学生の確定申告|給与・副収入と勤労学生控除の確認表
学生の確定申告は、学生かどうかではなく、給与の年末調整と副収入の内容で確認します。年末調整済みの給与だけで、ほかに申告が必要な事情がなければ、所得税の確定申告は不要です。
申告義務がなくても、給与の所得税に納め過ぎがあれば還付申告ができます。本人の勤労学生控除と、親が受ける扶養控除・特定親族特別控除は別々に確認してください。
この記事は、令和8年分の所得税について国内居住者の学生が通常の年次申告を確認するためのものです。死亡・出国による準確定申告、株式・FXなどの分離課税所得は対象外です。
学生の申告確認表
本人の申告義務は、親の扶養に入っていることや学生証があることだけでは決まりません。まず、勤務先ごとの源泉徴収票と、業務委託などの収入・経費の記録を分けます。
| 状況 | 先に確かめること | 次の作業 |
|---|---|---|
| 年末調整済みの給与だけ | ほかに申告が必要な事情や、追加する控除がないか | ほかに申告事由がなければ申告不要。控除の追加は還付を確認 |
| アルバイトを掛け持ち | 年末調整されなかった給与収入と、給与・退職以外の所得 | 給与の申告不要制度と年税額を照合 |
| 途中で辞め、年末調整が未済 | 所得全体と控除、給与から徴収済みの所得税 | 義務の有無を確認し、納め過ぎなら還付を検討 |
| 業務委託の報酬がある | 給与との区別、所得区分、収入と業務分の必要経費 | 給与があるかも含めて申告義務を確認 |
給与が高額な人、同族会社の役員等、災害による徴収猶予を受けた人、源泉徴収義務のない支払者から給与を受ける人、退職所得の税額が不足する人は別判定です。全体は確定申告はいくらから必要かを確認してください。
給与と業務委託を分けて判定する
掛け持ち先の給与は収入金額で、業務委託などは所得金額で確認します。振り込まれた手取りをそのまま足すと、給与から天引きされた税金や報酬の必要経費を取り違えます。
給与がある学生の申告不要制度
源泉徴収対象の給与を受ける学生には、給与所得者の申告不要制度があります。給与とほかの所得を集計し、給与が高額な場合など、別の申告事由にも注意します。
次の表は、令和8年分の居住者で、給与の全部が源泉徴収対象の掛け持ちについての判定です。ほかの申告事由がない場合の所得税を確認します。「ほかの所得」は給与・退職以外の所得から、申告不要を選んだ所定の配当・株式譲渡・利子と、源泉分離課税の所得を除いたものです。年税額が生じない人や還付になる人は、申告義務とは別に確認します。
| 確認する金額 | 申告不要の条件 | 扱い |
|---|---|---|
| 年末調整されなかった給与収入+ほかの所得 | 合計20万円以下 | この基準による所得税の申告義務なし |
| 給与収入合計から、雑損・医療費・寄附金・基礎控除以外の所得控除を差し引く | 差引額150万円以下、かつほかの所得20万円以下 | 所得税の申告義務なし |
表は所得税の申告義務の確認です。詳しい条件は国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」、源泉徴収票の整理方法は掛け持ち・退職・還付の確認表にまとめています。
所得税の申告をしない場合も、住民税の申告は住所地の市区町村に別途確認してください。所得税の申告不要制度をそのまま住民税に当てはめることはできません。
業務委託の収入は給与に足して終わりにしない
ライターや家庭教師などの報酬は、契約・働き方の実態で所得区分を確認します。業務委託という名前だけで、雑所得か事業所得かは決まりません。
営利目的で継続する副業のうち、事業所得など他の所得に当たらない業務に係る雑所得は、総収入金額からその業務の必要経費を引いて計算します。
給与がなく報酬収入だけの学生は、給与所得者の少額所得の申告不要制度を使えません。所得全体と所得控除・税額控除、源泉徴収税額等を確認して、給与がない人の申告義務の判定へ進みます。
