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青色申告決算書の書き方|一般用の記入例と転記先

青色申告決算書は、帳簿の年間損益を損益計算書に、期首・期末の残高を貸借対照表に移して作ります。月別売上や減価償却の内訳と照合します。最後に、同じ範囲の控除前所得が両方の表で一致するか確かめます。

以下は、個人の事業所得について、国税庁の令和7年分の書き方と一般用様式を使った記入例です。農業・不動産・現金主義用、製造原価の計算、医業等の特例は扱いません。実際の申告には対象年分の様式・手引きを使います。

様式と記入順を確認する

一般用は4ページ構成です。決算整理を済ませた帳簿から損益を転記し、内訳を照合して、残高を記入します。国税庁の一般用様式を開き、集計元の帳簿と対応させます。決算書に合わせて帳簿の金額を作るのではありません。

一般用決算書のページと集計元
ページ主な記入欄集計元
1ページ損益計算書売上・仕入・経費の元帳、棚卸表
2ページ月別売上・仕入、給料、家賃、控除計算月別集計、賃金台帳、賃貸借契約等
3ページ売上先・仕入先明細、減価償却費等相手先別集計、固定資産台帳
4ページ貸借対照表期首・期末の各勘定残高
損益計算書内訳と金額を照合貸借対照表貸借対照表には、特別控除を引く前の所得を移す
まず損益の全体を埋め、内訳との一致を確認してから残高を記入する作業順です。

会計ソフトで作成する場合も、この対応関係を使って出力を確認できます。青色申告の承認と記帳から申告までの全体像は青色申告のやり方、承認申請の記入方法は青色申告承認申請書に分けています。

損益計算書の記入例

損益計算書には、売上から原価・経費を差し引き、特別控除前の所得、控除額、控除後の所得を順に記入します。氏名・住所・業種・対象年分・営業期間も忘れずに記入します。

以下は令和7年分の架空の設例です。通年営業の小売業で、事業所得のみ、税込経理の消費税免税事業者とします。金額は円です。現金主義、家事消費、雑収入、専従者給与、引当金、所得計算の特例はありません。経費は家事分を除き決算整理済みです。控除は期限内e-Tax等の要件を満たすものとします。

損益計算書へ記入する金額(設例)
記入欄金額(円)集計・計算
売上(収入)金額6,000,000月別売上の計
期首商品棚卸高300,000期首棚卸表から
仕入金額2,400,000月別仕入の計
小計2,700,000期首棚卸高+仕入
期末商品棚卸高500,000期末棚卸表から
差引原価2,200,000小計−期末棚卸高
差引金額3,800,000売上−差引原価
給料賃金1,200,000従業員の年間給与
地代家賃600,000事業用店舗の賃借料
減価償却費100,000償却明細の必要経費算入額
その他の経費(集計)400,000実際は該当する経費科目へ配分
経費計2,300,000上の経費の合計
青色申告特別控除前の所得金額1,500,000差引金額−経費計
青色申告特別控除額650,000控除計算欄から
所得金額850,000控除前所得−特別控除額

表の「その他の経費」は説明用の集計です。実際の様式では、通信費・消耗品費など該当する科目へ分けます。青色事業専従者への給与は、従業員の給料賃金に混ぜず専従者給与欄へ記入します。

経費に移すのは決算整理後の金額です。未払・前払、資産計上、家事分の除外などを先に反映します。税込経理の課税事業者の納付消費税等は、原則として消費税等の申告書提出年の租税公課に含めます(本年分の未払金に計上した額は本年分に算入可)。

月別売上・給料・家賃の内訳

月別売上・仕入は年間の集計値を裏付ける欄です。月の途中で帳簿を締めていても、年初から年末までの取引を集計します。家事消費等を毎月の売上に含めている場合は、別欄に重ねて足しません。

令和7年分の同じ設例では、売上・仕入は、それぞれ毎月同じ金額だったと仮定します。各月欄へ下の月額を記入し、年間合計を損益計算書へ移します。単位は円、家事消費等・雑収入はありません。

月別売上・仕入の記入額(設例)
記入する欄売上(円)仕入(円)
各月欄の月額500,000200,000
年間の計6,000,0002,400,000

売上・仕入の「うち軽減税率対象」は合計の内数です。計へもう一度加えません。記入を省略できる扱いも、国税庁の月別欄の説明で確認できます。

令和7年分の設例の給与・家賃の内訳です。従業員Aは青色事業専従者ではなく、通年勤務で賞与なしと仮定します。年末調整後の源泉徴収税額はゼロです。店舗は事業専用で、権利金・更新料はありません。金額は円です。

