特別会計とは?国の一般会計との違い・総額と純計・予算書の読み方
国の特別会計は、特定の事業や資金の収支を一般会計と分けて経理する会計です。一般会計とは繰入れなどでつながっています。金額を見るときは、会計ごとの歳出を足した総額と、重複などを除いた純計額を区別します。
この記事は国の制度を扱います。会計名から調べるなら次の一覧へ、金額のニュースを読むなら総額と純計の表へ進んでください。
一般会計との違い
違いは、特定の収支を区分して経理するかどうかです。国の特別会計は、特定の事業や特定資金の保有・運用などを区分して経理する必要がある場合に、法律で設置します。その他、特定の歳入を特定の歳出に充て、一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合にも、法律で設置します。
| 確認する点 | 国の一般会計 | 国の特別会計 |
|---|---|---|
| 収支の範囲 | 歳入歳出の範囲を特定の事業に限定しない | 法律で定める特定の歳入・歳出を区分して経理 |
| 財源の見方 | 租税収入などを受け入れる | 保険料・借入金・一般会計からの繰入れなど、会計ごとに確認 |
| 予算の審議 | 国会の審議・議決を経る | 一般会計とあわせて国会に提出し、審議・議決を経る |
国の特別会計も決算は会計検査院の検査を受けます。一般会計とは異なる財務会計処理を法律で定める場合はありますが、国会や検査を通らない別枠の資金ではありません。
根拠:財政法13条、財務省「特別会計ガイドブック」第Ⅰ編第1章。
国の特別会計の一覧
次は財務省の令和7年版特別会計ガイドブックに掲載された国の会計構成と、主な経理の例です。会計名のリンクから各論PDFへ進めます。
| 会計名 | 主な経理の内容(例) |
|---|---|
| 交付税及び譲与税配付金特別会計 | 地方交付税・地方譲与税など |
| 地震再保険特別会計 | 政府の地震再保険 |
| 国債整理基金特別会計 | 国債等の償還・利払い |
| 外国為替資金特別会計 | 外国為替資金の運営 |
| 財政投融資特別会計 | 財政融資資金の運用・投資など |
| エネルギー対策特別会計 | エネルギー対策・先端半導体等の対策 |
| 労働保険特別会計 | 労災保険・雇用保険・保険料徴収 |
| 年金特別会計 | 公的年金など |
| 子ども・子育て支援特別会計 | 子ども・子育て支援、育児休業等給付 |
| 食料安定供給特別会計 | 食料の安定供給など |
| 国有林野事業債務管理特別会計 | 旧国有林野事業の借入金債務の処理 |
| 特許特別会計 | 特許の審査・審判・登録等 |
| 自動車安全特別会計 | 自動車事故対策・検査登録・空港整備など |
| 東日本大震災復興特別会計 | 復興事業・復興債の償還管理 |
会計の中をさらに「勘定」に分けて経理する場合があります。上の表は全勘定・全事業の一覧ではありません。
繰入れ・繰戻しと資金の流れ
会計を分けても、お金の行き来はあります。一般会計から特別会計への繰入れには共通規定があります。法律で定める繰入対象経費の財源に充てる必要がある場合に、予算で定めるところによるとしています。
繰戻しの例は、自動車安全特別会計から過去に一般会計へ繰り入れた資金を、同特別会計へ戻す扱いです。繰入れの制度と、過去の繰入れを戻す制度は分けて確認します。
根拠:特別会計に関する法律6条、国土交通省「よくあるご質問」、ガイドブック第Ⅰ編第4章。
歳出総額と純計の違い
総額は会計ごとの歳出予算額を足した額、純計は重複計上額や借換償還額を除いた額です。特別会計の歳出純計額と、一般会計を含めた国全体の歳出純計額も区別します。
次の表は、財務省公表の令和8年度予算における特別会計の歳出額です。純計では会計間・勘定間の重複計上額と国債の借換償還額を除いています。決算額ではありません。
| 集計の種類 | 公表額 | 集計する範囲 |
|---|---|---|
| 歳出総額 | 441.7兆円 | 特別会計ごとの歳出予算額の合計 |
| 歳出純計額 | 216.2兆円 | 歳出総額から重複計上額と借換償還額を除いた額 |
出典:財務省「特別会計について(令和8年度予算)」。予算の組替えにより当初予算成立時点の数値と異なる場合があります。
歳出純計額にも国債償還費等や社会保障給付費などが含まれます。純計額は、他の政策に自由に振り向けられる資金の額ではありません。
予算書・決算資料の読み方
年度と資料の種類をそろえてから、会計名・勘定名をたどります。予算は収支の予定、決算は実際の収支です。比較するときは当初予算・補正後の予算・決算を区別してください。
| 知りたいこと | 開く資料 | 確認する箇所 |
|---|---|---|
| どの事業を経理するか | ガイドブックの各論 | 概要、具体的な事業、勘定の区分 |
| 何を財源に、何へ使う予定か | 特別会計予算 | 予算総則、歳入歳出予算、歳入歳出予定計算書 |
| 実際の収支と剰余金の行き先 | 特別会計の決算概要 | 収納済歳入額、支出済歳出額、剰余金の処理 |
| 資産・負債の状況 | 特別会計財務書類 | 貸借対照表など。歳入歳出決算とは別に読む |
たとえば予算書の繰入金を見るときは、受入側の歳入だけで止めず、相手の会計・勘定の歳出も確認します。金額を転記する欄には「年度・予算か決算か・会計/勘定・歳入か歳出か・総額か純計か・単位」を残します。こうすることで、別の集計との混同を防げます。
剰余金は歳入歳出の決算差額で、使途の自由な余ったお金ではありません。積立金等にも、将来の支払いや損失に備えるものがあります。金額の合計だけで余裕資金と判断せず、その会計の処理内訳を読みます。
資料の入口:令和8年度特別会計予算、令和7年度特別会計の決算概要。
まとめ
国の特別会計は特定の収支を区分して経理する仕組みです。資料を読むときは、会計間の資金移動をたどり、予算と決算、総額と純計を分けて確認します。
よくある質問
一般会計と特別会計は、何が違いますか?
国の特別会計は、特定の事業や資金の収支を一般会計と分けて経理します。一般会計とは資金の移動でつながっており、特別会計の予算も国会の審議・議決を経ます。
特別会計の総額が大きいのは、使えるお金が多いからですか?
総額だけでは判断できません。特別会計の歳出総額には会計間の重複計上額や借換償還額が含まれ、それらを除くのが歳出純計額です。純計額にも国債償還費等や社会保障給付費などが含まれます。
特別会計の剰余金は、余ったお金ですか?
使途の自由な余裕資金とは限りません。国の特別会計の剰余金は歳入歳出の決算差額であり、会計ごとの制度に沿って積立てや翌年度歳入への繰入れなどの処理を確認する必要があります。
出典
- e-Gov法令検索「財政法」13条・45条
- e-Gov法令検索「特別会計に関する法律」6条・10条
- 財務省「令和7年版特別会計ガイドブック」(各会計の各論は一覧表から参照)
- 同・第Ⅰ編第1章「特別会計制度」
- 同・第Ⅰ編第2章「特別会計の現状」
- 同・第Ⅰ編第4章「国の財政規模の見方」
- 財務省「特別会計について(令和8年度予算)」
- 財務省「令和8年度特別会計予算」
- 財務省「令和7年度特別会計の決算概要」
- 国土交通省「よくあるご質問」自賠責保険の積立金と繰戻し
この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する助言ではありません。個別の税務・労務相談には応じられません。