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確定申告しないとどうなる?無申告加算税・延滞税と期限後の対処

所得税の申告義務がある人が申告・納付をしないと、本税のほかに無申告加算税や延滞税がかかる場合があります。期限を過ぎたことに気づいたら、税務署からの連絡を待たず、未提出の年分を確かめて期限後申告の準備を進めます。

一方、申告義務がなく、納め過ぎた税金の還付を受けるためだけの申告なら、出さなかったことに対する無申告加算税はありません。ただし、還付を受けるには申告が必要です。

まず申告義務があるかを確認し、義務がある人は下の割合表へ、還付だけの人は還付申告の節へ進んでください。

申告しない場合の違い

申告義務があるかと、納める税金が残るかを分けて考えます。無申告加算税は申告の遅れ、延滞税は納付の遅れに関する税金で、同じものではありません。

所得税の申告・納付をしていないときの確認表
状況主な影響確認すること
申告義務があり、納める本税が残る無申告加算税・延滞税がかかる場合がある申告時点、不適用の条件、未納の本税
申告義務がなく、還付申告だけをする出さないことに対する無申告加算税はないが、還付を受けられない還付申告の提出可能期間と、使いたい特例の条件
所得税の申告は不要だが、住民税の申告が必要住民税・国保の算定に必要な所得情報が不足することがある自治体への申告と勤務先等からの報告の有無

会社員・個人事業主・年金受給者で、申告義務の判定は異なります。所得の金額の線は確定申告はいくらから必要か、申告の期限は確定申告はいつまでかにまとめています。

無申告加算税の割合表

自主的に出したかだけでなく、調査の事前通知と、調査による決定を予知した時点が分かれ目です。「税務署の人が来る前なら同じ割合」とは限りません。

次の無申告加算税は令和5年分以降の所得税について、単独の初回期限後申告で、不適用・重加算税への代替・履歴や帳簿による上乗せがない場合の基本割合です。率は納付すべき税額の各部分に適用します。なお、国税通則法66条3項の規定で計算基礎の税額を控除する場合は、この表の対象外です。

無申告加算税:申告時点と納付税額の各部分に対応する基本割合
申告の時点50万円以下の部分50万円超・300万円以下の部分300万円超の部分
事前通知前かつ決定を予知する前の自主申告5%5%5%
事前通知後・決定を予知する前の申告10%15%25%
決定を予知した後の申告、又は税務署の決定15%20%30%

主な例外:正当な理由がある場合や、下の不適用要件を満たす場合は課されません。反復無申告や帳簿の不提示・一定の記載不足には加重措置があるため、該当する場合はこの基本表だけで計算しません。適用条件は国税庁 No.2024「確定申告を忘れたとき」の加算税の項を参照してください。

無申告加算税の計算例です。令和5年分以降の単独の初回期限後申告で、無申告加算税の基礎となる納付税額を100万円と仮定し、不適用・重加算税・履歴や帳簿の上乗せはないものとします。本税・延滞税は下の加算税額に含めません。

同じ基礎税額でも申告時点で無申告加算税が変わる例
申告の時点無申告加算税の額
事前通知前かつ決定を予知する前の自主申告5万円
決定を予知した後の申告17万5,000円

計算する基礎は売上や所得の金額ではなく、納付すべき税額です。未申告の年が複数ある人は、年分ごとの納付税額と申告・調査の状況を整理します。

無申告加算税がかからない場合

期限内に出さなかったことに正当な理由があると認められる場合は、無申告加算税がかかりません。根拠は国税通則法66条のただし書です。

また、期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合にも、不適用の制度があります。単に「忘れていた」「すぐ出した」という事情だけで決まる制度ではありません。

次の条件を満たす期限後申告は、無申告加算税の不適用の対象です。下表の条件をすべて満たす必要があります。法定申告期限・法定納期限は、休日による延長などを反映した期限で確認します。

