税金・経理・補助金ツールズ

信託報酬はいつ・いくら引かれる?100万円の例で税込・総経費率まで検算

結論から言うと、信託報酬は口座から引き落とされる費用ではなく、ファンドの評価額に税込の年率を掛けて日割りした額(貸付時の追加分を除く)がファンドの中で日々計上され、基準価額にはすでに反映されています。架空の税込年率0.5%のファンドを100万円分持ち、評価額が1年(365日)変わらなければ、1年の信託報酬は5,000円、1日あたり約13.7円です。

運用会社などへ実際に支払われる時期と、総経費率との違いは下の節で目論見書を使って確かめます。

計算式と100万円の早見表

貸付時の追加分を除く1年分の信託報酬は「保有期間中の平均評価額×税込年率×保有日数÷365」で概算できます。eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の交付目論見書(使用開始日2026年7月25日)も、1万口当たりの信託報酬を同じ形の式で示しています。式は「保有期間中の平均基準価額 × 信託報酬率 ×(保有日数/ 365)」で、簡便法による概算値と注記されています。

次の表の年率は説明用の架空の税込年率で、実在のファンドの料率ではありません。100万円の評価額が1年(365日)変わらない前提で計算し、1日あたりは小数第3位を四捨五入しています。

税込年率(架空)1年の信託報酬1日あたり
0.1%1,000円約2.74円
0.5%5,000円約13.70円
1.0%10,000円約27.40円

評価額が動く場合の足し上げ方は評価額が変わるときの計算にまとめました。

税込と税抜をそろえる

計算には税込の年率を使います。オルカンの交付目論見書(使用開始日2026年7月25日・10ページ)は、信託報酬を「日々の純資産総額に対して、年率0.05775%(税抜 年率0.0525%)以内をかけた額」と、税込と税抜を並べて書いています(貸付時の追加分は別)。

オルカンの2つの率は、税抜0.0525%に1.1を掛けると税込0.05775%になる関係です。1.1は、消費税と地方消費税を合わせた標準税率10%(国税庁 No.6303、令和8年4月1日現在法令等)を上乗せした倍率です。

比べるときに一方を税込、他方を税抜で並べると、標準税率10%の分だけ差がずれます。架空の「税抜0.5%」のファンドを100万円・1年(評価額は変わらない前提)で計算すると、税込0.55%で5,500円になり、税抜の率のまま計算した5,000円より500円多くなります。

オルカンは、純資産総額のうち5,000億円未満の部分・5,000億円以上1兆円未満の部分・1兆円以上の部分ごとに率が下がる段階制なので、貸付時の追加分を除く信託報酬が「以内」と書かれています。オルカンの交付目論見書は、純資産総額が10兆9,000億円・11兆4,000億円・11兆9,000億円の3つの例で、実質信託報酬率をいずれも税込年率0.05755%と示しています(有価証券の貸付を行った場合の追加分は含まない率)。

いつ引かれるか

引かれるのは日々で、ファンドから実際に支払われるのは決算時などです。オルカンの交付目論見書(10ページ)は、信託報酬と監査費用は「日々計上され、ファンドの基準価額に反映されます」とし、「毎計算期間の6ヵ月終了時、毎決算時または償還時にファンドから支払われます」と書いています。

ファンドの中(オルカンの交付目論見書の記載) 日々計上 評価額×年率を日割り※ 基準価額に反映 公表値は控除後 ファンドから支払い 6か月終了時・決算時 投資家の側 口座からの引き落としはない。評価額(基準価額×口数÷1万口)に控除後の値で表れる ※ 貸付時の追加分は別。支払いの時期はファンドごとに目論見書の「ファンドの費用」で確かめる
信託報酬は日々計上されて基準価額に反映され、ファンドからの支払いは6か月終了時・決算時・償還時(オルカンの例)。

投資家の側では、毎日の基準価額がすでに信託報酬を引いた後の値です。金融庁のサイトに掲載された座談会「教えて虫とり先生(第6回)」でも、信託報酬は「保有している期間中に自動的に引かれていくもの」と説明されています。基準価額は通常1万口当たりの値段で表示され、購入や売却を受け付けている営業日に1回だけ算出されます(同じ座談会)。

実績から二重に引かない

オルカンの交付目論見書(8ページ)の運用実績のグラフには、「基準価額は運用報酬(信託報酬)控除後です」と注記があります。架空の例で、基準価額が1年で10,000円から11,000円になったなら、その10%の上昇は信託報酬を引いた後の伸びです。ここからさらに架空の年率0.5%を引くと、同じ費用を二重に引くことになります。

購入時手数料(オルカンは無し)と、投資家の分配金・譲渡益にかかる税金は基準価額の外なので、手取りは別に考えます(NISAなど非課税の場合を除く)。分配金が支払われると基準価額はその分下がるため、分配金のあるファンドは基準価額の変化だけでは騰落率になりません(同じ座談会)。

評価額が変わるときの計算

評価額が動く場合の概算は、日ごとの「評価額×税込年率÷365」を足し上げます(簡便法、貸付時の追加分を除く)。

次の表は、架空の税込年率0.5%で、前半182日は評価額100万円、後半183日は120万円だった1年(365日)の計算です。金額は1円未満を四捨五入しています。

