輸入消費税とは?課税標準・仕入税額控除と立替精算の仕訳
輸入消費税は、保税地域から課税貨物を引き取る輸入申告者が税関に納める消費税です。国内取引では免税事業者でも、課税貨物の輸入時には納税義務があります。
会社の経理では、輸入許可書等の税額と名義を確かめ、通関業者の立替額と手数料を分けるのが確認の出発点です。この記事は会社が商品を輸入する場合を扱い、国外サービスのリバースチャージ方式とは分けて説明します。
課税標準は関税等を加えた金額
輸入消費税の課税標準は、関税課税価格に関税と消費税以外の個別消費税を加えた金額です(附帯税を除く)。関税課税価格は、海外への送金額だけで決まるとは限りません。
| 項目 | 扱い |
|---|---|
| 関税課税価格 | CIF価格は仕向け地までの運賃・保険料込み。既に含む費用は重ねて加えない |
| 関税 | 加える。関税に係る附帯税は除く |
| 酒税など消費税以外の個別消費税 | 課される場合は加える。附帯税は除く |
根拠は消費税法28条4項と国税庁No.6563「輸入取引」です。無償で受け取る貨物でも、無償という理由だけで輸入消費税がなくなるわけではありません。
通常の輸入申告では、引取り時までに税関への申告・納付が必要ですが、納期限延長や特例申告など別の手続もあります。
国税・地方消費税の計算例
輸入時は国税と地方消費税を分けて計算します。次は計算の仕組みを確認する架空例です。
設例は2026年10月25日時点の標準税率対象の商品を単一欄で輸入し、関税課税価格1,000,000円、確定した関税50,000円、個別消費税・附帯税なしとします。国税の課税標準は千円未満、納付税額は国税・地方税それぞれ百円未満を切り捨てますが、この設例では端数が生じません。
| 計算するもの | 式・金額 |
|---|---|
| 輸入消費税の課税標準 | 1,000,000円+50,000円=1,050,000円 |
| 消費税(国税) | 標準税率7.8%:1,050,000円×7.8%=81,900円 |
| 地方消費税 | 国税額の22/78:81,900円×22/78=23,100円 |
| 輸入時の消費税・地方消費税の合計 | 81,900円+23,100円=105,000円 |
軽減税率対象の貨物や複数欄の申告は、この設例とは計算が異なります。端数処理の順序は税関「関税、消費税等の税額計算方法」を参照し、記帳には輸入許可書等の確定税額を使います。
輸入許可書の名義と仕入税額控除
一般課税の課税事業者である自社が輸入申告者の通常の委託輸入では、限定申告を除き、通関業者が立て替えた輸入税額も自社側の仕入税額控除の対象です。
国税庁の輸入手続を委託した場合の質疑応答は、買手が荷受人・輸入申告者となり、輸入代行者が一時的に税を負担する例を示しています。税金を最初に送金した人だけで、控除する会社を決めるものではありません。
名義と実質が違う場合は、この通常例に当てはめません。関税割当・軽減免除に伴う限定申告には、所定の要件で実質的輸入者に控除等を適用する特則があります(消費税法基本通達11-1-6)。
一般課税でも、輸入税額を納めたことだけで全額控除が決まるわけではありません。控除額は課税売上割合等による計算や用途区分により異なり、簡易課税など実際の輸入税額を使わない計算方法もあります。
保存書類と帳簿の確認表
通常の貨物輸入の仕入税額控除では、帳簿と輸入許可書等を保存します。輸入税額については、海外売手のインボイスや通関業者の精算書だけで済ませないようにします。
次は輸入貨物の記帳・保存事項です。特例申告書を提出した貨物では、帳簿の引取り日と許可書等の引取り可能日に加え、特例申告書の提出日又は決定通知を受けた日も記録します。
| 確認先 | 記載・確認する内容 |
|---|---|
| 帳簿 | 課税貨物を引き取った年月日、貨物の内容、消費税・地方消費税の額又は合計額。附帯税を除く |
| 輸入許可書等の発行元・宛名 | 納税地を所轄する税関長と、交付を受ける事業者の氏名又は名称 |
| 輸入許可書等の日付・内容 | 引取り可能となった年月日、貨物の内容、課税標準額、消費税・地方消費税額。附帯税を除く |
輸入許可前に税関長の承認を受けて引き取る場合は、所定事項のある承認書も対象です。これらの書類には所定事項に係る電磁的記録も含まれます(国税庁No.6497)。
