特定求職者雇用開発助成金とは — 令和8年度の4コース・支給額と、紹介・支給対象期・申請期限の決まり
結論から言うと、特定求職者雇用開発助成金(特開金)は、就職が特に困難な人をハローワーク等の紹介で、継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主に、半年ごとに分けて支給される厚生労働省の助成金です(雇い方の要件はコースごとに本文で)。令和8年度のコースは4つあります。
職業紹介によらない直接募集や求人サイトで採用した人は対象外です。申請は支給対象期(6か月)ごとに、期限内に行います(期限と例外は「支給対象期と申請期限」の節)。
令和8年度の4コース(早見表)
令和8年度の特開金は、対象になる人の違いで4コースに分かれます。
表は厚生労働省の令和8年度パンフレット(令和8年4月8日時点)の要約です。額は対象労働者ごとの総額の上限です(雇い方の要件はコースごとに異なります)。各期の支給額はその期の労働に対して支払った賃金額(臨時の賃金・3か月を超える期間ごとの賃金を除く)が上限です。〔 〕内は中小企業以外の額、短時間労働者は、週の所定労働時間が通常の労働者より短く20時間以上30時間未満の人です。
| コース | 主な対象者 | 支給額(中小企業) |
|---|---|---|
| 特定就職困難者 | 就職が特に困難な人(区分と要件は次の節) | 40万〜240万円〔30万〜100万円〕。区分は次の節 |
| 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発 | 発達障害者、難病患者 | 120万円〔50万円〕、短時間労働者80万円〔30万円〕 |
| 中高年層安定雇用支援 | 35歳以上60歳未満で、直近5年の正規雇用等が通算1年以下かつ直前1年は無し、紹介時に失業中か非正規で個別支援を受け、正規雇用を望む人(自営業者等は除く) | 60万円〔50万円〕。正規雇用(短時間労働者を除く)で雇う場合 |
| 生活保護受給者等雇用開発 | 自治体からハローワークに就労支援の要請があった生活保護受給者等 | 60万円〔50万円〕、短時間労働者40万円〔30万円〕 |
- 成長分野等人材確保・育成コースは、令和7年度限りで廃止されました。発達障害者等コースのページには、未経験者に訓練と賃金引上げを行うと1.5倍支給との案内が残っていますが、案内先はこの廃止されたコースです。
- 中小企業かどうかは、業種ごとの資本金・出資の総額か常時雇用する労働者の数のどちらかで決まります(例: 小売業(飲食店を含む)は5,000万円以下または50人以下、その他の業種は3億円以下または300人以下)。
特定就職困難者コースの支給額
特定就職困難者コースの1人あたりの総額の上限は、対象労働者の区分・短時間労働者かどうか・中小企業かどうかで決まり、支給対象期(6か月)ごとに分けて払われます。
表は厚生労働省のコースのページ(令和8年度)の支給額表で、対象労働者1人あたりの額の上限です。各期の支給額はその期の労働に対して支払った賃金額(臨時の賃金・3か月を超える期間ごとの賃金を除く)が上限で、最低賃金の減額の特例の許可を受けた場合は別の計算になります(下の注)。〔 〕内は中小企業以外の額と助成対象期間です。短時間労働者は、週の所定労働時間が通常の労働者より短く20時間以上30時間未満の人で、上の3行は短時間労働者以外の人です。
| 対象労働者 | 総額 | 助成対象期間 | 支給対象期ごと |
|---|---|---|---|
| 短時間労働者以外: 60歳以上の高年齢者、母子家庭の母等 | 60万円〔50万円〕 | 1年〔1年〕 | 30万円×2期〔25万円×2期〕 |
| 短時間労働者以外: 身体・知的障害者(重度障害者等を除く) | 120万円〔50万円〕 | 2年〔1年〕 | 30万円×4期〔25万円×2期〕 |
| 短時間労働者以外: 重度障害者等 | 240万円〔100万円〕 | 3年〔1年6か月〕 | 40万円×6期〔33万円×3期。第3期だけ34万円〕 |
| 短時間労働者: 60歳以上の高年齢者、母子家庭の母等 | 40万円〔30万円〕 | 1年〔1年〕 | 20万円×2期〔15万円×2期〕 |
| 短時間労働者: 身体・知的・精神障害者(重度障害者等を含む) | 80万円〔30万円〕 | 2年〔1年〕 | 20万円×4期〔15万円×2期〕 |
