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青色申告承認申請書 — 承認の通知は届かない。返事が来ないことが承認だと条文が定めている

結論から言うと、青色申告承認申請書を提出しても、税務署から「承認しました」という通知は届きません。所得税法147条が、一定の日までに承認も却下もされなかったときは「その日においてその承認があつたものとみなす」と定めているためです。法人税法125条1項も同じ作りです。返事が来ないことが、承認されたということになります。

この点は問い合わせがよく起きるところです。申請書を出した人は通知を待ちますが、待っていても何も届きません。届かないまま、その年の確定申告を青色申告書で提出することになります。逆に、届く可能性があるのは却下の処分のほうです。

もうひとつ、実務で取り違えが起きやすいのが期限です。個人と法人では、期限の決まり方が逆を向いています。個人は「その年の3月15日まで」なので、年が明けてから2か月半のあいだ、その年分に間に合わせる余地があります。法人は「その事業年度開始の日の前日まで」なので、事業年度が始まってしまうと、その年度はもう青色にできません(設立初年度などは別扱いです)。この記事では、申請書の法的な位置づけ、期限、省令が定める記載事項、却下と取消しの事由、そして取消事由が法人だけ1つ多い理由までを、条文の順に整理します。

白色は選ぶものではない。申請書を出していない状態が白色

青色申告について、所得税法143条は次のように定めています。

不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務を行なう居住者は、納税地の所轄税務署長の承認を受けた場合には、確定申告書及び当該申告書に係る修正申告書を青色の申告書により提出することができる。

読みどころは「承認を受けた場合には……提出することができる」という構造です。青色申告は、承認という行政処分を受けて初めて選べるようになるもので、何もしていない状態の既定値が白色だということになります。白色申告に届出書が存在しないのはこのためで、白色は積極的に選ぶものではなく、青色申告承認申請書を出していない状態を指す呼び名です。

法人側も同じ作りです。法人税法121条1項は、承認を受けた内国法人が青色の申告書により提出できる申告書として、中間申告書と確定申告書の2つを掲げています。

内国法人は、納税地の所轄税務署長の承認を受けた場合には、次に掲げる申告書及びこれらの申告書に係る修正申告書を青色の申告書により提出することができる。
「申請書」であって「届出書」ではない

開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)は届出で、出せばそれで完結します。これに対し青色申告承認申請書は申請で、行政庁の応答を予定した書類です。だからこそ却下という処分がありえますし、応答が無い場合に備えて後述のみなし承認の規定が置かれています。名前が「申請書」で終わっている書類は、出しただけでは効果が確定しない、と読むのが条文の構造に沿った理解です。

期限の決まり方が、個人と法人で逆を向いている

個人の期限は所得税法144条です。

その年分以後の各年分の所得税につき前条の承認を受けようとする居住者は、その年三月十五日まで(その年一月十六日以後新たに同条に規定する業務を開始した場合には、その業務を開始した日から二月以内)に、当該業務に係る所得の種類その他財務省令で定める事項を記載した申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

基準は「その年三月十五日まで」です。ここでいう「その年」は、青色で申告したい年そのものを指します。つまり令和8年分を青色にしたいなら、令和8年3月15日までに出す、という読み方になります。年が明けてからでも、まだ間に合う期間があるのが個人の側の特徴です。

括弧書きは新規開業の場合です。その年の1月16日以後に業務を開始したときは、開始した日から2か月以内に繰り上がります。逆にいえば、1月15日までに開業した人は括弧書きに当たらないので、原則どおり3月15日までということになります。

法人の期限は法人税法122条1項で、向きが変わります。

当該事業年度以後の各事業年度の前条第一項各号に掲げる申告書を青色の申告書により提出することについて同項の承認を受けようとする内国法人は、当該事業年度開始の日の前日までに、当該事業年度開始の日その他財務省令で定める事項を記載した申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

「当該事業年度開始の日の前日までに」ですから、青色にしたい事業年度が始まる前に出しておかなければなりません。3月決算の会社が令和9年3月期を青色にしたいなら、令和8年3月31日までということになります。事業年度が始まってから気づいた場合、その事業年度はもう青色にできず、翌事業年度からの適用を目指すことになります。

