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確定給付企業年金とは|掛金・給付・退職時の会社の手続き

確定給付企業年金(DB)は、給付内容をあらかじめ規約で定め、会社が掛金を拠出して将来の給付に備える企業年金です。会社の担当者は、掛金の納付、給付請求の案内、退職時の移換説明を分けて管理します。

退職しても、掛金の累計額がそのまま本人へ返るわけではありません。受給資格・給付額・一時金か年金かは自社の規約で確認します。移換を希望する人には、移換先の条件と申出期限を案内します。

以下は既に実施している通常のDBの制度運営を扱う確認表です。リスク分担型企業年金の給付調整、新規設立の可否や制度設計、制度の終了・合併による資産移換、個別の給付額や税額の判定は対象に含めません。

規約型・基金型と会社の担当範囲

規約型と基金型では、申込書の提出先だけでなく、給付を裁定する主体も違います。最初に自社の実施形態を確認します。裁定とは、請求に対して受給権や給付内容を決める手続を指します。

制度開始には、各事業所で厚生年金保険の被保険者の過半数で組織する労働組合があればその組合、なければ過半数代表者の同意を得て、規約を作成します。

DBの実施形態と担当する主体
項目規約型基金型
開始の手続規約について厚生労働大臣の承認を受ける企業年金基金の設立について厚生労働大臣の認可を受ける
給付の裁定事業主が行う企業年金基金が行う
裁定後の支払資産管理運用機関が行う企業年金基金が行う
社内の連携先の例人事・経理と、契約先の資産管理運用機関人事・経理と、加入している企業年金基金

根拠は確定給付企業年金法3条と同法30条です。受託機関へ実務を委託していても、自社が行う登録・納付・説明を、契約の事務分担表で確認します。以下の「機関」は、契約先の資産管理運用機関を指します。

自社の規約で先に探す欄

制度名が同じでも、受給要件や給付額の算定方法は会社ごとに異なります。社内説明資料だけで結論を出さず、承認・認可された規約とその変更履歴をそろえます。

担当交代時に確認する規約の欄
規約の事項実務で使う場面
加入資格・加入者期間入社、雇用区分変更、退職の登録
給付の種類・要件・算定方法退職者への受給見込・請求方法の案内
掛金の拠出・加入者負担掛金計算、本人同意、給与控除の設定
移換・支給の繰下げ退職時の選択肢と申出先の説明
支払期月・事業年度給付案内、経理の資金予定、決算の準備

この表は社内確認用の例です。規約に必要な事項の根拠は同法4条で、具体的な章立ては厚生労働省の規約例でも確認できます。規約例の空欄にある年齢や率を、自社の条件と読み替えないようにします。

事業主掛金と加入者負担の管理

会社の掛金と、給与から控除する加入者負担は分けて管理します。本人負担の定めがない制度で、会社の掛金を給与から天引きする扱いにはしません。

DBの事業主は、積立上限超過による控除額が掛金額以上になる場合を除き、規約に基づき年1回以上、定期的に掛金を拠出します。納付先と納付日は規約で確認します。通常の金銭納付では、請求明細・振込額・入金確認を対応させます。

通常の金銭納付で使う月次確認表の例
確認するもの照合する内容不一致を見つけたとき
加入者データ入社・退職・給与等の変更が、規約に沿う基準日で反映されているか異動日と登録日を分けて、機関・基金へ訂正方法を確認
掛金の請求明細会社負担、加入者負担、対象期間、追加の掛金の区分規約の率・算定基礎・対象期間まで戻って確認
給与の加入者負担規約、本人の同意・停止申出と、実際の控除額給与設定と機関・基金の登録をともに確認
納付後納付明細の合計、振込額、相手方の受入結果未納・過納・訂正分を翌回にどう処理するか記録

法令上の掛金は同法55条、納付は同法56条、積立上限超過による掛金控除は同法64条に定められています。掛金の納付記録と、年金財政の決算用資料を分けて保存すると、照合しやすくなります。

加入者負担は同意・停止・再開制限まで確認

DBの加入者負担を規約に設ける場合、本人の同意が必要で、負担額は当該加入者に係る掛金の2分の1を超えられません。会社全体の掛金総額を分母にするのではなく、本人に係る掛金で確認します。

負担中の加入者が負担しない旨を申し出た場合は、負担を止める扱いです。再開には制限があるため、給与設定を一時停止して後で元に戻す、とだけ説明しないようにします。

加入者負担の変更を受けたときの確認
申出・状態制度上の扱いと確認点
負担を始める規約の定めと、所定の本人同意を確認する
負担しない旨の申出加入者負担をしない扱いにする。受付日と給与反映を記録
負担をやめた後に再開したい再負担はできない。ただし規約変更により本人の負担額が減少する場合は例外

