税金・経理・補助金ツールズ

社用車を買ったときの仕訳 — 見積書の1行ずつを、取得価額・費用・預託金に割る

結論から言うと、社用車の見積書は1枚の紙のように見えて、4つの違う性質のものが縦に並んでいます。車両運搬具として資産に載せるもの、その場で費用にできるもの、費用ですらない預託金、そして期間で按分する保険料(新車で自賠責保険を自ら契約する場合で、事業年度末にまだ提供を受けていない期間の分は前払費用)の4つです。中古車で売主に払う未経過分の自賠責保険料相当額は、後の節のとおり車の代金です。総額をそのまま車両運搬具に入れて通常の減価償却をすると、本来なら初年度に落とせた金額まで耐用年数にわたって償却することになります。

割り方の根拠は2階建てになっています。1階は法人税法施行令54条1項1号で、購入代価に「購入のために要した費用」を加えた額と、事業の用に供するために直接要した費用の額の合計が取得価額だと定めています。2階は法人税基本通達7-3-3の2で、取得に関連して支出したものであっても取得価額に算入しないことができる費用を例示しています。ここが強制ではなく選択である点が、この論点のいちばんの勘所です。

そのうえで、令和8年度は前提が1つ動きました。自動車税等の環境性能割が令和8年3月31日をもって廃止されたため、令和8年4月1日以後に取得した車の見積書には、その行がそもそも現れません。通達が例示している「自動車取得税」は、令和元年に環境性能割へ置き換わり、その環境性能割も令和8年4月1日以後の取得には課されなくなったので、いま新しく取得する自動車では例示に当たる税が課されない状態になりました(廃止前の取得に課する分は、経過措置でなお従前の例によります)。

取得価額を決めているのは施行令54条1項1号

減価償却資産の取得価額は、法人税法施行令54条1項が資産の区分ごとに定めています。買ってきた資産、つまり社用車が当てはまるのは第1号で、次の2つを合計した金額とされています。まずイです。

当該資産の購入の代価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税(関税法第二条第一項第四号の二(定義)に規定する附帯税を除く。)その他当該資産の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)

続いてロです。

当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の額

読むときに効いてくるのは、イの括弧書きが「その他当該資産の購入のために要した費用」という包括的な受け皿で閉じられていることです。引取運賃・荷役費・運送保険料・購入手数料・関税(附帯税を除く)は例として挙げられているだけで、そこに書かれていないから入らない、という読み方はできません。社用車でいえば、販売店に支払う納車費用や、購入に伴って発注したドライブレコーダーの取付工賃のように、その車を手に入れるために出た支出は、原則としてイに吸い込まれます。

ロは「事業の用に供するために直接要した費用」なので、届いた車を実際に使えるようにするための支出です。社名を入れるカッティングシートの施工費や、業務用の無線機の架装費用がここに当たります。イとロは根拠が別なので、経理としては「買うために出た金」と「使えるようにするために出た金」の2つの箱を用意しておくと迷いません。どちらの箱に入っても、行き先は同じ車両運搬具です。

金額の目安ではなく、性質で決める

「少額だから費用でよい」という判断は、この条文からは出てきません。取得価額に入るかどうかは支出の性質で決まり、金額の多寡は別の制度(少額の減価償却資産や一括償却資産)の話です。金額基準については少額減価償却資産の特例を参照してください。

ローン購入は購入代金と利息を分ける

法人が借入金で車を購入する場合は、購入代金と借入金の利息を分けて扱います。法人税基本通達では、取得のための借入金の利息は、使用開始前の期間分も取得価額に含めないことができますが、建設中の固定資産の建設仮勘定に利息を含めた場合は、取得価額に算入したことになります。

販売店との割賦販売契約(延払条件付譲渡契約を含みます)で法人が購入する場合は、契約上、購入代価と割賦期間分の利息・売手の代金回収費用等が明確に区分されていれば、その利息・費用相当額を取得価額から除くことができます。借入金の利息とは条件が異なるため、契約の明細を分けて確認します。

通達7-3-3の2は「算入しないことができる」— 義務ではなく選択

施行令54条1項1号だけを読むと、購入に関連した支出はすべて取得価額に吸い込まれるように見えます。それを緩めているのが法人税基本通達7-3-3の2で、見出しは(固定資産の取得価額に算入しないことができる費用の例示)です。本文は次の1文です。