個人(令和8年分を青色にしたい場合) R8/1/1 R8/3/15 提出期限 ここまでに出す R8/12/31 みなし承認 処分が無ければ承認とみなす 法人(3月決算・令和9年3月期を青色にしたい場合) R8/3/31 提出期限 事業年度が始まる前日まで R8/4/1 期首 R9/3/31 みなし承認 =事業年度終了の日 個人は年が明けてからでも間に合う期間がある。法人は期首を過ぎるとその事業年度は青色にできない。
個人と法人で、提出期限の向きが逆になっている(所得税法144条・法人税法122条1項)。みなし承認の日も別々に定められている(所得税法147条・法人税法125条1項)。

ただし法人にも例外があります。法人税法122条2項は、設立の日の属する事業年度などについて、提出期限を別に定めています。普通法人・協同組合等の設立の日の属する事業年度であれば、設立の日以後3か月を経過した日と、その事業年度終了の日とのうち、いずれか早い日の前日までです。設立初年度は期首の前日という期限が成り立たないため、こちらが働きます。公益法人等・人格のない社団等が新たに収益事業を開始した日の属する事業年度についても、同じ考え方の期限が置かれています。

区分提出期限根拠
個人(継続して業務を行っている)青色にしたい年の3月15日まで所得税法144条本文
個人(その年1月16日以後に新規開業)業務を開始した日から2か月以内所得税法144条括弧書き
法人(継続している事業年度)その事業年度開始の日の前日まで法人税法122条1項
法人(設立の日の属する事業年度)設立の日以後3か月を経過した日と、その事業年度終了の日のうち早い日の前日まで法人税法122条2項1号

承認の通知は届かない。みなし承認の日は個人と法人で違う

ここがこの記事の中心です。所得税法147条を読みます。

第百四十四条(青色申告の承認の申請)の申請書の提出があつた場合において、その年分以後の各年分の所得税につき第百四十三条(青色申告)の承認を受けようとする年の十二月三十一日(その年十一月一日以後新たに同条に規定する業務を開始した場合には、その年の翌年二月十五日)までにその申請につき承認又は却下の処分がなかつたときは、その日においてその承認があつたものとみなす。

申請書を出したあと、その年の12月31日までに承認も却下もされなければ、その日に承認があったものとみなされます。行政庁が明示的に応答しなくても効果が生じる仕組みなので、承認通知という書類は原則として発行されません。11月1日以後に新たに業務を開始した場合だけ、翌年2月15日まで後ろにずれます。開業から年末までの期間が短く、税務署が判断する時間を確保するためと読める作りです。

法人側は法人税法125条1項です。

第百二十二条第一項(青色申告の承認の申請)の申請書の提出があつた場合において、同項に規定する当該事業年度終了の日(当該事業年度について中間申告書を提出すべき法人(当該法人以外の法人で当該事業年度について第七十二条第一項各号(仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等)に掲げる事項を記載した中間申告書を提出できるものを含む。)については、当該事業年度開始の日以後六月を経過する日)までにその申請につき承認又は却下の処分がなかつたときは、その日においてその承認があつたものとみなす。

基準日はその事業年度終了の日です。ただし括弧書きが重要で、中間申告書を提出すべき法人については、事業年度開始の日以後6か月を経過する日に前倒しされます。中間申告書も青色で提出する対象になっているため、中間申告の時点までに承認の有無が確定していなければ辻褄が合わないからだと読めます。

実務上の帰結 — 通知を待つ運用は成り立たない

みなし承認の日は、個人なら12月31日、法人なら事業年度終了の日(または期首から6か月)です。いずれも、その年分・その事業年度の申告書を作る前に到来します。したがって、承認の通知を受け取ってから青色申告書を書き始める、という段取りは条文上ありえません。一般には、申請書の控え(収受印のあるもの、または電子申告の受信通知)を保管しておき、却下の通知が来ていないことをもって青色として処理する、という運用になります。

記載事項は省令で5つ。申請書の目立つ欄は、その5つの中に無い

所得税法144条は「当該業務に係る所得の種類その他財務省令で定める事項」としか書いていないので、書き方の実体は省令の側にあります。所得税法施行規則55条です。

法第百四十四条(青色申告の承認の申請)に規定する財務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。

この条が挙げる号を、条文の木構造から機械的に数えると5個でした。内容は次のとおりです。

  1. 申請書を提出する者の氏名・住所(国内に住所がない場合は居所)と、住所地と納税地が異なる場合はその納税地
  2. 申請書を提出した後、最初に青色申告書を提出しようとする年
  3. 過去に承認を取り消され、または取りやめの届出書を提出した後で再び申請する場合には、その取消しの通知を受けた日または取りやめの届出書を提出した日
  4. その年1月16日以後に新たに業務を開始した場合には、その開始した年月日
  5. その他参考となるべき事項

