所定労働時間とは|日・週・月・年の計算と休日カレンダーの確認表
所定労働時間は、雇用契約で決めた始業から終業までの時間から、休憩を除いた時間です。残業時間は含めません。月・年の合計は、本人に適用される勤務カレンダーの所定労働日ごとに足して求めます。
経理で混同しやすいのは、当月の所定時間、年間から求めた月平均、実際に働いた時間です。以下では、固定勤務の計算表と、給与集計へ渡す前の照合項目を分けて示します。
所定・法定・実労働時間の違い
所定は契約、法定は法律の基準、実労働は勤務の実績です。同じ従業員でも、この区別によって集計する時間が変わります。
以下の法定時間は、休憩を除く一般の固定勤務制の基準です。週の特例対象・変形制・フレックス・労働時間規定の適用除外は、この表の法定時間の対象から除きます。
| 区分 | 何を表すか | 確認する資料 |
|---|---|---|
| 所定労働時間 | 雇用契約上の始業から終業までのうち、休憩を除く。残業は含めない | 労働条件通知書・就業規則・勤務カレンダー |
| 法定労働時間 | 一般の固定勤務制は1日8時間・週40時間 | 労働基準法32条 |
| 実労働時間 | 実際に働いた時間。残業や遅刻・早退などの実績で所定と差が出る | 出退勤・休憩などの勤怠記録 |
法定労働時間と同じ長さを、契約上の所定時間にする必要はありません。短い勤務時間の契約なら、その契約に従って所定時間を集計します。
日・週・月・年の所定時間を計算する
各日の長さが同じなら「所定労働日数×日所定時間」、異なるなら各日の所定時間の合計です。月の暦日数ではなく、本人の勤務カレンダーにある所定労働日を数えます。
以下は2026年の架空の設例です。所定の始業9:00・終業17:30、休憩1時間で毎日7時間30分、所定日数は週5日・月は各行の仮定、年間休日120日とします。年間休日には年次有給休暇・欠勤の取得実績を加えず、計算途中の丸めは行いません。
| 集計する期間 | 設例の算式 | 所定労働時間 |
|---|---|---|
| 日 | 17:30−9:00−休憩1時間 | 7時間30分 |
| 週(所定5日) | 7.5×5 | 37時間30分 |
| 月(所定20日) | 7.5×20 | 150時間 |
| 月(所定22日) | 7.5×22 | 165時間 |
| 年 | 暦日数365日−休日120日=245日、245×7.5 | 1,837.5時間 |
| 月平均 | 年間所定時間1,837.5÷12 | 153.125時間 |
週・月の行は日数ごとの計算例で、実在の各月の暦を再現した表ではありません。年間休日は土日・祝日・会社休日の重複を除いた日数で、会社が定める対象期間に合わせて数えます。
勤務日ごとに長さが違う場合は、上の設例のように同じ時間を掛けません。短時間勤務日や曜日別の勤務を含め、各日の所定時間を足します。会社全体の平均を、勤務条件の違うパートや時短勤務者へそのまま当てはめないようにします。
休日カレンダーと書類の確認表
給与集計の前に、誰の・どの期間の所定時間かをそろえます。下表は確認の手順例です。書類間で内容が食い違うときは、経理担当が推測で勤務条件を決めず、労務担当に適用関係を確認します。
| 確認するもの | 見る箇所 | 集計で防ぐ取り違え |
|---|---|---|
| 本人の労働条件 | 適用期間、始業・終業、休憩、勤務曜日 | 別の雇用区分・旧契約の時間を使う |
| 就業規則・勤務制度 | 休日の定め、交替勤務や時短勤務の適用 | 会社の標準勤務を本人にも適用する |
| 勤務カレンダー | 対象期間の所定労働日・所定休日 | 祝日や土曜を会社の定めを見ず休日とする |
| 日ごとの所定時間 | 短い勤務日・勤務パターンの違い | 日数に同じ時間を掛けて過大集計する |
| 給与集計の期間 | 暦月か、賃金締切期間か | 別の期間の所定日数と実績を比べる |
| 勤怠実績 | 出退勤・休憩、残業・休暇・欠勤の区分 | 実績の合計を所定時間として登録する |
始業・終業、休憩、休日などは、労働条件の明示事項です。根拠は労働基準法15条と同法施行規則5条です。書類の確認箇所は労働条件通知書の解説でも整理しています。
年次有給休暇を取った日や欠勤した日の実績は、契約上の所定勤務カレンダーとは別に記録します。所定日数からそれらを差し引いた実出勤日数を、年間所定時間の計算に使わないようにします。勤怠の修正手順はタイムカードの打刻漏れ・修正を参照できます。
当月の所定時間と月平均の使い分け
