償却資産申告書の書き方|台帳から種類別明細書・増減集計を作る
償却資産申告書は、固定資産台帳から種類別明細書を作り、その取得価額を本表へ集計する順で記入します。最初に、提出先の都税事務所への初回申告か継続申告か、どの所在地の資産をまとめるかを決めます。
この記事は、東京都主税局の令和8年度手引きと掲載様式による、東京23区の一般方式の記入例です。ほかの自治体では提出先の様式・手引きを使い、申告する年度の期限と運用を確認してください。
一般方式では、取得価額を記入し、評価額等の計算は都税事務所が行います。ソフトで作った書類でも、この一般方式で申告する場合があります。電子申告か紙かという提出方法とは別の区分です。
初回・継続申告で用意する書類
申告対象の資産を所在地ごとに整理します。申告の根拠条文は、地方税法383条です。知事・総務大臣が評価する一定の資産などは、この記事の対象から外します。
東京都の令和8年度一般方式でその都税事務所へ初めて申告する場合は、令和8年1月1日現在その区に所有する申告対象資産を、増加資産・全資産用の明細書に記入します。継続申告では、前回の申告控と今回の増減を照合します。
以下は東京都の令和8年度手引きによる一般方式の整理です。一般方式で増加と減少の両方があれば、それぞれの明細を用意します。
| 状況 | 用意する書類・確認すること |
|---|---|
| その都税事務所へ初めて申告する | 本表と増加資産・全資産用の明細書。申告対象資産の記入漏れを確認 |
| 継続申告で増加あり | 増加資産・全資産用の明細書を作り、本表の増加欄に集計 |
| 継続申告で減少あり | 紙では減少資産用の変更ページを提出し、本表の減少欄に集計 |
| 申告対象資産を保有・増減なし | 本表の備考に増減なしと記入。資産を保有していない場合の扱いは後の節を参照 |
作業資料として、前年の申告控、固定資産台帳、取得時の請求書・契約書、売却・廃棄・移動の記録を並べておくと照合しやすくなります。これは作業用の資料の例であり、すべてを申告書に添付するという意味ではありません。
台帳の決算残高をそのまま申告用の取得価額にしない点が大切です。対象資産の判定は償却資産税の対象と少額資産の扱い、帳簿の整備は固定資産台帳の記載項目で確認できます。
増加資産・全資産用の書き方
東京都の一般方式の増加明細では、所有者名・年度・枚数を記入し、資産ごとの欄に取得年月・取得価額・耐用年数などを書きます。東京都の令和8年度一般方式の継続申告では、令和7年1月2日から令和8年1月1日までの取得資産を記入し、同期間内に移動又は除却したものは除きます。
以前から所有し申告が漏れていた資産も記載し、摘要に申告もれ分であることを示します。初回は前の節の所有時点で対象を確認します。
以下は東京都の令和8年度一般方式の増加資産・全資産用の記入方法です。
| 明細書の欄 | 転記する情報・注意点 |
|---|---|
| 資産の種類・名称 | 申告上の資産区分を選び、名称は20文字以内で現物を識別できるものにする |
| 数量 | 今回申告する資産の数量を記入する |
| 取得年月 | 台帳の取得年月を確認。元日取得の記入上の扱いは下の注を参照 |
| 耐用年数 | 省令の年数を確認。中古の見積耐用年数や承認を受けた短縮耐用年数の適用時はその年数 |
| 増加事由・摘要 | 新品取得・中古品取得・移動による受入れ・その他を区別する |
東京都の令和8年度一般方式の記入方法では、1月1日取得の資産は、取得年月をその前年の12月として記入します。実際の取得日を台帳で書き換えるのではなく、提出様式での記入の扱いです。
申告取得価額は、付帯費用と圧縮額を含め、兼用資産は事業割合で按分せず、取得価額不明の居抜き購入・無償譲受けは見積り、消費税は税務上採用する経理方式で扱います。
増加事由で「その他」を選ぶ場合は、摘要に具体的な内容を書きます。移動受入れなら移動年月と移動元、合併による受入れなら合併の状況など、取得経緯を確認できる記録にします。記入欄の原本は東京都主税局の増加資産・全資産用の記入方法で確認できます。
減少資産用と一部売却の記入例
減少明細では、行番号単位で全部が減ったのか、一部が減ったのかを区別します。東京都の印字済み減少明細を紙で提出するときは、資産コードを削除・修正せず、内容を変更したページを提出します。
以下は東京都主税局の令和8年度一般方式の減少資産用の記入方法です。一部減少では摘要に減少した取得価額等を記入し、単なる修正では減少等の事由を「その他」として修正理由を書きます。
| 状況 | 異動区分・記入する内容 |
|---|---|
| 行番号単位で全部減少 | 異動区分は減少。売却・除却・移動・その他の事由と、具体的な内容を書く |
| 一部減少 | 異動区分は修正。旧数量・旧取得価額を抹消線で消し、欄内下段に減少後の残高を書く |
| 名称・取得年月などの修正 | 異動区分は修正。変更箇所に抹消線を引き、欄内下段へ正しい内容を書く。名称の修正も20文字以内 |