無申告加算税の不適用:申告・納付・履歴の条件
確認項目必要な条件
申告の時期法定申告期限から1か月以内に、調査による決定を予知する前に自主的に期限後申告する
納付納付すべき税金の全額を法定納期限までに納めている。口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書の提出日まで
過去の履歴提出日の前日から5年前までに、無申告加算税・重加算税を課されたことがなく、意思ありによる不適用も受けていない

申告が遅れたことへの不適用と、納付が遅れたことへの延滞税は別に確認します。税務署に相談するときは、提出した日だけでなく、納付した日や振替の手続状況が分かる記録も用意します。

延滞税は納付の遅れにかかる

通常の未申告・未納の所得税では、延滞税は法定納期限の翌日から完納日まで、未納の本税に対してかかります(主な例外は下の注)。無申告加算税などの加算税そのものには、延滞税はかかりません。

所得税の期限後申告によって納める本税は、申告書の提出日が納期限です。延滞税の率が切り替わる基準の「納期限」と、計算開始の基準の「法定納期限」を混同しないようにします。

下表は令和8年中の期間に適用する延滞税の年率です。期限後申告の場合、表の「納期限」は申告書の提出日を指します。計算期間の特例や免除がない、通常の未納の本税についての割合です。

延滞税:遅れている期間に対応する割合
対象となる期間令和8年中の年率
法定納期限の翌日から納期限まで、及び納期限の翌日から2か月を経過する日まで2.8%
納期限の翌日から2か月を経過した日以後9.1%

主な例外:修正申告・更正等には一定の期間を計算から除く特例があり、猶予等による免除が適用される場合もあります。特例の対象や除外条件は国税庁 No.9205「延滞税について」、免除は国税通則法63条を参照してください。

延滞税は、申告の対象年分の割合を最後まで使う計算ではありません。遅延期間が年をまたぐ場合は、それぞれの年に適用する割合で分けます。翌年以降の期間に、上表の割合をそのまま当てはめないでください。

隠蔽・仮装がある場合の重加算税

事実を隠蔽・仮装し、それに基づいて申告しなかった場合は、通常の無申告より重い扱いになることがあります。申告を忘れただけの人と、隠蔽・仮装した人は区別されます。

下表は、正当な理由等による不適用に当たらず、隠蔽・仮装に基づく所得税の無申告について、調査による決定等を予知する前の申告を除いた重加算税の基本的な扱いです。履歴による加重は含めません。

隠蔽・仮装に基づく無申告の重加算税
確認項目取扱い
基本割合隠蔽・仮装に係る基礎税額の40%
無申告加算税との関係無申告加算税に代えて課される
基礎税額隠蔽・仮装されていない事実に基づくことが明らかな税額は控除する

根拠は国税通則法68条です。同条には、過去の加算税の賦課歴等による加重も定められています。単に期限が過ぎたケースと、帳簿や取引を偽ったケースを分けて確認します。

税務署からお尋ねが届いたとき

「お尋ね」という表題だけで、調査の事前通知なのか行政指導なのかを決めず、連絡の内容を確認します。国税庁は、具体的な手続に入る前に、調査か行政指導かを担当者が明示するとしています(税務調査手続に関するFAQ・問2)。

確認するのは、対象年分・税目・連絡の目的・回答期限と担当窓口です。既に調査の通知を受けているか、税務署の決定が出ているかも分けて整理します。自主申告の軽減を使えるかは、連絡が届いたという事実だけでは判断できません。

所得税の申告義務があると認められる人が申告せず、決定による納付税額又は還付金相当額が生じる場合、税務署は調査で所得や税額等を決定します(国税通則法25条)。

何年分も未提出だったり、帳簿と入金記録が合わなかったりする場合は、資料と税務署からの連絡を揃え、税務署や税理士に確認します。

還付申告だけならどうなるか

申告義務がなく還付申告だけをする人は、出さなかったことによる無申告加算税の対象にはなりません。ただし、源泉徴収等で納め過ぎた所得税が戻る機会を失うことがあります。

還付申告は、その所得が生じた年の翌年1月1日から5年間提出できますが、期限内提出が要件の特例は、その申告期限までに出す必要があります。

例えば、年の途中で退職し、年末調整を受けずに源泉徴収税額が納め過ぎになっている人は、還付申告ができる場合があります。還付の元になる源泉徴収税額や予定納税額がなければ、申告しても戻る所得税はありません。

