クラウドファンディングの税金|受取側・支援側の早見表と計上時期
クラウドファンディングで受け取るお金は、商品代なら売上、純粋な寄付なら相手と受取人の属性に応じて課税を確認します。株式発行の出資や、返済義務のある借入元本は売上と分けます。
経理では、募集ページの型名だけでなく、契約名義・リターンの内容・提供日・手数料の明細を確認します。まず受取側の早見表で区分を選び、支援した側の控除と消費税を別に確認してください。
受け取る側の税金の早見表
国内の通常の商品・サービス取引、日本の居住者である個人、国内の普通法人を対象にした表です。「寄付」は商品等の対価ではない純粋な金銭の贈与を指します。公益法人等・海外取引・組合の詳しい税務は対象外です。
| 資金の内容・受取人 | 受取側の扱い | 先に確認すること |
|---|---|---|
| 購入型・個人 | 売上収入。活動実態に応じて事業所得または雑所得 | リターンの対価と、対応する必要経費 |
| 購入型・普通法人 | 売上として法人税の所得計算へ | 商品等の提供時期と前受金 |
| 個人から個人への寄付 | 贈与税の対象。非課税財産等は別判定 | 贈与者の属性、その年のほかの贈与 |
| 法人から個人への寄付 | 業務に関係せず継続的でもないものは一時所得 | 業務関連・継続受領なら所得区分を別に確認 |
| 普通法人が受ける寄付 | 受贈益として法人税の所得計算へ | 完全支配関係にある法人間などの特則 |
| 会社が株式発行で受ける出資 | 資本取引。販売による売上と分ける | 株式引受けの契約と払込内容 |
| 融資型の借り手が受ける元本 | 返済義務のある借入金。売上と分ける | 借入契約、元本と利息の区別 |
ファンド型の組合出資は、株式発行による出資とは契約が異なります。投資家から運営者への出資と、運営者から事業者への貸付けも分けて確認します。
購入型の売上・経費・計上時期
購入型は、商品やサービスを販売する取引として整理します。個人の所得区分は活動の実態から判断し、募集を行った回数や開業届の有無だけで決めません。
売上総額と差し引かれた手数料を分ける
手数料が差し引かれて入金された場合は、明細から売上総額・手数料・振込額を分けて記録します。購入型の活動で生じる事業所得・雑所得は、収入から対応する必要経費を差し引いて求めます。
リターンの制作費や送料なども、支払内容と対応する売上を確認してください。生活費まで経費にはできず、家事関連費は業務分を明確に区分できる部分を扱います。同一生計親族への給与等は専従者の特例を別に確認します。
入金日と売上計上日は同じとは限らない
特殊な契約を除き、現金主義の特例を使わない商品販売・サービス提供では、提供前の代金を前受金とし、引渡し・提供時に売上へ振り替えます。
募集不成立で返金する資金も、成立した売上と分けて管理します。
計上時期の詳しい条件は、国税庁「収入金額とその計算」・「前受金や前払金などがあるとき」にあります。
前受金の仕訳は前受金とは、一時所得の計算は一時所得とはで確認できます。雑所得の区分は、国税庁「雑所得」を参照してください。
寄付型は個人・法人を分ける
個人が個人から受ける純粋な金銭の寄付は、非課税財産等を除き贈与税の対象です。法人から個人への贈与には所得税がかかり、業務に関係せず継続的でもないものは一時所得として扱います。
令和8年中の暦年課税の贈与税の基礎控除は、受贈者がその年に受けた課税対象の贈与の合計に対して110万円です。暦年課税の基礎控除は、その対象となる贈与をクラウドファンディング以外も含めて合算し、支援者ごと・募集ごとには控除しません。
主な例外として、扶養義務者から通常必要な生活費・教育費として受け、必要な都度直接使う金銭などの非課税財産があります。相続時精算課税の対象贈与や、相続に関係する贈与も分けて確認します。詳しくは国税庁「贈与税がかかる場合」・「贈与税がかからない場合」を参照してください。
事業のために法人から受ける支援や継続的な支援は、一時所得と決めつけず、実態に応じた所得区分を確認します。会社名義で受けた寄付を、代表者個人の贈与税の計算に入れないよう、契約上の受取人もそろえます。
支援する側の買い物と寄附金控除
購入型の商品代を個人が私的に支払う場合は、買い物として整理します。商品購入の対価を、純粋な寄付と同じ寄附金控除には入れません。
個人の寄附金控除は、国・地方公共団体や認定NPO法人等への、要件を満たす寄付が対象です。寄付型という名称や、受取先がNPO法人ということだけでは判断できません。
