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固定資産台帳の記載項目と保存期間|帳簿・償却明細・償却資産申告の違い

結論から言うと、固定資産台帳とは、建物・機械・車両・パソコンなどの減価償却資産を1件ずつ1行にして、取得年月日・取得価額・耐用年数・償却方法・当期の償却費・期末の帳簿価額を追いかける帳簿です。仕訳帳や総勘定元帳が「金額の動き」を勘定科目ごとに集計するのに対し、固定資産台帳は「物」の側から、買った日から除却・売却する日までの一生を記録します。

青色申告法人について、施行規則54条は仕訳帳・総勘定元帳その他必要な帳簿と、別表二十四の取引記録を求めています。別表二十四(八)は区分別の取引記録、施行令63条は償却費計算明細、地方税法383条は償却資産の所在・取得価額等の申告を求め、対象者・事項・添付方法は異なります。国税庁No.5930は備え付ける帳簿の例に固定資産台帳を挙げています。

この記事は、①法令の中の「固定資産台帳」の位置、②3つの法令が要求する記載項目の一覧、③パソコン240,000円の記載例、④法人と個人で列が1本違う理由、⑤償却資産の申告との関係、⑥保存期間、⑦電子帳簿保存法、⑧決算書・申告書とのつながり、⑨運用のコツ、の順で整理します。減価償却そのものの計算(定額法・定率法・耐用年数)は減価償却とはと耐用年数の引き方に、10万円・20万円・40万円の判定は少額減価償却資産と一括償却資産に譲ります。

固定資産に関する帳簿記録・償却明細・申告の規定

ここで確認する施行規則54条は、仕訳帳・総勘定元帳その他必要な帳簿を規定しています。施行規則54条は青色申告法人に仕訳帳・総勘定元帳その他必要な帳簿を備え、別表二十四の事項を記載するよう求めています。

青色申告法人は、全ての取引を借方及び貸方に仕訳する帳簿(次条において「仕訳帳」という。)、全ての取引を勘定科目の種類別に分類して整理計算する帳簿(次条において「総勘定元帳」という。)その他必要な帳簿を備え、別表二十四に定めるところにより、取引に関する事項を記載しなければならない。

その別表二十四の(八)が「減価償却資産に関する事項」で、ここに書かれている記載事項が、固定資産台帳の列の原型です。

耐用年数省令に定める耐用年数の異なるものについてはその異なるごとに区分し、それぞれ、その取引の年月日、事由、相手方、数量及び金額

つまり法律が求めているのは「固定資産台帳という帳面」ではなく、減価償却資産を種類・構造・細目と耐用年数ごとに区分して、年月日・事由・相手方・数量・金額を記録することです。別表二十四(八)は種類・構造・細目・耐用年数等で区分し、取引年月日・事由・相手方・数量・金額を記録するよう求めています。それが固定資産台帳です。

償却費の計算明細と償却資産の申告は、取引記録とは別の規定です。施行令63条1項は内国法人の期末保有資産について償却費の損金経理額(所定のリース損金経理額を除く)がある場合に計算明細の添付を求め、2項には区分別合計額の書類添付と明細保存による代替があります。

内国法人は、各事業年度終了の時においてその有する減価償却資産につき償却費として損金経理をした金額(第百三十一条の二第三項(リース取引の範囲)の規定により償却費として損金経理をした金額に含まれるものとされる金額を除く。)がある場合には、当該資産の当該事業年度の償却限度額その他償却費の計算に関する明細書を当該事業年度の確定申告書に添付しなければならない。

383条は納税義務のある償却資産所有者(知事・総務大臣評価等の所定資産の所有者を除く)に、1月1日の所在・種類・数量・取得時期・取得価額・耐用年数・見積価額等を原則1月31日までに所在地の市町村長へ申告するよう求めます。

固定資産税の納税義務がある償却資産の所有者(第三百八十九条第一項の規定によつて道府県知事若しくは総務大臣が評価すべき償却資産又は第七百四十二条第一項若しくは第三項の規定によつて道府県知事が指定した償却資産の所有者を除く。)は、総務省令の定めるところによつて、毎年一月一日現在における当該償却資産について、その所在、種類、数量、取得時期、取得価額、耐用年数、見積価額その他償却資産課税台帳の登録及び当該償却資産の価格の決定に必要な事項を一月三十一日までに当該償却資産の所在地の市町村長に申告しなければならない。

