SLVの費用と運用実績:ドル建てNAV騰落率・1口当たり銀保有量
SLVは銀価格への連動を目指す米国上場の銀信託です。公表NAV実績には信託費用が反映されています。費用を払うために銀を売却するので、保有口数に対応する銀量は、その売却の範囲で減っていきます。
ここではSLV本体の実績・スポンサー報酬・銀量を確認します。金を保有する信託や国内の投資信託とは分けて読み、銀価格の見通しや売買の推奨は扱いません。
NAV騰落率の実績表
公式ファクトシートによると、2026年9月30日基準のSLVの税引前・信託費用控除後のドル建てNAV騰落率は、直近1年の累積で30.86%、直近3年の年率で37.38%です(分配金等の再投資を仮定)。
| 対象期間・表示方法 | NAV騰落率 |
|---|---|
| 直近1年・累積 | 30.86% |
| 直近3年・年率 | 37.38% |
NAVは信託の純資産を口数で割った価値です。表は銀現物の価格上昇率や、投資家が実際に売買した価格での損益を示すものではありません。
年率は、複数年の実績を複利で年当たりに換算したものです。毎年同じ割合で上昇したという意味ではなく、期間全体の累積騰落率とも区別します。
公表NAV実績からスポンサー報酬をもう一度引く必要はありません。信託費用は既に反映されています。投資家自身の売買手数料や税金は別です。
過去の実績は将来の運用成果を保証しません。元本割れもあり、表の割合を将来の銀価格や受取額の予測に使うことはできません。
スポンサー報酬と費用の範囲
SLVの2022年12月22日版目論見書によると、スポンサー報酬は年率0.50%です。日々の信託NAVに対して日々計上し、月次で後払いします。2026年9月30日基準のSLV公式ファクトシートも同率です。主な例外費用は下の注に記載しています。
| 費用項目 | 年率 | 負担の位置 |
|---|---|---|
| スポンサー報酬 | 0.50% | 信託が負担し、NAVに反映 |
主な例外:信託財産への税・政府賦課金、スポンサーが引き受けない法務費用や訴訟等の債務は、信託が別に負担し得ます。全条件は目論見書「Trust Expenses」とリスク要因で確認できます。
スポンサーは報酬を受け取る代わりに、受託者・保管機関の費用、上場費用、監査費用などの所定の通常費用を引き受けます。上表を、例外費用まで含む総負担の上限とは扱いません。
銀を保有していることと、保有中の費用がないことは別です。信託には収入がないため、報酬や引き受けられていない費用・債務の支払原資は保有銀の売却になります。
投資家自身の仲介手数料、売買スプレッド、為替交換費用は、この信託の報酬とは別に発生し得ます。公表率から、取引全体に必要な費用を一律には決められません。
各口に対応する銀量の計算
各口に対応する銀量は、同日の総銀保有量を発行口数で割ることで確かめられます。銀量の単位と、価格・NAVの通貨を取り違えないことがポイントです。
以下はSLVの2026年9月30日基準の公式ファクトシートを使った計算です。SLVの総銀保有量はトロイオンス、発行口数は口で表示します。SLVの1口当たり参考計算値は同日の総銀量÷発行口数で求め、小数第7位を四捨五入しています。
| 項目 | 公表値・計算値 |
|---|---|
| 総銀保有量(Ounces in Trust) | 493,578,376.10トロイオンス |
| 発行口数(Shares Outstanding) | 546,300,000口 |
| 1口当たり参考計算値 | 約0.903493トロイオンス |
最後の行は、本記事で公表値同士を割った概数です。公式に公表された個人向けの現物引渡数量ではありません。保有銀に対する持分と、取引所で保有口数を売却する取引を分けて読みます。
総銀量は、新たな設定や交換によっても変動します。一方、費用支払のための銀売却は、各口に対応する銀量を減らす要因です。総銀量の増加だけで、各口に対応する銀量も増えたとは判断できません。
各口の銀量が減っても、それを上回る銀価格の上昇があればNAVは上昇し得ます。逆に、現物の銀を裏付けにしていても、銀価格の下落による損失を防げるわけではありません。
市場価格・円換算との違い
市場でSLVを売買する価格はNAVと一致するとは限らず、NAVを上回る場合も下回る場合もあります。評価のためのNAVと、実際に約定した価格を区別します。
今回取り上げた期間の公式市場価格実績は終値を使います。公表NAV実績も市場価格実績も、投資家自身の取得・売却価格を使った損益とは別です。
ドル建て実績がプラスかどうかと、円換算した手取りが増加するかどうかは別です。円での損益には為替、売買や為替交換の費用、税金が関わります。円換算の考え方は米国株の税金と円換算で整理しています。
取得したSLVの年次報告書は2025年12月31日期末です。信託の構造や費用を確認する資料であり、本記事の四半期末の実績表と期間を混ぜません。
資料が更新されたら、実績の基準日と同じ日の銀量・口数をそろえて読み直します。取得日が新しくても、資料内の基準日が同じとは限りません。
資産形成の計算ツール・解説を見るよくある質問
NAV実績からスポンサー報酬を引く必要はありますか?
もう一度は引きません。公表NAV実績には信託費用が反映されています。投資家自身の売買手数料や税金は別に確認します。
銀価格が上がれば、各口に対応する銀量も増えますか?
銀価格の上昇によって銀量が増えるわけではありません。SLVは費用支払のために銀を売却するので、その範囲で各口に対応する銀量は減ります。銀量とNAVの値動きは分けて読みます。
SLVの市場価格とNAVは同じですか?
同じとは限りません。市場価格がNAVを上回る場合も下回る場合もあります。自分の約定価格を、公表NAVに置き換えて損益を計算しないようにします。
表の銀量は、個人が現物を受け取れる量ですか?
個人への引渡数量ではありません。表の銀量は信託の保有量と発行口数から求めた参考値です。通常の取引所売買と、信託との設定・交換は別です。
出典
SLVの公式ファクトシート、目論見書、年次報告書と商品ページを参照しています。
- iShares「iShares Silver Trust Fact Sheet」:四半期末実績、スポンサー報酬、銀保有量、発行口数。
- iShares Silver Trust「Prospectus」:信託の目的、費用負担、銀売却と各口に対応する銀量。
- iShares Silver Trust「Annual Report on Form 10-K」:信託の構造とTrust Expenses。
- iShares「iShares Silver Trust SLV」:公式商品情報と公表実績。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の取得・売却を推奨するものではありません。個別の税務・労務相談には応じられません。実際の税務判断は税務署・税理士等へご確認ください。