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安全管理者とは|選任が必要な業種・資格・報告と巡視の実務

安全管理者は、作業場の危険を防ぐ技術的な管理を担う法定の管理者です。

総務担当者は、まず下表で業種を確認し、候補者の資格と勤務先を照合します。選任後は、巡視と危険防止措置を実行できる体制を整えます。

選任義務は業種と事業場の人数で確認

下表の業種で常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに、安全管理者を選任します(鉱業は表内の除外に注意、船員法適用船員は対象外)。会社全体の人数を合算する基準ではありません。根拠は労働安全衛生法施行令3条と労働安全衛生法115条です。

安全管理者の選任対象となる業種
業種のまとまり対象業種
林業・現場作業など林業、鉱業(鉱山保安法上の鉱山における保安を除く)、建設業、運送業、清掃業
製造・インフラ製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業
卸売・小売各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業
サービスなど旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業

卸売業・小売業なら何でも対象になるわけではありません。法令が挙げる種類に限ります。事業場の実際の事業がどの区分に当たるか不明な場合は、所轄の労働基準監督署で確認します。

たとえば、独立した工場と本社事務所がある場合、工場の人数を本社と合算して選任を判断するのではなく、事業場ごとに業種と常時使用する人数を確認します。組織上の部署名だけで事業場が独立しているとは断定できません。

労働者数を正社員だけで数えるのも避けます。パート等も労働者に含まれますが、季節変動や勤務実態を踏まえた「常時」の判定に迷うときは、人数の内訳を所轄署に示して確認します。

小規模な事業場の担当者は、別記事の安全衛生推進者・衛生推進者の選任要件も参照してください。衛生管理者は健康障害の防止など衛生面を担当する別の管理者で、安全管理者の選任だけで衛生管理の体制まで整ったことにはなりません。

安全管理者の資格経路を確認する

安全管理者選任時研修を受けただけで、学歴・実務経験の要件まで満たすわけではありません。労働安全衛生規則5条の経路に該当するかを確認します。

安全管理者の主な資格経路は次のとおりです。学歴・実務経験による経路では、資格の経過措置の対象者を除き、厚生労働大臣が定める研修の修了も必要です。

安全管理者の資格確認表
経路確認する要件
大学・高等専門学校の卒業経路理科系の正規課程を修めて卒業後、産業安全の実務経験2年以上+所定研修修了
理科系の高校・中等教育学校理科系の正規学科を修めて卒業後、産業安全の実務経験4年以上+所定研修修了
労働安全コンサルタント労働安全コンサルタントの資格を確認
厚生労働大臣が定める者告示で定める別の資格経路への該当を確認

主な例外として、過去の資格・管理経験が所定の条件を満たす人には、研修を修了していなくても選任できる経過措置があります。大学等の別経路には所定の学士授与・同等以上の学力・専門職大学前期課程修了等の規定もあります。上表に当てはまらない人を直ちに対象外とせず、当時の資格・経験や修了課程を所轄署に示して確認します。

大臣が定める者の経路を使う場合は、経歴を所轄署に示して確認します。担当者の判断だけで、一般の勤続年数を産業安全の実務経験に読み替えないようにします。

社内の確認資料は、卒業した課程・学科、卒業後の実務内容と期間、研修修了証などをまとめます。単に「工場勤務」と書くより、設備の安全点検、危険防止対策、安全教育など、どの業務をいつ担当したかが分かる形にしておくと資格照会に使えます。

専属と専任を分けて確認する

専属はその事業場に所属すること、専任は安全管理者の職務に専ら従事することです。他業務との兼務を考える際は、専属の確認に加え、専任が必要な事業場かを確認します。

安全管理者は事業場に専属する人から選任しますが、複数選任して労働安全コンサルタントが含まれる場合、そのコンサルタントのうち一人を非専属にできます。外部への委託だけで選任を済ませられるという意味ではありません。

次の業種・規模の事業場では、事業場全体の安全の技術的事項を管理する安全管理者のうち少なくとも一人を専任にします。人数はその事業場で常時使用する労働者数です。

専任の安全管理者が必要な事業場
業種常時使用する労働者数追加条件
建設業、有機化学工業製品製造業、石油製品製造業300人以上―
無機化学工業製品製造業、化学肥料製造業、道路貨物運送業、港湾運送業500人以上―
紙・パルプ製造業、鉄鋼業、造船業1,000人以上―
上記以外の安全管理者の対象業種2,000人以上過去3年間の労働災害による休業1日以上の死傷者の合計が100人を超える事業場

