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地代家賃とは — 消費税が非課税と課税に割れる線・駐車場・インボイス・源泉徴収を条文で

結論から言うと、地代家賃とは、土地を借りて払う地代と、建物を借りて払う家賃をまとめる販売費及び一般管理費の科目です。そしてこの科目の最大の難しさは、1つの科目の中で消費税が非課税と課税に割れることにあります。事務所の家賃には消費税が乗り、社宅の家賃には乗らず、駐車場代には乗り、更地のまま借りている土地の地代には乗らない——しかも帳簿の上ではどれも「地代家賃」という同じ1行です。

他の経費科目、たとえば通信費消耗品費は、原則として全額が課税仕入れです。地代家賃だけが、同じ科目の中に課税と非課税が混ざるのが常態で、しかも金額が大きい。ここを1つ取り違えると、消費税の申告額がそのままずれます。

もう1つ、「地代家賃」は法律用語ではありません。法人税法(本文600,520字)・所得税法(同1,095,638字)・消費税法(同228,892字)の条文本文に「地代家賃」の語は0回です(e-Gov 法令API v2 で全文を取得して実測)。名前が出てくるのは所得税法施行規則47条の3第1項2号法人税法施行規則の別表二十四・二十五・二十六だけで、いずれも「こう区分して記録せよ」という省令の要求です。

この記事は、①条文の中の「地代家賃」、②範囲と隣の科目との境界、③消費税が割れる線、④駐車場の判定、⑤インボイス、⑥源泉徴収、⑦設例と仕訳、⑧決算書・確定申告書での書き方、の順に条文を引用しながら整理します。権利金・礼金の繰延資産の扱いは繰延資産とは、社宅は社宅の賃貸料相当額、個人事業主の家事按分は家事按分とは、年払い家賃の短期前払費用は前払費用とはに譲ります。

条文の中の「地代家賃」 — 法律の本文に0回。省令が「こう区分して書け」と命じている

「地代家賃」という科目名を法令の中で探すと、法律には一度も出てきません。出てくるのは省令(施行規則)だけで、しかもその文脈は「定義」ではなく記録の要求です。

個人については、確定申告書に添付する「事業所得等に係る総収入金額及び必要経費の内訳書」の記載事項を定めた所得税法施行規則47条の3第1項が、2号でこう書いています。

必要経費については、商品製品等の売上原価、年初において有する農産物の棚卸高、雇人費、小作料、外注工賃、減価償却費、貸倒金、地代家賃、利子割引料及びその他の経費の別

注目すべきは、「小作料」と「地代家賃」が別の区分になっていることです。農地を借りる対価(小作料)は、同じ土地を借りる対価でも地代家賃と分けて書けという指示になっています。

法人については、法人税法施行規則の別表二十四(青色申告書の提出の承認を受けようとする法人の帳簿の記載事項)と別表二十六(普通法人等の帳簿の記録方法)が、経費の区分を列挙する中に地代家賃を置いています。

賃金、給料手当、法定福利費、厚生費、外注工賃、動力費、消耗品費、修繕費、減価償却費、繰延資産の償却費、地代家賃、保険料、旅費交通費、通信費、水道光熱費、手数料、倉敷料、荷造包装費、運搬費、広告宣伝費、公租公課、機密費、接待交際費、寄附金、利子割引料、雑費等に、それぞれ適当な名称を付して区分し、それぞれ、その取引の年月日、支払先、事由及び金額を記載する。ただし、少額の経費については、それぞれ、その日々の合計金額のみを一括記載することができる。

ここで税法が求めているのは、科目の定義ではなく「年月日・支払先・事由・金額」を残すことです。しかも「それぞれ適当な名称を付して区分し」とあるとおり、科目名を決めるのは会社の側です。別表二十五(貸借対照表及び損益計算書に記載する科目)にも地代家賃が挙がっていますが、これも例示です。