「重度障害者等」は、重度の身体・知的障害者、雇入れ日の満年齢が45歳以上の身体・知的障害者、精神障害者をいいます。
- 支給対象期ごとの支給額は、その期に対象労働者の労働に対して支払った賃金額(臨時の賃金と3か月を超える期間ごとの賃金を除く)が上限です。
- 最低賃金の減額の特例の許可を受けている場合は、支払った賃金(臨時の賃金などを除く)に区分と企業規模ごとの助成率を掛けた額になります(上限や減額の計算は支給要領0301・0302)。
- 実労働時間が所定労働時間より著しく短い場合などは、減額されることがあります。
対象になる人と、60歳以上の要件の見直し
対象は、採用日の満年齢が65歳未満の人です(60歳以上の高年齢者の区分と、就職促進手当等の支給対象者は例外)。
60歳以上の高年齢者は、令和8年5月1日以降に紹介された人から、紹介日にハローワーク等で就労に向けた個別支援を受けていることが要件に加わりました。同日より前に紹介された人は、雇入れ時に60歳以上であることが要件です。
母子家庭の母等の区分には、父子家庭の父、中国残留邦人等永住帰国者、北朝鮮帰国被害者等、アイヌの人々、ウクライナ避難民、補完的保護対象者なども、それぞれの要件を満たせば入ります。
雇用関係助成金の一覧(厚生労働省の制度名と公式ページ)を見る紹介による雇入れが要件
特開金は、事業主が就職困難者の雇入れを決めるきっかけとして設けられた助成金です。そのため支給要領は、特定就職困難者コースの対象者であることを明示した職業紹介による雇入れを要件にしています。
紹介できるのは、ハローワーク、地方運輸局(船員として雇う場合)、雇用関係給付金の取扱いの同意書を出した特定地方公共団体や有料・無料の職業紹介事業者等です。同意している事業者は、厚生労働省の取扱事業者一覧で確かめられます。
次の採用は、厚生労働省の事業主向けQ&Aで対象外とされています。
- 職業紹介によらない求人サイトや直接募集で採用した(ハローワークのオンライン自主応募も対象外)
- 直接募集の応募があった後に、形だけ職業紹介を受けた
- 助成金の対象者と知らずに雇い、後から対象者だと分かった
- A社が紹介を受けた人を、別のB社が雇った
求人を出す前に、ハローワーク等へ「特開金の対象者の紹介を受けたい」と伝えておくのが確実です。紹介の前に選考を始めていた人も対象外です(下の「支給されない主な場合」)。
継続して雇用する労働者として雇う
特定就職困難者コースでは、雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れ、継続して雇用することが確実と認められる必要があります。
継続して雇用するとは、正規雇用・無期雇用・本人が望む限り更新できる有期雇用のいずれかで、65歳以上に達するまで、かつ継続して2年以上(短時間労働者以外の重度障害者等は3年以上)雇用することです。
- 有期雇用: 本人が望む限り更新できる「自動更新」の契約で、就業規則の解雇事由を超える更新条件が無いものだけが対象で、雇用契約書に自動更新と書く必要があります。
- 自動更新でも対象外になる場合: 更新の条件に、就業規則の解雇事由を超えるものが付いている場合です。勤務成績で更新を判断する契約も対象外です。
- 試用期間: 試用期間があるだけでは対象外になりません。第1期の申請時にまだ試用期間中の場合や、試用期間と本採用で契約が別の場合などは対象外です。
支給対象期と申請期限
支給は、起算日から6か月ごとに区切った「支給対象期」ごとです。申請期間は原則として各支給対象期の末日の翌日から2か月以内で、併給調整の対象の他の助成金が初回の申請で不支給となり、既にこの期を過ぎていたときは、不支給を知ったことを労働局が確認した日の翌日から2か月以内に第1期を申請します。
- 賃金締切日が無い場合: 起算日は雇入れ日です。
- 賃金締切日がある場合: 起算日は雇入れ日の直後の賃金締切日の翌日です(締切日に雇い入れたら翌日、締切日の翌日に雇い入れたら雇入れ日)。
厚生労働省のリーフレットの例では、中小企業が4月1日に60歳以上の人を雇い入れ、賃金締切日が15日です。4月1日に雇い入れ、賃金締切日が15日のこの例では、起算日は4月16日、第1期は4月16日〜10月15日で、第1期の申請期間は10月16日〜12月15日です。
対象労働者が支給対象期の途中で離職すると、その期の分は原則として支給されません(支給要領0204ロ)。例外として、本人の責めによる解雇や事業主の責めによらない死亡など一定の理由で離職した場合は、その期の一部が支給されることがあります(範囲と月の数え方は支給要領0204ロ・0302)。
