サバティカル休暇とは|申請から復帰までの確認表
サバティカル休暇は、会社が任意に設ける長期休暇です。取得できる人・期間・有給か無給かは、自社の就業規則や休暇規程で確認します。
人事・経理が先にそろえるのは、承認された休暇期間、給与の支給条件、本人負担の支払い方法、復帰の手続きです。この記事では、制度を設計する担当者と、申請を受けた給与担当者が使える確認表を示します。
制度の位置づけと最初の確認表
サバティカル休暇は、学び直しや活動、休養などのために仕事を離れる長期休暇を指します。内閣府のサバティカル休暇の解説も、法定休暇・休業以外の特別休暇として取り上げています。
会社が任意に設ける特別休暇なので、名称から日数や給与を決めず、規程の中身を確認します。次の表は、申請を受けたときの確認メモとして使ってください。
| 確認すること | 読む・残すもの |
|---|---|
| 対象者と目的 | 勤続条件、対象となる活動、本人の申請内容 |
| 取得できる期間 | 連続取得・分割の可否、開始日・終了日、延長の手続き |
| 給与と手当 | 休暇規程と賃金規程、支給する項目と計算方法 |
| 本人負担 | 保険料などの本人負担額、支払方法、担当窓口 |
| 復帰の手順 | 復帰予定日、面談や届出、期間変更の連絡先 |
年次有給休暇・リフレッシュ休暇との違い
法定の年次有給休暇とは、管理を分けます。会社独自の長期休暇を取ることと、年休を取得することは同じではありません。年休をつなげる申請なら、年休の日と特別休暇の日を勤怠記録で分けてください。
リフレッシュ休暇も会社独自の制度です。サバティカル休暇との名称だけによる境界は設けず、自社規程の目的・期間・対象者を読み比べます。法定年休との詳しい比較や特別休暇の説明は、リフレッシュ休暇の解説にまとめています。
就業規則に定める内容と導入手続き
任意の長期休暇は、対象者から復帰までを規程に具体化します。厚生労働省「モデル就業規則」は、任意に設ける特別休暇や休暇中の賃金の定め方を示しています。以下は自社の規程を検討するための整理表で、法定の様式ではありません。
| 規程の項目 | 具体化する内容 |
|---|---|
| 対象と利用目的 | 勤続条件、申請できる活動、対象となる従業員の範囲 |
| 期間と取得単位 | 期間の上限、分割の可否、休日を含めるか、再取得の条件 |
| 申請と承認 | 提出先、申請期限、確認資料、判断者、変更・取消の方法 |
| 賃金・費用 | 有給無給、手当、賞与、費用補助、本人負担分の支払い |
| 不在中の取扱い | 連絡方法、副業等の規程との関係、期間変更時の手続き |
| 復帰と勤続の扱い | 復帰手順、復帰後の職務、評価・退職金の算定との関係 |
常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則の作成・変更時に所轄の労働基準監督署長への届出が必要です。人数は会社全体で合算せず、事業場単位で判定します。
届出には、過半数労働組合があればその組合、なければ過半数代表者の意見書を添付します。過半数代表者の選出要件・手続きは、厚生労働省「モデル就業規則」の「就業規則の作成及び変更の手続」で確認してください。
規程は、配付や、従業員がいつでも閲覧できる社内システムへの掲載などで周知します。適用を始める日も定めます。周知前や施行期日前の申請に新規程をそのまま当てはめないよう、移行時の扱いを確認してください。
小規模な事業場でも、口頭の説明だけにせず制度内容を書面で共有すると確認しやすくなります。既存の休暇を縮小するなどの変更は、届出だけで適否が決まるものではありません。就業規則の解説も確認してください。
給与・社会保険の確認表
無給という説明だけで給与処理を終えず、支給項目と本人負担の支払いを分けて確認します。任意の休暇の有給無給は自社規程で決めます。有給なら、支給する賃金の範囲・計算方法まで具体化します。
| 項目 | 確認して残す内容 |
|---|---|
| 基本給 | 支給・不支給の根拠規程、休暇開始月・終了月の計算方法 |
| 各種手当 | 各手当の支給条件を確認し、休暇中に支給する項目を特定 |
| 賞与 | 算定期間、休暇期間の扱い、在籍要件、査定方法 |
| 健康保険・厚生年金 | 資格、標準報酬、免除の該当性、本人負担額を加入先で確認 |
| 天引きできない費用 | 支払額、振込などの方法、期日、入金確認の担当者 |
| 住民税等 | 給与から引けるか、引けないときの手続きと本人への案内 |
| 学費などの補助 | 対象費用、承認額、領収書、支給方法、給与・税務上の取扱いの確認先 |
日本年金機構が徴収する健康保険・厚生年金保険料は、事業主が本人負担分と事業主負担分を合わせて納付します(日本年金機構「厚生年金保険料等の納付」)。無給だから保険料もなくなると決めず、加入先に適用関係を確認してください。給与から引けない場合は、本人との精算方法を決めます。
