NISA口座の金融機関変更:2027年分の手続きと保有商品の扱いを年表で確認
結論から言うと、2027年分のNISAを別の金融機関で使うには、今の金融機関へ「金融商品取引業者等変更届出書」を出します(2027年1月1日現在18歳以上の人の口座)。出せるのは2026年10月1日〜2027年9月30日で、今の口座で2027年分を買う前に限ります(18歳未満の口座は変更不可)。
届出書を出すと今の金融機関から「勘定廃止通知書」が交付され(電磁的方法による記載事項の提供もある)、それを「非課税口座開設届出書」と一緒に新しい金融機関へ出します。2027年1月1日以後、届出書を出す日までに今の口座で2027年分の買付があると、2027年分は変更できません。
今の口座で買った商品は新しい口座へ移せませんが、金融機関を変えたことで非課税でなくなることはありません。
手続きした日で決まる年分の年表
変更したい年の1月1日現在18歳以上の人が今の金融機関に変更届出書を出せる期間は、その年の前年10月1日からその年9月30日までで、その年分を今の口座で買う前に限ります(租税特別措置法37条の14、2027年1月からは同条第19項)。次の表は、これを2027年分・2028年分に当てはめたものです。
| 変更届出書を出した日 | 今の口座での買付 | 新しい金融機関で使える年分 |
|---|---|---|
| 2026年10月1日〜12月31日 | 2026年分の買付があっても妨げにならない | 2027年分から |
| 2027年1月1日〜9月30日 | 届出書を出す日までに2027年分の買付なし | 2027年分から |
| 2027年1月1日〜9月30日 | 届出書を出す日までに2027年分の買付あり | 2027年分は変更できない(2028年分は2027年10月1日以後に出す) |
| 2027年10月1日〜2028年9月30日 | 届出書を出す日までに2028年分の買付なし | 2028年分から |
2026年分を変更できる期間は2026年9月30日で終わっているので、2026年10月以後に出す届出書は2027年分以後の変更になります。2027年分の締切にあたる2027年9月30日は木曜日です。
金融機関の受付締切は、法律の期間より早く設けられていることがあります。申込先と今の金融機関の案内で日付を確かめてください。
1月から新しい口座で買うには
新しい金融機関へ非課税口座開設届出書と勘定廃止通知書を2026年10月1日〜12月31日に出すと、2027年分の枠は2027年1月1日に設けられます(1月1日前に税務署から設定できない旨の連絡がない場合)。2027年1月1日〜9月30日に出すと、2027年分の枠は出した日に設けられます。
税務署から設定できない旨の連絡があると、その枠は設けた時からNISAの枠として扱われません(租税特別措置法37条の14)。
金融機関によっては、税務署から二重開設でないことの確認が取れるまで、NISA口座での取引を制限します(日本証券業協会のQ&A Q57)。
手続きの流れと3つの書類
手続きは、今の金融機関と新しい金融機関の2か所で行います。
- 今の金融機関に「金融商品取引業者等変更届出書」を出します。書面のほか、電磁的方法で出せる場合もあります。
- 今の金融機関が税務署へ必要な事項を送り、「勘定廃止通知書」を交付します(電磁的方法で記載事項が提供される場合もあります)。交付までは、金融機関で異なるものの、おおむね1週間程度の見込みです(日本証券業協会のQ&A)。
- 新しい金融機関に「非課税口座開設届出書」と勘定廃止通知書(または電磁的方法で提供された記載事項)を出します。開設時は本人確認書類の提示等とマイナンバーの告知が要ります(その金融機関にマイナンバーを告知済みなら、告知が不要の場合あり)。
次の表の書類は、書面のほか、電磁的方法で出したり記載事項の提供を受けたりできる場合があります(方法は金融機関で異なります)。
| 書類 | 出す先 | 役割 |
|---|---|---|
| 金融商品取引業者等変更届出書 | 今の金融機関 | その年分の枠をほかの金融機関に設けると届け出る |
| 勘定廃止通知書 | 今の金融機関から受け取り、新しい金融機関へ | 変更届出書を出すと今の金融機関から交付され、新しい金融機関で口座を開くのに使う |
| 非課税口座開設届出書 | 新しい金融機関 | 新しい金融機関にNISA口座を開く |
勘定廃止通知書と非課税口座廃止通知書の違い
勘定廃止通知書は、金融機関を変えるときに出る書類です。今の口座は残り、それまでの保有分は変更前と同じ条件で非課税のまま持てます(2023年までの旧NISA分は非課税期間の内)。
非課税口座廃止通知書は、NISA口座そのものを廃止したときに一定の場合に出る書類です。ただし廃止すると、保有分は廃止日時点の時価で一般口座へ払い出されます(特定口座へ移すには、廃止届出書より前に移管の依頼書を出し、同じ金融機関の特定口座へ同じ年分の同じ銘柄を全部移します)。
