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振込と振替は何が違うのか — 法律に「振込」という語は無く、銀行法の「振替」は全部が証券の話だった

「振込は他行あて、振替は同じ銀行の中」——この説明は広く出回っています。ですが、銀行間のルールを実際に定めている全銀ネットの公開資料は、同じ銀行の口座どうしのやりとりを「振込取引」と呼んでいます。他行かどうかは、この2語の分かれ目ではありません。

では何が分かれ目なのか。調べていくと、もっと根本的なことが分かりました。銀行法にも資金決済に関する法律にも、「振込」という語は一度も出てきません。e-Gov法令API v2 で両法の全文を取得して数えた結果です。法律が持っているのは「為替取引」という1語だけで、しかもどちらの法律も、その「為替取引」を定義していません。

そして「振替」のほうはさらに意外でした。銀行法に11回、資金決済法に6回出てきますが、そのすべてが「社債、株式等の振替に関する法律」——つまり株式や社債の話で、銀行が窓口やアプリで案内している「振替」を指しているものは1つもありません。

この記事は、日常語である「振込」「振替」が法律の側でどう扱われているかを実測から確かめ、そのうえで経理がこの2つをどう分けて記帳するかまでを整理したものです。銀行別の手数料額は振込手数料の一覧・比較、着金までの時間は振込の反映時間、手数料の勘定科目とインボイスは振込手数料の勘定科目にあります。

結論 — 「他行かどうか」は分かれ目ではない

先に実務上の答えを書きます。

よく見る説明実際
振込は他行あて、振替は同一銀行内誤り。全銀ネットは同一銀行内の取引も「振込取引」と呼んでいる
振替は手数料が安い(または無料)結果としてそうなることが多い。ただし理由は語の違いではなく、銀行間の資金清算が発生しないから
法律に定義がある無い。銀行法・資金決済法とも「振込」は0回、「振替」は証券の話しか出てこない
どの銀行でも意味は同じ統一されていない。決めているのは各行の規定なので、自分の取引銀行で確かめるしかない

実務で多くの銀行が採っているのは、同じ名義人の口座どうしでお金を移すことを「振替」、それ以外を「振込」と呼ぶ使い分けです。会社がA銀行の口座からB銀行の口座へ資金を移すのも、名義が同じであれば「振替」と案内されることがあります。ただしこれは法令に根拠のあるルールではなく、後述のとおり銀行ごとの言葉づかいです。「振替なら無料のはず」と決めつけて発注しないことが、この記事のいちばん実務的な結論です。

銀行法にも資金決済法にも「振込」は0回(実測)

まず事実から示します。e-Gov法令API v2 で2つの法律の全文(目次・附則を含む)を取得し、機械的に語の出現回数を数えました。

法律全文の文字数「振込」「振替」「為替取引」「為替取引」の定義
銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)219,13101160
資金決済に関する法律(平成二十一年法律第五十九号)132,806061680

2026年8月27日に e-Gov法令API v2 の law_data で取得した本文を、条文の木構造からテキストだけを集めて数えたものです。属性値や見出し番号は含めていません。

銀行を規律する中心の2本に、私たちが毎日使っている「振込」という語が1回も無い。これは驚くようでいて、法律の書き方としては筋が通っています。法律は個々の商品名ではなく、規制の対象になる行為の型を書くからです。

ちなみに「振込」という語が法令にまったく無いわけではありません。e-Gov法令検索の全文検索では370件の法令が「振込」を含みます。ただしそれらは給付金の支払方法や納付の方法として使われているもので、銀行業を定義する側の条文には出てこないという構図です。

法律が持っているのは「為替取引」1語。しかも定義がない

銀行法10条1項は、銀行が営むことができる業務を3つ挙げています。

銀行は、次に掲げる業務を営むことができる。

そこに並ぶ号が、預金または定期積金等の受入れ、資金の貸付けまたは手形の割引、そして為替取引の3つです。全銀ネットの公開資料もこの3つを銀行の三大固有業務と位置づけており、離れた個人や企業のあいだで現金を運搬することなく資金の受渡しを行う取引が為替取引にあたる、と説明しています。国内で日本円により行うものが内国為替取引です。

