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免税事業者とは?要件・課税事業者との違いとインボイスへの対応

免税事業者とは、国内の課税売上に係る消費税の納税義務を免除される事業者です。個人事業主も法人も対象になります。ただし、売上が少なくても、インボイス登録などによって課税事業者になる場合があります。

判定では、今年の売上だけを見ないことが大切です。過去の課税売上高、特定期間、法人の資本金、届出・登録の状況などを順に確かめます。まず次の早見表で、確認する資料をそろえてください。

免税事業者の要件と確認資料

基準期間の課税売上高が1,000万円以下かどうかを確認します。売上の基準だけで免税とは決まりません。利益や手元に残ったお金ではなく、課税売上高で判定します。

以下は国内の個人事業者・内国法人の通常の判定です。基準期間の売上だけで結論を出さず、登録・特定期間・課税選択・法人の設立状況などと併せて確認します。

確認項目免税が外れる主な条件確認する資料
基準期間基準期間の課税売上高が1,000万円を超える該当する年・事業年度の売上帳、消費税の申告資料
特定期間特定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合。国内事業者は同期間の給与等支払額による判定も選べる特定期間の売上帳・給与の支払記録
インボイス登録適格請求書発行事業者の登録を受けている登録通知書・登録日
課税事業者の選択課税事業者選択届出書の効力が続いている届出書の控え・適用開始期
新設法人等基準期間がない法人の資本金判定や、特定新規設立法人の特例に該当期首の資本金・出資金、株主構成等

主な例外には、相続・合併・分割による事業承継、調整対象固定資産や高額特定資産等の取得に伴う免税制限もあります。該当する場合は国税庁 No.6501「納税義務の免除」の該当項目で確認してください。

売上帳から拾う金額

国内の個人事業者と基準期間が1年の内国法人の、課税売上高の集計です。非課税売上は含めません。返品等は、売上に係る返品・値引き・割戻しなどを指します。

基準期間の状況課税売上高に使う金額
課税事業者だった場合税抜きの課税売上+輸出等の免税売上−税抜きの返品等
免税事業者だった場合課税売上+輸出等の免税売上−返品等(税抜きにする処理はしない)

登録などで基準期間の途中に区分が変わった場合は、期間を分けて資料を確認してください。

出典:国税庁 e-Tax「課税売上高」の説明、国税庁 確定申告書等作成コーナー「納税義務の免除」。

課税事業者選択届出書を過去に提出している場合は、売上が下がっただけで免税に戻るわけではありません。不適用の届出や、免税に戻れない期間も確認が必要です。

基準期間・特定期間はいつか

個人事業者は前々年、毎期1年の法人は前々事業年度が基準期間です。特定期間はそれより新しい期間の売上等で、免税にできるかを追加判定する仕組みです。

国内の個人事業者と、毎期1年の事業年度で決算する内国法人の通常の期間を示します。

事業者基準期間特定期間
個人事業者その年の前々年前年1月1日~6月30日
毎期1年の内国法人その事業年度の前々事業年度前事業年度の開始日以後6か月

国内事業者は、特定期間の課税売上高の代わりに同期間の給与等支払額の合計額で判定できるため、売上高だけで課税と決めずに給与等の支払記録も確認します。

前事業年度が短い法人では、特定期間が異なったり、特定期間が生じなかったりします。国外事業者の判定は本記事では扱いません。詳しくは国税庁 No.6501と消費税法9条の2を確認してください。

短い決算期の法人は、売上をそのまま比べない

法人の基準期間が短い場合は、対象となる事業年度を合わせる処理や、課税売上高の年換算が必要になります。設立日・決算日を並べて基準期間を確定してから、売上の額を拾います。

個人事業者は、年の途中で開業しても、基準期間の課税売上高を法人のように年換算しません。法人と個人で同じ計算を使わないでください。

期間の定義は国税庁 No.6503、課税売上高の計算は消費税法9条で確認できます。

新設法人は資本金を期首で確認する

基準期間がない内国法人では、事業年度開始日の資本金・出資金を確認します。設立直後だから免税、と決めることはできません。

次の表は、基準期間がない内国法人の資本金・出資金による判定です。消費税法12条の2第1項の除外法人(社会福祉法人など)は除きます。インボイス登録や特定期間等による判定は別に行います。

事業年度開始日の資本金・出資金この資本金基準による扱い
資本金・出資金が1,000万円以上納税義務は免除されない
資本金・出資金が1,000万円未満この基準では課税とならないが、他の要件の確認が必要

売上の免税点は「以下」、資本金の基準は「以上」です。同じ額でも、売上と資本金では境界の向きが違います。

期中に増資した場合も、資本金の基準は各期の開始日で判定します。翌期の期首資本金も確認してください。

資本金が基準未満でも、大規模な事業者に支配されているなど、特定新規設立法人に該当すれば免税になりません。支配関係と判定対象者の売上等を併せて確認する制度です。詳細は国税庁 No.6503「基準期間がない法人の納税義務の免除の特例」へ進んでください。

課税事業者・登録事業者との違い

消費税の納税義務と、インボイスを発行できる資格は別の確認です。課税事業者でも、登録を受けていなければインボイスを発行できません。

区分国内の課税売上に係る納税義務インボイスの発行
免税事業者免除されるできない
未登録の課税事業者免除されないできない
登録済みの課税事業者免除されないできる

免税事業者でも通常の請求書は発行できます。インボイスが必要だと言われた場合は、請求書の名称や見た目だけを変えて対応することはできません。適格請求書発行事業者の登録と、その後の申告等への対応を検討します。