「地代家賃」に法律上の定義は無いだから、何を入れるかで税務調査が直接に争われることは多くありません。実務で争われるのは科目名ではなく、①消費税の課税・非課税の区分②そもそも経費になるか(資産計上・家事費との線)です。以下はその2つに絞ります。

範囲と境界 — 何が地代家賃に入り、何が入らないか

実務上の一般的な区分は次のとおりです。科目名は会社が決められるので、これは「よくある置き方」であって唯一の正解ではありません。重要なのは、一度決めた置き方を継続することです。

支払うもの一般的な科目理由・注意
事務所・店舗・倉庫の家賃地代家賃消費税は課税
土地の地代(資材置場・更地の駐車場など)地代家賃消費税は非課税
駐車場代(舗装・区画あり)地代家賃消費税は課税後述
共益費・管理費地代家賃(家賃と同じ扱い)家賃が非課税なら共益費も非課税
社宅の借上げ料(会社が大家へ払う分)地代家賃従業員から徴収する分は受取家賃等。→ 社宅
礼金・権利金(返還されない)繰延資産(20万円未満は損金)地代家賃に入れない。→ 繰延資産
敷金・保証金(返還される)差入保証金(資産)経費ではない。返還されない部分だけが費用
仲介手数料支払手数料不動産会社への役務の対価
水道光熱費(実費を別に払う)水道光熱費家賃に含まれているなら地代家賃のまま
レンタルオフィス・コワーキング利用料地代家賃 または 支払手数料場所の賃貸借か役務提供かで分かれる

境界でいちばん間違えやすいのが敷金と礼金です。名前が似ていて同じ日に同じ相手へ払うのに、敷金は資産、礼金は繰延資産、家賃は費用と3つに分かれます。判定の軸は「返ってくるか」「返ってこないなら何年分の対価か」です。

消費税 — 1つの科目の中で非課税と課税が割れる

ここがこの科目の核心です。消費税法は土地住宅という2つの入口から非課税を作っており、地代家賃はその両方に触れます。

まず土地。消費税法別表第二1号が、非課税となる取引としてこう定めています。

土地(土地の上に存する権利を含む。)の譲渡及び貸付け(一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合を除く。)

その「政令で定める場合」を受けたのが消費税法施行令8条です。

法別表第二第一号に規定する政令で定める場合は、同号に規定する土地の貸付けに係る期間が一月に満たない場合及び駐車場その他の施設の利用に伴つて土地が使用される場合とする。

つまり土地を借りても、①借りる期間が1か月未満②駐車場その他の施設の利用に伴って土地を使う場合は、非課税から外れて課税になります。

次に住宅。別表第二13号です。

住宅(人の居住の用に供する家屋又は家屋のうち人の居住の用に供する部分をいう。)の貸付け(当該貸付けに係る契約において人の居住の用に供することが明らかにされている場合(当該契約において当該貸付けに係る用途が明らかにされていない場合に当該貸付け等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかな場合を含む。)に限るものとし、一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合を除く。)

この号は契約書で居住用だと分かることを条件にしている点が要注意です。そして受けた施行令16条の2が、除かれる場合を定めます。

法別表第二第十三号に規定する政令で定める場合は、同号に規定する住宅の貸付けに係る期間が一月に満たない場合及び当該貸付けが旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)第二条第一項(定義)に規定する旅館業に係る施設の貸付けに該当する場合とする。

ここまでを1枚にまとめると、判定はこうなります。

払っているのは何の対価か 土地(別表第二1号) 建物(家屋) 1か月未満か、駐車場その他の 施設の利用を伴うか(施行令8条) はい いいえ 課税 非課税 契約書で居住用と分かるか (別表第二13号) いいえ はい 課税 1か月以上かつ旅館業 でなければ 非課税 事務所・店舗・倉庫は「居住用でない」のでいつも課税 = 同じ地代家賃の中に課税と非課税が並ぶ
図1: 地代家賃の消費税判定。土地と建物で入口が分かれ、それぞれ施行令が例外を作る。