ここで気づくことがあります。実際の申請書の用紙には「簿記方式(複式簿記・簡易簿記・その他)」「備付帳簿名」という、記入する側がいちばん迷う欄があります。ところが、この2つは上の5つの列挙のどこにも出てきません。

そこで語そのものが法令に存在するかを機械で数えました。所得税法の全文3,756,740字と、所得税法施行規則の全文677,553字について、「簿記の方式」「備付帳簿名」「複式簿記」の出現はいずれも0回でした。対照実験として同じ走査で「正規の簿記」が所得税法施行規則に1回ヒットしており、検索そのものは機能しています。つまり複式簿記という語は、所得税法にも所得税法施行規則にも一度も出てきません。

したがって申請書のあの欄は、条文の側から見れば5号の「その他参考となるべき事項」に当たる位置づけということになります。そこに何を書いたかが、青色申告特別控除の金額を直接決めているわけではありません。控除額の要件は租税特別措置法25条の2が別に定めており、判定されるのは実際にどう記帳したかです(金額の条件は青色申告特別控除で扱っています)。

では帳簿の要件はどこにあるのか、というと施行規則57条1項です。

青色申告者は、青色申告書を提出することができる年分の不動産所得の金額、事業所得の金額及び山林所得の金額が正確に計算できるように次の各号に掲げる資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引(以下この節において「取引」という。)を正規の簿記の原則に従い、整然と、かつ、明りように記録し、その記録に基づき、貸借対照表及び損益計算書を作成しなければならない。
青色申告特別控除シミュレーターで、記帳の方法ごとの控除額と節税額を計算する

青色申告者の原則は正規の簿記の原則に従った記録です。簡易な帳簿で足りる場合があるのは、施行規則56条1項のただし書きが「財務大臣の定める簡易な記録の方法及び記載事項によることができる」としているからで、条文の構造としては原則と例外の関係になっています。申請書の欄で簡易簿記を選ぶ行為は、この例外を使うという申告であって、要件そのものを作り出すものではない、という位置づけです。

却下される事由は3つ。1年のしばりがある

却下は所得税法145条、法人税法123条に定めがあります。どちらも号の数は3個でした(条文の木構造から機械的に数えたものです)。個人側を引きます。

税務署長は、前条の申請書の提出があつた場合において、その申請書を提出した居住者につき次の各号のいずれかに該当する事実があるときは、その申請を却下することができる。

3つの事由は、①帳簿書類の備付け・記録・保存が財務省令で定めるところに従って行われていないこと、②帳簿書類に隠ぺい・仮装その他不実の記載または記録があると認められる相当の理由があること、③承認の取消しの通知を受け、または取りやめの届出書を提出した日以後1年以内に申請書を提出したこと、です。

③は実務でつまずきやすいところです。一度青色を外れた場合、1年を経過するまでの申請は却下されうるということになります。前掲の施行規則55条3号が、取消しの通知を受けた日または取りやめの届出書を提出した日を記載事項に挙げているのは、この1年を税務署が判定できるようにするためだと読めます。申請書のあの記入欄は、却下の判断材料そのものだということです。

取消しは遡る。法人だけ事由が1つ多い

承認は取り消されることがあります。所得税法150条1項です。

第百四十三条(青色申告)の承認を受けた居住者につき次の各号のいずれかに該当する事実がある場合には、納税地の所轄税務署長は、当該各号に掲げる年までさかのぼつて、その承認を取り消すことができる。この場合において、その取消しがあつたときは、その居住者の当該年分以後の各年分の所得税につき提出したその承認に係る青色申告書は、青色申告書以外の申告書とみなす。

効果が強い規定です。取消しは遡り、しかも遡った先で提出済みの青色申告書は青色申告書以外の申告書とみなされます。青色であることを前提にしていた取扱いが、過去に向かって外れることになります。

ここで、個人と法人を並べると差が出ます。条文の木構造から号を数えると、所得税法150条1項は3個、法人税法127条1項は4個でした。前3つは対応していて、増えている4号がこれです。