取引年月日・相手方等の帳簿記録、償却限度額等の計算明細、所在・見積価額等の申告には、それぞれ固有の事項があります。各制度が求める記録を分けて確認し、固定資産台帳等の帳簿を整えます。国税庁タックスアンサー No.5930(帳簿書類等の保存期間)も、法人が備え付ける帳簿の例として「総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳など」を挙げており、法令に語が無くても税務の現場では帳簿の1つとして数えられています。

白色申告でも台帳に相当する記録は要る 法人税法150条の2第1項は青色以外の法人にも帳簿の備付けと簡易な方法による記録を命じ、所得税法232条1項は青色以外の個人事業主に「総収入金額及び必要経費に関する事項」の記録を命じています。減価償却費は必要経費なので、取得価額・耐用年数・償却費を資産ごとに追える記録が無いと計算できません。青色申告の特典を受けていなくても、固定資産台帳に当たる記録は必要です。

記載項目の一覧 — 3つの法令の要求を1枚に重ねる

法人税法施行規則 別表二十四(八) 帳簿の記載事項(青色申告法人) 法人税法施行令63条 → 償却計算明細 償却限度額の明細書(申告書に添付) 地方税法 383条 償却資産の申告(1月31日・市町村) 固定資産台帳(1資産=1行) 資産名・種類/構造・細目 ・ 所在(設置場所) 取得年月日 ・ 事業供用日 ・ 相手方 ・ 数量 取得価額 ・ 耐用年数 ・ 償却方法 ・ 償却率 期首帳簿価額 ・ 当期償却費 ・ 期末帳簿価額 法人の損金経理額と償却限度額 取引年月日・事由・数量・金額 → 別表十六・償却資産申告書・附属明細書をここから出す
帳簿記録・償却明細・地方税申告は必要事項が異なる。固定資産台帳はその共通の器。

条文ごとに要求している項目を並べると、次の表になります。「台帳の列」はそれを実務の見出しに直したものです。

台帳の列法人税法施行規則 別表二十四(八)法人税法施行令63条(償却計算明細)地方税法383条
資産の種類・構造・細目種類の区分(構造・用途・細目を含む)ごとに区分種類ごと・償却方法ごとの区分(63条2項)種類
耐用年数耐用年数の異なるごとに区分償却率の基礎耐用年数
取得年月日(事業供用日)取引の年月日59条の定額法・定率法等は供用日から月数按分取得時期
事由・相手方事由、相手方——
数量数量—数量
取得価額金額償却限度額の計算の基礎取得価額
所在(設置場所)——所在
償却方法・償却率・当期償却費・期末帳簿価額—(決算で必要)償却限度額その他償却費の計算地方税は取得年月・取得価額・耐用年数等で別に評価

別表二十四(八)は種類・構造・細目や耐用年数の違いで区分します。細目が異なっても耐用年数が同じ場合があり、事務机と応接セットの「その他のもの」はともに8年です。減価償却資産の範囲は法人税法2条23号が定めています。

建物、構築物、機械及び装置、船舶、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で償却をすべきものとして政令で定めるものをいう。

受けた法人税法施行令13条は1号から9号までの9つの号で範囲を列挙しています(土地は入りません。土地は減価しないので償却せず、固定資産台帳には載せても償却費の列は空欄になります)。

記載例 — パソコン240,000円・定額法4年・令和8年7月に事業供用

個人事業主(青色申告)が令和8年7月1日に業務用パソコンを240,000円(送料込み)で購入し、同日から事業に使い始めた場合で、台帳の行を作ってみます。

当該資産につきこれらの方法により計算した前条の規定によるその年分の償却費の額に相当する金額を十二で除し、これに当該業務の用に供された日からその年十二月三十一日(その者が年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡又は出国の日。以下この項において同じ。)までの期間の月数を乗じて計算した金額
年分期首帳簿価額計算本年分の償却費期末帳簿価額備考
令和8年240,000240,000×0.250×6/1230,000210,0007月1日供用・6か月
令和9年210,000240,000×0.25060,000150,000
令和10年150,000240,000×0.25060,00090,000
令和11年90,000240,000×0.25060,00030,000
令和12年30,00030,000−129,9991備忘価額1円を残して償却終了

