上の計算機の式と、利回りの種類ごとのちがいをまとめます(一般的な計算方法の説明であり、特定の物件・金融商品・銘柄をすすめるものではありません)。
表面利回りと実質利回り
不動産の利回りは、物件価格に対して1年でどれだけの収入があるかを表す割合です。この計算機は2つを出します。
| 利回り | 式 |
|---|---|
| 表面利回り | 満室のときの年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100 |
| 実質利回り | (年間家賃収入 ×(1 − 空室率)− 年間経費)÷(物件価格 + 購入時の諸費用)× 100 |
実質利回りの分子は、1年の家賃収入から空室で入らない分と経費を引いた純収益です。国土交通省の「不動産鑑定評価基準」も、収益価格を求める直接還元法で、一期間の純収益を還元利回りで割って価格を出し(P = a ÷ R)、純収益は「一般に1年を単位として総収益から総費用を控除して」求めるとしています。総費用の例は、維持管理費(維持費・管理費・修繕費等)、公租公課(固定資産税・都市計画税等)、損害保険料等です。空室は、同基準の様式で「空室等損失」として収入から差し引く項目です。
空室率100%(1年じゅう空室)にすると家賃収入は0円になり、経費の分だけ純収益がマイナスになるので、実質利回りもマイナスで表示します。表面利回りは満室のときの家賃で計算するので、空室率・経費・諸費用を入れても変わりません。
家賃収入による所得(不動産所得)は、ほかの所得と合わせて税額を計算する仕組みなので、この計算機の不動産の利回りは税引き前だけを出します。売ったときの税金は不動産譲渡所得税の計算機で計算できます。
単利の年平均利回りとCAGR
元本がいくらになったかから「年に何%増えたか」を出す方法は2つあり、期間が長いほど大きく違います。
| 年利回り | 式 | 考え方 |
|---|---|---|
| 単利の年平均利回り | (最終額 − 元本)÷ 元本 ÷ 年数 × 100 | 増えた分を年数で均等に割る |
| CAGR(年平均成長率) | ((最終額 ÷ 元本)の(1 ÷ 年数)乗 − 1)× 100 | 毎年同じ率で複利で増えたとみなす |
三井住友銀行の例では、100万円を年6%・年1回の複利で30年預けると574万3,491円になります。これを計算機に入れると、CAGRは6.00%で元の年利に戻りますが、単利の年平均利回りは15.81%です。増えた474万3,491円には利息の利息が含まれているので、それを年数で均等に割ると、毎年の率より大きく見えます。反対に、単利で30年後280万円になる例(毎年6万円ずつ増える)を入れると、単利の年平均利回りは6.00%、CAGRは3.49%です。
金融庁のNISA特設ウェブサイトは、得た収益を元本にプラスして運用することで得られる利益を「複利」と説明しています。銀行の年利(複利の率)や、毎年同じ率で増えるとして計算した利回りと比べるときはCAGRを使います。1年だけなら2つは同じ値になります。最終額が元本より少ないとき(損失)は、どちらもマイナスの利回りになり、最終額0円ならCAGRは−100%です。複利で増える様子を年ごとに見たいときは複利計算ツールを使ってください。
配当利回り
配当利回りは、1株あたりの年間配当 ÷ 株価 × 100で、株価に対して1年で受け取る配当の割合です。株価2,500円・年間配当75円なら3.00%です。配当は会社の業績によって増えたり減ったり、なくなったりするので、過去の配当で計算した値は将来の受取額を約束するものではありません。
税引き後の利回り(20.315%・NISA)
上場株式等の譲渡益(売って増えた分)は、所得税15%・住民税5%に、所得税額の2.1%の復興特別所得税を加えた20.315%です(国税庁タックスアンサーNo.1463)。上場株式等の配当も、所得税・復興特別所得税15.315%と地方税5%が差し引かれます(No.1330)。税金がかかるのは増えた分・配当だけで、元本にはかかりません。損失のときは税金を0円とします。
令和9年1月1日以後に生ずる所得からは、復興特別所得税の税率が1.1%に引き下げられ、防衛特別所得税(所得税額の1%)があわせてかかります(No.1330)。内訳は変わりますが合計は同じ20.315%です。この計算機は年分ごとの内訳をデータとして持ち、選んだ年分の内訳を結果に表示します。
| 年分 | 内訳 | 合計 |
|---|
復興特別所得税は令和29年分までなので、令和30年分(2048年)以後の税率はこの計算機に収録していません。NISA口座で買った上場株式等の譲渡益・配当は非課税なので、NISAを選ぶと税引き前と同じ利回りになります(No.1463「非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得および譲渡所得等の非課税措置(NISA)」)。発行済株式の3%以上を持つ大口株主等が受け取る配当(No.1330)や、損益通算・繰越控除はこの計算機では扱いません。
100万円が30年で574万3,491円になった例で特定口座を選ぶと、増えた474万3,491円 × 20.315% = 963,640円(1円未満切捨て)を引いて税引き後は477万9,851円、税引き後のCAGRは5.35%です。
端数の扱い
- 利回り(%)は途中で丸めず、表示のときに小数第3位を四捨五入して小数第2位まで出します。
- 投資の税金は、増えた分 × 税率の1円未満を切り捨てます。
- 配当の税引き後は1株あたりの概算です。実際に配当を受け取るときの1円未満の端数処理は含めていません。
よくある質問
表面利回りと実質利回りはどちらを見ればよいですか?
表面利回りは満室の家賃と物件価格だけで出すので、物件どうしを手早く比べるのに使えます。手元に残るお金に近いのは、空室・年間経費・購入時の諸費用を入れた実質利回りです。物件価格3,000万円・家賃月15万円の例では、表面6.00%に対して実質4.21%でした。
単利の年平均利回りとCAGRはどちらが正しいのですか?
どちらも計算としては正しく、見ているものが違います。単利の年平均利回りは増えた分を年数で均等に割った値、CAGRは毎年同じ率で複利で増えたとみなした値です。年利と比べるならCAGRを使います。100万円が30年で574万3,491円になった例では、単利の年平均は15.81%、CAGRは6.00%です。
NISAで運用した場合の利回りはどうなりますか?
NISA口座内の上場株式等の譲渡益・配当は非課税なので、税金を引かない利回りがそのまま手元の利回りになります。計算機で「NISA口座(非課税)」を選ぶと、税引き前と同じ値を出します。
配当利回りが高い銘柄を教えてもらえますか?
このサイトでは個別の銘柄・物件・金融商品はすすめていません。計算機は、入力した株価と配当から利回りを計算するだけです。
出典
三井住友銀行の公表した複利・単利の表から逆算してCAGR・単利の年平均利回りがともに6%に戻ることを確かめ、実質利回りの考え方は国土交通省の不動産鑑定評価基準、税率は国税庁の公表資料で確認しました。表面・実質利回りと配当利回りの公的な計算例は見当たらなかったため、別の書き方の計算と照合しています。
- 国土交通省「不動産鑑定評価基準」(PDF)
- 三井住友銀行「あまり知られていない複利の威力」
- 金融庁 NISA特設ウェブサイト「投資の基本」
- 国税庁 タックスアンサー No.1463「株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」
- 国税庁 タックスアンサー No.1330「配当金を受け取ったとき(配当所得)」
- 国税庁 タックスアンサー No.2220「総合課税制度」
- 東京証券取引所「株価平均等算出上の株価等の取扱い変更について」(PDF・単純平均利回りの算出式)
このページは一般的な計算方法の説明です。将来の利回りを示すものではなく、個別の物件・金融商品・銘柄の選び方や税務の相談への回答ではありません。