税金・経理・補助金ツールズ

登記費用の仕訳と勘定科目

登記費用は、登録免許税・司法書士報酬・証明書の法定手数料に分けて記帳します。費用処理するなら、登録免許税は「租税公課」、報酬と証明書手数料は「支払手数料」とする仕訳例が使えます。

法人が固定資産として取得する不動産の登記費用は、取得価額に入れず費用処理する選択ができます。会社の通常の変更登記と分けて、明細・消費税・源泉徴収を確認しましょう。科目名は記帳例であり、法令で指定された名称という意味ではありません。

明細を分ける早見表

登記費用の消費税区分は、登録免許税・報酬・証明書手数料の明細ごとに分けます。司法書士にまとめて振り込んでも、支払先の名前だけでは決まりません。請求書の報酬欄と立替金欄を読み分けます。

法人が国内で登記を依頼し、登記費用を費用処理する場合の記帳例です。証明書手数料は国等へ納付する法定の交付手数料を指し、取得代行の報酬とは分けます。

明細勘定科目の例消費税区分
登録免許税そのものの納付租税公課対象外(不課税)
司法書士の登記代行報酬支払手数料課税
国等の証明書交付手数料支払手数料非課税

会計ソフトの補助科目や摘要で内訳を残してください。

消費税区分の根拠は国税庁の課税の対象とならないものと非課税となる取引です。報酬が課税取引であることと、会社が仕入税額控除を受けられるかは別に確認します。

会社の変更登記の仕訳例

通常の会社変更登記では、登録免許税・報酬・証明書手数料を分けて費用に計上します。下表は商号変更や役員変更などの代金を支払う際の設例です。法定税額や報酬相場を示す表ではありません。

令和8年中、法人が同一の居住者個人司法書士へ国内で委託契約分を1回で支払う税込経理の設例です。国への税・手数料の充当を確認します。報酬本体だけを源泉徴収の対象とします(請求書で報酬と消費税等が明確に区分された設例)。司法書士報酬から徴収する源泉税額の1円未満は切り捨てます。

科目明細・計算借方貸方
租税公課登録免許税(仮定額)30,000円—
支払手数料報酬50,000円+消費税5,000円55,000円—
支払手数料国の証明書交付手数料(仮定額)600円—
普通預金請求総額から源泉税を引いた振込額—81,516円
預り金(源泉所得税等)(50,000円−10,000円)×10.21%—4,084円
合計借方と貸方の一致を確認85,600円85,600円

預り金は会社の費用を減らすものではなく、報酬から預かって国へ納付する税金です。支払前に未払金を計上済みなら、費用を重ねて計上せず、未払金を取り崩して普通預金と預り金に振り分けます。

期末に未払いの報酬を当期の損金にする場合は、期末までに債務が確定しているかを確認します。法人税法に別段の定めがあるものを除く取扱いです(法人税法第22条)。設立・増資・組織再編の登記は、この通常変更の設例には含めません。

法人の固定資産取得の登記費用は費用処理も可能

法人が固定資産として不動産を取得する際の登録免許税や登記報酬は、取得価額に算入しない処理を選べます。法人税基本通達7-3-3の2が、登録免許税その他登記・登録のために要する費用を対象にしています。

費用処理を選ぶなら、上の設例と同じく税金と報酬を分けます。取得価額に算入するなら、対応する登記費用の借方を「土地」「建物」に分けて計上します。どちらの処理でも、消費税区分や源泉徴収は費用の実質に沿って判定します。

法人が固定資産として取得する不動産の登記費用 費用処理を選ぶ 租税公課・支払手数料 取得価額に算入する 土地・建物に分ける
選べるのは登記のための費用の扱いです。仲介・設計などの取得関連費用全体を費用処理できるという意味ではありません。

購入した建物の取得価額は、購入代価に購入付随費用を加え、事業供用のために直接要した費用を合計するのが出発点です(法人税法施行令第54条)。登記以外の仲介手数料や通常の設計費まで、登記費用として一括して費用にしないようにします。

本記事は法人の処理を扱います。個人の自宅・相続物件の取得費や、借入れに伴う抵当権設定費用、建物表題登記と一緒に請求された測量・設計費の判定は、この仕訳例の対象外です。明細ごとに性質を確認してください。

不動産の登録免許税を計算する — 税額の計算と、このページの仕訳を分けて確認できます。

司法書士報酬の源泉徴収

会社が居住者である個人司法書士へ国内で支払う業務報酬は、源泉徴収の対象です。内国法人である司法書士法人へ支払う通常の業務報酬は、対象になりません(国税庁「源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」)。請求書の屋号だけで決めず、契約先が個人か法人かを確認します。

源泉徴収する金額は、登録免許税を含む振込総額から単純に計算するものではありません。登記のため国等へ本来納める登録免許税・手数料に充てることが明らかな支払は、源泉徴収の対象から除きます。

源泉徴収の対象は原則として税込額ですが、請求書等で報酬と消費税等が明確に区分されていれば、報酬本体のみを対象にできます。上の設例はその方法を使っています。

計算式と端数処理、実費・消費税の扱いは国税庁「司法書士等に支払う報酬・料金」で確認できます。納付期限や納期の特例は、支払月と会社の承認状況に合わせて同ページで確認してください。

記帳前にそろえるもの

記帳前に請求書の明細と契約先を確認し、源泉税や振込額を照合します。

記帳の要点

登記費用の総額をそのまま課税の支払手数料にせず、税金・報酬・法定手数料の明細から入力します。源泉税を差し引く場合も、費用と預り金を分けて記録します。

よくある質問

登記費用の勘定科目は何を使いますか?

費用処理する場合は、登録免許税を租税公課、登記代行報酬と証明書の法定手数料を支払手数料とする例があります。法人が固定資産として取得する不動産の登記費用を取得価額に算入する場合は、土地・建物に分けます。科目名だけで消費税区分を決めないでください。

土地の取得登記なら司法書士報酬も消費税は非課税ですか?

いいえ。国内で事業として行われる有償の登記代行は課税取引です。土地の売買と代行の役務は別に判定します。国等の法定の証明書交付手数料は非課税、登録免許税そのものの納付は対象外です。

司法書士法人への支払でも源泉徴収しますか?

内国法人である司法書士法人への通常の業務報酬は、源泉徴収の対象になりません。会社が居住者である個人司法書士へ国内で支払う業務報酬とは区別します。

次に読む

出典

制度の確認日: 2026年10月30日。設例は仮定した請求明細を使い、源泉税の計算方法は国税庁の公表例と照合しています。

この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案についての助言ではありません。実際の会計処理や申告については、税理士または所轄の税務署にご確認ください。

この内容をXで共有