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雇用調整助成金とは|対象要件・助成率・計画届と支給申請の確認表

雇用調整助成金は、経済上の理由で事業活動が縮小した事業主が、一時的な休業・教育訓練・出向で雇用を維持したときに、休業手当や賃金の負担の一部を受けられる制度です。従業員へ支払う休業手当と、事業主へ支給される助成金は別のものです。

売上の減少だけで受給が決まるわけではなく、対象者、実施方法、記録、期限も確認します。この記事では、要件、労使協定と計画届、実施・支払、支給申請の順に整理します。

以下は通常制度の一般事業主を中心とする確認表です。旧コロナ特例や地域・災害別の特例は扱いません。実施時期に合う資料は厚生労働省の雇用調整助成金の案内で確認できます。

休業・教育訓練・出向の違い

助成対象の雇用調整には、休ませる方法、訓練を行う方法、別の事業主の下で働く方法があります。休業と教育訓練の協定書はまとめることができます。出向では、労使の出向協定と、出向先との契約を区別します。

方法経理・労務で確認する主な記録の例
休業休業協定、勤務予定、休業実績、休業手当の支払
教育訓練訓練協定、カリキュラム、講師、受講記録、賃金の支払
出向出向協定、本人同意、出向契約、出向元と出向先の賃金負担

病気で働けない期間、休職、有給休暇は、この制度の「休業」と同じではありません。通常制度の一般事業主で経済上の理由に該当しない例は、毎年繰り返す季節的な閑散、事故・災害による施設設備の被害や点検、法令・司法処分による事業制限とその自主的対応です。

対象事業主と労働者の確認表

一般事業主は、生産量要件と雇用量要件を併せて確認します。事業所の業績資料と人数資料は、同じ比較期間で揃えます。

通常制度の一般事業主は、支給対象期間・支給対象期の初日が属する月の前月か前々月までの最近3か月の月平均を前年同期と比較し、前年同期は雇用保険適用事業所の設置後に労働者を雇用している期間に限ります。雇用指標は、日雇労働被保険者を除く被保険者数と受入派遣労働者数の合計です。

確認項目要件照らす主な資料
生産量要件売上高・生産量などの月平均が10%以上減少月別の売上簿、生産高・出荷高の資料
雇用量要件・中小企業雇用指標の月平均が10%超かつ4人以上増加していない雇用保険被保険者数と受入派遣労働者数の記録
雇用量要件・大企業雇用指標の月平均が5%超かつ6人以上増加していない同上。どちらか片方ではなく、両方を合算
雇用保険の適用支給申請日と支給決定日に被保険者のいる適用事業主適用事業所・被保険者の記録

通常制度の一般事業主の雇用量は、増加率と増加人数の両方に該当する増加があると要件を満たしません。指定地域の事業主や大型倒産等の関連事業主などには別の区分があります。

中小企業かどうかは企業単位で確認する

通常制度の企業規模は対象期間初日の状況で判定し、期間途中で変更しません。次の業種別基準は、資本金・出資額または常時雇用する労働者数のどちらかを満たせば中小企業です。中小企業に該当しない企業を大企業とします。

主たる事業資本金・出資額常時雇用する労働者数
小売業・飲食店5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他の業種3億円以下300人以下

被保険者でも対象外になる人がいる

通常制度の対象労働者は、休業等の判定基礎期間初日の前日、出向は開始日の前日まで、同一事業主に引き続き被保険者として6か月以上雇用されていることなどが必要です。

主な対象外は、解雇予告・退職申出・退職勧奨応諾者(離職翌日に安定した職業に就くことが明らかな人を除く)、日雇労働被保険者、特例高年齢被保険者、併給調整の対象者などです。

国内で就労できない人にも除外の規定があります。対象者の全条件は支給要領の対象労働者の項で確認できます。

実施方法で変わる主な要件

労使の事前協定に沿って実施することが必要です。労働者の過半数で組織する組合があればその組合、なければ管理監督者でなく、代表を選ぶと明示した投票・挙手等で選ばれ、使用者の意向によらない過半数代表者と書面で協定します。代表を確認する組合員名簿や選任書は、協定締結前に作成されたものを用います。