同じ「為替取引」は、何が銀行業にあたるかを決める2条2項にも現れます。

この法律において「銀行業」とは、次に掲げる行為のいずれかを行う営業をいう。

その2号が「為替取引を行うこと。」です。為替取引を業として行えば、それだけで銀行業になります。裏返せば、銀行の免許なしにこれをやってはいけない、という線がここに引かれています。

そしてその線の外側を作ったのが資金決済法です。

この法律において「資金移動業」とは、銀行等以外の者が為替取引を業として営むことをいう。

送金アプリやプリペイド型の送金サービスが銀行でなくても資金を動かせるのは、この登録制度があるからです。つまり2本の法律が、どちらも「為替取引」という語を中心に据えて規制の内と外を切り分けている。それなのに——

どちらの法律も、「為替取引」が何かを定義していません。上の表のとおり、「為替取引」とは、という定義文は両法とも0件です。銀行法2条は「定義等」という見出しのもとで32項にわたって用語を定義していますが、そこに為替取引はありません。資金決済法にいたっては168回も使いながら、定義を置いていません。

この語の意味は、条文ではなく裁判例の積み重ねで固まってきました。実務書では最高裁の決定が引かれるのが通例です。本記事は条文で確かめられる範囲だけを扱うため、判例の射程には立ち入りません。

ここが、この記事の出発点になった発見です。言葉が揺れているのは、私たちの理解が足りないからではなく、そもそも法律が定義を置いていないからでした。日常語の「振込」「振替」に至っては、法律が名前すら呼んでいません。だから銀行ごとに言い方が違って当然なのです。

銀行法の「振替」11回は、1回も銀行の振替サービスを指していない

では「振替」のほうはどうか。銀行法に11回、資金決済法に6回あります。1件ずつ前後を読んでみると、結果はきれいに揃いました。

法律「振替」の出現その中身
銀行法11すべて「社債、株式等の振替に関する法律」関係(振替業・振替口座簿・振替機関など)
資金決済法6すべて同法278条1項の振替債(発行保証金・履行保証金に充てられる債券)

いちばん紛らわしいのが、銀行法10条2項10号の2が付随業務として挙げている「振替業」です。名前だけ見れば銀行の振替サービスに見えます。ところが同じ条の9項が、自分でこう打ち消しています。

第二項第十号の二の「振替業」とは、社債、株式等の振替に関する法律第二条第四項(定義)の口座管理機関として行う振替業をいう。

証券の振替であって、お金の振替ではありません。株式や社債が紙をやめて電子化されたときに、その帳簿(振替口座簿)を管理する仕事のことです。

さらに念を押すように、同じ10条2項の11号には「両替」が付随業務として名指しされています。窓口で1万円札を千円札に替えるあの両替は、条文にちゃんと名前があるのです。それなのに、預金口座のあいだでお金を移す「振替」には名前がない。付随業務ではなく、1項3号の為替取引そのものに含まれている、という整理になっているからです。

実務で出会う「振替」は6つある

同じ2文字が、まったく別のものを指して並走しています。経理をしていると、少なくともこの6つに出会います。

呼び名何が動くか根拠詳しくは
銀行の振替同じ銀行の中の預金(多くは同一名義間)法令に定義なし。各行の規定この記事
口座振替預金からの自動引落し各行の規定。国税は振替納税口座振替依頼書
振替業株式・社債(銀行の付随業務)銀行法10条2項10号の2・同条9項この記事
振替口座簿・振替債電子化された株式・社債そのもの社債、株式等の振替に関する法律
振替伝票帳簿の中の数字(現金取引以外)簿記の慣行。法令には2本しか出てこない仕訳帳の書き方
日銀当座預金の振替銀行と銀行のあいだの資金全銀ネットの資金清算の仕組み振込の反映時間

「振替伝票」については、e-Gov法令検索の全文検索でヒットするのが2件だけでした——国家公務員共済組合法施行規則と地方公務員等共済組合法施行規程です。会計ソフトの入力画面にあれだけ大きく出ている言葉が、税法にも会社法にも出てきません。簿記の用語であって、法令用語ではないということです。