給与・家賃欄へ移す内容(設例)
内訳欄記載内容金額(円)
給料賃金従業員A・従事月数12か月・毎月100,000円1,200,000
地代家賃貸主B・店舗・毎月50,000円600,000

氏名・住所などの相手先情報も資料から記入します。給料の源泉徴収税額は、年末調整をした人は年末調整後の額です。年の途中で退職するなど、年末調整をしなかった人は本年中の徴収額です。

地代家賃の内訳は、本年中に支払うことの確定した金額を記入します。店舗兼住宅なら、賃借料の総額と必要経費算入額を分け、後者に家事分を含めません。家事分の分け方は家事按分で確認できます。

取引先明細と減価償却費

売上先・仕入先の明細は、相手先別の金額を帳簿から集計します。小売業の減価償却費は資産ごとに計算し、事業分を損益計算書へ移します。用紙に入りきらない相手先は「上記以外」の欄と合わせます。小売業では、全体の計が損益計算書の売上・仕入と一致するか確かめます。

令和7年分の設例の相手先別集計です。単位は円。売上先Cと仕入先D以外の相手先は、それぞれ「上記以外」の欄へ集計する仮定です。

売上・仕入明細の集計例
区分相手先別(円)上記以外(円)計(円)
売上2,400,0003,600,0006,000,000
仕入1,200,0001,200,0002,400,000

登録番号又は法人番号を把握している相手先は、その番号を記入します。番号を記入した相手先は、名称・所在地の記入を省略できます。金額まで省略する扱いではありません。

次の設例は、損益計算書へ転記する償却費の求め方です。私用を含む資産なら、償却費に事業専用割合を掛けて事業分に絞ります。

令和7年分の設例では、同年1月に取得して使用開始した事務用パソコンを計算します。令和7年分の設例はサーバー用以外のパソコンで、取得価額400,000円・定額法・耐用年数4年・償却率0.250です。通年事業専用、特別償却等なし、端数は生じない仮定です。単位は円です。

減価償却明細の記入例
欄記入する内容
資産の名称等事務用パソコン・1台
取得年月令和7年1月
取得価額・償却の基礎400,000
償却方法・耐用年数定額法・4年
償却率・償却期間0.250・12か月
普通償却費・本年分償却費合計100,000
事業専用割合100%
本年分の必要経費算入額100,000
未償却残高(期末残高)300,000

本年取得した資産の期末残高は、取得価額から本年分の償却費合計を差し引きます。前年以前に取得した資産は、前年末の未償却残高から差し引く点が違います。家事分がある場合も、資産の償却費合計と事業分の必要経費算入額は区別します。

この設例の必要経費算入額を、損益計算書の減価償却費へ移します。

貸借対照表の記入例

貸借対照表は、期首と期末の資産・負債・資本の残高を記入する表です。損益計算書の年間売上を、普通預金や現金の残高へそのまま移すものではありません。

令和7年分の同じ設例の貸借対照表です。単位は円。期首・期末の残高は仮定額で、資産は現金、普通預金、売掛金、商品、器具備品、事業主貸のみです。負債・資本側の「所得」は青色申告特別控除前の額を使います。他の所得の残高は合算していません。「—」は、一般用様式の貸借対照表で期首欄が斜線になっている箇所です。

貸借対照表に記入する残高(設例)
区分科目期首(円)期末(円)
資産現金100,000100,000
資産その他の預金(普通預金)1,300,0002,000,000
資産売掛金300,000500,000
資産棚卸資産300,000500,000
資産工具・器具・備品0300,000
資産事業主貸—800,000
資産合計2,000,0004,200,000
負債・資本買掛金400,000500,000
負債・資本借入金600,000900,000
負債・資本未払金0100,000
負債・資本事業主借—200,000
負債・資本元入金1,000,0001,000,000
負債・資本青色申告特別控除前の所得金額—1,500,000
負債・資本合計2,000,0004,200,000

貸借対照表へ移すのは、特別控除を引く前の所得です。控除後の所得は確定申告書へ引き継ぐ金額なので、転記先を入れ替えないでください。元入金は当年の期首と期末に同じ金額を記入します。

事業主貸は生活費など事業から家計へ出した金額です。事業主借は、事業主の資金や預金利息など、事業所得以外の収入で事業に受け入れた金額です。普通預金だけでは家計との出入りを説明できません。記帳や翌年への繰越しは事業主貸・事業主借で扱います。

左右の合計が合っていても、残高の中身が正しいとは限りません。預金は通帳、売掛金は未回収明細、買掛金は未払仕入明細、棚卸資産は棚卸表へ戻って照合します。器具備品は取得価額ではなく、償却後の残高とつなぎます。