たとえば本人からの振込で精算するなら、対象の保険料、入金額、期日、振込先、過不足が出たときの扱いを事前に共有します。振込による精算は運用の例です。
保険料の詳しい扱いは休職中の社会保険料、給与が出ない場合の住民税の確認は住民税の特別徴収へ。金額を試算する場合は社会保険料計算ツールを使えますが、休暇中の資格や免除の判定を代わりに行うものではありません。
申請・引継ぎ・復帰の記録例
承認内容を、本人・所属部署・人事・給与担当で共有します。次の図と表は、任意の長期休暇を運用するための提案です。公的な申請書ではありません。
以下は、国内での学び直しを目的とする任意の長期休暇についての架空の記録例です。自社規程に基づいて休暇が承認され、休暇期間は基本給を支給しないと決まった場合を想定しています。法定の様式・取得条件ではありません。
| 段階 | 記録する内容の例 |
|---|---|
| 申請を受ける | 受講計画、開始・終了の希望日、適用する規程、確認者 |
| 承認を共有する | 承認した期間、基本給の不支給、各手当の扱い、本人への説明記録 |
| 業務を引き継ぐ | 請求・支払・承認の代理担当、保管資料、取引先への案内担当 |
| 費用を確認する | 本人負担分の確認結果、精算方法、入金の照合記録 |
| 予定が変わる | 変更希望、承認結果、新しい終了日、勤怠と給与への反映記録 |
| 勤務を再開する | 復帰の確認、担当業務、給与設定の再確認、未精算分の処理 |
経理業務の引継ぎでは、支払予定や請求書の置き場所に加え、承認権限の代理設定も確認します。休暇中の本人に毎回承認を求める運用を避けられるか、所属部署と相談してください。
制度設計で見落としやすい点
期間変更の連絡先や復帰後の扱いを決め、不在中の業務も組み立てます。
期間の変更と連絡先を決めておく
延長・短縮の申出先と、承認後に勤怠・給与へ知らせる担当を規程や運用手順に置きます。本人と上司だけで日程を変えると、給与担当が古い期間で処理するおそれがあります。そのため、変更後の記録を共有してください。
復帰後の職務や処遇は、約束した内容を確認する
復帰時の職務・勤務地・評価・退職金の勤続期間について、取得前の説明と自社規程を照合します。会社独自の制度だからといって、労働条件の変更を自由に決められるという意味ではありません。個別の変更の適否は、社会保険労務士や労働相談窓口に確認してください。
導入効果より先に、不在中の業務を組み立てる
学び直しや仕事以外の経験を得る機会になる一方で、代替要員の確保や費用の見通しも検討事項です。導入すれば離職や生産性の課題が解決すると決めず、承認件数、引継ぎにかかった負担、復帰時の困りごとを記録し、制度の見直しに使う方法があります。
担当者がそろえるもの
規程・承認記録・給与への連絡をそろえます。任意の長期休暇では、期間と有給無給を自社規程で確認したうえで、本人負担の精算と復帰時の処理まで共有してください。
よくある質問
サバティカル休暇中は給料が出ますか?
自社規程によります。任意の長期休暇の有給無給と、有給にする場合の支給範囲・計算方法を確認してください。基本給の説明だけで終えず、各手当や賞与もそれぞれの規程で照合します。
どれくらいの期間、取得できますか?
会社が任意に設ける制度なので、自社規程の取得期間・対象者・申請条件を確認します。他社の期間を自社にも当てはめず、連続取得か分割か、延長や短縮ができるかまで確認してください。
無給なら社会保険料も支払わなくてよいですか?
無給という理由だけで支払い不要とは判断できません。加入先に資格・標準報酬・免除の該当性を確認し、本人負担がある場合は給与から引けるか、引けない場合はどう精算するかを会社と本人で共有してください。
会社に制度がなければ、申請だけで取得できますか?
任意の制度なので、申請だけで取得できるとはいえません。まず自社の休暇・休職規程を確認し、該当する定めがなければ人事に制度の有無や利用できる手続きを確認してください。法定の休暇・休業に該当する場合は、それぞれの制度で確認します。
出典
- 内閣府男女共同参画局「休み方考察~サバティカル休暇」:制度の位置づけ、長期休暇と代替要員等の検討。
- 厚生労働省「特別な休暇制度とは」:法定休暇以外に会社が任意で設ける休暇。
- 厚生労働省「モデル就業規則」:就業規則の作成・変更・周知、特別休暇、休暇等の賃金。
- 日本年金機構「厚生年金保険料等の納付」:事業主による保険料の納付。
制度・資料の確認日:2026年11月2日。確認表と記録例は、任意の長期休暇を運用する担当者向けの整理です。
本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務・労務相談には応じられません。具体的な取扱いは、労働基準監督署・年金事務所または社会保険労務士にご確認ください。