保存できなかった場合でも、災害その他やむを得ない事情を事業者が証明したときの例外があります(消費税法30条7項ただし書)。
控除する時期は通関業者への返済日とは限らない
一般課税の通常の輸入申告では、課税貨物を引き取った日の属する課税期間の控除計算に含めます。特例申告は、提出日又は決定通知を受けた日の属する課税期間となります(消費税法30条1項)。
通関業者への立替精算の仕訳
立て替えてもらった税金と、国内の通関手数料を分けて記帳します。精算書全体を税込の手数料として割り戻すと、輸入税額が別の額に置き換わってしまいます。
一般課税・税抜経理で輸入分・国内分とも全額控除できる法人の商品輸入の設例です。設例の商品代等は計上済み、確定関税50,000円、輸入の国税81,900円・地方消費税23,100円、国内手数料は税抜10,000円・消費税等1,000円で適格請求書があるとします。商品購入の設例のため、附帯税を除く関税と手数料を仕入原価へ加算し、未払計上後に普通預金で精算します。
| 処理 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 関税の未払計上 | 仕入 50,000円 | 未払金 50,000円 |
| 輸入税額の未払計上 | 仮払消費税等 105,000円 国税分と地方税分を区分 | 未払金 105,000円 |
| 国内手数料の未払計上 | 仕入 10,000円 仮払消費税等 1,000円 | 未払金 11,000円 |
| 通関業者への支払 | 未払金 166,000円 | 普通預金 166,000円 |
法人が通常の売買で購入した商品では、デリバティブ取引の規定が適用される資産等を除き、附帯税を除く関税など購入のための費用を取得価額に含めます(法人税法施行令32条)。上の勘定科目は例で、商品代と通関精算の二重計上を避けるために取引単位で照合します。
月次の確認では、輸入許可番号等を手がかりに、許可書等・精算書・会計伝票を対応付けておくと追跡しやすくなります。会計ソフトの区分名称は製品によりますが、国税と地方消費税を取り違えず、輸入税額の入力欄に国内手数料の税額を混ぜないことを確認します。
国内手数料の税込・税抜確認には次の計算機を使えます。輸入申告の税額・端数処理を計算する専用ツールではありません。
国内手数料の税込・税抜を消費税計算機で確認する輸入税額・関税・国内手数料を分け、名義と保存書類、控除する課税期間を確認します。納税と仕入税額控除は別の判断です。
よくある質問
免税事業者でも輸入消費税を払いますか?
課税貨物を保税地域から引き取る輸入申告者には、免税事業者でも輸入時の納税義務があります。貨物自体に適用される免税は別です。免税事業者は、輸入時に払ったという理由で仕入税額控除を受けることはできません。
通関業者が立て替えると、業者側の控除になりますか?
一般課税の課税事業者である自社が輸入申告者の通常の委託輸入では、限定申告を除き、自社側の控除対象です。実際の控除額は課税売上割合等と保存要件にもよります。
海外売手のインボイスだけで輸入消費税を控除できますか?
通常の貨物輸入では、それだけでは足りず、帳簿と輸入許可書等の保存が必要です。所定の承認書や電磁的記録も対象となり、災害等で保存できなかったことを証明した場合の例外があります。
出典
確認日:2026年10月25日。会社の商品輸入の経理を対象とし、計算・仕訳は理解のための設例です。
- e-Gov法令検索「消費税法」4条・5条・28条・30条
- 国税庁No.6563「輸入取引」
- 国税庁No.6133「輸入する貨物の納税義務者」
- 国税庁No.6497「仕入税額控除のために保存する帳簿および請求書等の記載事項」
- 国税庁「輸入取引に係る輸入手続を委託した場合の仕入税額控除の取扱いについて」
- 国税庁「消費税法基本通達」11-1-6
- 税関「関税、消費税等の税額計算方法」
- e-Gov法令検索「法人税法施行令」32条
- 国税庁「税抜経理と税込経理の選択適用(法人の場合)」
この記事は一般的な情報提供であり、個別の税務相談への回答ではありません。実際の税務処理は税理士・所轄の税務署へ、輸入申告の手続は税関へご確認ください。