根拠は確定給付企業年金法施行令35条です。本人負担を止めることと、DBの加入資格そのものを失うことは別に確認します。

給付の種類と請求の流れ

給付を案内するときは、まず受給要件を満たす給付の種類を確認します。その後で、年金か一時金か、申出や請求の書類は何かを整理します。

各給付は規約上の受給要件を満たす人が対象です。老齢給付金の一時金は、規約の定めと年金の保証期間があれば、本人が裁定請求時か年金支給開始から5年経過日以後に選択できます(省令所定の特別事情があれば開始後5年経過前も可)。脱退一時金は死亡以外の資格喪失で規約の受給要件を満たす人が対象です。

DBの給付と規約で確かめること
給付制度上の位置づけ会社が確かめる欄
老齢給付金DBで行う給付。年金で支給。一時金選択には規約と法令の条件がある加入者期間、支給開始要件、一時金選択の条件
脱退一時金DBで行う給付。資格喪失と規約上の受給要件を確認する受給要件、算定方法、支給繰下げ・移換の扱い
障害給付金・遺族給付金規約で設けている場合に行う給付制度の有無、受給要件、請求者・遺族の範囲

退職時に年金の支給開始要件だけを満たしていない人については、脱退一時金を支給する定めが規約にあるかを確認します。退職者に対して一律に「一時金しかない」「年金まで受け取れない」と案内しないことが大切です。

一時金選択に関する法令基準は施行令29条です。

根拠は同法29条、36条、38条、41条です。

DBの給付請求から支払まで規約と登録情報を確認し、本人等が請求し、事業主または基金の裁定を経て支払う流れ。 規約・登録の確認受給資格・算定基礎 本人等の請求必要書類・請求先 裁定・支払通知内容と支払を確認 規約型の裁定は事業主、基金型の裁定は基金
給付は請求に基づく裁定を経て支給されます。退職届だけで請求まで済んだとは扱いません。

請求前に記録をそろえる

たとえば、退職者から「一時金を受け取りたい」と連絡を受けた場面では、先に規約の受給要件と加入者登録を照合します。本人の希望だけで給付額を確定せず、算定結果や選択できる受取方法を機関・基金と確認します。

これは請求事務を漏らさないための確認例で、全国共通の必要書類一覧ではありません。実際の書類は、自社の規約と請求先の案内に合わせます。

退職金の税金計算ツールで概算できるのは、本人負担のないDB一時金が退職所得に該当し、次の条件に当てはまる場合です。

退職金の税金計算ツール

DBの受給資格・給付額は、このツールでは判定できません。

本人負担のあるDBの退職一時金は、支給額から本人負担の保険料・掛金を差し引いて退職所得の収入金額を求めます。詳しくは国税庁「退職金を受け取ったとき(退職所得)」をご確認ください。

退職時の説明と本人の選択

退職時は、受給できる給付と移換できる資産を分けて説明します。会社側で一時金の支給を先に進める前に、本人が移換を希望するかも確認します。

DBの中途脱退者とは、加入者資格を喪失した人のうち、規約で定める脱退一時金の受給要件を満たす人です。勤続年数が短いなどの事情で受給要件を満たさない人まで、移換できるとは案内しません。

退職時に会社が渡す説明・記録の例
確認順確認する内容残すもの
資格・給付の確認DBの資格喪失日、脱退一時金・老齢給付金の受給要件登録情報、規約の該当箇所、算定結果
選択肢の説明受給可能な給付、規約による支給繰下げ、条件を満たす移換先本人へ渡した案内と説明日
希望の受付給付請求か移換申出か、未決定なら問合せ先と期限本人の申出、受付日、提出書類
処理後支給・移換の完了、住所等の連絡先通知・処理結果、未完了事項の引継ぎ

退職により実施事業所に使用されなくなり、DBの加入者資格を失った人は、脱退一時金の受給要件を満たせば規約に従って支給繰下げを申し出られます。移換先が未定だからといって、何もしなくても支給が繰り下がると決めつけないようにします。老齢給付金にも、受給要件を満たし未請求の人が規約に従って申し出る別の繰下げがあります。同法37条に定められています。

資格喪失時には、事業主等に移換の申出期限その他必要事項の説明義務があります。根拠は施行令50条の4、54条の7、65条の19です。社内の退職チェックリストに、説明日と担当窓口を残す欄を用意すると引継ぎに使えます。

移換先の条件と申出期限

移換は、脱退一時金相当額を年金制度へ移す手続です。本人が現金で受け取る一時金の請求と、同じ資産について重ねて進めるものではありません。

退職に伴いDBの加入者資格を失い、規約上の脱退一時金の受給要件を満たす中途脱退者の移換先を示します。下表は本人の申出による脱退一時金相当額の移換で、制度終了時の残余財産や、合併等に伴う中退共への移換は含めません。