例えば、アルバイトの源泉徴収票と家庭教師の報酬明細がある学生は、前者を給与、後者を報酬として別々に整理します。報酬明細の入金額だけを、給与の源泉徴収票の支払金額に加えて申告する方法ではありません。
勤労学生控除の所得・学校要件
勤労学生控除は、学生本人の所得から差し引く控除です。学生なら自動的に受けられる制度ではなく、働いて得た所得、合計所得、学校・課程を確認します。
令和8年分の勤労学生控除は、準確定申告を除き、次のすべてに当てはまると所得・在籍要件を満たします。証明書は次節で確認します。
- 令和8年分の勤労学生控除は、準確定申告を除き、年末に所定の学校・課程の学生で、自己の勤労所得があり、年間の合計所得金額が89万円以下、かつ勤労以外の所得が10万円以下であることが所得・在籍要件です。
令和8年分の所得税の勤労学生控除額は、要件を満たす居住者本人の所得から引く27万円です。税金や還付金そのものの額ではありません。
所得要件はその年の年間所得で確認します。卒業後に働き始めた人は、その年に在学していた期間があるという理由だけで該当すると判断しないでください。
| 学校・課程の区分 | 確認すること |
|---|---|
| 学校教育法に規定する学校 | 大学・高校・高等専門学校など、所定の学校に在籍しているか |
| 専修学校・各種学校 | 所定の設置者と課程の要件を満たすか、学校の窓口へ確認 |
| 職業訓練法人の認定職業訓練 | 法人・課程が所定の要件を満たすか、訓練先の窓口へ確認 |
専門学校・スクールという名称や、学生証があることだけでは対象と決まりません。専修学校等や認定職業訓練は、設置者・課程の条件と証明書の発行可否を確認します。条件の全文は国税庁「勤労学生控除」の学校区分・注をご覧ください。
勤労学生控除シミュレーターで学校と所得の要件を確認する学校の証明書と申告前の資料
学校の証明書は、学校の区分によって扱いが異なります。大学生を含めて全員に同じ在学証明書が必要、という扱いではありません。
所定の専修学校・各種学校・職業訓練法人の生徒等は、次の証明書を窓口で確認します。
- 対象課程を設置することを証する大臣の証明書の写し
- 本人がその課程を履修していることを証する学校長等の証明書
所定の専修学校等・認定職業訓練の生徒等が紙の確定申告で勤労学生控除を受ける場合、必要な証明書を添付または提示しますが、年末調整で適用済みの給与所得者は不要です。
| 資料 | 照合する内容 |
|---|---|
| 対象年分の勤務先ごとの源泉徴収票 | 給与、徴収済み税額、勤労学生控除の適用状況 |
| 報酬・収入と業務分の必要経費の記録 | 給与以外の所得金額、自己の勤労による所得か |
| 対象課程・履修についての証明書 | 専修学校等・認定職業訓練の学校・課程要件 |
| ほかに申告する控除の資料 | 年末調整で適用済みのものと、今回追加するもの |
この表は準備用です。記載した資料を一式そのまま提出するという意味ではありません。本人確認や電子申告の準備、控除別の添付・提示は確定申告の必要書類で確認してください。
本人の控除と親の扶養は別判定
本人が勤労学生控除を使っても、親の扶養控除の対象に戻るわけではありません。親の控除は、子の合計所得金額や年齢、生計を一にしているかなどで別に判定します。
| 誰の控除か | 確認事項 | やりがちな誤り |
|---|---|---|
| 本人の勤労学生控除 | 所得・在籍の要件と学校証明を本人について確認 | 学生証だけで対象と判断する |
| 親の扶養控除 | 子の合計所得、年齢、生計、専従者等の条件 | 子の所得から勤労学生控除を引いて判定する |
| 親の特定親族特別控除 | 親族の所得・年齢・生計などの所定要件と重複適用の制限 | 扶養控除の対象外なら、親の控除もなくなると決める |
子の合計所得金額を確認するときは、子本人の勤労学生控除や基礎控除を引く前の金額を使います。親には手取り額だけでなく、給与とそれ以外の所得を分けた年間の見込み・実績を伝えると確認しやすくなります。