次は通常制度の一般事業主の休業・教育訓練の主な条件です。所定労働日の所定労働時間内に実施し、協定・勤務実績・支払額を照合します。短時間分は、ガイドブックの短時間休業・訓練の方法に従って、時間数の集計・端数処理・日数換算を行います。規模要件は雇用保険の適用事業所単位で示し、非該当施設を単位とする例外は、ガイドブックの支給単位で確認できます。表の条件を満たすだけで支給が決まるものではありません。

項目確認する条件
短時間休業雇用安定に必要なものとして協定により個人ごと・日ごとに1時間以上。一部でも可能だが、協定によらない遅刻・早退の置換は対象外
休業手当平均賃金の6割以上で、労基法の休業手当規定に違反しないこと。最低賃金の対象となる基礎賃金も最低賃金以上
教育訓練個人ごと・日ごとに2時間以上。通常の生産活動と区別し、科目の知識・技能等を有する講師の下で、職業上の知識・技能等の習得・向上を図る
休業等の規模・中小企業判定基礎期間の対象労働者の所定労働延日数に対し、休業・教育訓練の延日数が1/20以上
休業等の規模・大企業判定基礎期間の対象労働者の所定労働延日数に対し、休業・教育訓練の延日数が1/15以上

通常制度の国内事業所で休業としている日に本人が自主出勤した場合、その日は時間の長短にかかわらず支給対象外です。訓練中に別の業務を行うこともできません。訓練の主な対象外は、通常の生産活動と区別できない研修、講師不在の自習、再就職準備、同じ人への過去と同じ訓練、海外実施、技能実習生向けの訓練などです。法令で受講が義務づけられる講習も対象外ですが、資格取得・更新のための法定講習等はその除外から外れます。

教育訓練を受けた日に、別の時間帯で業務を行うことは可能です。訓練と業務の時間を区別した記録が必要です。

出向は、対象期間内に実施し、契約上の期間が3か月以上1年以内で、終了後に出向元へ復帰することが必要です。出向協定・本人同意・出向先との契約に加え、出向元が賃金の一部を負担することが必要で、全部を負担する場合は対象になりません。

出向先は雇用保険の適用事業所に限られ、資本・経済・組織上の関連性、雇用調整目的、出向先での離職、再出向の間隔、出向前に相当する賃金と最低賃金なども確認します。出向の助成額は休業等と別計算のため、支給要領の出向の支給要件と出向の支給額を参照してください。

助成率・訓練加算と上限額

休業等の助成率は、同じ対象期間の途中で変わる場合があります。会社規模のほか、今回の対象期間の累計支給日数と、当該判定基礎期間の訓練実施率を確認します。

通常制度の一般事業主の休業・教育訓練は、今回の対象期間の累計支給日数が30日に達した判定基礎期間の次から、訓練実施率で区分します。訓練加算は対象となる教育訓練の日数に対する額で、休業のみには加算されません。

判定基礎期間の区分中小企業の助成率大企業の助成率教育訓練の加算・対象者の日額
累計支給日数が30日に達した期間まで2/31/21,200円
その次の期間以降・訓練実施率10%未満1/21/41,200円
その次の期間以降・訓練実施率10%以上20%未満2/31/21,200円
その次の期間以降・訓練実施率20%以上2/31/21,800円

訓練実施率は、分子・分母とも相殺等の控除前の日数を用い、訓練日数÷休業・教育訓練の延日数で計算して、小数点第3位以下を切り捨てます。短時間訓練は日数換算します。支給日数は、単にカレンダー上の休業日を数えたものではありません。

令和8年8月1日時点の通常制度では、休業・教育訓練の賃金等の助成部分は、対象労働者1人1日当たり9,110円が上限です(教育訓練の加算は上限外)。

支給申請期限までに支払った対象の休業手当・賃金について、賃上げ部分の算入範囲、日額上限、残業相殺、所定労働日数の増加、支給日数の残枠を確認して助成額を計算します。