DBから移換するときの主な確認条件
移換先確認する条件会社の説明で区別する点
別のDB移換先DBの加入者資格を取得し、その規約に受入れの定めがある転職先にDBがあるだけで、受入れ可能とは決まらない
企業型DC企業型年金加入者の資格を取得しているDBからの移換申出と、転職先の加入登録を照合
iDeCo個人型年金加入者の資格を取得している移換先の加入手続と、DB側の申出を並行して確認
企業年金連合会中途脱退者本人がDBの事業主等に移換を申し出る移換を原資とする連合会の給付内容を確認

根拠は同法81条の2、82条の3、91条の19です。企業年金連合会と、iDeCoの移換先となる国民年金基金連合会は別の団体です。

起算日と申出先を本人へ渡す

DB中途脱退者の脱退一時金相当額の移換申出は、原則としてDBの加入者資格喪失日から起算して1年を経過する日までに行います(やむを得ない理由の例外は下の注)。退職日ではなく、制度の資格喪失日を確認します。

天災その他期限内に申し出なかったことについてやむを得ない理由がある場合は、その理由がやんだ日の属する月の翌月末日まで申し出られます。休日の受付・必着等の扱いは、申出先の案内で事前に確認してください。

期限の根拠は施行令50条の2、54条の6、65条の17です。申出に必要な用紙・提出先・不足書類の連絡方法を、期限と一緒に渡します。

たとえば、転職先にもDBがある退職者には、受入規約の有無と加入者資格を先に確認してもらいます。受入れが分かってから書類を探し始めると申出の準備が遅れるため、在籍していた会社の窓口と転職先の窓口を早めにつなぎます。

入社者を受け入れる側も、以前のDBの資産を移せる場合には、自社の給付や移換について説明する必要があります。前職の加入者期間がそのまま自社の勤続年数になると決めつけず、移換後の規約上の取扱いを確認します。

企業型DCから出る資産の取扱いは、企業型DCを退職したときの手続きで扱っています。DB側の申出期限とDC側の手続を混同しないよう、退職案内は制度ごとに分けます。

財政確認・周知と引継ぎの記録

掛金を予定どおり納付していても、それだけで年金財政の確認は完了しません。通常のDBでは、将来の給付と掛金・運用収入の見通し、決算時の積立状況を確認する仕組みがあります。

積立不足に関する基準に該当すると、掛金の再計算や追加拠出が必要になります。運用利回りが下がった月に、その下落額をそのまま給与担当者が本人へ補填する、という処理ではありません。

経理・人事が引き継ぐ資料の例
場面資料確認すること
予算・資金予定規約、掛金の通知、納付予定通常の掛金と追加拠出の予定を区別
年金財政の確認決算・財政検証・再計算の資料機関・基金からの説明、必要な対応と担当者
加入者への周知業務概況、配布・掲示等の記録周知内容、対象者、実施時期
担当交代規約変更履歴、未完了の給付・移換一覧申出期限、照会先、次に処理する人

財政確認の根拠は同法57条と59〜63条、業務概況の加入者への周知は73条です。加入者以外で、事業主等が給付義務を負っている相手への同様の周知は、努力義務として定められています。

また、DBを「将来の給付が絶対に変わらない制度」と説明するのは避けます。給付を減額する規約変更には、事業継続が困難となるなどの省令所定の理由と手続が必要です。根拠は施行令4条と、基金型へ準用する7条です。

会社の実務は、規約・掛金・請求・移換をつなげて管理します。掛金の納付記録と本人の給付額を混同せず、退職時には受給要件と移換条件を確認し、説明と申出の記録を引き継ぎます。

よくある質問

確定給付企業年金の掛金は従業員も負担しますか?

従業員が掛金の一部を負担できる制度はありますが、規約の定めと本人の同意が必要で、負担額は本人に係る掛金の2分の1以下です。本人負担がない制度もあるため、自社の規約と給与明細を確認します。負担を止める申出と、その後の再負担の制限は本文の加入者負担表のとおりです。

退職するとDBの積立額をそのまま受け取れますか?

掛金の累計額がそのまま返る制度ではありません。受給要件と給付額の算定方法は規約で決まり、受給できる給付の請求、規約に従う支給繰下げ、条件を満たす移換のどれに当たるかを確認します。

転職先にDBがあれば、前のDBから移換できますか?

転職先DBの加入者資格を取得し、その規約に受入れの定めがあれば、脱退一時金の受給要件を満たす中途脱退者は移換を申し出られます。転職先に制度があるだけでは決まらず、受入条件とDB側の申出期限を確認する必要があります。

DBの年金は会社が自動で振り込むのですか?

給付は本人等の請求に基づく裁定を経て支給されます。裁定は規約型では事業主、基金型では基金が行い、支払は資産管理運用機関または基金が行います。退職の届出とは別に、請求先と必要書類を確認してください。

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出典

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の税務・労務相談には応じられません。実際の給付・移換の手続は自社の規約と資産管理運用機関・企業年金基金の案内を確認し、税務上の判断は税務署・税理士等へご確認ください。

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