例えば、親が年末調整の書類を準備しているときに、子は「勤労学生控除を申告するから扶養のまま」と返答せず、給与の支払金額と報酬の所得見込みを共有します。親側の控除額・年齢区分は、本人の申告とは別に確認してください。
扶養控除シミュレーターで親側の扶養控除を試算する還付申告と提出までの順番
給与の源泉徴収税額が、申告対象の所得と控除から計算した年税額を上回れば、差額が還付の対象です(源泉分離課税の税額は除きます)。途中退職や勤労学生控除の申告だけで、還付が確定するわけではありません。
給与の天引きも予定納税もなく、納付済みの所得税がなければ、その税の還付はありません。源泉分離課税の預貯金利子などに対する所得税も、還付申告の対象外です。
申告書には、対象年分の給与と申告対象のほかの所得を反映します(源泉分離課税・申告不要を選んだ所定の所得は除きます)。勤労学生控除は、学校の区分と年末調整での適用状況に応じて、申告事項と必要な証明書を確認してください。年末調整で反映済みの控除も確認し、給与や控除を二重に入力しないよう照合します。
申告をする場合は、給与所得者の少額所得の申告不要制度だけを理由に、対象となる副収入の所得を省くことはできません。申告不要を選択できる所得や源泉分離課税の所得とは区別してください。
作成・提出の共通手順は確定申告のやり方、申告義務がある場合の期限と休日の扱いは確定申告はいつまでかを確認してください。
義務がなく給与の納め過ぎを返してもらう還付申告は、義務がある人の申告期間と扱いが異なります。期限内申告が特例の要件になる場合や、同じ年分を既に申告している場合もあるため、国税庁「還付申告」で期間と手続を確認します。
給与と報酬を分けて申告義務を確認し、本人の控除を反映して還付の有無を照合します。学校の証明は区分に応じて準備し、親の控除は子の合計所得金額を使って別に判定してください。
よくある質問
学生で年末調整済みの給与だけならどうしますか?
学生という理由では決まりません。年末調整済みの給与だけで、ほかに申告が必要な事情がなければ所得税の申告は不要ですが、給与以外の所得や未精算の給与がある場合は申告義務を確認します。
掛け持ちバイトをしていれば申告が必要ですか?
掛け持ちだけでは決まりません。年末調整されなかった給与の収入金額と、給与・退職以外の所得、所得控除・税額控除を確認し、給与の申告不要制度に当たるかも照合します。
勤労学生控除を使えば親の扶養に戻れますか?
本人の勤労学生控除を使っても、それを理由に親の扶養控除の対象に戻るわけではありません。親の扶養控除・特定親族特別控除は、子の合計所得金額や年齢などの要件で別に判定します。
大学生も学校の証明書を添付しますか?
勤労学生控除の学校証明は、所定の専修学校・各種学校・職業訓練法人の生徒等が対象です。大学生に同じ証明書を一律に求めるものではなく、対象の生徒等でも年末調整で既に控除を受けた場合は再度の添付・提示は不要です。
退職して年末調整を受けていません。税金は戻りますか?
給与の源泉徴収税額が、源泉分離課税を除く申告対象の所得と控除から計算した年税額を上回れば、差額が還付の対象です。退職したことだけでは決まらず、給与の天引きや予定納税による納付済みの税がなければ、その税の還付はありません。
出典
- 国税庁「勤労学生控除」
- 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」の勤労学生・証明書の項
- 国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」・「確定申告を要しない場合の意義」
- 国税庁「雑所得」
- 国税庁「還付申告」
- 国税庁「扶養控除」・「特定親族特別控除」
- 台東区「申告に関する質問」
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。