労働組合とは — 会社側の実務で押さえる団体交渉・労働協約・チェックオフと、「過半数代表者」との違い
結論から言うと、労働組合は労働組合法2条が定義する団体で、労働者が主体となって自主的に、労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体(またはその連合団体)のうち、同条但書1〜4号(使用者の利益代表者の参加を許すもの、使用者の経理上の援助を受けるもの〈協議・交渉の時間や賃金、福利基金への寄附、最小限の広さの事務所の供与についての同号の但書は下の表〉など)に当たらないものです。厚生労働省は、労働者が複数人集まれば自由に結成でき、行政機関の認可や届出も必要ないと説明しています。会社側に生じる義務の中心は、労働組合法7条が4つの号で禁じる行為(不当労働行為)で、その2号が使用者が雇用する労働者の代表者との団体交渉を、正当な理由なく拒むことです。
経理・人事の実務でいちばん混ざるのは、労働組合と、過半数で組織する労働組合がない事業場で労使協定の相手方になる「労働者の過半数を代表する者」(過半数代表者)です。労働基準法24条1項ただし書(賃金控除の協定)や90条1項(就業規則の意見聴取)が相手として挙げるのは、その事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があればその労働組合、なければ過半数代表者です。過半数に届かない労働組合は、社内でつくられた組合でも社外の合同労組でも、これらの協定・意見聴取の相手にはなりません。一方で、労働組合法2条の労働組合に当たる組合であれば、労働協約の当事者になること(同法14条)や、自社が雇用する労働者が加入している場合に団体交渉の相手になること(同法7条2号)に、過半数で組織しているかどうかの要件はありません。
この記事では、労働組合法の定義、過半数代表者との違い、労働組合法7条の不当労働行為、団体交渉と労働協約(14〜18条)、組合費を給与から差し引くチェックオフと賃金控除協定の関係を、条文と判例の原文で整理します。個別の団体交渉の拒否に正当な理由があるか、ある組合が労働組合法上の労働組合に当たるかといった個別事案の判断はしません。
労働組合の定義 — 労働組合法2条と、組合に当たらない場合(2条但書)
労働組合法2条の本文は、次のとおりです。
この法律で「労働組合」とは、労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう。
ここでいう「労働者」は同法3条が、職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者と定めています。2条には但書があり、次の各号の一に該当する団体は、本文の要件を満たしていても労働組合法上の労働組合に当たりません。
| 労働組合法2条但書 | 労働組合に当たらない団体 | 2号の中の但書(妨げない・除くとされているもの) |
|---|---|---|
| 1号 | 役員、雇入・解雇・昇進・異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある労働者、使用者の労働関係の計画と方針についての機密の事項に接し、そのために職務上の義務と責任が組合員としての誠意と責任に直接抵触する監督的地位にある労働者その他使用者の利益を代表する者の参加を許すもの | — |
| 2号 | 団体の運営のための経費の支出について、使用者の経理上の援助を受けるもの(右の欄の、同号の中の但書に当たるものを除く) | 労働時間中に時間や賃金を失うことなく使用者と協議・交渉することを使用者が許すことは妨げない。厚生資金や経済上の不幸・災厄の防止・救済の支出に実際に用いられる福利その他の基金への使用者の寄附と、最小限の広さの事務所の供与は除く |
| 3号 | 共済事業その他福利事業のみを目的とするもの | — |
| 4号 | 主として政治運動または社会運動を目的とするもの | — |
結成の手続について、厚生労働省の「労働組合」のページは次のように説明しています。
労働組合は、労働者が複数人集えば自由に結成することが可能です。行政機関の認可や届出なども必要ありません。
ただし、労働組合法に規定する手続に参与し、同法の救済を受けるには、同法5条1項により、労働組合が労働委員会に証拠を提出して、2条と5条2項(規約に含めなければならない事項)に適合することを立証しなければなりませんが、同項但書により、この規定は7条1号に基づく個々の労働者に対する保護を否定する趣旨に解釈されるべきではないとされています。この立証の手続を、一般に資格審査と呼びます。
「労働組合」と「過半数代表者」は別物
