シフト制とは|確定・通知・変更のルールと会社側の確認表
シフト制の勤務表は、希望を集める手順と確定して通知する手順を分けます。確定後の変更は、労使双方で合意して進めます。会社都合で勤務を削るときは、変更の連絡だけで終えず、契約上の勤務条件と休業手当の要否も確認します。
ここでは、契約時に具体的な労働日・時間を確定せず、後から勤務表で決めるシフト制を扱います。勤務日数・時間数が決まっている交替勤務は対象から外し、会社の労務・給与担当が使える確認表に整理します。
法定義務と合意しておく運用を分ける
労働条件の明示は法定義務です。一方、希望の集め方や確定表の通知期限は、厚労省が紛争予防のために労使で取り決めることを挙げている事項です。
| 場面 | 位置づけ | 確認すること |
|---|---|---|
| 労働契約の締結・更新 | 労働条件を明示する義務 | 始終業・休憩・休日等を通知書と勤務表で確認 |
| 勤務表の作成 | 事前に労使でルールを定めることが考えられる | 希望聴取、確定表の通知期限・方法 |
| 確定後の勤務変更 | 基本的に労働条件の変更に当たり、労使双方の合意で行う | 変更の申出先、期限、合意した内容 |
| 使用者の責に帰すべき事由による休業 | 休業手当の支払義務 | 勤務義務のある日・時間と休業の原因 |
この区分は厚生労働省「シフト制の雇用管理の留意事項」によります。法定義務と、当事者が事前に合意しておく事項を、社内のチェック欄でも分けておくと確認しやすくなります。
契約時に「シフトによる」だけで済ませない
契約締結時に始終業時刻が確定している日は、その時刻を明示します。通知書に労働日ごとの時刻を書く方法があります。また、基本となる始終業時刻を記載し、契約締結と同時に定める一定期間分の勤務表を一緒に交付する方法などもあります。
休日が決まっているなら、その内容を明示します。曜日等が未確定なら、毎週少なくとも1回又は4週間を通じ4日以上の休日を満たす基本的な考え方を明示し、4週間で4日以上とする場合は就業規則等に4週間の起算日を明示します。休日の設定を現場の担当者だけに任せ、契約には何も残さない扱いにしないことが大切です。
根拠は労働基準法15条・35条と同法施行規則5条・12条の2第2項です。労働条件の明示は初回の採用時だけでなく、契約更新・定年後の再雇用時にも必要です。
書面で明示すべき事項は、労働者が希望した場合に限り、受信者を特定して伝達し、本人が受信した記録を出力して書面を作成できる電子メール等で渡せます。明示事項の総覧や有期契約で増える事項は、労働条件通知書の解説で確認できます。
希望聴取・確定通知のルールを決める
シフトの確定・通知について、すべての職場に共通する「何日前」という期限をここで置くことはできません。勤務制度ごとの法定手続は別に確認します。運用上の通知期限と方法は、労使であらかじめ話し合って定めておくことが考えられます。
以下は、契約時に勤務日・時間が未確定のシフト制について、労使で話し合う項目の例です。法律で全国一律に定められた締切や、全社共通の最低勤務日数を示す表ではありません。
| 決める項目 | 取り決める内容の例 |
|---|---|
| 希望を集める方法 | 提出先、入力方法、提出期限、間に合わない場合の連絡先 |
| 確定表の通知 | 通知期限、通知媒体、本人が確認する方法 |
| 勤務可能な範囲 | 勤務できる曜日・時間帯、最大の日数・時間数 |
| 目安となる勤務 | 勤務日数・時間数の目安と、繁閑による調整の考え方 |
| 最低限の勤務 | 労働者の希望に応じ、最低限働く日数・時間数を合意するか |
| 確定後の変更 | 期間開始前と開始後に分けた申出期限・手続、緊急連絡の方法 |
「目安」と「最低限の約束」は区別します。例えば「月の勤務日数は目安」と伝えたつもりでも、契約書では最低勤務日数を保証している場合があります。その場合、勤務表を作る際にも合意を確認する必要があります。
合意した運用ルールは、できる限り書面で確認しておくことが望まれます。通知書の別紙や社内規程を使う場合も、本人に適用される版と確認できる場所をそろえておくと、後からの行き違いを減らせます。
月次の作成から給与連携までの手順表
勤務表の「案」と「確定版」、その後の「変更版」を区別して残すのが実務上の要点です。以下は、厚労省が挙げる希望聴取・通知・合意の考え方を、社内の確認手順にした例です。
| 工程 | 現場・労務担当の確認 | 給与担当へ残す記録の例 |
|---|---|---|
| 作成前 | 本人の希望と契約上の勤務範囲を照合 | 適用契約、希望の提出内容 |
| 確定・通知 | 合意した期限・方法で確定表を通知 | 対象期間、確定版、通知日時 |
| 変更の申出 | 誰の都合か、どの日・時間を変えるかを確認 | 変更前後の内容、理由、申出日時 |
| 変更の合意 | 確定後の変更内容を双方で確認 | 合意の内容・日時と変更版 |
| 給与集計 | 休業手当等の要否を労務担当と確認 | 勤務実績、休業等の区分、支給内容 |