細部は消費税法基本通達が埋めています。実務でよく効くのが共益費の扱いで、6-13-9(家賃の範囲)はこう定めます。

家賃には、月決め等の家賃のほか、敷金、保証金、一時金等のうち返還しない部分及び共同住宅における共用部分に係る費用を入居者が応分に負担するいわゆる共益費(6-13-1、6-13-2又は6-13-3の規定により住宅の貸付けに含まれないこととされる施設等に係る費用部分を除く。)も含まれることに留意する。

共益費は家賃と運命を共にします。住宅なら共益費も非課税、事務所なら共益費も課税です。請求書で行が分かれていても、扱いは分けません。

住宅と店舗が1棟に同居している場合は、6-13-5(店舗等併設住宅の取扱い)が区分を求めます。

住宅と店舗又は事務所等の事業用施設が併設されている建物を一括して貸し付ける場合には、住宅として貸し付けた部分のみが非課税となるのであるから留意する。
いちばん見落とされる1行 — 住宅として借りた部屋を事務所に使っても、控除はできない
自宅の一室を仕事に使っている場合、家賃の一部を経費にすること自体はできます(家事按分)。しかし消費税の仕入税額控除はできません。6-13-8(用途変更の場合の取扱い)の注がこう書いています。
貸付けに係る契約において住宅として借り受けている建物を賃借人が賃貸人との契約変更を行わずに、当該賃借人において事業の用に供したとしても、当該建物の借受けは、当該賃借人の課税仕入れに該当しないのであるから留意する。
そもそも大家は消費税を受け取っていないので、借り手の側で勝手に「税込」として割り戻すことはできない、という当たり前の話です。所得税・法人税の経費と、消費税の課税仕入れは別々に判定します。

駐車場 — 舗装も区画もしていない更地なら非課税

駐車場代は課税、と覚えている方が多いはずです。ほとんどの場合それで合っていますが、条文の建て付けは「駐車場だから課税」ではありません。施行令8条が課税にしているのは「駐車場その他の施設の利用に伴つて土地が使用される場合」であって、課税の理由は施設を貸していることにあります。

したがって、施設と呼べるものが何も無ければ、それはただの土地の貸付けです。消費税法基本通達6-1-5(土地付建物等の貸付け)の注1が、その線を具体的に書いています。

事業者が駐車場又は駐輪場として土地を利用させた場合において、その土地につき駐車場又は駐輪場としての用途に応じる地面の整備又はフェンス、区画、建物の設置等をしていないとき(駐車又は駐輪に係る車両又は自転車の管理をしている場合を除く。)は、その土地の使用は、土地の貸付けに含まれる。

読み替えると、次のどれも無いときに限り非課税です。

つまり更地にそのまま停めさせているだけなら非課税白線を1本引いた時点で課税です。月極駐車場のほとんどは舗装か区画があるので課税になりますが、農地や資材置場の一角を借りているようなケースでは非課税のことがあります。

逆に、住宅とセットの駐車場は住宅の家賃に吸収されて非課税になる余地があります。6-13-3(駐車場付き住宅の貸付け)です。

駐車場付き住宅としてその全体が住宅の貸付けとされる駐車場には、一戸建住宅に係る駐車場のほか、集合住宅に係る駐車場で入居者について1戸当たり1台分以上の駐車スペースが確保されており、かつ、自動車の保有の有無にかかわらず割り当てられる等の場合で、住宅の貸付けの対価とは別に駐車場使用料等を収受していないものが該当する。

集合住宅の場合は3つとも満たす必要があります——①1戸あたり1台分以上ある、②車を持っているかに関係なく割り当てられる、③家賃と別に駐車場代を取っていない。「駐車場代 5,000円」と別建てで請求されている時点で③を満たさず、その5,000円は課税です。