控除別に変わる記入と添付

控除額によって、控除計算欄の金額と、記帳・貸借対照表・提出方法等の要件が変わります。控除額を変えても、売上や必要経費を集計する工程は省けません。

令和7年分の事業所得のみの青色申告者について、控除額別の違いを整理します。金額は上限で、事業所得のみの場合は損益通算前の黒字の事業所得が限度です(医業等の所得計算の特例は除外)。通常の複式簿記の区分では現金主義の特例を使わず、控除額を記載して期限内に申告します。

控除別の記入・添付の違い
上限額記帳・添付控除計算と提出
55万円複式簿記。貸借対照表・損益計算書等を添付期限内申告。控除計算欄から損益計算書へ転記
65万円上の要件に加え、e-Tax又は優良電子帳簿の要件申告書・決算書等を期限内e-Tax送信、又は下の帳簿要件
10万円上位控除の要件に当たらない青色申告者。簡易な記帳なら貸借対照表の添付不要損益計算書の添付は必要。控除計算は所得の限度を確認

還付申告でも上位控除には期限内申告が必要です。e-Taxでは申告書・決算書等を画像で送信する方法は使えません。優良電子帳簿の方法は、その年の仕訳帳・総勘定元帳の備付け・保存が必要です。所定の届出はその年分の確定申告期限までに行いますが、既に電子帳簿保存による控除の適用を受け、要件を継続して満たす人は提出不要です。

簡易な記帳で貸借対照表の添付が不要になっても、決算書全体が不要になるわけではありません。複式簿記で作った貸借対照表を、控除額が小さいという理由だけで削るものでもありません。対象年分の要件と、自分の記帳方式を分けて確認します。

控除計算欄の金額を損益計算書の青色申告特別控除額へ移します。不動産所得や山林所得もある人の控除順序・限度、改正後の年分は青色申告特別控除の解説で確認してください。

完成前の確認と提出

完成前に損益・内訳・残高を照合し、控除の要件を確認します。完成後は事業所得を確定申告書へ引き継ぎ、提出内容と受付結果を確認します。

決算書を閉じる前の照合表
確認箇所一致させるもの
売上・仕入小売業の月別集計、相手先別明細、損益計算書の計
経費整理後の元帳と各内訳の必要経費算入額
資産償却明細の未償却残高と貸借対照表
所得同じ範囲の所得について、損益計算書と貸借対照表の特別控除前所得
残高資産側と負債・資本側の合計、各残高と元資料
控除所得の限度、記帳・添付・提出方法の要件

損益計算書と貸借対照表の控除前所得が合わない場合は、転記、記帳漏れ、二重記帳、決算整理を確認します。差を不明な売上や経費に入れて合わせず、元帳・証憑まで戻って原因を直します。

決算書の完成後は、確定申告書へ事業所得を引き継ぎ、ほかの所得や所得控除等と合わせて申告します。決算書の所得金額は納付税額そのものではありません。送信する場合も決算書を含む提出内容と受付結果を確認し、業務の帳簿書類を保存します。

全体の提出手順は確定申告のやり方、電子申告の準備と受付確認はe-Taxで確定申告へ進んでください。

年間の損益を内訳と照合し、期首・期末の残高を埋め、控除前所得で損益計算書と貸借対照表をつなぎます。控除後の所得を申告書へ引き継いだら、提出内容と受付結果まで確認します。

青色申告特別控除の要件と区分を確認する

よくある質問

決算書には通帳の入出金合計を書けばよいですか?

入出金合計をそのまま移す方法では作れません。一般用では、帳簿の損益を決算整理し、売掛金・買掛金、在庫、償却や家事分などを反映します。この記事は現金主義の特例を使わない場合の記入例です。

貸借対照表の所得欄には、特別控除後の額を書きますか?

特別控除前の所得を書きます。同じ範囲の所得について、一般用の損益計算書の「青色申告特別控除前の所得金額」と、貸借対照表の対応欄を一致させます。控除後の所得と転記先を混同しないでください。

簡易な記帳なら決算書は出さなくてよいですか?

損益計算書の添付は必要です。青色申告で認められた簡易な記帳では貸借対照表を添付しない扱いがありますが、所得を計算する書類まで不要になるわけではありません。

決算書だけ作れば確定申告は終わりますか?

決算書だけでは終わりません。事業所得を確定申告書へ引き継ぎ、ほかの所得・控除等も含めて申告します。提出後は受付結果と、納付等の手続きを別に確認します。

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出典

この記事は一般的な情報提供です。個別の税務相談には応じられません。所得区分・経費・申告方法の個別判断は、税務署または税理士へご確認ください。

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