この6つは互いに関係がありません。関係がないのに同じ2文字なので、社内の会話が噛み合わなくなります。経理から他部署に確認するときは「振替ですか」ではなく、「同じ会社名義の口座へ移すのか、取引先へ払うのか」と聞くほうが早いのは、このためです。

同じ銀行の中なら全銀システムを通らない — 手数料差の正体

語の話はここまでにして、仕組みの話に移ります。手数料の差を作っているのは呼び名ではなく、お金がどこまで旅をするかです。全銀ネットの公開資料は、2つの場合をはっきり分けて説明しています。

同じ銀行の中違う銀行のあいだ
何が起きるか銀行が送り手の残高を減らし、受け手の残高を増やす送り手側の銀行が、受け手側の銀行に対して支払う債務を負う
実際にお金は動くか動かない(同じ銀行の帳簿の中で完結する)動く。銀行間の債権・債務を清算する必要がある
全銀システム通らない通る
最終的な決済不要各銀行が日本銀行に預けている当座預金の残高を増減させて決済する
① 同じ銀行の中(全銀システムを通らない) X銀行 送り手の口座 受け手の口座 残高を減らして増やすだけ。 実際にお金は動かない ② 違う銀行のあいだ(全銀システムを通る) X銀行 全銀システム (資金清算機関) Y銀行 日本銀行の当座預金 1日1回まとめて決済(時点ネット決済)
手数料の差を作っているのは呼び名ではなく、銀行間の資金清算が発生するかどうか。①は行内の帳簿で完結する。

全銀システムが扱っているのは1日あたり約650万件・約12兆円の為替取引です(全銀ネット公表)。銀行どうしの支払関係は網の目のように複雑になるため、全銀ネットが資金清算機関として、取引ごとに送金側の銀行の債務を引き受け、受取側の銀行の債権を取得して整理しています。そのうえで1日1回まとめて日本銀行の当座預金で決済します(時点ネット決済)。

この一連の仕掛けには当然コストがかかり、全銀ネットは内国為替制度運営費という形でその概要と算定方法を公表しています。同じ銀行の中で完結する取引は、この仕掛けをまったく使いません。だから安い、あるいは無料にできる。手数料表で「同一支店内」「同一銀行内」「他行あて」と3段に分かれているのは、この構造が価格にそのまま出ているからです。

なお1億円以上の取引は時点ネット決済ではなく、取引ごとに日銀ネットで即時に決済されます(即時グロス決済)。この仕組みの詳細と、着金までにかかる時間の実測は振込の反映時間で扱っています。

ここまで来ると、冒頭の「振込は他行あて、振替は同一銀行内」がなぜ広まったのかも見えてきます。価格差の説明としては、たまたま当たっているのです。ただし当たっているのは価格の理由のほうで、語の定義ではありません。他行あてでも同一名義であれば「振替」と案内する銀行があり、その場合の手数料は他行あての水準になります。語で価格を推測しないでください。

経理はどう分けるか — 振替では損益が1円も動かない

記帳の観点では、2つの区別はきわめてはっきりしています。相手が自社かどうかです。

① 自社の口座から自社の口座へ(いわゆる振替)。会社の財産は1円も増減していません。資産の置き場所が変わっただけなので、一般に次のように処理します。

(借)B銀行普通預金 1,000,000 /(貸)A銀行普通預金 1,000,000
(借)支払手数料      220 /(貸)A銀行普通預金    220

収益にも費用にも触れません。手数料が生じたときだけ費用が出ます。ここで「雑収入」や「売上」を使ってしまうと、実在しない利益が立ちます。通帳を口座ごとに別々に入力している現場で起きやすい事故で、B銀行側だけを見ると入金に見えるのが原因です。

② 取引先へ払う(いわゆる振込)。こちらは債務の弁済です。

(借)買掛金     300,000 /(貸)普通預金   300,000
(借)支払手数料     220 /(貸)普通預金     220

上は手数料を自社(買手)が負担した場合です。売手が負担する取決めで手数料を差し引いて振り込んだ場合は処理が変わります。その3通りの書き方と消費税、インボイス制度で何が要るかは振込手数料の勘定科目にまとめてあります。