台帳の行としては、これに資産名(ノートパソコン)・種類(器具及び備品/電子計算機)・取得年月日(令和8年7月1日)・相手方(○○電機)・数量(1)・所在(事務所)・取得価額(240,000)・耐用年数(4)・償却方法(定額法)・償却率(0.250)が付き、年ごとの償却費と期末帳簿価額が右へ伸びていきます。償却費の合計は 30,000+60,000×3+29,999=239,999 で、取得価額 240,000 から1円を引いた額に一致します。

個人の少額特例は供用年に必要経費算入 令和8年4月1日以後取得分は40万円未満で、青色申告の対象中小事業者・従業員400人以下、10万円未満等や非主要業務の貸付資産の除外、明細書添付が条件です。年300万円は開廃業年には月割となり、取得・供用期限は令和11年3月31日です。
定額法・定率法で毎年の償却費と期末帳簿価額を一覧にする(減価償却費の計算機)

法人と個人では償却費の算入基準が異なる

法人は損金経理額と償却限度額を区別します。法人税法31条では損金経理額のうち償却限度額までが損金です。理由は条文の書き方の違いにあります。法人税法31条1項は、損金になる償却費を、損金経理をした金額のうち償却限度額に達するまでの金額と定めています。

内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につきその償却費として第二十二条第三項(各事業年度の所得の金額の計算の通則)の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は、その内国法人が当該事業年度においてその償却費として損金経理をした金額(以下この条において「損金経理額」という。)のうち、その取得をした日及びその種類の区分に応じ、償却費が毎年同一となる償却の方法、償却費が毎年一定の割合で逓減する償却の方法その他の政令で定める償却の方法の中からその内国法人が当該資産について選定した償却の方法(償却の方法を選定しなかつた場合には、償却の方法のうち政令で定める方法)に基づき政令で定めるところにより計算した金額(次項において「償却限度額」という。)に達するまでの金額とする。

法人は会計上いくら償却するかを自分で決め(損金経理額)、税務上はその額と限度額の小さい方が損金になります。普通償却の不足額はその期の損金に算入されませんが、特別償却には不足額の翌年度繰越が認められる場合があります。償却超過額は後年度の償却限度額等に従って扱います。法人の償却費計算では、会計上の償却費と税務上の償却限度額を区別して確認します。

一方、所得税法49条1項は、個人の必要経費になる償却費を「政令で定めるところにより計算した金額」と定めています。

居住者のその年十二月三十一日において有する減価償却資産につきその償却費として第三十七条(必要経費)の規定によりその者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、その取得をした日及びその種類の区分に応じ、償却費が毎年同一となる償却の方法、償却費が毎年一定の割合で逓減する償却の方法その他の政令で定める償却の方法の中からその者が当該資産について選定した償却の方法(償却の方法を選定しなかつた場合には、償却の方法のうち政令で定める方法)に基づき政令で定めるところにより計算した金額とする。

「損金経理をした金額のうち」という限定が無いので、個人は計算した金額がそのまま必要経費になり、償却しない・少なく償却するという選択はありません(いわゆる強制償却)。個人は所得税法49条による償却費の計算額を確認します。

法人個人事業主
償却費の損金・必要経費算入損金経理額のうち償却限度額まで(法人税法31条1項)計算した金額(所得税法49条1項)
償却するかどうか会計上の判断(限度額の範囲で任意)選択なし(計算どおり)
法定償却方法(器具備品・機械など。平成19年4月1日以後取得)定率法(法人税法施行令53条2号イ)定額法(所得税法施行令125条2号イ)
台帳の償却費の列会計上の償却費+税務上の償却限度額+超過/不足額1本
税務署に出す明細別表十六(法人税法施行令63条)青色申告決算書「減価償却費の計算」欄(所得税法149条)

一般用の建物(平成19年4月1日以後取得)と建物附属設備・構築物(平成28年4月1日以後取得)は定額法ですが、鉱業用資産・リース資産等には別の規定があります。法定償却方法の違いは、会計ソフトが台帳に資産を登録するときの初期値にも現れるので、法人と個人で設定が違うことを知っておくと登録ミスを防げます。

償却資産の申告は台帳から作る — 1月31日・少額特例の資産は申告対象に残る

固定資産税は土地・家屋だけでなく、事業に使う機械・器具備品・構築物などの「償却資産」にもかかります。地方税法341条4号の定義は、減価償却費が法人税法・所得税法で損金・必要経費になる資産です。