労働基準法には、使用者が労働者側と書面で協定を結ぶことで初めて使える規定(24条1項ただし書の、法令に別段の定めがない賃金控除など)や、労働者側の意見を聴かなければならない規定(90条1項の就業規則の作成・変更)があります。その相手方の書き方は、賃金控除の24条1項ただし書でも、就業規則の90条1項でも同じ組み立てです。24条1項ただし書の該当部分を引きます。
また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
つまり相手方は、事業場ごとに、①労働者の過半数で組織する労働組合があればその労働組合、②なければ労働者の過半数を代表する者、の順に決まります。過半数に届かない労働組合(いわゆる少数組合)は、社内でつくられた組合でも、社内の労働者が個人で加入した社外の合同労組でも、この協定・意見聴取の相手方になりません。反対に、社外の合同労組でも、その事業場の労働者の過半数で組織していれば、過半数で組織する労働組合として相手方になります。
過半数代表者の要件は、労働基準法施行規則6条の2第1項が定めています。①労働基準法41条2号の監督または管理の地位にある者でないこと、②協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であって、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと、の両方です(例外は次に書く同条2項)。同条2項により、①を満たす者がいない事業場(監督または管理の地位にある者しかいない事業場)では、24条1項ただし書・90条1項など同項が挙げる一部の規定については②だけで足ります。同条3項は、過半数代表者であることや正当な行為をしたことなどを理由とする不利益な取扱いをしないようにしなければならないと定めています。
3つを並べると、次のように役割が分かれます。
| 項目 | 過半数で組織する労働組合 | 過半数に届かない労働組合(社内・社外を問わない) | 過半数代表者 |
|---|---|---|---|
| 労基法24条1項ただし書の賃金控除協定・90条1項の就業規則の意見聴取の相手方 | なる | ならない | 過半数で組織する労働組合がない事業場でなる |
| 労働協約(労組法14条)の当事者 | 労組法2条の労働組合に当たればなる | 労組法2条の労働組合に当たればなる | ならない(労働組合ではないため) |
| 不利益な取扱いについての規定 | 労組法7条1号 | 労組法7条1号 | 労基則6条の2第3項 |
過半数で組織する労働組合があればその労働組合、なければ過半数代表者、という同じ組み立ては、労働基準法の他の条文や、ほかの法律にも出てきます。就業規則の意見聴取の進め方は就業規則の記事、賃金控除協定の書き方は給与から控除できるものの記事、時間外労働の36協定は36協定の記事、安全衛生委員会の委員の推薦は安全衛生委員会の記事、派遣可能期間の延長の意見聴取と異議が出たときの説明義務は派遣の3年ルールの記事で、それぞれ条文を引いて扱っています。
会社がしてはならない行為 — 労働組合法7条の不当労働行為
労働組合法7条は、使用者に次の各号の行為を禁じています。厚生労働省は、これを「不当労働行為」として説明しています。
| 労働組合法7条 | 禁じられる行為 | 同じ号の但書 |
|---|---|---|
| 1号 | 組合員であること、組合に加入し、または組合を結成しようとしたこと、正当な組合活動をしたことを理由とする解雇その他の不利益な取扱い。組合に加入しないことや脱退することを雇用条件とすること | 労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合に、その組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することは妨げない |
| 2号 | 使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを、正当な理由がなくて拒むこと | — |
| 3号 | 労働組合の結成・運営への支配や介入。労働組合の運営のための経費の支払について経理上の援助を与えること | 労働時間中に時間や賃金を失うことなく協議・交渉することを許すことは妨げない。厚生資金や経済上の不幸・災厄の防止・救済の支出に実際に用いられる福利その他の基金への寄附と、最小限の広さの事務所の供与は除く |
| 4号 | 労働委員会への申立て、中央労働委員会への再審査の申立て、労働委員会の調査・審問・和解の勧め・労働争議の調整の場面での証拠の提示・発言を理由とする解雇その他の不利益な取扱い | — |