③ 期をまたいだときの「未達」に注意します。出金日と着金日がずれることがあります。同じ日に処理できるなら①のように1本で書けますが、月末や期末をまたぐと、A銀行の残高証明とB銀行の残高証明のどちらにも乗っていない資金が生まれます。一般には移動中の資金をいったん受ける科目(仮払金など)を挟み、着金日に振り替えて消します。決算では、この未達が残っていないかを残高証明書と突き合わせて確かめます。

消費税の扱いも、この区別のとおりです。自社の口座間で資金を移す行為そのものは資産の譲渡等にあたらないため、課税の対象になりません。課税されるのは、銀行が提供した役務の対価である手数料の部分だけです。

振込手数料「先方負担」計算機で、差し引く金額と手数料の区分を確認する

銀行が出す振込金の受取書 — 条文のかっこ書きに名指しがある

窓口で振込をすると、控えを渡されます。ここに収入印紙が貼られていないのを不思議に思ったことはないでしょうか。印紙税法をあたると、この書類が条文のかっこ書きで名指しされていました。

印紙税法の別表第一・17号は、売上代金に係る金銭または有価証券の受取書を課税文書としています。その定義のなかに、他人の事務の委託を受けた者が委託者に代わって売上代金を受け取る場合に作成する受取書、という類型があり、そこに次のかっこ書きが付いています。

銀行その他の金融機関が作成する預貯金口座への振込金の受取書その他これに類するもので政令で定めるものを除く。

「振込金」という語は、印紙税法の全文77,750字のなかでこの1か所にしか出てきません。わざわざ1か所だけ名指しして、この類型から外しています。

ここで条文が言っているのは、この類型に当たらないということまでです。個々の文書に印紙が要るかどうかは、その文書の記載内容全体から判断されます。金額や文書の性質による課否は収入印紙の割印印紙税額の判定ツールを参照し、判断に迷う文書は所轄の税務署にご確認ください。

自分の銀行がどちらの語を使っているか確かめる3か所

ここまで見てきたとおり、この2語の意味を決めているのは各銀行です。推測せず、次の3か所で確かめるのが確実です。

  1. 手数料表の区分名。いちばん実利があります。「同一店内」「同一銀行内」「他行あて」の3段か、「振替」「振込」の2段か。区分の名前がそのまま、その銀行の言葉づかいです。そして金額が違うのはこの区分であって、画面のボタンの名前ではありません。
  2. 預金規定・振込規定。各行がウェブサイトで公開しています。規定のなかで「振替」がどう使われているか——同一名義に限っているか、同一店内に限っているか——を読むと、その銀行の定義が分かります。
  3. ネットバンキング/ATMのメニュー名。実際に手続きする画面の言葉です。ここが1と食い違っていることがあるので、迷ったら1の手数料表を優先します。

法人の経理では、これを口座を開いた時点で1回だけ確かめて社内の手順書に書いておくと、以後の「これは振替だから無料のはず」というやりとりが消えます。

よくある質問

Q. 振込と振替、どちらが手数料は安いですか?

A. 呼び名では決まりません。安くなるのは、銀行と銀行のあいだの資金清算が発生しない場合です。全銀ネットの資料によれば、同じ銀行に開設された2つの口座のあいだの取引は、その銀行が送り手の残高を減らし受け手の残高を増やすだけで完了し、全銀システムを通りません。逆に、同じ名義であっても違う銀行へ移すなら銀行間の清算が発生します。「振替」という表示が出ていても、他行あてであれば他行あての手数料になります。手数料表の区分名で判断してください。

Q. 「振込は他行あて、振替は同じ銀行の中」と説明されているのを見ました。間違いですか?

A. 語の定義としては正確ではありません。全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)の公開資料は、同じ銀行に開設された2つの口座のあいだで為替取引を行う場合も「振込取引」と呼んでいます。他行かどうかは振込と振替の分かれ目ではなく、全銀システムを通るかどうか、つまり手数料が高くなるかどうかの分かれ目です。多くの銀行は同じ名義の口座どうしを「振替」と呼んでいますが、これは法令ではなく各行の規定によるものです。