次に掲げるような費用の額は、たとえ固定資産の取得に関連して支出するものであっても、これを固定資産の取得価額に算入しないことができる。

語尾が「算入しないことができる」であって「算入しない」ではありません。つまりこれは、費用に落としてもよいという許可であって、費用に落とさなければならないという指示ではありません。取得価額に入れて償却していく処理も、この通達に反しません。

そのうえで(1)として、租税公課等の額が4つ例示されています。イが次のものです。

不動産取得税又は自動車取得税

そしてニが次のものです。

登録免許税その他登記又は登録のために要する費用

社用車で実際に効くのはニのほうです。登録を受ける車を買うときに出てくる検査登録の法定費用や車庫証明の法定費用は、登録のために要する費用としてこの例示に当てはまります。ここを費用にするか取得価額に入れるかは、選べます。

見積書によく並ぶ自動車重量税は、この4つの例示のどれにも、その名前では出てきません。ニの「登録免許税その他登記又は登録のために要する費用」に読み込めるかどうかは判断を伴うため、本記事では結論を書きません。処理を決める前に税理士にご確認ください。なお、税金一般の損金算入の時期については租税公課とはで整理しています。

新車の見積書の行 車両本体価格 オプション・架装 納車費用 検査登録・車庫証明 自動車税(月割) リサイクル料金(預託部分) 自賠責保険料 登録等の代行手数料 車両運搬具(取得価額) 施行令54条1項1号イ・ロ 費用にできる(選択) 法基通7-3-3の2 預託金(資産) 資金管理料金の部分は費用 保険料(期間で按分) 自賠責・任意保険 耐用年数で償却 その事業年度の損金 払渡し・譲渡・取戻しまで資産 年度末の未経過分は前払費用
新車の見積書の1行ずつを4つの行き先に割る。代行手数料は検査登録・車庫証明の代行分。中古車で、本来売主に課された自動車税や売主が払った自賠責保険料の未経過分として売主に払う相当額は、後の節のとおり車の代金として車両運搬具側に入る(名義変更が済まず本来買主に課されるべき税を売主に払う場合は、対価に該当しない)。総額をまとめて車両運搬具に入れて通常の減価償却をすると、初年度に落とせたはずの金額まで償却期間に乗ってしまう。

令和8年度に環境性能割が廃止された — 通達の例示は2回置き去りになった

通達7-3-3の2(1)イが名指ししている自動車取得税は、すでに廃止されています(廃止前の取得に課する分は、経過措置でなお従前の例によります)。総務省の案内によれば、2019年10月1日以降、自動車取得税が廃止され、環境性能割が導入されました。同じ日に、毎年かかる自動車税は自動車税(種別割)へ、軽自動車税は軽自動車税(種別割)へ名称が変更されています。

そして令和8年度に、その環境性能割も無くなりました。財務省が公表した令和8年度税制改正の大綱の概要は、自動車関係諸税の総合的な見直しの項で、自動車税等の環境性能割について令和8年3月31日をもって廃止すると書いています。地方税法の側でも、令和8年3月31日法律第2号の附則第10条が、経過措置として次のように定めています。

施行日前の自動車の取得に対して課する自動車税の環境性能割については、なお従前の例による。

同じ条の第1項は、新しい規定の適用年度をこう定めています。

新法の規定中自動車税に関する部分(新法第百六十九条の二の規定を除く。)は、令和八年度以後の年度分の自動車税について適用する。

実際に現行の地方税法の条文を読むと、この改正の姿がはっきり出ています。本則には「環境性能割」も「種別割」も1回も出てきません(どちらも附則の経過措置の中にだけ残っています)。第八節の自動車税は、第百五十四条の標準税率、第百五十五条の賦課期日、第百五十六条の納期という、年額課税だけの並びに戻っています。

自動車税の賦課期日は、四月一日とする。
自動車税の納期は、五月中において、当該道府県の条例で定める。ただし、特別の事情がある場合には、これと異なる納期を定めることができる。