令和3年7月1日以降に障害者トライアル雇用で紹介された人を、トライアル雇用の終了後に一般被保険者として継続雇用へ移す場合は、第1期分は支給されず第2期分から受け取れます(雇入れ日はトライアル雇用の開始日)。
申請の流れと書類
- ハローワーク等に求人を出し、特開金の対象者として紹介を受ける
- 対象者を雇い入れる(雇入れ日が決まり、支給対象期の起算日が決まる)
- 管轄の労働局から申請書類が送られてくる(送付時点で支給要件に該当する事業主に限る)
- 支給対象期ごとに、事業所の所在地を管轄する労働局またはハローワークに申請する(電子申請もできる)
- 審査を経て、支給・不支給が通知される。支給決定後に口座へ振り込まれる
書類の送付を待つだけにせず、支給対象期の末日と申請期限を自社でも控えておくと安全です。
第1期の申請では、リーフレットが次の書類を挙げています。労働局から、ほかの書類を求められることもあります。
- 支給申請書(初回の申請は様式第3号、2回目以降は様式第4号)
- 賃金台帳等、出勤簿等
- 対象者であることを証明する書類
- 雇用契約書または雇入れ通知書
- 対象労働者雇用状況等申立書(様式第5号)
- 支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)
令和8年4月以降の申請分から、賃金台帳の提出が確認できない場合は不支給になります。書類の不備や添付書類の不足があると受理されません。賃金台帳の記入事項は賃金台帳とはで確かめられます。
様式は雇入れ日で版が分かれます。令和8年3月31日までに雇い入れた人は、厚生労働省のページの旧様式を使います。
支給されない主な場合
リーフレットのチェック項目から、主なものを挙げます。項目によって除外や細かい条件があり、正確な範囲は支給要領(0201・0205)にあります。ここに挙げたほかにも要件があります。
事業主側
- 雇用保険の適用事業主でない
- 採用日の前後6か月間(対象者が6か月以内に一定の理由で離職すると短縮)に、その事業所の被保険者(短期雇用特例・日雇を除く)を、重責解雇など下の注の解雇を除き、事業主都合で解雇(勧奨退職を含む)した
- 採用日の前後6か月間(対象者が6か月以内に一定の理由で離職すると短縮)に、その事業所で離職区分1A・3A(重責解雇相当を除く)で受給資格決定された人数が、採用日の被保険者数(短期雇用特例・日雇を除く)の6%を超えた(3人以下を除く)
- 本人の責めによる解雇(重責解雇の認定が無いときは期限内の申出と確認が必要)と、天災等で事業を続けられないための解雇は除きます(支給要領0201ロ)。
- 前後6か月間の期間は、対象労働者を採用日から6か月以内に、本人の責めによる解雇、事業主の責めによらない死亡、天災等で事業を続けられないための解雇のいずれかで雇用しなくなった場合、その前日までに短くなります(支給要領0201ロ)。
対象労働者側
- 職業紹介の前に、採用に向けた選考を始めていた
- 職業紹介の時点で被保険者などとして働いていた(重度障害者等を短時間労働者以外として雇う場合などは除く)
- 雇入れ日の前日から3年以内に、その事業所で雇用・派遣などで働いていた(障害者トライアル雇用後の継続雇用を除く)、または通算3か月を超える訓練・実習等(週平均3日以上で、特別支援学校の実習など一部を除く)を受けていた
- 事業主(法人は代表者)または取締役の3親等以内の親族である
- 雇用などで働いていた人でも、障害者トライアル雇用の終了後に、引き続き一般被保険者として雇い入れて継続雇用する場合は除きます。
- 訓練・実習等からは、特別支援学校の教育課程の実習と、生活困窮者自立支援法の就労支援・就労準備支援・就労訓練、生活保護法の被保護者就労支援・就労準備支援の一環のものを除きます(支給要領0205ハ)。
受給した事業主は、関係書類を支給決定から5年間保存します。不正に受給した・受けようとした場合は不支給決定か支給決定の取消しとなり、支給済みの額は全額返還で、取消し等を受けた日以後5年間は各種助成金を受けられません。
間違えやすい点
- 紹介の段取りは採用の前に決める。 紹介を受ける前に選考を始めた人や、職業紹介によらない自社の求人サイトから来た人は対象になりません