消費税の税額を計算する(軽減税率・税抜税込の変換)

インボイス — 住宅家賃には要らない。事務所家賃は求めないと来ない

家賃のインボイスで混乱が起きるのは、2つの別々の理由が重なっているからです。切り分けます。

理由1: 住宅家賃にはそもそもインボイスが要りません。仕入税額控除は課税仕入れについての制度で(消費税法30条1項)、非課税の住宅家賃は課税仕入れではありません。控除する税額が最初から無いので、保存すべき書類もありません。社宅を借り上げている会社が「大家が免税事業者だから困る」と悩む必要は無い、ということです。

理由2: 事務所家賃は課税だが、請求書が来ない。家賃は契約時に金額が決まっていて、毎月口座振替か振込で払うだけなので、多くの場合毎月の請求書は発行されません。一方で消費税法30条7項は保存を求めます。

第一項の規定は、事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等(請求書等の交付を受けることが困難である場合、特定課税仕入れに係るものである場合その他の政令で定める場合における当該課税仕入れ等の税額については、帳簿)を保存しない場合には、当該保存がない課税仕入れ、特定課税仕入れ又は課税貨物に係る課税仕入れ等の税額については、適用しない。ただし、災害その他やむを得ない事情により、当該保存をすることができなかつたことを当該事業者において証明した場合は、この限りでない。

ここで効いてくるのが、大家の交付義務は「求められたとき」に発生するという点です。消費税法57条の4第1項は、交付義務をこう定めています。

次に掲げる事項を記載した請求書、納品書その他これらに類する書類(以下第五十七条の六までにおいて「適格請求書」という。)の交付を求められたときは、当該課税資産の譲渡等に係る適格請求書を当該他の事業者に交付しなければならない。

借り手が求めない限り、大家に交付義務は生じません。待っていても永久に来ない、という構造です。実務上は、契約時に一度だけ登録番号と適用税率を記載した書面(契約書、または大家からの通知書)を受け取り、あとは毎月の振込記録と合わせて保存する形が一般的です。記載事項は1枚の書類に揃っている必要はなく、複数の書類の全体で満たしていれば足ります。

やることは3つだけです。①賃貸借契約書に大家の登録番号が書かれているか確認する(古い契約書には無いので、無ければ通知を求める)。②その契約書と、通帳・振込明細をセットで保存する。③大家が登録事業者かどうかを登録番号で確認する住宅家賃については、いずれも不要です。

源泉徴収 — 個人の大家には不要。非居住者の大家には20.42%

個人に外注費を払うと源泉徴収が要る、という感覚から「個人の大家に払う家賃も源泉徴収するのか」と迷うことがあります。答えは不要です。

源泉徴収が必要な報酬・料金は所得税法204条1項が8つの号で限定列挙しており、そこに不動産の賃借料はありません。この条文に「不動産」の語は1回だけ出てきますが、それは2号の士業の列挙にある「不動産鑑定士」で、賃借料とは無関係です。列挙に無いものは源泉徴収しない——これが原則です。

ところが、大家が非居住者(または外国法人)になると話がひっくり返ります。所得税法161条1項7号は、国内不動産の貸付けの対価を国内源泉所得としています。

国内にある不動産、国内にある不動産の上に存する権利若しくは採石法(昭和二十五年法律第二百九十一号)の規定による採石権の貸付け(地上権又は採石権の設定その他他人に不動産、不動産の上に存する権利又は採石権を使用させる一切の行為を含む。)、鉱業法(昭和二十五年法律第二百八十九号)の規定による租鉱権の設定又は居住者若しくは内国法人に対する船舶若しくは航空機の貸付けによる対価

これを212条1項が源泉徴収の対象とし、税率は213条1項1号の20%です。さらに復興特別所得税がこれに上乗せされます。復興財源確保法28条2項・5項は所得税額の100分の2.1としているので、合わせて20% × 1.021 = 20.42%になります。