経理にとっての含意は単純です。令和8年4月1日以後に取得した車の見積書には、取得に対して課される環境性能割の行がありません。したがって、令和8年4月1日以後に新しく取得する自動車では、7-3-3の2(1)イについて入れるか費用にするかを迷う場面がなくなりました。新車の場合に残るのは、ニの登録費用と、賦課期日(4月1日)後に初回新規登録で納税義務が発生した場合に、その発生した月の翌月から月割で課される自動車税の相当額です(中古車で、本来売主に課された税の未経過分として売主に払う相当額は、後の節のとおり車の代金です)。

〜2019年9月30日 2019年10月1日〜2026年3月31日 2026年4月1日〜 自動車取得税 環境性能割 環境性能割も廃止 法基通7-3-3の2(1)イが名指ししているのは左端の税
取得時に課される地方税は2回替わった。通達の例示は昭和50年に追加され平成23年に最後の改正を受けたままなので、現に課される税の名前を挙げていない。
排気量と初度登録から、自家用乗用車の自動車税の年額を判定する

リサイクル料金の預託部分は費用ではない — 利息の付く預託金

見積書の「リサイクル料金」は、名前が料金なので手数料に見えますが、資金管理料金の部分を除き、預託される部分の法律上の性質は預託金です。使用済自動車の再資源化等に関する法律73条1項が、登録自動車の所有者は最初の自動車登録ファイルへの登録を受けるとき(軽自動車は最初の自動車検査証の交付を受けるとき、検査対象外軽自動車は最初の車両番号の指定を受けるとき)までに、再資源化等料金に相当する額の金銭を再資源化等預託金として資金管理法人に対し預託しなければならないと定めています。登録等を要しない自動車は、同条3項により、使用済自動車として引取業者に引き渡すときまでに預託します。

預託金であることは、続く2つの条文がはっきり示しています。まず75条です。

資金管理法人は、主務省令で定めるところにより、再資源化預託金等に利息を付さなければならない。

次に78条1項です。

再資源化預託金等が預託されている自動車の所有者は、当該自動車を輸出した場合その他当該再資源化預託金等を預託しておく必要がないものとして政令で定める場合には、主務省令で定めるところにより、当該再資源化預託金等を取り戻すことができる。

同条2項・3項は、取戻しの期限と手数料を定めています。

前項の規定による取戻しの権利は、当該自動車を輸出した日から二年を経過したとき(同項の政令で定める場合にあっては、政令で定めるとき)は、時効によって消滅する。
第一項の規定により再資源化預託金等を取り戻そうとする者は、政令で定めるところにより資金管理法人が主務大臣の認可を受けて定める額の手数料を資金管理法人に納めなければならない。

利息が付き、一定の場合には取り戻せるのですから、これは支払ってなくなった費用ではなく、会社が持っている金銭債権です。決算書では預託金・預け金といった資産の科目で持ち続け、使用済自動車として引き取られた後に自動車製造業者等へ払い渡されるか(76条)、売却で買主へ引き継ぐか(77条2項)、輸出などで取り戻すまで残ります(取戻しの権利が時効で消滅した場合は、残高を見直します)。取り戻す権利は、輸出の場合は輸出した日から2年(輸出以外の政令で定める場合は政令で定めるとき)で時効により消滅し、取り戻す際には資金管理法人へ手数料を納める必要があるとされています(78条2項・3項)。

この理解は税務当局の側でも一致しています。国税庁の質疑応答事例(中古車販売における未経過自動車税等の取扱い)は、リサイクル預託金相当額について次のように述べています。

リサイクル預託金相当額については、「使用済自動車の再資源化等に関する法律」に基づき資金管理法人に預託されているものですから、中古車として転売する際のリサイクル預託金相当額は、売主から買主への預託金の譲渡となり、金銭債権の譲渡として非課税となります

資金管理料金は預託部分と分けて費用にする

リサイクル料金は、明細のうち預託される部分と資金管理料金を分けて処理します。東京都環境局の会計処理の説明では、預託部分は資産への振替ですが、資金管理料金の部分だけは費用として計上します。請求額を一括で預け金などの資産に計上しないよう、内訳を確認します。

中古車を買うと、本来売主に課される税の未経過分の精算とリサイクル預託金相当額で税区分が分かれる

ここが実務でいちばん間違えやすいところです。リサイクル料金が預託済みの中古車を販売店から買うと、見積書には自動車税の未経過分相当額とリサイクル預託金相当額が並んで載ることがあります。どちらも「前の持ち主が払ったものを引き継ぐ精算」に見えるので、同じ扱いにしたくなります。ところが、本来売主に課される税の未経過分の精算であれば、消費税の区分は逆になります。