一部売却の公表例では、減少後の残高を数量・取得価額欄に書き、減った取得価額を摘要と小計へ反映しています。売却代金や売却損益を取得価額の代わりに書くものではありません。
東京都の令和8年度一般方式の公表例です。フォーム印刷機を一部売却した場合の数量と取得価額であり、売却代金ではありません。この売却の減少額を減少小計と本表の減少欄に反映します。
| 記入・確認するもの | 数量 | 取得価額 |
|---|---|---|
| 売却前の明細 | 3台 | 8,728,560円 |
| 売却した分(摘要で説明) | 2台 | 5,819,040円 |
| 減少後の欄内下段に記入 | 1台 | 2,909,520円 |
一部減少の摘要には、何をどれだけ減らしたか、減少した取得価額、売却先などの具体的な内容を記入します。全部減少の場合も、売却先や移動先等を摘要で伝えます。
耐用年数省令の改正による年数変更は、単なる入力訂正と記入欄が異なります。該当する場合は東京都主税局の減少資産用の記入方法の耐年改正の説明も確認してください。
本表へ取得価額を集計する
本表の取得価額は、資産の種類ごとに、前回申告の合計取得価額 − 減少した取得価額 + 増加した取得価額で集計します。帳簿価額や償却費を集計する欄ではありません。
以下は東京都主税局の令和8年度一般方式の本表です。印字済みのイ欄も前年控と照合します。申告もれ・移動受入れは、古い取得年でもハ欄へ入れる扱いです。
| 本表の欄 | 集計・照合するもの |
|---|---|
| イ:前年前に取得したもの | 前年度又は直近の申告書のニ欄と照合。異なる場合は備考に理由を書く |
| ロ:前年中に減少したもの | イ欄に含まれる資産のうち、前年中に減少した取得価額 |
| ハ:前年中に取得したもの | 今回新たに申告する取得価額。申告もれや移動による受入れも含む |
| ニ:計 | イからロを引き、ハを加えた取得価額 |
東京都の令和8年度一般方式の本表の公表例から、工具、器具及び備品の取得価額を抜き出しました。単位は円です。減少欄は空欄のため、この集計では減少額をゼロとして扱います。
| 本表の欄 | 取得価額 |
|---|---|
| イ:前回の取得価額計 | 3,750,000円 |
| ロ:減少(公表例は空欄) | 0円 |
| ハ:増加 | 2,035,900円 |
| ニ:申告する取得価額計 | 5,785,900円 |
この本表の例は、前回の取得価額計に増加取得価額を足した結果と一致します。減価償却による帳簿価額の減少は、このロ欄に含めません。
集計後は、増加明細を資産の種類ごとに足した額がハ欄、減少明細から集計した減少取得価額がロ欄に対応しているかを確認します。同じ資産を別の名称で重ねて登録していないかも、前年控と資産コードで確かめます。
東京都の一般方式では、本表の評価額・決定価格・課税標準額、増加資産明細の価額等の計算欄は記入しません。取得価額の欄は記入します。電算処理方式では全資産の評価額等も計算して申告するため、空欄の扱いを流用できません。
通常の決算用の減価償却計算と、固定資産税の評価額計算も区別します。決算用の減価償却費を計算する この計算機の帳簿価額を、申告書の取得価額や固定資産税の評価額へそのまま転記しないでください。
所有者情報・所在地・借用資産を書く
以下は東京都の令和8年度一般方式で、法人が単独所有の資産を申告する場合の確認表です。承認・特例等は、実際の適用状況と手引きの添付書類を確認して記入します。
| 項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 住所・名称 | 納税通知書の送付先、法人名、代表者氏名。印字済み内容に変更があれば修正 |
| 法人番号・事業の情報 | 法人番号、主な事業内容、資本金又は出資金、設立年月 |
| 申告に応答する者 | 経理担当などの部署・氏名・電話番号。税理士等が問い合わせ先ならそちらを記入 |
| 資産の所在地 | 提出先と同一区内にある事業所等の所在地。追加・変更、方書きも確認 |
| 借用資産 | リース・レンタル資産の有無。ある場合は貸主の名称・住所等を書く |
| 事業所用家屋 | 事業所用家屋がある場合に、自己所有・借家の区分と所在地欄の対応する番号 |
| 承認・特例等の有無 | 短縮耐用年数、増加償却、非課税、課税標準の特例、特別償却・圧縮記帳、償却方法、青色申告 |
本店住所と資産所在地が違う場合は、住所欄だけで提出先を決めないようにします。東京23区では資産が所在する区の都税事務所が提出先で、同一区内の複数事業所はまとめ、別の区の資産は区ごとに分けます。
共有資産は通常の法人単独の記入例と異なります。東京都の記入方法では、「代表者外○名」という共有名義で申告し、番号欄は記入せず、備考に共有者全員の住所・氏名を書きます。個人番号の本人確認についても、法人番号とは取扱いが違うため、該当者は手引きの個人番号・法人番号の説明を確認してください。