経理の担当者が関わりやすいのは3号の経理上の援助です。労働組合の運営のための経費の支払について経理上の援助を与えることは3号で禁じられ、経費の支出について使用者の経理上の援助を受ける団体は、2条但書2号により労働組合法上の労働組合に当たりません(次に挙げる、同号の但書に当たるものを除く)。3号と2条但書2号は、労働時間中に時間や賃金を失うことなく協議・交渉することを許すことは妨げないとし、厚生資金や経済上の不幸・災厄の防止・救済の支出に実際に用いられる福利その他の基金への寄附と、最小限の広さの事務所の供与を除いています。ある支出がこれらに入るか、経理上の援助に当たるかは、条文に金額や面積の基準が無く、事案ごとに判断されます。
不当労働行為を受けたときは、労働組合または労働者が労働委員会に救済を申し立てることができると厚生労働省は説明しています。労働組合法27条2項により、労働委員会は、申立てが行為の日(継続する行為はその終了した日)から1年を経過した事件に係るものであるときは、これを受けることができません。
団体交渉を申し込まれたとき
団体交渉の拒否を禁じる7条2号の原文は次のとおりです。
使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。
この号の文言は、交渉の相手を「使用者が雇用する労働者の代表者」としており、社内でつくられた労働組合か、社外の合同労組(いわゆるユニオン)かで区別していません。交渉の権限について、同法6条は、労働組合の代表者または労働組合の委任を受けた者が、労働組合または組合員のために使用者またはその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を持つと定めています。何が「正当な理由」に当たるかは条文に列挙が無く、個別の事情によって判断されます。この記事では、特定の拒否に正当な理由があるかどうかの判断はしません。
申入れを受けた段階で、社内で確かめておくと話が早い事項を挙げます。
- 申入書の受領日、申し入れた組合の名称と代表者、交渉を求める事項、希望する日時・場所
- 申し入れた組合に、自社が雇用する労働者が加入しているか(7条2号の文言は「使用者が雇用する労働者の代表者」)
- 交渉事項に関係する就業規則・労働協約・労使協定・賃金台帳などの資料がどこにあるか
- 社内の窓口を誰にするか、社会保険労務士や弁護士に相談するか
労働協約 — 書面・有効期間・規範的効力・拡張適用
労働協約は、労働組合と使用者(またはその団体)の間の労働条件その他に関する約束で、効力が生じる形式が労働組合法14条で決まっています。
労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は、書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することによつてその効力を生ずる。
口頭の合意や、片方の当事者だけが署名・記名押印した書面は、この14条の形式を満たしません。有効期間について、同法15条は次のように定めています。
- 労働協約で定められる有効期間は3年まで。3年を超える有効期間を定めた労働協約は、3年の有効期間を定めたものとみなされる(15条1項・2項)
- 有効期間の定めがない労働協約と、一定の期間を定め期間の経過後も期限を定めずに効力を存続させる旨の定めがある労働協約のその期間の経過後は、当事者の一方が署名または記名押印した文書で相手方に予告して解約できる(15条3項)
- 15条3項の解約の予告は、解約しようとする日の少なくとも90日前にしなければならない(15条4項)
労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は無効になり、無効になった部分と労働契約に定めがない部分は、その基準によります(16条)。対象は、その労働協約の適用を受ける労働者の労働契約です。
労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は、無効とする。この場合において無効となつた部分は、基準の定めるところによる。労働契約に定がない部分についても、同様とする。
労働協約が組合員以外に広がる場面が2つあります。17条(一般的拘束力)は、一の工場事業場に常時使用される同種の労働者の4分の3以上の数の労働者が一の労働協約の適用を受けるに至ったときは、その工場事業場に使用される他の同種の労働者にもその労働協約が適用されると定めています。18条(地域的の一般的拘束力)は、一の地域で従業する同種の労働者の大部分が一の労働協約の適用を受けるに至ったときに、当事者の双方または一方の申立てに基づき、労働委員会の決議により、厚生労働大臣または都道府県知事がその地域の他の同種の労働者とその使用者にも適用を受けるべきことを決定できるとしています。