根拠は消費税法基本通達10-1-6です。

固定資産税、自動車税等(以下10-1-6において「固定資産税等」という。)の課税の対象となる資産の譲渡に伴い、当該資産に対して課された固定資産税等について譲渡の時において未経過分がある場合で、その未経過分に相当する金額を当該資産の譲渡について収受する金額とは別に収受している場合であっても、当該未経過分に相当する金額は当該資産の譲渡の金額に含まれるのであるから留意する。

国税庁の質疑応答事例は、自動車税を4月1日現在の所有者に対して課税される道府県税と説明しています(使用者に課する場合や、売主が所有権を留保している売買で買主を所有者とみなす場合の定めが、地方税法146条2項・147条にあります)。ですから、その年度分を課された売主に買主が支払う未経過期間分の金額は、都道府県に納める自動車税そのものではなく、その期間その車に乗れることの代金の一部です。だから、本来売主に課される税の未経過分の精算であれば、見積書で区分して書いてあっても課税仕入れになります。同じ質疑応答事例は、未経過分の自賠責保険料相当額についても次のように述べています。

また、未経過分の自賠責保険料相当額を区分して表示する場合も、自動車税相当額と同様、資産の譲渡等の対価の額に含まれます。

つまり、本来売主に課される税や売主が払った保険料の未経過分を売買で精算する金額は、税や保険料の名前が付いていても車の代金です。一方リサイクル預託金相当額は前節のとおり金銭債権の譲渡で非課税になります。後で書く(注)の場合を除けば、隣り合う3行が、課税・課税・非課税に割れます。

そしてこの通達には(注)が付いていて、そこだけ結論が反転します。

資産の譲渡を受けた者に対して課されるべき固定資産税等が、当該資産の名義変更をしなかったこと等により当該資産の譲渡をした事業者に対して課された場合において、当該事業者が当該譲渡を受けた者から当該固定資産税等に相当する金額を収受するときには、当該金額は資産の譲渡等の対価に該当しないのであるから留意する。

本文と(注)を並べると、境目が見えます。本文が扱っているのは、本来は売主に課される税の未経過期間分を精算した場面で、これは対価に含まれます。(注)が扱っているのは、本来は買主に課されるべき税が名義変更の済んでいないせいで売主に課され、それを回収した場面で、これは対価に該当しません。動いている金額は同じでも、その税が本来誰に課されるべきものだったかで扱いが割れているのです。

売主に払う金額本来の納税義務者消費税
自動車税の未経過分相当額(4月1日時点の所有者は売主)売主課税(対価に含まれる)
自賠責保険料の未経過分相当額—課税(対価に含まれる)
リサイクル預託金相当額—非課税(金銭債権の譲渡)
名義変更が済まず売主に課された税を、買主が負担して支払う額買主対価に該当しない

消費税の課税・非課税・不課税の全体像は消費税の計算ツールと消費税の税率の側で扱っています。ここでは自動車の取得に固有の論点だけを書いています。

耐用年数 — 同じ表の中で「小型車」の定義が欄によって違う

取得価額が決まったら、次は何年で償却するかです。減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第一に「車両及び運搬具」の欄があり、特殊自動車や、運送事業用・貸自動車業用・自動車教習所用の車両に当たらない社用車は、その中の「前掲のもの以外のもの」という区分に入ります。ここで注意が要るのは、同じ別表の中に「小型車」という言葉が複数回、違う定義で出てくることです。

「前掲のもの以外のもの」の欄の小型車は、次のように定義されています。

前掲のもの以外のもの 自動車(二輪又は三輪自動車を除く。) 小型車(総排気量が〇・六六リットル以下のものをいう。)

この欄の「自動車」は二輪又は三輪自動車を除くと書かれているので、ここでの小型車は二輪・三輪以外で総排気量0.66リットル以下の車です。ところが1つ上の「運送事業用、貸自動車業用又は自動車教習所用の車両及び運搬具」の欄では、同じ小型車が次のように定義されています。