第七十四条第一項(確定申告)の規定による申告書をその提出期限までに提出しなかつたこと

期限内に確定申告書を出さなかったこと、それ自体が取消事由になっているのは法人だけです。所得税法150条1項には、これに対応する号がありません。帳簿の不備や隠ぺい・仮装といった、記帳の中身に関する事由は個人にも法人にもありますが、期限を守らなかったという手続の事由は法人側にだけ置かれているという構造です。

承認の取消事由(条文の号を機械で数えたもの) 個人 — 所得税法150条1項 3個 一 帳簿書類の備付け・記録・保存が 省令のとおり行われていない 二 帳簿書類について税務署長の指示に 従わなかった 三 隠ぺい・仮装その他、真実性を疑う に足りる相当の理由がある 法人 — 法人税法127条1項 4個 一 同左 二 同左 三 同左 四 確定申告書を提出期限までに 提出しなかった ← 法人だけ 記帳の中身に関する事由は共通。手続(期限内申告)の事由は法人側にだけ置かれている。
取消事由の数は個人3・法人4。増えている1つは、確定申告書を提出期限までに提出しなかったことを事由とするもので、法人税法127条1項4号にだけある。

取消しの処分をするときは、所得税法150条2項・法人税法127条2項により、書面で通知し、その書面にはどの号に該当するかを附記しなければならないとされています。理由が特定されない取消しはできない作りです。

自分からやめる場合は、所得税法151条1項・法人税法128条の取りやめの届出書です。こちらは申請ではなく届出なので、提出があれば承認は効力を失います。所得税法にはもう1つ、届出を必要としない失効の規定があります。

第百四十三条の承認を受けている居住者が同条に規定する業務の全部を譲渡し、又は廃止した場合には、その譲渡し、又は廃止した日の属する年の翌年分以後の各年分の所得税については、その承認は、その効力を失うものとする。

業務の全部を譲渡または廃止したときは、取りやめの届出書を出さなくても、翌年分から自動的に効力を失います。廃業した年分については承認が残っているので、その年分の申告は青色で行うことになります。

青色の実益は控除の額だけではない

青色申告というと特別控除の金額に目が行きますが、条文にはもう1つ、手続面の取扱いが置かれています。所得税法155条1項です。

税務署長は、居住者の提出した青色申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額若しくは山林所得金額又は純損失の金額の更正をする場合には、その居住者の帳簿書類を調査し、その調査によりこれらの金額の計算に誤りがあると認められる場合に限り、これをすることができる。

青色申告書に係る更正は、原則として帳簿書類を調査したうえで、計算に誤りがあると認められる場合に限ってできる、という制限です(同項ただし書きに2つの例外が置かれています)。さらに2項があります。

税務署長は、居住者の提出した青色申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額若しくは山林所得金額又は純損失の金額の更正(前項第一号に規定する事由のみに基因するものを除く。)をする場合には、その更正に係る国税通則法第二十八条第二項(更正又は決定の手続)に規定する更正通知書にその更正の理由を付記しなければならない。

更正通知書に理由を付記しなければならないという規定です。法人側も法人税法130条1項・2項が同じ構造で、更正の制限と理由の付記を定めています。理由が書かれていれば、納得できないときにどこを争うのかが特定できます。金額の話とは別に、手続の側でも取扱いが違うということです。

経理・総務側の実務

ここまでを踏まえると、経理・総務の側でやっておくことは絞られます。

なお、開業のときに何をどの順で出すかは開業届で、白色のままだと何が変わるかは白色申告で扱っています。

よくある質問

Q. 青色申告承認申請書を出しましたが、承認の通知が届きません。出し直したほうがよいですか?

A. 通知は原則として届きません。所得税法147条は、青色の承認を受けようとする年の12月31日(その年11月1日以後に新たに業務を開始した場合は翌年2月15日)までに承認または却下の処分がなかったときは、その日において承認があったものとみなすと定めています。法人税法125条1項も同じ作りで、基準日はその事業年度終了の日、中間申告書を提出すべき法人については事業年度開始の日以後6か月を経過する日です。つまり応答が無いことが承認を意味するため、通知が来ないことは異常ではありません。一般には、提出した控えや電子申告の受信通知を保管しておき、却下の通知が届いていないことを確認する運用になります。提出できているかどうか自体が不安な場合は、出し直す前に所轄の税務署に提出の有無を確認するのが確実です。