今の口座の保有商品はどうなるか
次の表は、18歳以上のNISA口座で金融機関を変えたあとの、変更前の口座の扱いです(日本証券業協会のQ&A Q56・Q58・Q60、国税庁「新NISAのあらまし」)。
| したいこと | 変更前の口座での扱い |
|---|---|
| 新しい口座へ移す | できない |
| そのまま持つ | 変更前と同じ条件で非課税のまま※ |
| 売る | 変更前の口座で売れる |
| 新しく買う | 新しい金融機関を使う年分は買えない(元の金融機関へ戻す変更をすれば買える) |
| 課税口座へ移す | 移せる。移した時の価額で取得したとみなす(特定口座へ移す条件と例外は下の※) |
※ 2023年までの一般NISA・つみたてNISAの保有分は、購入時から一般NISAは5年間、つみたてNISAは20年間の非課税期間の内に限ります(金融庁のQ&A)。配当の非課税は株式数比例配分方式で受け取る場合に限ります。転任の命令などで一時的に出国する場合、非課税を続けるには事前の手続が要ります。特定口座へ移すときは、移管の依頼書を出し、同じ金融機関の特定口座へ同じ年分の同じ銘柄を全部移します。国外転出時課税の対象になる人は取得価額の扱いが異なります(日本証券業協会のQ&A Q65)。
新しい口座へは移せないので、同じ銘柄を新しい口座で持つには、変更前の口座で売って新しい口座で買うことになります。売却と購入は別の取引で、その間の値動きと手数料の影響を受けます。
配当の受取方法と申告の関係はNISAと確定申告にまとめています。
非課税保有額は新旧の口座を合わせて数える
金融機関を変えても、非課税保有限度額(その年1月1日現在18歳以上の人の口座で総枠1,800万円、うち成長投資枠1,200万円)は、変更前と変更後の口座の2024年以後のNISA分を合わせた非課税保有額で数えます(2023年までの旧NISA分は別枠)。数えるのは、2024年以後のNISA分のうち前年末に保有している分の買付代金と、その年に買う分の買付代金の合計です。
日本証券業協会のQ&A(Q59)の例では、B証券会社の口座の非課税保有額(買付代金で数える)が500万円(うち成長投資枠0円)、A銀行の口座が1,200万円(うち成長投資枠1,200万円)です。2つの口座の非課税保有額は合計1,700万円(うち成長投資枠1,200万円)なので、その年にB証券会社で買えるのは、つみたて投資枠の100万円までです。
変更前の口座の2024年以後のNISA分を売って減った非課税保有額(売った分の買付代金)は、翌年以降、変更後の口座で年間投資枠の範囲内で使えます。
2027年1月1日現在18歳以上の人の2027年分の年間投資枠は、つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円で、非課税保有限度額の範囲内で変更後の口座で使います。前年の使い残しは繰り越せません(同Q&A Q28)。
NISA残り枠計算機で、売却した分が翌年いくら戻るかを試算するつまずきやすい所
積立の設定を残したまま年を越さない
2027年分を変える予定で届出書をまだ出していないなら、今の口座の積立設定を見直します。2027年1月以後、届出書より先に今の口座で2027年分の自動買付が入ると、2027年分は変更できません。
別の金融機関に新規で申し込まない
変更の手続きをせずに別の金融機関でNISA口座を申し込むと、二重開設になります。税務署の重複確認で先に受け付けられた口座だけが有効で、無効になった口座で買った分は当初から一般口座で買ったものとして扱われます(日本証券業協会のQ&A Q53・Q54)。
同じ年分の2つの枠は別々の金融機関に分けられない
同じ年分のつみたて投資枠と成長投資枠を、別々の金融機関で使うことはできません。その年1月1日現在18歳以上の人の口座なら、金融機関は年単位で変えられます(金融庁のQ&A)。
18歳未満の口座は変更できない
18歳未満のNISA口座は、金融機関を変更できません(日本証券業協会のQ&A Q55の注)。
氏名・住所が変わったら全部の金融機関へ
変更後は、NISA口座が2つ以上の金融機関に残ります。氏名・住所・マイナンバーが変わったら、遅滞なく全ての金融機関に「非課税口座異動届出書」を出します(国税庁)。出すときは本人確認書類の提示等も要ります。
今の開設先が分からないとき
e-Taxの利用者識別番号を持ち、マイナンバーを書いた申告書等を税務署に出したことがある人は、e-Taxのマイページで最新のNISA口座の開設状況を確認できます。それ以外の人は、税務署に相談して確認できます(金融庁のQ&A)。
よくある質問
今から金融機関を変えると、いつから新しい金融機関で買えますか?