運送事業用、貸自動車業用又は自動車教習所用の車両及び運搬具(前掲のものを除く。) 自動車(二輪又は三輪自動車を含み、乗合自動車を除く。) 小型車(貨物自動車にあつては積載量が二トン以下、その他のものにあつては総排気量が二リットル以下のものをいう。)

こちらは、特殊自動車など前掲のものを除いたうえで、乗合自動車を除く自動車(二輪・三輪を含む)について、貨物自動車なら積載量2トン以下、それ以外なら総排気量2リットル以下です。同じ表の中で、同じ語が違う基準で使われています。実務への影響は具体的です。特殊自動車・乗合自動車・報道通信用のいずれにも当たらない総排気量1.5リットルの乗用車を買った場合、運送事業用等以外の一般の用途に使うなら小型車ではないので6年、運送事業用・貸自動車業用・自動車教習所用に使うなら小型車に当たるので3年になります。このように同じ車でも、どの用途に供するかで耐用年数が変わります。

別表第一の区分車種耐用年数
前掲のもの以外のもの(特殊自動車や運送事業用等に当たらない車)自動車(二輪・三輪を除く)のうち小型車(総排気量0.66リットル以下)4年
小型車以外の自動車(二輪・三輪を除く)のうち、貨物自動車でダンプ式のもの4年
小型車以外の自動車(二輪・三輪を除く)のうち、貨物自動車でダンプ式以外のもの5年
小型車以外の自動車(二輪・三輪を除く)のうち、報道通信用のもの5年
小型車以外の自動車(二輪・三輪を除く)のうち、上記以外のもの(一般的な乗用車)6年
二輪又は三輪自動車3年
運送事業用・貸自動車業用・自動車教習所用(特殊自動車など前掲のものを除く)自動車(二輪・三輪を含み、乗合自動車を除く)のうち小型車(貨物は積載量2トン以下、その他は総排気量2リットル以下)3年
自動車(乗合自動車を除く)のうち小型車以外で、大型乗用車(総排気量3リットル以上)5年
自動車(乗合自動車を除く)のうち小型車以外で、大型乗用車以外のもの4年
乗合自動車5年

中古車を買った場合は、使用可能期間を見積もることが困難なときに限り、法定耐用年数ではなく簡便法の年数(2年に満たないときは2年)によることができますが、事業の用に供するために支出した資本的支出の金額が取得価額の100分の50を超えるときは、簡便法は使えません。年数の数え方と、簡便法が使えない場合については減価償却の耐用年数で詳しく書いています。償却方法(定率法と定額法、届出をしていないときにどちらになるか)は減価償却とはを参照してください。

「自動車」かどうかは登録の有無では決まらない

別表第一の区分を当てるとき、ナンバープレートが付いていない車をどう扱うかで迷うことがあります。工場の構内だけで動かす運搬用の車がその典型です。国税庁の質疑応答事例(登録を要しない自動車の耐用年数)は、登録を要しない構内専用の貨物自動車について、別表第一「車両及び運搬具」の「前掲のもの以外のもの」の「自動車」の耐用年数が適用されるとしたうえで、理由を次のように述べています。

自動車に該当するかどうかの判定は、自動車登録規則による登録の有無には関係がなく、その実態によって行うことになります。

「登録していないから車両運搬具ではなく機械装置だろう」と考えたくなる場面ですが、そうはなりません。判定の物差しは登録ではなく実態です。逆にいえば、登録車であっても実態が別表第二の自走式作業用機械であれば、別表第一の車両及び運搬具からは外れます。別表第一の「特殊自動車」の欄自身が、括弧書きで、別表第二に掲げる減価償却資産に含まれるブルドーザー、パワーショベルその他の自走式作業用機械を含まないと断っています。

