雑所得とは?種類別の計算方法・事業所得との違い・帳簿保存の早見表
雑所得は、給与所得・事業所得など、ほかの所得区分に当てはまらない所得です。公的年金等・業務・その他に分けて計算します。
副業の原稿料や物品販売でも、事業としての実態や帳簿保存の状況によって区分が変わります。まず下の表で区分と計算方法を選び、業務に係る雑所得なら書類保存の早見表を確認してください。
雑所得の種類と計算方法
次の表は令和8年分の一般的な区分と計算方法です。業務に係るものは営利目的で継続する活動で、事業所得・山林所得に当たるものを除きます。資産販売の区分は帳簿保存がない場合の注も確認してください。
| 区分 | 取引・受取りの例 | 所得金額の計算 |
|---|---|---|
| 公的年金等 | 老齢の国民年金・厚生年金など、課税対象の公的年金等 | 収入金額 − 公的年金等控除額 |
| 業務 | 原稿料・講演料、帳簿書類を保存する営利目的の継続的な物品販売など | 総収入金額 − 必要経費 |
| その他 | 公的年金等に当たらない保険契約等の年金、還付加算金など | 総収入金額 − 必要経費 |
公的年金等控除額は、年齢・年金収入・公的年金等以外の所得で異なります。個人年金保険の年金に公的年金等控除を使うことはできません。
給与所得者の副収入としての暗号資産の売却等による所得は、一般的には雑所得に当たります。事業所得になる場合もあるため、暗号資産の税金で区分と計算方法を確認してください。
フリマで販売したから雑所得になるとは限りません。生活に使っていた古着や家財の売却による所得は非課税です。営利目的で仕入れて販売する活動と区別します。
また、帳簿の科目である「雑収入」と、個人の所得税の区分である「雑所得」は別の言葉です。会社の仕訳を調べている場合は、雑収入の勘定科目と仕訳を参照してください。
事業所得との境界は実態と帳簿保存で確認
収入の額だけで事業所得と雑所得を分けることはできません。所得税基本通達の雑所得関係は、活動が社会通念上、事業と呼べる程度かどうかで判定するとしています。
次の表は令和8年分の、取引の帳簿書類の保存状況による扱いです。未保存でも、その所得の収入金額が300万円超で、かつ事業所得と認められる事実がある場合は、表の雑所得等の扱いから除きます。
| 帳簿書類の保存 | 確認すること |
|---|---|
| 保存している | 活動の実態で判定。保存しているだけで事業所得に確定するわけではない |
| 未保存:報酬など | 業務に係る雑所得 |
| 未保存:山林以外の資産の譲渡 | 譲渡所得またはその他の雑所得 |
開業届の提出や「副業」という呼び方だけで結論を出さず、継続して記録を残し、判断が難しい場合は税務署・税理士へ確認してください。報酬の源泉徴収も調べる場合は、業務委託の確定申告へ進めます。
業務収入で変わる書類保存・申告時の添付
見るのは前々年分の収入金額です。今年の利益や、経費を引いた所得金額で判定しないでください。
次は令和4年分以後の業務に係る雑所得がある人の取扱いです。金額は前々年分のその業務の収入金額で判定し、公的年金等・その他の雑所得の収入は含めません。
| 前々年分の業務収入の条件 | 必要な対応・選べる計算 |
|---|---|
| 収入金額が300万円以下 | 確定申告書に適用する旨を記載すれば、その年の実際の収入・支出で計算する現金主義の特例を選べる |
| 収入金額が300万円超 | 現金預金取引等関係書類の保存が必要 |
| 収入金額が1,000万円超で確定申告書を提出する場合 | 上の書類保存に加え、総収入金額と必要経費の内容が分かる収支内訳書などを確定申告書に添付 |
現金預金取引等関係書類は、業務で作成・受領した請求書や領収書などのうち、現金の収受・払出しや預貯金の預入・引出しに際して作成されたものです。自分で作成し写しがある書類は、その写しも含みます。
保存義務の金額条件に当たらなくても、収入と必要経費の集計根拠は残しておきましょう。申告書へ転記する前に、業務とその他を分け、取引ごとの収入・費用を集計します。
申告不要と非課税は違う
給与所得者の申告不要制度は、雑所得を非課税にする制度ではありません。ここでは、一般の会社員に絞って条件を確認します。
次は令和8年分の居住者で、給与の支払元が一か所で、その給与の全部が源泉徴収の対象となり年末調整を受けた場合の確認表です。勤務先から事業用資産の賃料等を受け取る場合、同族会社の役員等がその会社から貸付金利子等を受け取る場合、災害減免法の適用がある場合は除きます。掛け持ち給与や公的年金受給者の判定は別です。
| 確認する金額 | 条件 |
|---|---|
| 給与収入 | 年間の給与収入が2,000万円以下 |
| 給与所得・退職所得以外の所得金額の合計 | 給与所得・退職所得以外の所得金額の年間合計が20万円以下 |
判定から外す申告不要を選んだ配当・譲渡益等や源泉分離課税の所得は、国税庁の給与所得者向け案内で確認できます。
上の条件に当たり所得税の申告が不要でも、医療費控除などのために確定申告をする場合は、対象の副業所得も含めて申告します。所得税の確定申告をしない場合は、住民税の申告を市区町村へ確認してください。
住民税にはこの給与所得者向けの少額所得の申告不要制度はありません。詳しい判定と手続は、副業の確定申告と住民税で説明しています。
住民税計算機所得を整理した後の住民税の目安を確認する雑所得の赤字と先物取引の例外
総合課税の雑所得は給与所得などと合算して税額を計算しますが、雑所得の赤字を給与所得など他の所得から引く損益通算はできません。総合課税の雑所得の赤字は、翌年の雑所得へ繰り越して控除する対象でもありません。
申告分離課税の「先物取引に係る雑所得等」は、ここで説明した一般の雑所得と分けます。一定のFXなどの繰越特例の対象・期間・申告条件は、国税庁のFXの課税関係と先物取引の損失繰越の案内を確認してください。金融類似商品の源泉分離課税も、給与と合算する対象ではありません。
申告前にそろえるもの:所得の区分、収入・経費の集計、業務に係る雑所得の前々年の収入、書類の保存・添付の要否を確認します。
よくある質問
フリマの売上は雑所得ですか?
取引の実態で変わります。生活に使っていた古着や家財の売却所得は非課税です。営利目的で継続する販売は、事業所得に当たるか、帳簿保存の状況も含めて判定します。
雑収入で記帳すれば雑所得になりますか?
なりません。雑収入は会計上の科目で、雑所得は個人の所得税の区分です。どの所得に当たるかは、科目名ではなく収入を得た活動の実態で判断します。
帳簿を保存すれば事業所得になりますか?
帳簿保存だけでは決まりません。社会通念上、事業と呼べる活動の実態があるかも確認します。
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出典
- 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて」
- 国税庁「勘定科目内訳明細書等の改正」雑益、雑損失等の内訳書
- 国税庁「雑所得」
- 国税庁「所得税基本通達・雑所得関係」
- 国税庁「給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合」
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本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。