2026年10月1日〜2027年9月30日に、今の口座で2027年分を買う前に変更届出書を出すと、変更は2027年分からです(2027年1月1日現在18歳以上の人の口座)。新しい金融機関へ非課税口座開設届出書と勘定廃止通知書を2026年中に出せば、2027年分の枠は2027年1月1日に設けられます(1月1日前に税務署から設定できない旨の連絡がない場合)。税務署の確認が済むまで取引を制限する金融機関もあります。
今年すでにNISAで買っていても変更できますか?
2027年1月1日現在18歳以上の人なら、2027年分の変更はできます。2026年10月1日〜12月31日に出せば、2026年分の買付があっても2027年分を変えられます。2027年1月1日〜9月30日に出すなら、出す日までに今の口座で2027年分を買っていないことが条件です。
変更前の口座で持っている投資信託はどうなりますか?
新しい口座へは移せません。変更前の口座で、変更前と同じ条件で非課税のまま持てて(2023年までの旧NISA分は非課税期間の内)、売ることもできます。新しい金融機関を使う年分は、変更前の口座で新しく買えません。元の金融機関で買うには、改めて元へ戻す変更の手続きをします。
金融機関を変えると非課税の枠はリセットされますか?
されません。非課税保有限度額(その年1月1日現在18歳以上の人の口座で総枠1,800万円、うち成長投資枠1,200万円)は、2つの口座の2024年以後のNISA分で前年末に保有している分と、その年に買う分の買付代金を合わせて数えます(2023年までの旧NISA分は別枠)。
勘定廃止通知書はどこでもらえますか?
今NISA口座がある金融機関に、変更したい年分の前年10月1日〜その年9月30日の間に、その年分を買う前に変更届出書を出すと交付されます(1月1日現在18歳以上の人の口座)。電磁的方法で記載事項が提供されることもあり、交付までは金融機関で異なりますが、おおむね1週間程度の見込みです(日本証券業協会のQ&A)。
出典
手続きの期間と効果は租税特別措置法37条の14(e-Gov法令検索)、手続きの流れは国税庁と金融庁、保有商品と枠の扱いは日本証券業協会のQ&Aで確認して作成。年表の日付は、条文の期間を2027年分・2028年分に当てはめたものです。
- e-Gov法令検索「租税特別措置法」37条の14(令和8年10月1日施行の版) — 第5項7号(新しい口座の枠を設ける日)、第13項〜第15項(変更届出書と勘定廃止通知書)、第19項(廃止通知書の提出期間)、第22項(設定できない旨の連絡があった場合)
- e-Gov法令検索「租税特別措置法」37条の14(令和9年1月1日施行の版) — 変更届出書の定めは第19項〜第21項、廃止通知書の提出期間は第25項、設定できない場合は第28項へ移り、変更届出書は18歳未満の口座の勘定を除く
- 国税庁「NISA口座の新規開設又は変更に関する手続等について」 — 開設時の本人確認、金融機関の変更、非課税口座異動届出書
- 国税庁「新NISAのあらまし」(令和5年11月) — 年間投資上限額・非課税保有限度額、課税口座へ移すときの取得価額
- 国税庁「最新のNISA口座の開設状況はe-Taxで確認できます!」(令和7年7月) — e-Taxで確認できる人の要件
- 金融庁 NISA特設ウェブサイト「よくある質問」 — 金融機関の変更の流れ、2つの枠を別々の金融機関で使えないこと、開設先の確認
- 日本証券業協会「2024年以降のNISAに関するQ&A」(2026年9月) — Q28、Q53〜Q60、Q64、Q87・Q88
本記事は一般的な情報提供を目的とし、特定の金融機関・金融商品の利用や取得を勧めるものではありません。当サイトは金融商品取引業者ではなく、投資助言を行うものでもありません。個別の税務相談には応じられません。受付締切や手続きの方法は金融機関ごとに異なるため、実際の手続きは各金融機関の案内で確かめてください。