- 60歳以上なら誰でもよいわけではない。 60歳以上の高年齢者は、令和8年5月1日以降の紹介から、紹介日にハローワーク等で就労に向けた個別支援を受けていることが要件です
- 有期契約は自動更新の契約に限られる。 勤務成績などで更新を判断する契約や、就業規則の解雇事由を超える更新条件がある契約は対象外で、契約書への自動更新の記載も要ります
- 支給は自動で続かない。 2期目以降も、支給対象期ごとに期限内の申請が要ります
- 特開金は、就職困難者をハローワーク等の紹介で、継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主への助成金(要件はコースごと)。令和8年度は4コース
- 特定就職困難者コースの上限は、区分と企業規模で1人40万〜240万円(中小企業)。支給対象期ごとに、その期の賃金額(臨時の賃金・3か月を超える期間ごとの賃金を除く)を上限に支給
- 職業紹介によらない直接募集・求人サイト、オンライン自主応募、形だけの紹介による採用は対象外
- 申請は支給対象期ごとに期限内に行う(期限と例外は「支給対象期と申請期限」の節)。令和8年4月以降の申請は、賃金台帳の提出が確認できないと不支給
よくある質問
パートやアルバイトでも対象になりますか?
対象者としてハローワーク等の紹介を受け、継続雇用の要件を満たせば、週の所定労働時間が通常の労働者より短く20時間以上30時間未満の短時間労働者も対象です(特定就職困難者コースの上限は中小企業で1人40万円または80万円)。有期契約なら、就業規則の解雇事由を超える更新条件の無い、本人が望む限り更新する自動更新の契約に限られ、雇用契約書に自動更新と書く必要があります。
求人サイトで応募してきた人をハローワーク経由にすれば対象になりますか?
なりません。厚生労働省のQ&Aは、直接募集や求人サイトで応募があった後に形式的に職業紹介を受けた場合も対象外としています。ハローワークのオンライン自主応募も対象外です。
申請期限はいつまでですか?
原則として、各支給対象期の末日の翌日から2か月以内です。併給調整の対象の他の助成金を選んで初回に申請し、支給されなかった場合で、支給対象期を既に過ぎているときは別の起算日があります(本文の「支給対象期と申請期限」)。厚生労働省のリーフレットは、期限に余裕をもって準備するよう求めています。
対象労働者が途中で辞めたら、どうなりますか?
支給対象期の途中で離職すると、その期の分は原則として支給されません。本人の責めによる解雇・事業主に責任の無い死亡などの例外と、その場合の数え方は支給要領(0204・0301)にあり、管轄の労働局に確かめるのが確実です。支給要領は、支給対象期の末日に対象労働者を継続して雇用していることを要件にしているため、離職の後の期も支給されません。
社会保険労務士に頼まないと申請できませんか?
事業主が自分で申請できます。申請書類は管轄の労働局から送られ(送付時点で支給要件に該当する事業主に限る)、特定就職困難者コースは電子申請も使えます。
出典
厚生労働省の公表資料(コースのページ・リーフレット・支給要領・事業主向けQ&A・令和8年度パンフレット)を読んで確認。
- 厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」
- 厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)のご案内」(リーフレット)
- 厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)支給要領」(R8.4.1版)
- 厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)事業主向けQ&A」(令和7年4月1日公表)
- 厚生労働省「令和8年度 雇用・労働分野の助成金のご案内(簡略版)」(令和8年4月8日時点)
- 厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)」
- 厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)」
この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案に対する助言ではありません。助成金の支給・不支給は、申請を受けた労働局が支給要件に照らして判断します。個別の判断は、管轄の労働局・ハローワークにご確認ください。