土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産(鉱業権、漁業権、特許権その他の無形減価償却資産を除く。)でその減価償却額又は減価償却費が法人税法又は所得税法の規定による所得の計算上損金又は必要な経費に算入されるもののうちその取得価額が少額である資産その他の政令で定める資産以外のもの(これに類する資産で法人税又は所得税を課されない者が所有するものを含む。)をいう。

毎年1月1日現在の償却資産を1月31日までに市町村へ申告するのが383条で、申告事項は前掲のとおり所在・種類・数量・取得時期・取得価額・耐用年数・見積価額です。固定資産台帳の列そのものなので、実務では台帳から前年中に増えた資産・減った資産を拾って申告書(増加資産・減少資産の明細)を作ります。

ここで間違えやすいのが、「経費で落とした資産は申告しなくてよい」という思い込みです。地方税法施行令49条は、法人税法施行令133条・133条の2又は所得税法施行令138条・139条により損金・必要経費に算入する資産を除外します。取得時だけでなく供用等の各要件が必要です。少額でも個別に減価償却する資産は対象です。

法第三百四十一条第四号に規定する政令で定める資産は、法人税法又は所得税法の規定による所得の計算上、法人税法施行令第百三十三条第一項若しくは第百三十三条の二第一項又は所得税法施行令第百三十八条第一項若しくは第百三十九条第一項の規定によりその取得価額(法人税法施行令第五十四条第一項各号又は所得税法施行令第百二十六条第一項各号若しくは第二項の規定により計算した価額をいう。以下この条において同じ。)の全部又は一部が損金又は必要な経費に算入される資産とする。

ここに租税特別措置法28条の2・67条の5(中小企業者等の少額減価償却資産の特例)は入っていません。特例で取得年に全額を損金にした資産は、国税では消えても償却資産税では申告対象に残ります。台帳の行を消さずに「措置法適用」と備考を付けておくのは、この申告のためです。

取得価額・処理国税(法人税・所得税)固定資産台帳償却資産の申告
10万円未満(法人税法施行令133条・所得税法施行令138条)供用年度・供用年に全額算入(損金経理・対象資産等の要件あり)載せなくてよい(管理目的で載せるのは可)対象外(施行令49条)
20万円未満を一括償却資産に(法人税法施行令133条の2・所得税法施行令139条)法人は合計額÷36×年度月数が損金経理額の上限、個人は3年各3分の1一括償却資産として別管理対象外(施行令49条)
40万円未満を措置法の少額特例で(28条の2・67条の5。令和8年4月1日以後取得)対象中小企業者等の供用年度・年に算入(300万円、短期年度・開廃業年は月割、明細等が必要)載せる(全額償却済みと明記)対象
通常の減価償却資産耐用年数で償却載せる土地家屋・無形資産・政令所定資産・自動車税及び軽自動車税対象は除く

償却資産税の税率や免税点(課税標準150万円未満)は償却資産税の記事に譲ります。台帳側で押さえるのは「申告の元データは台帳」「少額特例の資産は残す」の2点です。

保存期間 — 税法は7年、会社法は10年。起算日が3つとも違う

固定資産台帳は帳簿なので、帳簿の保存期間がそのまま当てはまります。ただし根拠法令によって年数と起算日が違います。

青色申告法人は、次に掲げる帳簿書類を整理し、起算日から七年間、これを納税地(第三号に掲げる書類にあつては、当該納税地又は同号の取引に係る国内の事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地)に保存しなければならない。
前項に規定する起算日とは、帳簿についてはその閉鎖の日の属する事業年度終了の日の翌日から二月(次の各号に掲げる事業年度にあつては、当該各号に定める月数。以下この項において同じ。)を経過した日をいい、書類についてはその作成又は受領の日の属する事業年度終了の日の翌日から二月を経過した日をいう。

青色申告法人の帳簿は原則7年で、起算日は閉鎖年度終了の翌日から原則2か月経過日(申告期限延長時は延長月数を加算、所定の清算年度は1か月)です。青色繰越欠損金等の生じた年度は10年ですが、平成30年4月1日前に開始した年度は9年です。個人の青色申告者の帳簿は所得税法施行規則63条により、閉鎖年の翌年3月15日の翌日から7年間保存します。