就業規則との関係では、労働基準法92条1項が「就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。」と定め、労働契約法13条は、就業規則が労働協約に反する場合、反する部分について同法7条・10条・12条の規定を、その労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約には適用しないとしています。3つの書面の違いをまとめます。
| 項目 | 労働協約 | 労使協定(例: 労基法24条1項ただし書の賃金控除協定) | 就業規則 |
|---|---|---|---|
| 作る者・当事者 | 労働組合と使用者またはその団体(労組法14条) | 使用者と、過半数で組織する労働組合(ない事業場は過半数代表者) | 使用者が作成・変更し、その際に過半数で組織する労働組合(ない事業場は過半数代表者)の意見を聴く(労基法90条1項) |
| 形式 | 書面に作成し、両当事者が署名または記名押印(労組法14条) | 書面による協定(労基法24条1項ただし書) | 届け出るときに意見を記した書面を添付(労基法90条2項) |
| 主な効力 | 協約の適用を受ける労働者の労働契約のうち、待遇に関する基準に違反する部分を無効にし、基準で補う(労組法16条) | 24条1項本文の全額払の例外として、賃金の一部控除を可能にする | 法令・適用される労働協約に反してはならない(労基法92条1項) |
組合費の天引き(チェックオフ)と賃金控除協定
組合費を給与から差し引いて会社が労働組合に渡すことを、一般にチェックオフと呼びます。給与から差し引く以上、労働基準法24条1項の全額払の原則にかかわります。最高裁判所第二小法廷の平成元年12月11日判決(昭和63年(行ツ)第157号)は、裁判要旨で次のように述べています。
いわゆるチェック・オフは、労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)二四条一項但書の要件を具備しない限り、これをすることができない。
この判決が対象にしたのは昭和62年法律第99号による改正前の24条1項ですが、上に引いた現行の24条1項ただし書も、賃金の一部を控除して支払うことができる場合を、法令に別段の定めがある場合か、過半数で組織する労働組合(ない事業場は過半数代表者)との書面による協定がある場合としています。組合費は所得税や社会保険料のような法令に基づく控除ではないため、給与計算でチェックオフをするときは、この書面による協定の有無を確かめることになります。協定の相手方は24条1項ただし書が定めるとおり、過半数で組織する労働組合(ない事業場は過半数代表者)で、チェックオフを求めている労働組合が過半数に届かない場合でも、条文が挙げる協定の相手方は変わりません。
賃金控除協定に書く項目や、組合費以外に協定で控除されることが多い社宅費・親睦会費などは、給与から控除できるものの記事で扱っています。
手取り計算ツールで、社会保険料と税を引いた後の手取りを確かめる(組合費などの協定による控除は含まない)- 労働組合は労働組合法2条の団体で、2条但書1〜4号(使用者の利益代表者の参加、使用者の経理上の援助、福利事業のみ、主として政治・社会運動)に当たる団体は同法の労働組合に当たらない(2号には、協議・交渉の時間や賃金、厚生資金等に実際に用いられる福利基金への寄附、最小限の広さの事務所の供与についての但書がある)
- 労基法24条1項ただし書の賃金控除協定や90条1項の就業規則の意見聴取の相手方は、事業場ごとに、過半数で組織する労働組合、なければ労基則6条の2の要件を満たす過半数代表者
- 過半数に届かない労働組合も、社内・社外を問わず、労組法2条の労働組合に当たれば労働協約の当事者になり、自社が雇用する労働者が加入していれば7条2号の団体交渉の相手になる
- 労働協約は書面に両当事者が署名か記名押印して効力を生じ(14条)、定められる有効期間は3年まで(15条1項)
- チェックオフについて、最高裁平成元年12月11日判決の裁判要旨は、昭和62年改正前の労基法24条1項但書の要件を具備しない限りすることができないとしている。現行の24条1項ただし書も、法令に別段の定めがある場合を除き、控除に書面による協定を求めている
よくある質問
従業員が個人で社外のユニオンに加入し、団体交渉を申し込んできました。社内に労働組合が無くても対応が要りますか?
労働組合法7条2号が禁じるのは「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと」で、条文は社内でつくられた組合か社外の合同労組かを区別していません。社内に労働組合が無いことは、この号の文言上の要件ではありません。ただし、申し入れた団体が労働組合法上の労働組合に当たるか、拒否に正当な理由があるかは個別の事情で判断されるため、具体的な対応は社会保険労務士や弁護士に相談してください。
事業場に労働者の過半数で組織する労働組合が無いとき、賃金控除の協定は誰と結びますか?