Q. 法律には振込と振替の定義がないのですか?

A. 銀行法と資金決済に関する法律の全文を e-Gov法令API v2 で取得して数えたところ、「振込」は両法とも0回でした。「振替」は銀行法に11回・資金決済法に6回ありますが、いずれも社債、株式等の振替に関する法律に関係するもので、株式や社債の振替を指しています。銀行法10条2項10号の2が挙げる「振替業」も、同条9項が社債、株式等の振替に関する法律2条4項の口座管理機関として行う振替業だと定義しており、預金の振替ではありません。

Q. では法律は銀行の送金を何と呼んでいるのですか?

A. 「為替取引」です。銀行法10条1項は、預金または定期積金等の受入れ、資金の貸付けまたは手形の割引と並べて為替取引を挙げており、これが銀行の固有業務です。同法2条2項2号は「為替取引を行うこと。」を銀行業にあたる行為としています。資金決済に関する法律2条2項は、銀行等以外の者が為替取引を業として営むことを資金移動業と定義しており、送金アプリなどはこの登録によって資金を動かしています。

Q. その「為替取引」は法律で定義されているのですか?

A. されていません。銀行法2条は「定義等」の見出しのもとで32項にわたり用語を定義していますが、そこに為替取引の定義はありません。資金決済に関する法律は「為替取引」を168回使いながら、やはり定義を置いていません。この語の意味は裁判例の積み重ねによって固まってきたもので、実務書では最高裁の決定が引かれるのが通例です。

Q. 自社のA銀行口座からB銀行口座へ資金を移しました。仕訳はどうなりますか?

A. 会社の財産は増減していないため、一般には資産の置き場所の移動として処理します。借方にB銀行普通預金、貸方にA銀行普通預金を立て、手数料が生じた分だけ支払手数料を計上します。収益科目は使いません。B銀行側の通帳だけを見て雑収入や売上に計上すると、実在しない利益が立ってしまいます。なお出金日と着金日がずれて期をまたぐ場合は、移動中の資金をいったん仮払金などで受け、着金日に振り替えます。

Q. 自社の口座間で資金を移したとき、消費税はかかりますか?

A. 資金を移す行為そのものは資産の譲渡等にあたらないため、課税の対象になりません。課税されるのは、銀行が提供した役務の対価である手数料の部分だけです。手数料の勘定科目やインボイス制度での取扱いは、振込手数料の勘定科目の記事にまとめています。

Q. 銀行の窓口でもらう振込の控えに、収入印紙が貼られていないのはなぜですか?

A. 印紙税法の別表第一・17号は、他人の事務の委託を受けた者が委託者に代わって売上代金を受け取る場合に作成する受取書を課税文書の類型として挙げていますが、その定義のかっこ書きで「銀行その他の金融機関が作成する預貯金口座への振込金の受取書その他これに類するもので政令で定めるものを除く。」としています。「振込金」という語は印紙税法の全文でこの1か所にしか現れません。ただし条文が言っているのはこの類型に当たらないということまでで、個々の文書の課否はその記載内容から判断されます。判断に迷う文書は所轄の税務署にご確認ください。

Q. 「口座振替」も同じ「振替」ですか?

A. 別のものです。口座振替は、預金者が銀行に対して払戻請求をしないと約束することで、公共料金や税金の引落しを自動的に行わせる仕組みです。銀行の振替サービス(口座間の資金移動)とは、根拠も手続きも異なります。国税の振替納税を含め、口座振替依頼書の記事で扱っています。

Q. 会計ソフトにある「振替伝票」は、銀行の振替と関係がありますか?

A. 関係ありません。振替伝票は、現金取引以外を記帳するための伝票を指す簿記の用語です。e-Gov法令検索の全文検索で「振替伝票」を含む法令は2件のみで、いずれも共済組合に関する規則・規程でした。税法にも会社法にも出てこない、法令用語ではない言葉です。

出典

この記事は一般的な情報提供であり、個別の税務・法務相談や、特定の金融機関・サービスを勧めるものではありません。「振込」「振替」という語の使い分けは法令ではなく各金融機関の規定によるため、手数料・利用時間・1日あたりの限度額を含め、実際の取扱いはご自身の取引銀行の手数料表と預金規定でご確認ください。仕訳の科目や消費税・印紙税の判断は、取引の実態と文書の記載内容によって変わります。判断に迷う場合は、顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。

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