取得価額と耐用年数から、各年度の減価償却費を計算する

見積書の行を振り分ける

ここまでを1枚の表にします。令和8年4月1日以後に、一般の会社が新車の自家用乗用車を買った場合を想定しています。

見積書の行行き先根拠
車両本体価格車両運搬具施行令54条1項1号イ(購入の代価)
メーカーオプション・架装車両運搬具同上
納車費用車両運搬具同上(購入のために要した費用)
社名の施工・業務用機器の取付車両運搬具施行令54条1項1号ロ(事業供用のために直接要した費用)
検査登録・車庫証明の法定費用費用にできる(取得価額に入れてもよい)法基通7-3-3の2(1)ニ
販売店の検査登録代行手数料・車庫証明代行手数料費用にできる(取得価額に入れてもよい)同上(登録のために要する費用)
自動車税(賦課期日の4月1日後に納税義務が発生した場合の、発生した月の翌月からの月割相当額)租税公課年額課税の負担分。取得の対価ではない
リサイクル料金のうち預託される部分預け金(資産)リサイクル法73条・75条・78条
自賠責保険料(新車で自ら契約して支払うもの)当期に対応する分は保険料、事業年度末にまだ提供を受けていない期間に対応する分は前払費用期間対応で按分する(前払費用は年度末に未提供の役務に対応する額。施行令14条2項)
自動車重量税判断が要る(本記事では結論を書かない)7-3-3の2の例示に名前が無い
まず「取得のための支出か」で原則を切り、次に通達の選択できる例外を確かめる

納車費用は払わなければ車が届かないので取得価額側、自動車税は車の保有に対して年額で課される税なので保有のコスト側、というように、取得のための支出か保有のための支出かで分けると条文の構造と一致します。検査登録の法定費用は取得のための支出ですが、通達7-3-3の2が例示する登録のための費用などは、例外的に費用化を選べるという位置づけです。

仕訳例

設例として、3月決算の会社が令和8年5月に総排気量1,500ccの自家用乗用車を新車で購入し、当月から営業に使い始めたとします。車両本体2,000,000円、納車費用30,000円、検査登録・車庫証明の法定費用と代行手数料の合計40,000円、リサイクル料金の預託部分12,000円、自賠責保険料18,000円は説明のための設例の金額です。

自動車税だけは条文から出せます。令和8年5月に初回新規登録を受ける新車で地方税法附則12条の4(同条が定める日の前日までに初回新規登録を受けた自家用乗用車などの税率)の対象にならず、積雪地域の特例がなく、道府県が標準税率を超える税率を定めていない場合として、地方税法154条1項の標準税率で計算すると、1リットル超1.5リットル以下の自家用乗用車は年額30,500円です。新車の初回新規登録のように、年度の途中に納税義務が新たに発生した場合の扱いは157条1項が定めています。

第百五十五条に規定する自動車税の賦課期日(以下この条及び次条第三項において「賦課期日」という。)後に納税義務が発生した者には、その発生した月の翌月から、月割をもつて、自動車税を課する。

年度の途中で所有者が変わった場合(中古車の移転登録など)は、同条4項が別に定めています。

賦課期日後にその主たる定置場が一の道府県から他の道府県に変更された場合又は自動車の所有者の変更があつた場合には、当該年度の末日に当該変更があつたものとみなして、第一項及び第二項の規定を適用する。ただし、自動車の所有者の変更があつた場合において、変更前の所有者又は変更後の所有者のいずれかが、この項以外の法令の規定に基づき当該自動車に対して自動車税を課されないときは、この限りでない。

設例の新車(総排気量1,500ccの自家用乗用車で、附則12条の4の対象外、積雪地域の特例がなく、標準税率を超える税率の定めもない場合)は、賦課期日後の令和8年5月に初回新規登録を受けて納税義務が発生するので、発生した月の翌月=6月から3月までの10か月分となり、1リットル超1.5リットル以下の自家用乗用車の標準税率(年額30,500円)では30,500円×10÷12=25,416.66…円です。20条の4の2第3項の本文が、地方税の確定金額に100円未満の端数があるときはその端数金額を切り捨てるとしているので(同項ただし書の政令で定める地方税は1円未満の切捨てです)、自動車税の標準税率の設例では25,400円になります。

この設例で、自動車税を上の条件の標準税率で計算した合計2,125,400円を現金で支払った場合、一般に次のように起こします。検査登録関係は費用にする選択をしたものとしています。

勘定科目借方貸方
車両運搬具2,030,000円
租税公課(自動車税は、令和8年5月に初回新規登録した1,500ccの自家用乗用車で、附則12条の4の対象外・積雪地域の特例なし・超過税率なしの標準税率で計算)65,400円
預け金12,000円
保険料(前払費用)18,000円
現金預金(自動車税を上の条件の標準税率で計算した設例の支払総額)2,125,400円