第一項及び第二項に規定する起算日とは、帳簿についてはその閉鎖の日の属する年の翌年三月十五日の翌日をいい、書類についてはその作成又は受領の日の属する年の翌年三月十五日の翌日をいう。

株式会社はこれとは別に会社法432条2項で、会計帳簿を閉鎖の時から10年保存する義務があります。株式会社の会社法上の10年は帳簿閉鎖時から、税法は各規定の起算日から数えるため、それぞれの保存期限を満たす必要があります。

株式会社は、会計帳簿の閉鎖の時から十年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならない。
根拠期間起算日
法人税法施行規則59条(青色申告法人)原則7年、青色繰越欠損金等の年度は10年(平成30年4月1日前開始は9年)年度終了翌日から原則2か月経過日(申告期限延長の月数加算、所定の清算年度は1か月)
所得税法施行規則63条(青色申告者)7年帳簿を閉鎖した年の翌年3月15日の翌日
会社法432条2項(株式会社)10年会計帳簿の閉鎖の時
保存期間は制度ごとの起算日から 税法では帳簿閉鎖当日からではなく、青色申告法人は閉鎖年度終了後の所定月数経過日、個人の青色申告者は閉鎖年の翌年3月15日の翌日から数えます。会社法の10年は帳簿閉鎖時からです。

電子帳簿保存法 — 国税関係帳簿の1つ。優良帳簿の範囲にも入る

会計ソフトや表計算で固定資産台帳を作っている場合、紙に打ち出して保存するか、データのまま保存するかは電子帳簿保存法の話になります。同法2条2号は「国税関係帳簿」を次のように定義しています。

国税関係帳簿(国税に関する法律の規定により備付け及び保存をしなければならないこととされている帳簿(輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律(昭和三十年法律第三十七号)第十六条第十一項(保税工場等において保税作業をする場合等の内国消費税の特例)に規定する帳簿を除く。)をいう。以下同じ。)

法人税法126条・所得税法148条が備付け・保存を命じる帳簿のうち、減価償却資産に関する事項を記載するものが固定資産台帳なので、固定資産台帳は国税関係帳簿の1つです(No.5930 が帳簿の例として挙げているのもその意味です)。自分で最初から一貫して電子計算機で作成しているなら、電子帳簿保存法4条1項により、一定の要件を満たせばデータのまま保存できます。

さらに、過少申告加算税が5%軽減される「優良な電子帳簿」(電子帳簿保存法8条4項)の対象になる帳簿の範囲を定めた電子帳簿保存法施行規則5条1項は、仕訳帳・総勘定元帳に加えて「その他必要な帳簿」を列挙しており、その中に減価償却資産に関する事項が入っています。

同条第二十三号に規定する減価償却資産に関する事項、同条第二十四号に規定する繰延資産に関する事項

つまり優良帳簿の軽減を受けるには、仕訳帳・総勘定元帳だけでなく、固定資産台帳(と繰延資産台帳)も要件を満たした電子帳簿として備え付けている必要があります。索引簿・検索要件の考え方は電子帳簿保存法をわかりやすくを参照してください。

電子帳簿保存法の帳簿保存要件を確認する

決算書・申告書とのつながり — 附属明細書・別表十六・青色申告決算書

固定資産台帳は、決算と申告で3つの書類の元になります。

①株式会社の附属明細書。 会社計算規則117条は、計算書類の附属明細書に「有形固定資産及び無形固定資産の明細」を表示するよう求めています。括弧書きで公開会社以外の株式会社は1号から3号までとされており、非公開の小さな株式会社でも1号の固定資産の明細は省略できません。

各事業年度に係る株式会社の計算書類に係る附属明細書には、次に掲げる事項(公開会社以外の株式会社にあっては、第一号から第三号に掲げる事項)のほか、株式会社の貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表の内容を補足する重要な事項を表示しなければならない。
有形固定資産及び無形固定資産の明細

金融商品取引法の開示書類では、財務諸表等規則121条1項2号の「有形固定資産等明細表」が同じ役割です。会社計算規則117条と財務諸表等規則121条が、それぞれの明細の事項・種類を定めています。