還付申告の提出期間と特例の注意点は国税庁 No.2030「還付申告」、入金の確認方法は確定申告の還付金はいつ振り込まれるかを参照してください。

住民税・国民健康保険料への影響

所得税の確定申告が不要でも、自治体への申告が必要な場合があります。「所得税の納付がない」と「自治体が所得を把握している」は別の話です。

住民税は、確定申告書や勤務先等からの報告書などを資料に計算されます。給与だけで勤務先から給与支払報告書が提出されている場合などは、別途の住民税申告が不要です。確定申告を出していないことだけで、住民税が未申告になっていると決めつけないようにします。

中野区の案内では、国保加入者や世帯主のうち申告が必要な人が前年の所得を申告していないと、保険料の軽減が適用されず、通知書に「所得情報不明」と記載されるとしています。

同区では、確定申告・住民税申告済みの人、給与のみ・公的年金のみで支払報告書が提出されている人などは、軽減のための別途申告は不要です。無収入の若年者や区内の人の被扶養者にも除外があるため、無収入でも申告が不要な人がいます。

手続の対象・所得の年分・既に届いている資料を、住んでいる市区町村の住民税担当と国保担当で確認します。前年に収入がなかった場合でも、所得を把握するための申告が必要になることがあります。

期限後申告の進め方

所得税の申告義務がある人は、税務署の決定処分前であれば期限後申告として提出できます。決定処分が出た後の対応は、通常の初回申告と分けて税務署に確認します。

対象年分・申告義務・連絡を確認年分に合う資料を集め、申告書を作成決定処分前は期限後申告・納付へ
初回の期限後申告の流れ。決定処分後は、処分内容を税務署に確認します。
未提出の所得税の申告を進める確認表
作業揃えるもの・確認すること
未提出の年分を特定する申告書の控え・送信結果、税務署からの連絡、年ごとの収入資料
その年分の資料を集める帳簿、源泉徴収票、売上・経費の記録、所得控除の証明書など
対応年分を確認して申告書を作る国税庁の作成コーナーが扱う年分と提出方法。決定処分前にe-Taxや印刷・郵送等で提出
申告と納付を確認する通常の所得税の期限後申告による本税の納期限は提出日。申告と納付の記録を両方残す

必要書類は確定申告の必要書類、記入する欄は確定申告書の書き方を参照してください。納付が難しい場合も、申告書の準備とは分けて所轄税務署に納付の相談をします。

所得税の計算機で本税の目安を確かめる

計算機の対応する年分・所得に限ります。加算税や延滞税を含む実際の納付額は、申告・納付の状況を確認して算定します。

気づいたときに確認すること

申告義務と未提出の年分を確かめ、調査の通知や決定処分の有無を整理します。還付だけの人は提出可能期間、所得税の申告が不要な人も住民税・国保の申告状況を確認します。

よくある質問

税務署から連絡がなければ、申告しなくてもよいですか?

いいえ。所得税の申告義務がある人は、連絡の有無にかかわらず申告が必要です。未提出に気づいたら対象年分と資料を確認し、期限後申告の準備を進めます。

納税するお金が足りないときは、申告も待ちますか?

申告書の準備と、納付の相談を並行して進めます。通常の所得税の期限後申告による本税は申告書の提出日が納期限になるため、納付が難しい事情は所轄税務署に相談してください。

医療費控除の還付申告をし忘れたら、無申告加算税がかかりますか?

所得税の申告義務がなく、医療費控除の還付申告だけをする人には、出さなかったことによる無申告加算税はかかりません。申告しなければ還付は受けられませんが、提出可能期間内なら申告できます。

所得税の申告が不要なら、国保のための申告も不要ですか?

不要とは限りません。国保の算定には前年の所得情報が使われるため、申告が必要な人は住民税等の申告をします。勤務先等の報告書や申告で既に所得が把握されている場合もあるので、自治体に確認してください。

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出典

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。

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