。 |
| 採用後の仕事・場所 | 直接雇用後の業務内容と就業場所を、派遣中の条件と分けて確認する。 |
| 採用後の契約期間・試用期間 | 労働契約の期間を確認する。紹介予定派遣後の試用期間は、設けることが望ましくないとされている。 |
| 採用後の勤務・賃金・保険 | 始業・終業、時間外労働、休憩・休日、賃金額、各保険の適用、雇用主の名称等を確認する。 |
| 紹介・雇用を希望しない場合 | 派遣元の求めに応じ、理由を派遣元へ書面等で明示する旨。伝達方法は下の表で確認する。 |
| 年休・退職金の勤務期間 | 直接雇用後の勤務期間に派遣期間を算入する場合、その旨が記載されているか。 |
| 採用後も派遣労働者となる場合 | 派遣労働者として雇用しようとする場合は、その旨を記載する。 |
たとえば、受入れ企業の経理業務を担当してもらうなら、派遣中に任せる作業と、直接雇用後に任せる作業を分けて確認すると、条件の取り違えを防ぎやすくなります。これは確認方法の例であり、法定の書式ではありません。
紹介予定派遣に関する事項は、派遣契約のほか、派遣元・派遣先の管理台帳にも記載します。本人への雇入れ時等の明示と就業条件明示書の記載は、派遣元の対応です。
直接雇用しない場合の理由の明示
派遣先から理由を伝える相手は、派遣元です。紹介予定派遣で職業紹介を希望しなかった場合と、紹介を受けた人を雇用しなかった場合について、求めの主体と伝達方法を分けて確認します。
下表は、紹介予定派遣を受け入れた派遣先が、職業紹介を希望しなかった場合、または紹介を受けた派遣労働者を雇用しなかった場合の理由明示の流れです。電子メール等は受信者を特定し、その受信者が記録を出力して書面にできる方法に限ります。
| 伝達する人・相手 | 求め・明示の流れ | 方法 |
|---|---|---|
| 派遣先 → 派遣元 | 派遣元の求めに応じて、それぞれの理由を明示する。 | 書面、FAX、電子メール等。 |
| 派遣元 → 派遣先 | 本人の求めに応じて、それぞれの理由を明示するよう求める。 | 理由を受け取る方法は、書面、FAX、電子メール等。 |
| 派遣元 → 本人 | 派遣先から明示された理由を本人に明示する。 | 書面。本人が希望した場合は、FAX・電子メール等も使える。 |
根拠は厚生労働省「派遣先が講ずべき措置に関する指針」の紹介予定派遣の節と、「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」の同節です。
受入れ側の管理メモには、派遣元から求められた日、紹介を希望しなかったのか雇用しなかったのか、明示した理由、回答先と回答方法を残すと、後から経緯を確認できます。この管理メモは社内確認の例です。
直接雇用時の試用期間・年休・社会保険
試用期間は「望ましくない」という説明
厚生労働省は、紹介予定派遣により雇い入れた労働者について、試用期間を設けることは望ましくないと案内しています。同省の労働者派遣事業のマニュアルに、この注意が記載されています。
年休は勤務期間の算入と残日数を分ける
紹介予定派遣後の年休・退職金の勤務期間に、派遣期間を算入する場合は、派遣契約にその旨を記載します。これは勤務期間の扱いについての記載で、派遣元で残った年休の日数をそのまま移すという説明ではありません。
受入れ側では、勤務期間を算入するか、採用後の付与日と付与日数をどう管理するか、派遣元での残日数をどう扱うかを別々に確認します。派遣開始日をそのまま自社の入社日として登録する前に、契約上の扱いを照合します。
採用後の有給休暇の付与日数を計算する →計算機は年休の勤務期間の通算や、残日数の引継ぎの可否を判定しません。契約上の扱いを確認してから利用してください。
加入対象者の資格取得を手配する
直接雇用する受入れ企業が適用事業所で、本人が健康保険・厚生年金保険の加入要件を満たす場合は、受入れ企業が事業主として資格取得届を提出します。派遣中の加入状況だけで、直接雇用後の届出まで済んだとは扱いません。
必要な本人情報・提出期限・様式は、日本年金機構「就職したときの手続き」で確認できます。加入要件は社会保険の加入条件にまとめています。
受入れ時の確認は、派遣中と直接雇用後を分けることから始めます。契約条件を確認し、紹介・雇用に至らなかった場合は理由明示の流れを、採用する場合は試用期間・年休・社会保険の扱いを確認します。
よくある質問
紹介予定派遣なら正社員採用が決まっていますか?
決まっていません。受入れ企業が本人を直接雇用するには採用の合意が必要です。直接雇用後の契約期間などは求人条件・契約内容で確認します。
本人に理由をメールで伝えれば、派遣先の対応は終わりますか?
本人へのメールだけで済むとは扱いません。紹介予定派遣での理由明示は、派遣元の求めに応じて派遣先から派遣元へ行う流れです。本人への伝達は派遣元が行い、電子メール等には本人の希望と書面出力できる条件があります。理由明示の表で確認できます。
年休の残日数も受入れ企業に引き継ぎますか?
紹介予定派遣の契約で確認する勤務期間の算入と、残日数の引継ぎは別の事項です。派遣期間を年休の勤務期間に算入する場合の記載から、派遣元での残日数も移るとは判断せず、採用後の取扱いを確認します。
出典
- e-Gov法令検索「労働者派遣法」:紹介予定派遣の定義と労働者派遣契約。
- 厚生労働省「派遣先が講ずべき措置に関する指針」:紹介予定派遣の受入れ期間、理由の明示、選考時の措置。
- 厚生労働省「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」:紹介予定派遣の期間と本人への理由の明示。
- 厚生労働省「労働者派遣事業を適正に実施するために」:契約の記載事項、試用期間、年休・退職金の取扱い。
- 日本年金機構「就職したときの手続き」:資格取得の提出主体、必要書類、提出期限。
この記事は一般的な情報提供であり、個別の契約の適法性や労務相談への回答ではありません。個別の取扱いは、都道府県労働局、年金事務所または社会保険労務士等にご確認ください。