②法人税申告書の別表十六。 前掲の法人税法施行令63条1項の明細書で、定額法は別表十六(一)、定率法は別表十六(二)、少額減価償却資産の特例は別表十六(七)、一括償却資産は別表十六(八)と、償却方法ごとに様式が分かれています。63条2項により、種類ごと・償却方法ごとの合計額を記載した書類を添付し明細書本体を保存していれば、明細書の添付を省略できます。

③青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄。 個人は所得税法149条で青色申告書に貸借対照表・損益計算書などの明細書を添付することになっており、その様式である青色申告決算書(一般用)の3ページ目に「減価償却費の計算」欄があります。令和7年分青色申告決算書の書き方には、取得価額・償却基礎額・方法・耐用年数・率・期間・普通償却費・必要経費算入額・未償却残高等の記入欄が示されています。

作り方と運用 — 登録のタイミング、取得価額の中身、除却の行

台帳の様式は法令で決まっていないので、会計ソフトの固定資産機能でも表計算でも構いません。取得・譲渡・取壊し等の取引記録を確認します。

(1)登録は「取得日」、償却の開始は「事業供用日」。 所得税法施行令132条1項1号・法人税法施行令59条1項1号の月数按分はどちらも「業務(事業)の用に供した日」からです。買っただけで箱のまま倉庫にある資産は、台帳には載せますが償却は始まりません。取得年月日と事業供用日は別の列にしておくと、年度末に買って翌期から使う資産で迷いません。

(2)取得価額には付随費用を含める。 所得税法施行令126条1項1号(法人は法人税法施行令54条1項1号)は、購入した減価償却資産の取得価額を購入代価に引取運賃などを加えた額と、業務の用に供するために直接要した費用の合計と定めています。

当該資産の購入の代価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税(関税法第二条第一項第四号の二(定義)に規定する附帯税を除く。)その他当該資産の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)
当該資産を業務の用に供するために直接要した費用の額

送料・設置費・据付工事費は本体と合わせて1行の取得価額にします。本体だけを台帳に登録し、送料を「荷造運賃」で経費にしてしまうのは、10万円・20万円・40万円の判定をずらす典型的な誤りです。

(3)除却・売却は行を消さず、減少の行を足す。 別表二十四(八)に従い、譲渡・取壊し等の年月日・事由・相手方・数量・金額を記録します。減少資産の申告に備えて、譲渡・取壊し等の記録を確認します。

(4)補助金・圧縮記帳・特別償却は備考に残す。 圧縮記帳には帳簿価額を直接減額する方法と積立金方式があり、帳簿上の価額の扱いは方法により異なります。地方税の取得価額は申告先の案内で別に確認します。特別償却や措置法の少額特例を使った資産も、何条をどの年度に適用したかを備考に書いておくと、税務調査や翌年度の担当者交代で説明に困りません。補助金側の処理は補助金で買った固定資産の減価償却にまとめています。

(5)リース資産も台帳に載せる。 法人税法64条の2のリース取引は引渡時の売買とされます。平成20年4月1日以後契約の所有権移転外リース資産はリース期間定額法を基本とし、経過リース期間定額法等の適用も確認します。賃借料として処理していても償却費の扱いになるので、台帳には「リース資産」の区分で取得価額(リース料総額)・リース期間・償却費を載せます。条文の作りと令和7年度改正はリース取引の税務にまとめています。

表計算で作るときの最低限の列理由(どの法令の要求か)
資産番号・資産名・種類/構造・細目別表二十四(八)の種類の区分・383条の種類
取得年月日・事業供用日・相手方・数量別表二十四(八)・383条の取得時期
取得価額(付随費用込み)別表二十四(八)の金額・所得税法施行令126条/法人税法施行令54条
耐用年数・償却方法・償却率別表二十四(八)の耐用年数区分・施行令63条の償却明細
期首帳簿価額・当期償却費・期末帳簿価額(法人は償却限度額・超過/不足額も)法人税法31条・所得税法49条の償却費計算
所在(設置場所)地方税法383条
減少(除却・売却)の年月日と金額・備考(特例・圧縮記帳)償却資産申告の減少資産・別表十六との整合

よくある質問

固定資産台帳とは何ですか?

国税庁No.5930が帳簿の例に挙げるものです。減価償却資産の取引は、青色申告法人では施行規則別表二十四(八)の区分と記載事項に従って記録します。施行規則54条の仕訳帳は借方・貸方への仕訳、総勘定元帳は勘定科目別の整理計算を行う帳簿です。法人税法施行規則 別表二十四(八)の帳簿記載事項、法人税申告書の別表十六、地方税法383条の償却資産申告の元データになります。

固定資産台帳は法律で作成が義務づけられていますか?