ただし例外があります。所得税法施行令328条2号です。

非居住者又は外国法人が有する土地若しくは土地の上に存する権利又は家屋(以下この号において「土地家屋等」という。)に係る法第百六十一条第一項第七号に掲げる対価で、当該土地家屋等を自己又はその親族の居住の用に供するために借り受けた個人から支払われるもの

つまり個人が自分や家族の住まいとして借りている場合だけが免除され、法人が事務所として借りている場合は免除されません

大家は非居住者・外国法人か いいえ はい 204条1項の列挙に無い = 源泉徴収は不要 借りているのは個人で、自己・親族の 居住用か(施行令328条2号) はい いいえ 源泉徴収は不要 20.42% を徴収 法人が事務所として借りるときは、必ず右の枝に落ちる
図2: 家賃の源泉徴収。大家が非居住者かどうかで結論が反転する。

設例と仕訳

次の条件の法人(税抜経理・課税事業者)が、8月分をまとめて支払ったとします。

合計の支払額は 395,000円、うち仮払消費税は 25,000円です。

借方金額貸方金額消費税区分
地代家賃(事務所)200,000普通預金395,000課税仕入れ10%
地代家賃(共益費)30,000課税仕入れ10%
地代家賃(駐車場)20,000課税仕入れ10%
地代家賃(社宅)90,000非課税仕入れ
地代家賃(資材置場)30,000非課税仕入れ
仮払消費税等25,000

科目はすべて「地代家賃」で、金額の合計は 395,000円です。違うのは消費税区分の列だけ——ここを1行ずつ正しく打つことが、この科目の実務のほぼ全てです。

よくある誤り: 支払額 395,000円をまとめて「地代家賃 395,000/普通預金 395,000」と1行で入れ、全額を課税仕入れにしてしまう。この設例では本来の仮払消費税 25,000円に対し 35,909円(395,000×10/110)を計上することになり、差額 10,909円だけ消費税の納付額が少なくなります。金額が大きく毎月発生するので、年間では10万円を超える差になります。

決算書・確定申告書での書き方

法人の場合、地代家賃は損益計算書の販売費及び一般管理費に表示します。加えて、一定の場合には勘定科目内訳明細書のうち「地代家賃等の内訳書」に、支払先・物件の所在地・支払金額を書きます(→ 勘定科目内訳明細書)。

個人事業主の場合、青色申告決算書(および白色の収支内訳書)に「地代家賃」の内訳欄があり、支払先の住所・氏名、賃借物件、本年中の賃借料、そして「左のうち必要経費算入額」を書きます。

この最後の列があることが重要です。自宅兼事務所の場合、支払った家賃の全額を書いたうえで、事業に使っている割合の分だけを必要経費算入額として書く設計になっています。全額を経費にする欄ではありません。按分の考え方は家事按分とはで扱っています。

年払いの家賃を全額その年の経費にできるか——原則はできません(期間対応)。ただし一定の要件を満たす場合に短期前払費用として支払時の損金にできる取扱いがあります。要件と実際の判定は前払費用とはで扱います。「毎年継続して同じ処理をする」ことが要件に含まれるので、初年度だけ使うことはできません。

よくある質問

Q. 地代家賃とは何ですか?

A. 土地を借りて払う地代と、建物を借りて払う家賃をまとめる販売費及び一般管理費の科目です。法人税法・所得税法・消費税法の条文本文に「地代家賃」という語は0回で、名前が出てくるのは所得税法施行規則47条の3第1項2号(確定申告書に添付する内訳書の区分)と法人税法施行規則の別表二十四・二十五・二十六(帳簿の記載区分と損益計算書の科目の例示)だけです。別表二十四は「それぞれ適当な名称を付して区分し」としており、科目名そのものは会社が付けます。