具体的な算定方法は、支給要領の休業等の支給額で確認できます。支払額に助成率を掛けただけの額を入金予定にしないことが大切です。

残業相殺で見るのは対象者の所定外労働等

残業相殺は、休業等を行った対象労働者が、同じ判定基礎期間に行った所定外労働や所定休日の労働を日数に換算し、助成対象の休業等延日数から差し引く調整です。会社全体の残業時間をそのまま差し引く計算ではありません。

勤務実績では「休業」「訓練」「所定内の勤務」「所定外労働等」を分けます。給与の時間外手当の額だけでなく、所定外労働等の時間数を追えることが必要です。

対象期間・支給日数・再受給の間隔

次は通常制度の一般事業主の期間と休業・教育訓練の支給日数です。過去分は通常制度で算定した支給日数を指し、特例による受給歴の扱いは別途確認します。一般事業主が初回の事前届で指定する対象期間の初日は、その届出の提出日の翌日以降である必要があります。

確認する枠内容
対象期間初回の事前届で指定した雇用調整の初日から1年間(休業等と出向を併用する場合は同一期間)
休業・教育訓練の支給日数各事業所で、対象期間内100日分が上限。受給歴があれば、今回の対象期間初日から過去3年以内に開始した対象期間の支給日数を150日分から引いた残りとの少ない方

通常制度の一般事業主の支給日数は、判定基礎期間の助成対象の休業等延日数を、その期間に含まれる暦月末の対象労働者数で割り、小数点第2位以下を切り捨てて求めます。延日数と支給日数を混ぜると、残枠を誤ります。

通常制度の一般事業主が対象期間を再設定するには、直前の一般事業主としての対象期間で受給した最後の判定基礎期間末日・出向支給対象期末日の遅い方の翌日から、1年超の間隔が必要です。

計画だけを出して申請しなかった期間や、残業相殺等により支給決定額がゼロの期間は、受給した最後の期間には数えません。単に前回の対象期間の満了日から数える仕組みではありません。

計画届から支給申請までの順番

計画届と支給申請は別の手続きです。計画届は実施前に提出しますが、天災等やむを得ない理由と行政機関の休日には期限の例外があります。支給申請は実施と支払の後に行い、所在地を管轄する労働局またはハローワークで手続きを確認します。

雇用調整助成金の手続きの流れ要件・対象者を確認 → 労使協定 → 計画届協定に沿って実施 → 実績を記録 → 手当・賃金を支払う労使で実施状況を確認 → 支給申請 → 審査・支給決定
通常制度の基本の流れ。計画届は、天災等やむを得ない理由や行政機関の休日により期限の扱いが変わります。

次の表は通常制度の計画届の提出期限です。行政機関の休日は土日・祝日・年末年始の閉庁日を指します。郵送も締切日必着です。

計画届の種類提出期限
休業・教育訓練助成対象の休業等の初日の前日まで。前日が行政機関の休日なら翌開庁日
出向各支給対象期の初日の前日まで。前日が行政機関の休日なら翌開庁日

通常制度の計画届は、天災等やむを得ない理由で期限までに提出できない場合、理由がやんだ後1か月が経過する日まで提出でき、締切日が行政機関の休日なら翌開庁日です。

判定基礎期間は、休業等の実績を判定するための区切りです。賃金締切日が複数ある場合などは、支給要領の判定基礎期間の項で採用する区切りを確認します。通常制度の休業等の支給対象期間は、単独の判定基礎期間または連続する二つ・三つの判定基礎期間から選びます。

次は通常制度の支給申請期限です。休業等は、特殊な判定基礎期間を設定せず、賃金支払日が極端に遅い場合の救済を使わないケースを示します。申請に係る休業手当・賃金の支払日以降に提出し、期限末日が行政機関の休日なら翌開庁日、郵送も締切日必着です。主な例外は表の下にまとめています。

申請の種類期限を数える単位申請期限
休業・教育訓練支給対象期間支給対象期間の末日の翌日から2か月以内
出向最初の出向先の開始日から6か月ごと。途中満了はその日まで(6か月超7か月以下なら両期合算可)支給対象期の末日の翌日から2か月以内