例えば、確定していた勤務日の取消依頼が店長から届く場合があります。経理が変更後の表だけを受け取ると、もともとの勤務義務や削減の理由を確認できません。変更前の表と申出・合意の記録を添えて引き継ぐ運用なら、休業手当の検討が必要な日を見つけやすくなります。
確定後の変更は通知と合意を区別する
確定したシフトの労働日・労働時間等の変更は、基本的に労働条件の変更に当たります。厚労省の留意事項は、労働契約法8条を踏まえ、労使双方が合意したうえで行うよう求めています。
会社が変更版を配信することと、本人が変更に合意することは別です。アプリ上で勤務表を上書きする運用でも、変更理由・対象日・始終業の変更内容を伝え、合意した内容を残す手順にします。
労働者から変更を申し出る場合も、申出だけで確定した勤務が変更されたと扱わず、社内の手続に沿って双方で確認します。緊急時に通常の申出期限へ間に合わない場合の連絡先や確認方法も、事前の取り決めに含めると対応しやすくなります。
就業規則の変更による労働条件の変更には、労働契約法9条・10条の別の検討が必要です。ここでは個別の確定シフトを変更する手順を扱い、就業規則を書き換えれば変更できるという判断は示しません。
会社都合の削減は休業の確認へつなぐ
勤務表から消しただけで、休業手当の検討が不要になるわけではありません。確定した勤務と契約上の約束を確認し、使用者の責に帰すべき事由による休業かどうかを調べます。
| 確認すること | 見る資料・事情 |
|---|---|
| 勤務義務のある日・時間か | 確定表、契約の最低勤務日数・時間数、合意内容 |
| 誰の都合で働かないのか | 会社の休業指示か、本人からの変更申出か、その実態 |
| 会社側の事情か | 業務量の減少など、経営・管理上の原因 |
| 不可抗力か | 事業外部の事故と、最大の注意でも回避できなかったか |
| 休業回避を検討したか | 在宅勤務や他に従事できる業務を検討した記録 |
使用者の責に帰すべき事由による休業では、休業期間中の当該労働者に平均賃金の60%以上の休業手当を支払う義務があります(労働基準法26条)。
不可抗力による休業は、この支払義務の対象から除かれます。厚労省は、事業外部の事故であることと、通常の経営者として最大の注意を尽くしても避けられなかったことの両方を見るとしています。災害や停電という出来事の名前だけで決めず、休業を回避する具体的努力も確認します。
休業手当の法定最低基準と、契約等に基づく賃金請求の問題は分けて検討します。平均賃金、時給制の最低保障、一部休業の計算などは、休業手当の解説に譲ります。
まだ勤務表が確定していない場合も、それだけで会社の支払責任がないとは決めません。契約で最低勤務を約束しているか等を先に確認します。労務担当から事業場を管轄する労働基準監督署等へ相談できる資料をそろえます。
労働時間の計算・制度設計は別に確認する
シフト制という呼び名だけで、変形労働時間制が導入されたことにはなりません。変形制を適用する場合は、制度に応じた導入手続と労働日・各日の労働時間の事前特定が必要です。
確定後に勤務を追加する場合も、本人の合意を確認するだけでなく、適用される勤務制度の法定労働時間・休日や時間外労働の手続を確認します。勤務が増えたことだけで、追加分の全部を同じ割増区分にはしません。
残業代計算ツールで割増区分ごとの金額を確認する →よくある質問
シフトはいつまでに確定して知らせる必要がありますか?
ここで扱うシフト制には、職場に共通する通知日は示されていません。紛争予防のため、確定表の通知期限・方法を労使で話し合って定めておくことが考えられます。変形労働時間制等を適用している場合は、その制度固有の事前特定・通知の手続も確認します。
希望シフトを出したら、その内容が確定したことになりますか?
希望の提出と確定表の通知は区別します。希望を聴取し、どの期限・方法で確定表を知らせるかを労使で決めておくことが考えられます。
確定したシフトを会社が変更するときはどうしますか?
確定した労働日・時間等の変更は基本的に労働条件の変更に当たるため、労使双方で合意して行います。変更前後の内容と合意の記録を残し、会社都合で休ませる場合は休業手当の要否を別に確認します。
シフトの削減について話がまとまらないときの相談先は?
都道府県労働局や労働基準監督署内などの総合労働相談コーナーに相談できます。契約書・通知書、勤務表、変更連絡の記録を整理しておくと、勤務の約束と経緯を説明しやすくなります。
出典
- 厚生労働省「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」(労働条件明示、作成・変更ルール、休業、相談窓口)
- e-Gov法令検索「労働基準法」(労働条件の明示・休業手当・労働時間・休日)
- e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」(労働条件の明示方法・休日の起算日)
- e-Gov法令検索「労働契約法」(合意による変更・就業規則の変更)
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の労務相談への回答ではありません。実際の判断は労働基準監督署・社会保険労務士等にご確認ください。個別の税務・労務相談には応じられません。