根拠は労働安全衛生規則4条です。専任の対象に当たらない場合も、兼務によって巡視や危険防止措置ができなくならないよう、担当する範囲と時間を確保します。

特殊化学設備を設置して所轄都道府県労働局長が指定する事業場は、指定された生産施設の単位ごとに、操業中常時、安全の技術的事項の管理に必要な数の安全管理者を選任します。

選任から報告までの手順

選任の期限と、報告の要否・時期を分けて確認します。書類の準備ができるまで選任を後回しにしないよう、資格確認と社内決定を先に進めます。

  1. 安全管理者を選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任します。新たに対象規模となった場合や前任者の退職等に備え、候補者と資格資料を確認します。
  2. 選任後は遅滞なく、事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長へ、資格を証明する記録等を添えて選任報告を行います(規則附則5条の継続選任による報告免除を除く)。
  3. 巡視の担当範囲、危険時の連絡先、是正の指示や設備停止の社内手順を決め、実際に安全措置を行える権限を与えます。

選任の準備では休日も見込み、候補者と資格資料を早めにそろえます。社内の選任を期限内に済ませ、報告の準備も進めます。

業種・規模資格を確認社内で選任所轄署へ報告巡視・措置改善を確認
選任報告が必要な場合の手順。巡視・危険防止につなげる。

報告は電子申請を使う

安全管理者の選任報告は、2025年から電子申請が原則義務化されていますが、当分の間は従前の例による書面の報告も可能です。

手続きの入口は厚生労働省の総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告です。入力支援と申請方法を確認し、提出後の控えを保存します。

報告の準備では、事業場情報、選任者の氏名・生年月日・選任年月日、経歴、担当職務、専属・専任の別などを確認します。前任者がいる場合は氏名と辞任・解任等の年月日も必要です。複数を選任したときは、それぞれの担当職務を分かるようにします。

巡視は危険防止措置と権限まで決める

安全管理者は、作業場等を巡視し、設備や作業方法等に危険のおそれがあるときは直ちに必要な危険防止措置を講じます。事業者は、安全に関する措置を行える権限を与えなければなりません。

労働安全衛生規則6条には、安全管理者の巡視を何日ごとに行うかという固定回数の定めはありません。回数を決めるだけでなく、作業内容や危険に応じて巡視できる社内の運用を作ります。

業務は巡視だけではありません。労働安全衛生法11条が定める安全の技術的事項には、同法25条の2第2項の管理者を選任した場合の救護措置を除き、危険防止措置、安全教育、災害原因調査・再発防止対策などが含まれます。

巡視記録は是正の完了まで追う

次は社内で使う記録項目の例です。法定の共通様式ではありません。危険を見つけた後の担当者や完了の確認を残すために使います。

たとえば通路に資材がはみ出している場合、記録するだけでなく、その場の危険を防ぐ措置につなげます。設備の変更が必要なら、誰が判断し、誰が費用を承認するかまで社内で共有しておくと対応が止まりにくくなります。

安全管理者が旅行・疾病・事故その他やむを得ない事由で職務を行えないときは、代理者の選任も必要です。長期不在を把握した時点で、現場に対応者が残る体制を確認します。

是正期限までの営業日を確認する

営業日計算は社内の是正予定を立てる補助です。安全管理者の法定選任期限を営業日に置き換えるものではありません。

総務の確認は、選任から現場の運用まで

業種・事業場の規模、候補者の資格、専属・専任、選任と報告を順に確認します。選任後は巡視の担当と権限を共有し、危険発見時の措置までつなげます。

よくある質問

研修だけで安全管理者になれますか?

学歴・実務経験による経路では、研修だけで要件を満たすことにはなりません。研修以外の条件は資格表で確認します。労働安全コンサルタントや厚生労働大臣が定める者は別の経路です。

本社の担当者を別の工場の安全管理者にできますか?

その工場に専属する人からの選任が基本です。複数の安全管理者を選任し、労働安全コンサルタントが含まれる場合は、そのコンサルタントのうち一人を非専属にできる例外があります。所属と資格を確認して判断します。

巡視は週ごとに行う決まりですか?

安全管理者の巡視には、規則で固定された週ごとの回数はありません。危険のおそれがあるときは直ちに危険防止措置を講じる義務があるため、現場の危険に応じた巡視と対応の運用を整えます。

選任報告を出せば安全管理の手続きは終わりですか?

終わりではありません。事業者は安全措置を行える権限を与え、安全管理者は巡視し、危険のおそれがあるとき直ちに必要な措置を講じます。報告後も現場の安全管理を続けます。

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出典

本記事は一般的な情報提供であり、個別の労務相談への回答ではありません。実際の選任・報告は所轄の労働基準監督署や社会保険労務士へ確認してください。個別の税務・労務相談には応じられません。

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