期間計算信託報酬
前半182日100万円×0.5%×182÷3652,493円
後半183日120万円×0.5%×183÷3653,008円
1年の合計前半+後半約5,501円

評価額が100万円のままだった早見表の5,000円より多いのは、後半の評価額が増えたためです。

運用報告書は、同じ考え方を1万口当たりで示しています。オルカンの交付運用報告書(作成対象期間2025年4月26日〜2026年4月27日)は、1万口当たりの信託報酬を18円(消費税等を含み、簡便法で算出)、期中の平均基準価額に対する比率を0.058%としています。計算式は簡便法の「期中の平均基準価額×信託報酬率×(期中の日数÷年間日数)」で、2025年4月26日〜2026年4月27日のオルカンの期中の平均基準価額(1万口当たり)は30,894円です。

積立シミュレーターで信託報酬の率を変えて試算する

総経費率との違い

総経費率は、過去の期間の運用管理費用(信託報酬)とその他費用の合計(消費税等を含み、購入時手数料・売買委託手数料・有価証券取引税は原則除く)を、平均受益権口数×1口当たりの平均基準価額で割った年率(簡便法による参考値)です。

次の表は、オルカンの交付目論見書(使用開始日2026年7月25日)と交付運用報告書(作成対象期間2025年4月26日〜2026年4月27日)の記載です。総経費率は年率、費用明細の比率は円未満の端数を含む1万口当たりの費用金額を期中の平均基準価額で割った率で、各資料の表示桁数のまま載せています。どちらも簡便法による値(消費税等を含む)で、交付運用報告書は総経費率を「あくまでも参考であり、実際に発生した費用の比率とは異なります」と注記しています。

指標含むものオルカンの値
信託報酬率運用管理費用だけ(目論見書の料率)税込0.05775%以内(貸付時の追加分を除く)
総経費率運用管理費用+その他費用(購入時手数料・売買委託手数料・有価証券取引税は原則除く)0.07061%
費用明細の合計信託報酬・売買委託手数料・有価証券取引税・その他費用1万口当たり26円(0.085%)

作成対象期間2025年4月26日〜2026年4月27日の総経費率0.07061%(参考値)の内訳は、運用管理費用0.05746%とその他費用0.01315%です(交付目論見書11ページ)。オルカンのその他費用には、海外での保管費用や監査費用などが入ります(交付運用報告書の費用明細)。

2025年4月26日〜2026年4月27日の費用明細の合計(期中の比率0.085%)は総経費率より大きく、差の多くは総経費率から原則除かれる有価証券取引税(1万口当たり3円・0.011%)と売買委託手数料(1円・0.003%)です。

評価額100万円が1年間変わらない前提で、信託報酬率(段階制で最も高い税込0.05775%、貸付時の追加分を除く)なら577.5円、総経費率(2025年4月26日〜2026年4月27日の参考値0.07061%)なら706.1円です。

主な例外: オルカンは有価証券の貸付を指図した場合、ファンドとマザーファンドの品貸料(ファンドに属するとみなした額)の49.5%(税抜45.0%)以内の額が信託報酬に追加されます(交付目論見書10ページ)。

よくある質問

信託報酬は口座から引き落とされますか?

引き落とされません。ファンドの中で日々計上されて基準価額に反映され、ファンドから運用会社などへ支払われます。オルカンの交付目論見書では、支払いは毎計算期間の6か月終了時、毎決算時または償還時です。

税込と税抜、どちらの年率で計算しますか?

税込の年率で計算します。オルカンの交付目論見書(使用開始日2026年7月25日)は税込年率0.05775%(税抜0.0525%)以内(貸付時の追加分を除く)と両方を載せており、総経費率も消費税等のかかる費用は消費税等を含めて計算されています。

基準価額の騰落率から、さらに信託報酬を引くべきですか?

引きません。基準価額は信託報酬を控除した後の値なので、基準価額から計算した騰落率にはすでに信託報酬が反映されています。購入時手数料と、投資家の分配金・譲渡益にかかる税金は基準価額の外なので、別に考えます。

総経費率が信託報酬率より高いのはなぜですか?

総経費率は信託報酬にその他費用(保管費用や監査費用など)を足した率だからです。オルカンの交付目論見書(11ページ)では、作成対象期間2025年4月26日〜2026年4月27日の総経費率0.07061%のうち0.01315%がその他費用でした(総経費率は簡便法による参考値)。

売買委託手数料は総経費率に入りますか?

原則として入りません。総経費率は購入時手数料・売買委託手数料・有価証券取引税を原則として除いて計算します。このうち売買委託手数料と有価証券取引税は、交付運用報告書の「1万口当たりの費用明細」で確かめられます。

次に読む

出典

ファンドの例は運用会社の交付目論見書・交付運用報告書、用語の説明は金融庁、消費税の税率は国税庁のページで確認して作成。早見表などの率は架空で、577.5円・706.1円は実在の率を仮の100万円に当てはめた計算です。

本記事は一般的な情報提供を目的とし、特定の金融商品の取得・売買を勧めるものではありません。当サイトは金融商品取引業者ではなく、投資助言を行うものでもありません。率の例は架空のもので、実在ファンドの値は記載した資料の時点のものです。費用は変更されるため、最新の交付目論見書をご確認ください。

この内容をXで共有