労働基準法24条1項ただし書は、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者との書面による協定を求めています。過半数代表者は、労働基準法施行規則6条の2第1項により、労働基準法41条2号の監督または管理の地位にある者でなく、協定をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法で選出され、使用者の意向に基づき選出されたものでない者でなければなりません。同条2項により、監督または管理の地位にある者しかいない事業場では、24条1項ただし書などの一部の規定について後者の要件だけで足ります。
労働協約と労使協定は何が違いますか?
労働協約は労働組合法14条により、労働組合と使用者またはその団体が書面に作成し、両当事者が署名または記名押印して効力を生じる約束で、待遇に関する基準に違反する労働契約の部分を無効にして基準で置き換える効力を持ちます(同法16条)。労使協定は、労働基準法24条1項ただし書の賃金控除協定のように、過半数で組織する労働組合(ない事業場は過半数代表者)と結ぶ書面の協定で、労働基準法の規定の例外を使えるようにするものです。
労働協約に有効期間の上限はありますか?
あります。労働組合法15条1項により、労働協約に3年を超える有効期間の定めをすることはできず、同条2項により3年を超える有効期間を定めた労働協約は3年の有効期間を定めたものとみなされます。有効期間の定めがない労働協約(期間の経過後も期限を定めずに効力を存続させる旨の定めがある労働協約のその期間の経過後を含む)は、同条3項により署名または記名押印した文書で予告して解約でき、同条4項によりその予告は解約しようとする日の少なくとも90日前にしなければなりません。
労働組合に会社の一室を事務所として無償で貸すのは、経理上の援助に当たりますか?
労働組合法7条3号(経理上の援助の禁止)と2条但書2号(経理上の援助を受ける団体を労働組合から外す規定)は、どちらも「最小限の広さの事務所の供与」を除いています。条文には「最小限の広さ」の面積の基準が無いため、ある貸与がこの除外に入るかは個別の事情で判断されます。事務所以外の費用(光熱費、備品、組合の運営経費など)を会社が負担する場合は、条文が経理上の援助から外している3つ(労働時間中に時間や賃金を失うことなく協議・交渉することを許すこと、厚生資金や経済上の不幸・災厄の防止・救済の支出に実際に用いられる福利その他の基金への寄附、最小限の広さの事務所の供与)のどれかに当たるかを確かめる必要があります。
出典
e-Gov法令検索の条文、厚生労働省のページ、裁判所の裁判例の原文を読んで確認。
- e-Gov法令検索「労働組合法」(昭和二十四年法律第百七十四号)第2条(労働組合の定義と但書1〜4号)・第3条(労働者)・第5条(資格審査と規約)・第6条(交渉権限)・第7条(不当労働行為)・第14条〜第18条(労働協約)・第27条第2項(申立ての期間)。
law_data/324AC0000000174から取得 - e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和二十二年法律第四十九号)第24条第1項(賃金の支払と控除の協定)・第90条(就業規則の作成の手続)・第92条(法令及び労働協約との関係)。
law_data/322AC0000000049から取得 - e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」(昭和二十二年厚生省令第二十三号)第6条の2(過半数代表者の要件)。
law_data/322M40000100023から取得 - e-Gov法令検索「労働契約法」(平成十九年法律第百二十八号)第13条(法令及び労働協約と就業規則との関係)。
law_data/419AC0000000128から取得 - 厚生労働省「労働組合」(
mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudouseisaku/roudoukumiai/index.html)。結成に認可・届出が要らないこと、不当労働行為の説明、労働委員会への救済申立て - 裁判所「裁判例結果詳細」最高裁判所第二小法廷 平成元年12月11日判決 昭和63(行ツ)157 不当労働行為救済命令取消(民集第43巻12号1786頁)の判示事項・裁判要旨(
courts.go.jp/hanrei/52765/detail2/index.html) - 本記事で扱っていない事項。労働組合の組合数・組織率などの統計、ストライキなど争議行為の正当性、個別の団体交渉の拒否や支配介入が不当労働行為に当たるかの判断、ユニオン・ショップ協定の効力の範囲は、条文だけでは結論が出ず判例や個別の事情によるため記載していません
この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案に対する助言ではありません。ある団体が労働組合法上の労働組合に当たるか、団体交渉の拒否に正当な理由があるか、ある支出が経理上の援助に当たるかは、事案ごとに判断されます。具体的な対応は、社会保険労務士・弁護士にご相談ください。