車両運搬具の2,030,000円は本体2,000,000円と納車費用30,000円の合計です。租税公課の65,400円は、検査登録関係40,000円と、上の条件(令和8年5月に初回新規登録した1,500ccの自家用乗用車、附則12条の4の対象外、積雪地域の特例・超過税率なし)の標準税率で計算した自動車税の月割25,400円の合計です。預け金の12,000円は、この会社が持ち続ける資産であって、この年度の損金にはなりません。

耐用年数は前掲のもの以外のものの「その他のもの」で6年です。1,500ccは0.66リットルを超えるので、この表では小型車になりません。初年度の償却費は事業に使った月数で按分するため、事業年度が12か月の3月決算の会社が5月から使い始めたのであれば12か月のうち11か月分になります(1か月に満たない端数は1か月とします)。

次に、同じ車を中古で販売店から買った場合です。車両本体1,200,000円、自動車税の未経過分相当額21,000円、リサイクル預託金相当額12,000円、自賠責保険料の未経過分相当額9,000円という内訳だとします。4月1日現在の所有者である売主に課された自動車税の未経過分を精算する設例なので、前節のとおり、その自動車税の未経過分相当額と自賠責保険料の未経過分相当額は車両の代金の一部として課税仕入れ、リサイクル預託金相当額は非課税です(名義変更が済まず本来買主に課されるべき税を売主に払う場合は、前節の(注)のとおり対価に該当しません)。したがって、車両運搬具に入る金額は1,200,000円ではなく、未経過分相当額を含めた1,230,000円になります。

借方金額消費税の区分貸方金額
車両運搬具1,230,000円課税仕入れ(本来売主に課される税の未経過分の精算として)現金預金1,242,000円
預け金12,000円非課税仕入れ

中古車の取得価額に未経過分相当額を含めるという整理は、消費税の課税標準についての通達10-1-6の考え方(本来売主に課される税の未経過分相当額は資産の譲渡の金額に含まれる)に沿ったものです。法人税の取得価額の計算においてどこまで含めるかは、契約の内容によって判断が分かれることがあります。金額が大きい場合は税理士にご確認ください。

個人事業主の補足:業務と私用を兼ねる車

個人事業主が業務と私用の両方に使う車の費用は、取引の記録などに基づき、業務の遂行に直接必要だった部分を明確に区分できる場合に、その区分できる金額だけを必要経費にします。これは所得税の家事関連費についての補足です。

よくある質問

社用車の勘定科目は何ですか?

資産に計上する部分は車両運搬具です。これは会社計算規則や財務諸表等規則で決められた表示科目としての区分で、貸借対照表では有形固定資産の中に置かれます。ガソリン代や車検の整備費用のような保有中のコストは車両費や修繕費などの費用科目で処理し、車両運搬具には足しません。ただし、修理や改良の名目でも、使用可能期間を延長させる部分や価額を増加させる部分(資本的支出)は、支出した事業年度の損金になりません(法人税法施行令132条)。

納車費用は取得価額に入れなければいけませんか?

一般に入れます。法人税法施行令54条1項1号イは、購入の代価に引取運賃や荷役費などのほか、その他その資産の購入のために要した費用がある場合にはその費用の額を加算した金額とすると定めており、納車費用はこの受け皿に当たると考えられます。法人税基本通達7-3-3の2が費用にできると例示しているのは租税公課等や設計変更で不要になった費用などで、納車費用はそこに挙げられていません。

検査登録の費用は費用にしないといけませんか?

どちらでもかまいません。法人税基本通達7-3-3の2の本文は、取得に関連して支出するものであっても取得価額に算入しないことができるという書き方をしており、算入しないことを義務づけてはいません。費用にすればその事業年度の損金が増え、取得価額に入れれば通常の減価償却では耐用年数にわたって配分されます(少額の減価償却資産などの特例を使う場合を除きます)。継続して同じ方法によることが望まれます。

令和8年度に車を買うと、環境性能割はかかりますか?

かかりません。財務省が公表した令和8年度税制改正の大綱の概要は、自動車税等の環境性能割について令和8年3月31日をもって廃止するとしています。地方税法の側でも、令和8年3月31日法律第2号の附則第10条第2項が、施行日前の自動車の取得に対して課する自動車税の環境性能割についてはなお従前の例によるとしており、現行の地方税法の本則には環境性能割の規定が置かれていません。

リサイクル料金はどの科目で処理しますか?