- 受取先と使途を確認し、対象寄付であることを示す受領証等を用意する。
- 令和8年中の個人の認定NPO法人等への寄付は、認定等の有効期間内の支払で特定非営利活動に係る事業に関連し、寄付者に特別の利益が及ぶものや出資業務への充当が明らかなもの等を除き、寄附金控除の対象です。
自治体を寄付先とするふるさと納税型は、自治体への寄付として手続きを確認します。ふるさと納税の手順は仕組みと手続きの解説、控除額・所得控除と税額控除の選び方は寄附金控除の解説へ進んでください。
この節は個人支援者の所得税の控除を扱います。法人が支援した場合の寄附金の損金算入や、投資型の分配金・配当・利息の課税は別の確認です。
消費税は対価性と納税義務を確認
国内で事業者が事業として商品やサービスを提供する購入型では、その対価として消費税の取引区分を確認します。対価のない純粋な金銭寄付は消費税の課税対象外です。
取引が課税対象かと、事業者に納税義務があるかは別の確認です。購入型は提供する商品の非課税・免税の扱いも見たうえで、基準期間や特定期間、インボイス登録、課税選択、新設法人等の条件を確認します。
返礼品等の対価性があるものや、負担付き贈与の負担部分は、寄付という名目だけで課税対象外にしません。判断の基本は国税庁「対価を得て行われるの意義」、納税義務は「納税義務の免除」で確認できます。
税込・税抜の金額を消費税計算機で確認する申告前にそろえる資料
まず契約と明細をそろえると、売上・寄付・出資・借入を混ぜずに集計できます。経理で確認する資料の例は次のとおりです。
- 募集条件と契約:実行者・支援者の名義、リターン、成立・返金の条件。
- 精算明細:受領総額、手数料、返金額、入金額を照合できるもの。
- 提供の記録:発送・引渡し・サービス提供と未提供分が分かる記録。
- 支出の資料:制作費・送料・手数料等の請求書や領収書、支援者なら控除用の受領証等。
個人の所得税の申告義務は、この収入だけでなく他の所得や控除も含めて確認します。判定は確定申告はいくらから必要か、書類の準備は確定申告の必要書類を参照してください。贈与税の申告は所得税の確定申告と分けます。
よくある質問
クラウドファンディングの支援金は全部売上ですか?
全部が売上ではありません。商品やサービスの対価は購入型の売上として整理し、純粋な寄付は支援者と受取人の個人・法人の区別を確認します。株式発行の出資や返済義務のある借入元本も、販売による売上と分けます。
法人から個人への寄付は一時所得ですか?
業務に関係せず、継続的でもない純粋な寄付は一時所得です。業務に関して受ける支援や継続的な受領は、一時所得とせず実態に応じた所得区分を確認します。
寄付型で支援すれば寄附金控除を受けられますか?
寄付型という名称だけでは受けられません。個人の所得税では、受取先・使途などが対象寄付の要件を満たすかを確認します。認定NPO法人等への寄付は認定の有効期間や対象事業なども確認し、受領証等を用意します。
購入型の資金は入金日に売上にしますか?
通常の商品販売・サービス提供では、入金日だけで決めず、引渡しや提供の時期を確認します。提供前の代金は前受金と分けます。現金主義の特例の適用者や特殊な契約は、別途計上時期を確認してください。
まとめ
受け取った資金は、契約とリターンから売上・純粋な寄付・出資・借入に分けます。寄付は個人・法人の組合せ、購入型は提供時期と消費税、支援者は控除対象の受取先と証明書を確認する流れです。
出典
所得区分・贈与税・寄附金控除・消費税は国税庁の案内、出資・借入は関係法令を参照しています。
- 国税庁「事業所得の課税のしくみ」・「雑所得」・「一時所得」
- 国税庁「贈与税がかかる場合」・「贈与税がかからない場合」
- 国税庁「一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」・「認定NPO法人に寄附をしたとき」
- 国税庁「収入金額とその計算」・「前受金や前払金などがあるとき」
- 国税庁「対価を得て行われるの意義」・「納税義務の免除」
- e-Gov法令検索「法人税法」第二十二条・第二十五条の二・「所得税法」第三十四条・「相続税法」第二十一条の三・「民法」第五百八十七条
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談への回答ではありません。実際の申告・判断は税務署や税理士にご確認ください。