当月の所定時間は、その月に予定された勤務の合計です。月平均は、年間の所定時間を月数で平均した値です。当月の勤務予定が変わっても、年間から計算した月平均と一致するとは限りません。
月給制の割増賃金の時間単価では、月ごとに所定時間が異なる場合、年間の所定時間から求めた月平均を分母にします。各月の所定時間が同じ場合は、その月の所定時間が分母です(労働基準法施行規則19条)。
上の計算表では、月別の時間と月平均を別の行にしました。勤怠システムの「当月所定時間」と給与システムの「単価計算用の平均時間」が違っていても、名称だけで誤りとは判断できません。計算目的と算式を確認します。
この分母を、そのまま欠勤控除や途中入社の日割りにも使うとは限りません。給与規程の算式を確認し、欠勤控除・月途中の入退社の給与と分けて処理します。時間単価の対象賃金や端数処理は残業代の計算方法に譲ります。
残業代計算ツールで、所定時間と割増区分を確認する →所定を超えた残業をどう分けるか
所定時間を超えた分と、法定時間外労働は同じ範囲ではありません。一般の固定勤務制では、日と週の法定上限の両方を見て区分します。
以下は一般の固定勤務制で、週の特例対象・労働時間規定の適用除外を除いた区分です。法定休日の労働は、法内残業・法定時間外労働の行と分けて確認します。
| 区分 | 確認すること |
|---|---|
| 法内残業 | 所定を超えるが日・週の法定上限内の労働。通常の賃金と会社独自の上乗せを給与規程で確認 |
| 法定時間外労働 | 法定上限を超えた労働。法定の時間外割増の対象 |
| 法定休日・深夜の労働 | 法内残業かどうかとは別に割増の要否を判定 |
法内残業を「割増が付かないから無給」と扱うものではありません。法定休日・深夜の割増と契約上の定めも確認します。割増の根拠は労働基準法37条です。
ここで示すのは区分の確認までです。割増率の合算は残業代の計算方法、時間外労働の手続きは36協定の解説で扱っています。
シフト・変形制などを扱うときの範囲
日・週の法定時間の表は、一般の固定勤務制に範囲を絞りました。主な例外として、小規模な特定業種の週の特例、変形労働時間制、フレックスタイム制、労働時間規定の適用除外があります。
特例や適用除外の根拠は労働基準法施行規則25条の2、労働基準法41条・41条の2です。勤務条件だけで適法性を判断する記事ではありません。
シフト制では、本人の契約・勤務制度と確定した勤務表を照らして所定時間を集計します。シフト制という呼び名だけで、変形労働時間制が導入されているとは判断できません。総枠や割増の判定は変形労働時間制・フレックスタイム制の解説へ譲ります。
保険加入の判定には、制度ごとの所定時間の算出方法や、時間以外の要件があります。このページの月平均を、加入判定の週所定時間にそのまま読み替えないでください。社会保険の加入条件・雇用保険の加入条件で対象を確認できます。
よくある質問
休憩時間は所定労働時間に含めますか?
含めません。所定労働時間は雇用契約上の始業から終業までのうち、休憩を除いた時間です。残業時間も所定時間には加えません。
年休や欠勤があると月の所定時間は減りますか?
年休・欠勤の取得実績に合わせて、契約上の所定勤務カレンダー自体を減らすものではありません。実労働時間、休暇・欠勤の記録、賃金の計算を分けて扱います。
月平均所定労働時間と当月の所定時間は同じですか?
同じとは限りません。当月の所定時間はその月の勤務予定の合計、月平均は年間の所定時間を平均した値です。月給制で月ごとの所定時間が異なる場合、割増賃金の時間単価の分母には年間の月平均を使います。
パートや時短勤務者も会社の標準勤務時間で計算しますか?
本人に適用される勤務条件で計算します。会社の標準勤務と契約が異なるなら、その始終業・休憩・所定労働日を確認し、本人の所定時間を合計します。
出典
- 厚生労働省「労働時間制度等に関する実態調査(個人票)」参考資料・所定労働時間の用語説明
- e-Gov法令検索「労働基準法」(労働条件の明示、労働時間、割増賃金、適用除外)
- e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」(明示事項、割増賃金の計算、労働時間の特例)
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の労務相談への回答ではありません。実際の判断は労働基準監督署・社会保険労務士等にご確認ください。個別の税務・労務相談には応じられません。