増減なし・資産なし・廃業の書き方
東京都の一般方式では、申告対象資産を保有していて増減がない場合は、本表に「増減なし」と記入して提出します。資産を所有しているが増減がない状態と、申告対象資産そのものがない状態を分けます。
以下は東京都の令和8年度手引きの一般方式に基づく備考の例です。「資産なし」の翌年度以降の扱いを、ほかの自治体にも共通の規則として使わないでください。
| 状況 | 備考と明細の対応 |
|---|---|
| 申告対象資産を保有・増減なし | 「増減なし」と記入する |
| 申告対象資産がない | 「該当資産なし」と記入。すでに同内容で申告済みで増加がないなら翌年度以降は申告不要 |
| 廃業した | 廃業年月とその旨を記入。全資産が減少した場合は減少の申告も行う |
| 区外移転・合併など | 移転先・移転時期や合併内容を伝え、資産の減少・受入れとの対応を確認 |
廃業の付記だけで、残っている資産の確認を終えないようにします。売却・廃棄・他区への移動を前年の明細と突き合わせ、減少した資産を特定します。法人化で関連する新法人を設立している場合は、備考に関連法人名等も付記します。
訂正と提出方法を確認する
印字内容の訂正と、提出済み申告の訂正を分けて扱います。印字済みの本表の住所・名称等は、抹消線を引いて余白に正しい内容を記入します。減少明細の資産情報の訂正は、前の節の修正欄を使います。
提出後に申告もれや入力誤りが判明したときは、提出先の償却資産班へ、対象年度・資産・誤った内容と正しい内容を伝えて訂正方法を確認します。東京都の手引きにも、申告もれ等が判明した場合の修正が説明されています。過年度の誤りを当年度の明細に書いて終わりにせず、対象年度の扱いも確認します。
東京23区の令和8年度償却資産申告の提出期限は、令和8年2月2日(月)でした。これは過去年度の記入例であり、翌年度の期限ではありません。提出する年度の手引きで、休日に当たる場合を含めた実際の期限を確認してください。
東京23区では、書類を窓口又は郵送で提出するほか、eLTAXで申告データを送信できます。電子申告を新しく利用する場合は、電子証明書等の取得と利用届出を済ませます。一般方式と電算処理方式のどちらで申告するかも確認します。
郵送で紙の控の返送を希望する場合は、控用の申告書と、返信先を明記して切手を貼った封筒を同封します。東京都の掲載様式を使うときは、コピーした控の欄外右上に「控」と書き、送付封筒に「償却資産申告書在中」と記入します。
東京都主税局の様式掲載ページは、東京23区の都税事務所で使用するものです。掲載様式には改正前の様式に準拠したものもあるため、ダウンロード時に同ページの使用可能な様式と経過措置を確認してください。
提出前の確認
- 一般方式では、前年控と台帳を照合し、増加・減少を種類別明細書に分ける。
- 本表は取得価額で集計し、簿価・売却代金・減少後の残高と取り違えない。
- 所在地、連絡先、備考、添付書類、提出する年度の期限を確認して提出する。
よくある質問
パソコンで作れば電算処理方式ですか?
いいえ。東京都の電算処理方式は、所有する申告対象資産の評価額等を事業者が計算して申告する方式です。パソコンで一般方式の書類を作ることや、eLTAXで一般方式の申告を送ることと区別します。
一部売却した資産は残った額と減った額のどちらを書きますか?
東京都の一般方式の減少明細では、一部減少は修正として、数量・取得価額欄の下段に減少後の残高を記入します。摘要には減少した取得価額等を書き、小計は減少額を集計します。
「該当資産なし」と申告済みでも毎年提出しますか?
東京23区では、すでに「該当資産なし」と申告し、その後に増加資産がなければ翌年度以降の申告は不要です。他自治体の運用は提出先で確認してください。
過去の申告もれ資産は前年前の欄に足しますか?
東京都の一般方式の本表では、申告もれや移動による受入れの取得価額はハ欄に記入します。増加明細の摘要にも経緯を書き、過年度分の訂正方法は提出先に確認します。
評価額や課税標準額は空欄でよいですか?
東京都の一般方式では、本表の評価額・決定価格・課税標準額と増加明細の価額等の計算欄は記入しません。取得価額は記入します。電算処理方式では評価額等も計算して申告します。
出典
- e-Gov法令検索「地方税法」383条
- 東京都主税局「令和8年度 固定資産税(償却資産)申告の手引き」
- 東京都主税局「固定資産税(償却資産)申請様式」:第26号様式・別表のダウンロード、使用範囲と経過措置。
- 東京都主税局「償却資産申告書の記入方法」一般方式
- 東京都主税局「種類別明細書(増加資産・全資産用)の記入方法」
- 東京都主税局「種類別明細書(減少資産用)の記入方法」
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の税務・労務相談には応じられません。個別の判断は提出先の自治体・税理士にご確認ください。