休業等を分割申請する場合は、支給要領の支給申請の項で、新しい支給対象期間の区切りと期限を併せて確認します。

主な例外として、対象期間の末日が判定基礎期間の途中にある場合に、前の期間と通算する特殊な区切りを設定すると、申請期限の起算日の扱いが変わります。賃金支払日が極端に遅い場合の救済もあり、具体的な適用は支給要領の支給申請の項で確認します。

計画と申請で揃える主な書類

書類は、予定を示すものと、実施・支払を証明するものに分けると照合しやすくなります。必要書類の一覧は提出書類チェックリスト、提出時期・省略可否はガイドブックの各書類の説明で確認できます。

段階休業・教育訓練の主な書類出向で追加・変更する主な書類
計画届実施計画届、事業活動・雇用指標の申出書、協定書、事業所の状況が分かる書類出向実施計画届、出向協定書、出向契約に関する書類
支給申請支給申請書、助成額算定書、実績一覧・所定外労働等の申出書、出勤簿、賃金台帳等出向先別の調書、賃金補填・負担の調書、出向先から取り寄せる実績・賃金資料
教育訓練の確認計画一覧、カリキュラム、受講者本人のアンケート・レポート等。外部実施者による訓練は支給申請合意書も確認出向の受給手続きとは別に確認

表は主な書類です。初回・変更時・毎回の提出、電子申請での省略、教育訓練の有無などで必要書類が異なります。出勤簿だけでは教育訓練を受講した証明になりません。

架空の製造業A社なら、資料をこの順で揃える

A社で受注減に伴う休業を計画したとします。売上の集計だけで申請額を決めず、次のように元資料をつなぎます。

  1. 上の事業主要件の表で確認した比較期間に合わせ、売上簿と被保険者・受入派遣の人数資料を揃える。
  2. 対象者名簿と勤務カレンダーを作り、労使協定の内容と実施計画を一致させる。
  3. 振込払いの場合は、実施後の出勤簿で休業と所定外労働等を分け、協定どおりに計算した休業手当と賃金台帳・振込記録を照合する。
  4. 対象期間の支給日数・残枠・訓練率の区分を確認し、申請書と実績資料の数字を揃える。

たとえば「計画では休業、出勤簿では勤務」なら、申請前に実態を確認する必要があります。協定どおりの手当を払っていない場合も、未払のまま申請書だけ整えることはできません。

営業日計算ツールで、書類準備の社内日程を確認する

営業日ツールは社内日程の確認用です。助成金の法定の申請期限・受給可否を判定するものではありません。

不支給要件と会計処理の確認先

売上や休業規模の条件を満たしても、不支給要件に該当すれば助成されません。主な確認項目は、申請日または支給決定日時点の不正受給による不支給措置、申請年度の前年度より前の保険年度の労働保険料滞納、虚偽記載、調査への非協力などです。

判定期間や経過措置を含む不支給要件は、ガイドブックの不支給要件で確認できます。

助成金の受給手続きと、受け取った後の税務・会計処理は分けて確認します。消費税の扱いは補助金・助成金と消費税、給与の集計との関係は賃上げ促進税制、製造原価の扱いは原価計算で説明しています。

よくある質問

売上が減っていれば申請できますか?

売上の減少だけでは決まりません。通常制度の一般事業主では、生産量・雇用量の要件に加え、対象者、労使協定、休業等の実施方法、不支給要件、計画届と支給申請の期限を確認します。

計画届を出せば支給が決まりますか?

決まりません。計画届の後、協定に沿う実施と手当・賃金の支払を行い、実績に基づく支給申請と審査が必要です。

教育訓練を受けた日は仕事をしてはいけませんか?

通常制度では、訓練と区別した時間帯に業務を行うことは可能です。訓練中に別の業務を行うことはできず、通常の生産活動と区別できないものも訓練の助成対象にはなりません。

従業員が直接受け取る制度ですか?

雇用調整助成金は事業主に対する助成です。事業主が従業員へ支払う休業手当とは受取人も手続きも異なります。

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出典

通常制度の支給要件と手続きは、厚生労働省の支給要領とガイドブックで確認しています。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の受給判断や申請については、管轄の労働局・ハローワークまたは社会保険労務士にご確認ください。

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