Q. 家賃に消費税はかかりますか?

A. 何を借りているかで分かれます。事務所・店舗・倉庫の家賃は課税です。住宅の家賃は、契約書で居住用だと分かり、かつ貸付期間が1か月以上で旅館業にも当たらなければ非課税です(消費税法別表第二13号・施行令16条の2)。土地の地代は、1か月以上で駐車場などの施設の利用を伴わなければ非課税です(別表第二1号・施行令8条)。同じ「地代家賃」の科目の中に課税と非課税が並ぶのが普通なので、行ごとに区分を付けます。

Q. 駐車場代に消費税はかかりますか?

A. 原則として課税です。施行令8条が「駐車場その他の施設の利用に伴つて土地が使用される場合」を非課税から除いているためです。ただし消費税法基本通達6-1-5の注1により、地面の整備・フェンス・区画・建物の設置がなく、車両の管理もしていない更地をそのまま停めさせているだけなら、土地の貸付けとして非課税になります。また集合住宅の駐車場で、1戸あたり1台分以上が確保され、車の保有に関係なく割り当てられ、家賃と別に駐車場使用料を取っていない場合は、全体が住宅の貸付けとして非課税です(6-13-3)。

Q. 共益費や管理費は家賃と分けて処理しますか?

A. 消費税の区分は分けません。消費税法基本通達6-13-9は、共同住宅の共用部分に係る費用を入居者が応分に負担するいわゆる共益費も家賃に含まれるとしています。住宅なら共益費も非課税、事務所なら共益費も課税です。請求書で行が分かれていても扱いは同じです。ただし住宅の貸付けに含まれないとされる施設(別途料金を取るプールや駐車場など)に係る費用部分は除かれます。

Q. 自宅の一部を事務所に使っています。家賃の消費税は控除できますか?

A. できません。消費税法基本通達6-13-8の注は、住宅として借り受けている建物を賃貸人との契約変更を行わずに事業の用に供したとしても、その借受けは賃借人の課税仕入れに該当しないとしています。大家が消費税を受け取っていない以上、借り手側で税込として割り戻すことはできません。なお所得税の必要経費として事業使用割合分を家事按分することは、これとは別に可能です。経費になることと課税仕入れになることは別々に判定します。

Q. 家賃のインボイスはどうやって保存すればよいですか?

A. まず住宅家賃は非課税で課税仕入れではないため、インボイスは不要です。事務所家賃など課税になるものについては、消費税法30条7項が帳簿と請求書等の保存を求めます。家賃は毎月の請求書が発行されないことが多く、消費税法57条の4第1項の交付義務は「交付を求められたとき」に生じるため、借り手から求めない限り届きません。実務上は、登録番号と適用税率が記載された賃貸借契約書または大家からの通知書を一度受け取り、毎月の振込記録と合わせて保存する形が一般的です。記載事項は1枚の書類に揃っている必要はなく、複数の書類の全体で満たしていれば足ります。

Q. 個人の大家に払う家賃から源泉徴収は必要ですか?

A. 大家が居住者であれば不要です。源泉徴収が必要な報酬・料金は所得税法204条1項が8つの号で限定列挙しており、不動産の賃借料は含まれていません。ただし大家が非居住者または外国法人の場合は必要で、所得税法161条1項7号の国内源泉所得として212条1項により源泉徴収し、税率は213条1項1号の20%に復興特別所得税2.1%が上乗せされて20.42%になります。所得税法施行令328条2号により、個人が自己または親族の居住用に借り受けている場合だけが除かれるため、法人が事務所として借りている場合は免除されません。

Q. 礼金や敷金は地代家賃に入れますか?

A. 入れません。返還されない礼金・権利金は繰延資産として扱い、賃借期間などに応じて償却します(20万円未満は支出時の損金)。返還される敷金・保証金は差入保証金などの資産科目で、費用になりません。敷金のうち契約で返還しないと定められた部分だけが、礼金と同じ扱いになります。仲介手数料は不動産会社への役務の対価なので支払手数料が一般的です。

出典

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。

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