免税の要件を満たしている 免税を継続する インボイスは発行できない 通常の請求書は発行できる インボイスの登録を受ける 課税事業者になる 2割特例などの要件を確認
免税の継続とインボイス登録の違い。登録以外の理由で課税になる場合や、既に課税選択をしている場合は別に確認します。登録後の申告と負担軽減の要件は本文で確認してください。

インボイスの仕組みや記載事項はインボイス制度をわかりやすく、通常の書類の作成は請求書の書き方で確認できます。

取引先の仕入税額控除はどうなるか

免税事業者からの仕入れでも、経過措置の条件を満たせば買い手が一定割合を控除できます。影響を見るのは、主に実際の仕入税額を使って納税額を計算する一般課税の買い手です。

国内の一般課税の買い手が、免税事業者等からの課税仕入れに経過措置を適用する場合の表です。経過措置対象の旨を記載した帳簿と区分記載請求書等の保存、同一相手先ごとの限度内であることが前提です。割合は仕入税額相当額に対するものです。

課税仕入れを行う期間経過措置の控除割合
令和5年10月1日~令和8年9月30日80%
令和8年10月1日~令和10年9月30日70%
令和10年10月1日~令和12年9月30日50%
令和12年10月1日~令和13年9月30日30%

令和8年度税制改正により、令和8年10月1日以後の課税仕入れから控除割合が変更されています。出典:国税庁インボイスQ&A 問113。少額特例等により帳簿のみで控除できる取引は、この経過措置とは別に確認します。

割合の切替日と、限度額の切替日は違う

控除割合は仕入日、相手先別の限度額は課税期間の開始日で切り替わります。会計ソフトで割合を変更しただけでは、限度額の確認は終わりません。

同一の未登録者から行う経過措置対象の課税仕入れを、その年又は事業年度の税込金額で合計します。以下の限度額を超える部分には経過措置を適用できません。

課税期間の開始日相手先別の限度額
令和6年10月1日~令和8年9月30日に開始する課税期間税込10億円
令和8年10月1日以後に開始する課税期間税込1億円

請求書の保存項目や少額特例、取引先との価格の話はインボイス制度の買い手の実務にまとめています。免税の相手から受け取った書類も、経過措置を使うために保存してください。

課税事業者になる選択と負担軽減

免税の要件を満たしていても、課税事業者を選択できます。インボイスを発行するための登録と、設備投資等の還付を検討して課税を選ぶ届出では、目的と手続きを整理しておきます。

通常の課税選択は、事業開始期等の当期適用を除き、届出を提出した課税期間の翌課税期間から効力が生じます。翌期から適用する通常の手続きでは、期末が休日でも当課税期間中の提出が必要です。飲食料品を扱う事業者向けの提出時期の特例などは、国税庁 No.6501で適用時期を確認してください。

課税を選ぶと、自由に免税へ戻れるとは限りません。選択の継続制限や、固定資産を取得した場合の制限があるため、還付が見込める年だけでなく、その後の納税も含めて比較します。還付の条件は消費税の還付で扱っています。

登録後の負担軽減を確認する

次は、登録等がなければ免税となる適格請求書発行事業者向けの負担軽減の入口です。基準期間・特定期間の売上等で本来課税となる場合は対象外です。課税期間の短縮等、ほかにも適用できない期間があります。

制度対象・適用期間の概要
2割特例納税額を売上税額の2割にできる対象の個人・法人は、令和5年10月1日~令和8年9月30日までの日の属する課税期間で終了
3割特例納税額を売上税額の3割にできる対象の個人事業者の令和9年分・令和10年分。法人は対象外

制度開始前から選択課税を続ける開始時の課税期間等は、2割特例を使えません。申告書への付記も必要です。出典:国税庁「2割特例の概要」、「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」。

これらは免税のまま使う制度ではなく、登録して課税事業者になった後の税額計算の特例です。個別の対象外期間や簡易課税への移行は2割特例はいつまでか、事業区分ごとの計算は簡易課税制度で確認してください。

消費税・端数処理 計算機請求書の税込・税抜金額や、方式別の納税額の概算を確認できます。免税か課税かの適用判定は含みません。

経理で確認する順序

登録状況と過去の資料から確認する
  • インボイス登録・課税選択の届出の控えを確認する。
  • 基準期間と特定期間を確定し、売上帳・給与の支払記録を用意する。
  • 新設法人は期首の資本金と特定新規設立法人への該当も確認する。
  • 課税へ移る場合は、納税見込みと書類・会計処理の変更を併せて確認する。

よくある質問

免税事業者は請求書を発行できますか?

通常の請求書は発行できます。ただし、免税事業者のままインボイスを発行することはできません。インボイスを発行するには適格請求書発行事業者の登録を受け、課税事業者になる必要があります。

今年の売上が少なければ免税事業者ですか?

今年の売上だけでは判定できません。基準期間・特定期間の課税売上高等に加え、インボイス登録や課税選択、法人の設立状況、固定資産の取得等による免税制限を確認します。

新しく会社を作れば免税になりますか?

設立しただけでは免税と決まりません。基準期間がない内国法人では、期首の資本金等や特定新規設立法人への該当を確認します。インボイス登録・課税選択や特定期間の売上等によっても課税になる場合があります。

免税事業者のまま消費税の還付を受けられますか?

免税事業者のままでは、課税仕入れに係る消費税の還付を受けられません。還付を検討する場合は、課税選択等の手続きと、一般課税での仕入税額控除の要件を確認します。

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出典

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。

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