預託される部分は費用ではなく資産です(資金管理料金の部分は費用です)。使用済自動車の再資源化等に関する法律73条1項が再資源化等預託金として資金管理法人に預託しなければならないと定め、75条が資金管理法人はその預託金に利息を付さなければならないとし、78条1項が輸出した場合などには取り戻すことができるとしています(取り戻す権利は、輸出の場合は輸出した日から2年、輸出以外の政令で定める場合は政令で定めるときに時効により消滅し、取り戻すには資金管理法人に手数料を納めます)。利息が付き取り戻せる金銭債権ですから、預け金などの資産科目で計上し、使用済自動車として引き取られた後に払い渡されるか、売却で買主へ引き継ぐか、輸出などで取り戻すまで残します(取戻しの権利が時効で消滅した場合は、残高を見直します)。

中古車の見積書にある自動車税の未経過分は、租税公課でよいですか?

販売店に支払う未経過分相当額は、都道府県に納める自動車税ではありません。消費税法基本通達10-1-6は、本来売主に課される自動車税等の未経過分に相当する金額を資産の譲渡について収受する金額とは別に収受している場合であっても、その金額は資産の譲渡の金額に含まれるとしています。国税庁の質疑応答事例も、その期間内に継続して乗用できる中古車の購入代金の一部として支払うものだと説明しています。本来売主に課される税の未経過分の精算であれば、消費税では課税仕入れになります。ただし、名義変更をしなかったこと等により本来買主に課されるべき税が売主に課され、その相当額を売主に支払う場合は、資産の譲渡等の対価に該当しません(同通達の注)。

1,500ccの社用車の耐用年数は4年ですか?

質問の1,500ccの乗用車が、特殊自動車・貨物自動車・報道通信用のいずれにも当たらず、運送事業用・貸自動車業用・自動車教習所用でもない一般の用途のものであれば6年です。減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第一の「前掲のもの以外のもの」の欄では、二輪・三輪を除く自動車のうち小型車は総排気量0.66リットル以下のものと定義されており、1,500ccの乗用車はこれを超え、貨物自動車や報道通信用にも当たらなければ「その他のもの」の6年になります。この欄の二輪・三輪を除く自動車のうち4年になるのは、総排気量0.66リットル以下の小型車と、小型車以外の貨物自動車のうちダンプ式のものです。なお運送事業用・貸自動車業用・自動車教習所用の欄(特殊自動車など前掲のものを除く)では、乗合自動車を除く自動車の小型車の定義が貨物自動車は積載量2トン以下、その他は総排気量2リットル以下なので、同じ1,500ccの乗用車(乗合自動車でないもの)をこれらの用途に供すれば3年になります。

ナンバープレートのない構内専用車も車両運搬具ですか?

実態によります。国税庁の質疑応答事例は、工場の構内のみで使用する登録を要しない貨物自動車について、別表第一の「車両及び運搬具」の「前掲のもの以外のもの」の「自動車」の耐用年数が適用されるとし、自動車に該当するかどうかの判定は登録の有無には関係がなく実態によって行うと述べています。一方、別表第二に掲げる減価償却資産に含まれるブルドーザーやパワーショベルのような自走式作業用機械は、別表第一の特殊自動車の括弧書きで明示的に除かれています。

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出典

法人税法施行令54条・地方税法・使用済自動車の再資源化等に関する法律・減価償却資産の耐用年数等に関する省令はe-Gov法令検索、法人税基本通達7-3-3の2と消費税法基本通達10-1-6および国税庁の質疑応答事例2件は国税庁の原文、令和8年度税制改正の大綱の概要は財務省のPDFを取得して確認(2026年8月26日取得)

この記事は一般的な情報提供であり、個別の税務についての助言ではありません。取得価額に算入するかどうかは支出の内容と契約の実態によって判定が変わり、耐用年数は資産の実態と事業の種類によって変わります。実際の処理については税理士に、自動車税の税額や減免については管轄の都道府県税事務所にご確認ください。数値例は理解のための設例であり、実際の税額を示すものではありません。

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