青色申告法人には施行規則54条の帳簿と別表二十四の事項の記録が求められます。ただし法人税法施行規則54条と別表二十四(八)が、減価償却資産を種類・耐用年数ごとに区分して年月日・事由・相手方・数量・金額を記録するよう求めており、これを資産ごとに行う帳簿が固定資産台帳です。国税庁タックスアンサー No.5930 も法人が備え付ける帳簿の例として固定資産台帳を挙げています。白色申告でも法人税法150条の2・所得税法232条で帳簿の備付けが必要で、減価償却費を計算するには台帳に当たる記録が要ります。

固定資産台帳に書く項目は何ですか?

青色申告法人は別表二十四(八)の種類・構造・細目・耐用年数等の区分ごとに、取引年月日・事由・相手方・数量・金額を記録します。法人では損金経理額と償却限度額も区別して計算します。帳簿の取引記録、償却費計算明細、償却資産の申告事項は異なる規定であり、各要件を別に確認します。

10万円未満や一括償却資産も固定資産台帳に載せますか?

10万円未満等の即時算入は供用年度・供用年が基準です。一括償却資産にも計算書類保存・明細添付等が必要で、通常の個別償却をしないことだけで記録不要にはなりません。どちらも地方税法施行令49条で償却資産の申告対象から除かれています。少額特例(令和8年4月1日以後取得分は40万円未満)の適用資産は、その適用だけでは地方税法施行令49条の除外にならず、償却資産申告の要件を別に確認します。

固定資産台帳は何年保存しますか?

青色申告法人の帳簿は原則7年で、起算日は閉鎖年度終了の翌日から原則2か月経過日(申告期限延長時は延長月数を加算、所定の清算年度は1か月)です。青色繰越欠損金等の年度は10年(平成30年4月1日前開始は9年)。個人の青色申告者の帳簿は閉鎖年の翌年3月15日の翌日から7年です。株式会社は会社法432条2項で会計帳簿を閉鎖の時から10年保存する義務があるので、固定資産台帳も10年保存になります。毎年度の台帳がそれぞれ保存対象です。

固定資産台帳と償却資産の申告はどう関係しますか?

地方税法383条は、償却資産の所有者に毎年1月1日現在の資産の所在・種類・数量・取得時期・取得価額・耐用年数・見積価額を1月31日までに市町村へ申告させます。これは固定資産台帳の列そのものなので、台帳から前年中の増加資産と減少資産を拾って申告書を作ります。除却等による減少を償却資産申告に反映するため、減少の記録を確認します。

法人と個人事業主で固定資産台帳の作り方は違いますか?

償却費の税務上の算入基準が違います。法人税法31条1項は損金経理額のうち償却限度額までを損金とし、施行令63条は計算明細の添付等を求めています。個人は所得税法49条1項に従って計算した償却費を必要経費に算入します。法定償却方法は取得時期と資産種類により異なり、旧定額法・旧定率法や鉱業用資産等の別規定も確認します。

固定資産台帳を会計ソフトやエクセルで作ったデータのまま保存できますか?

できます。固定資産台帳は電子帳簿保存法2条2号の国税関係帳簿に当たり、自分で最初から一貫して電子計算機で作成しているものは同法4条1項の要件を満たせばデータのまま保存できます。さらに過少申告加算税が5%軽減される優良な電子帳簿(同法8条4項)の対象帳簿には、電子帳簿保存法施行規則5条1項で「減価償却資産に関する事項」の帳簿、つまり固定資産台帳が含まれているので、軽減を受けるには仕訳帳・総勘定元帳だけでなく固定資産台帳も要件を満たす必要があります。

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出典

法人税法・同施行令・同施行規則・所得税法・同施行令・同施行規則・租税特別措置法・地方税法・同施行令・会社法・会社計算規則・財務諸表等規則・電子帳簿保存法・同施行規則・減価償却資産の耐用年数等に関する省令をe-Gov法令検索で確認し、国税庁タックスアンサー No.5930・No.2080、令和7年分 青色申告決算書の書き方(国税庁PDF)の原文で確認して執筆。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。

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