Q. 個人事業を3月に始めました。今年分から青色にできますか?

A. できる場合があります。所得税法144条の括弧書きは、その年1月16日以後に新たに業務を開始した場合について、業務を開始した日から2か月以内という期限を定めています。3月に開業したのであれば、その開業日から2か月以内に青色申告承認申請書を提出すれば、その年分から青色の対象になります。なお1月15日までに開業した場合はこの括弧書きに当たらないため、原則どおりその年の3月15日までが期限です。開業日をいつと整理するかで期限が変わりますので、日付の判断に迷うときは所轄の税務署に確認してください。

Q. 法人ですが、期首を過ぎてから青色にしたいと気づきました。今期から適用できますか?

A. 継続している事業年度については難しいと考えられます。法人税法122条1項は、承認を受けようとする事業年度の開始の日の前日までに申請書を提出しなければならないと定めているためです。したがって、事業年度が始まってから提出した場合、その事業年度ではなく翌事業年度からの適用を目指すことになります。ただし設立の日の属する事業年度は例外で、同条2項1号により、設立の日以後3か月を経過した日とその事業年度終了の日のうちいずれか早い日の前日までが期限とされています。設立初年度かどうかで結論が変わりますので、自社がどちらに当たるかを確認してください。

Q. 申請書の「簿記方式」で複式簿記に丸を付ければ、65万円の控除が受けられますか?

A. 申請書の記載だけで控除額が決まるわけではありません。所得税法施行規則55条が定める記載事項は5つで、簿記方式や備付帳簿名はその列挙に含まれておらず、5号の「その他参考となるべき事項」に位置づけられる欄です。実際、所得税法と所得税法施行規則の全文を走査しても「複式簿記」「簿記の方式」「備付帳簿名」はいずれも0回でした。青色申告特別控除の金額の要件は租税特別措置法25条の2が別に定めており、判定されるのは実際の記帳と申告の状況です。申請書の記載は税務署に対する申告事項であって、要件そのものを作り出すものではない、という整理になります。

Q. 青色申告の承認が取り消されると、いつから青色でなくなりますか?

A. 遡ります。所得税法150条1項は、該当する事実がある場合に「当該各号に掲げる年までさかのぼつて」承認を取り消すことができるとしており、取消しがあったときは、その年分以後に提出した青色申告書は青色申告書以外の申告書とみなされます。法人税法127条1項も同じ構造で、各号に定める事業年度まで遡ります。したがって、取消しの効果は将来分だけにとどまりません。なお取消しの処分をするときは書面で通知され、その書面にはどの号に該当するかが附記されます(所得税法150条2項・法人税法127条2項)。

Q. 期限までに申告しなかった場合、青色は取り消されますか?

A. 法人と個人で条文が違います。法人税法127条1項は取消事由を4つ挙げており、そのうち4号が「第七十四条第一項(確定申告)の規定による申告書をその提出期限までに提出しなかつたこと」です。期限内に確定申告書を提出しなかったこと自体が取消事由として並んでいます。一方、所得税法150条1項の取消事由は3つで、これに対応する号はありません。ただし取り消すことが「できる」という規定であり、実際に処分するかどうかは税務署長の判断によります。また、期限後申告になると青色申告特別控除の額に影響する規定が別にありますので、個人であっても期限内申告が有利であることに変わりはありません。

Q. 廃業したら、取りやめの届出書を出す必要がありますか?

A. 所得税法151条2項は、承認を受けている居住者が業務の全部を譲渡し、または廃止した場合には、その譲渡し、または廃止した日の属する年の翌年分以後について承認は効力を失う、と定めています。したがって、この場合は取りやめの届出書を出さなくても翌年分から自動的に失効します。青色申告を単にやめたいだけで業務は続ける場合は、同条1項により、その年分の確定申告期限までに取りやめの届出書を提出することになります。なお廃業した年分については承認が残っていますので、その年分の申告は青色で行うことになります。廃業に伴う他の届出は別途必要ですので、所轄の税務署に確認してください。

出典

この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案に対する助言ではありません。提出期限の当てはめ、業務を開始した日の判定、設立初年度の取扱い、再申請できる時期は事実関係によって変わりますので、実際の判断については所轄の税務署または税理士にご確認ください。

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