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駐車場代の勘定科目|月極は地代家賃・時間貸しは旅費交通費【仕訳7例】

駐車場代の勘定科目は、月極駐車場のように場所を継続して借りているなら地代家賃、営業先や出張先のコインパーキング・時間貸しのように一時的に停めただけなら旅費交通費に入れるのが一般的です。ほかの科目になるのは次の3つです。

科目より税額に効くのは消費税の区分です。舗装や区画などの施設の利用を伴う駐車場の代金は、月極でもコインパーキングでも課税仕入れです。一方、地面の整備もフェンス・区画・建物等の設置もなく、貸主が車両の管理もしていない土地を、貸付期間1か月以上の契約で借りているなら、非課税になることがあります。判定の手順は消費税の節にまとめました。

金額はすべて令和8年分・令和8年度の制度を前提にしています。貸す側から見た地代家賃という科目そのものの範囲は地代家賃とはに、旅費交通費の全体像は旅費交通費とはに譲ります。

駐車場代の勘定科目は「何のために払ったか」で6つに分かれる — 早見表

先に答えを並べます。同じ「駐車場代」という言葉でも、払った理由によって入る科目と消費税の区分が変わります。消費税の区分は、その駐車場が施設の利用を伴うか(用途に応じた地面の整備、フェンス・区画・建物等の設置、貸主による車両の管理があるか)と、貸付期間が1か月以上かで決まります。

払った理由一般的な科目消費税の区分根拠・注意点
月極駐車場(社有車・営業車を停める場所を継続して借りる)地代家賃課税仕入れ10%整備・設置・車両管理のどれかがあれば施行令8条で課税。どれも無ければ非課税になり得る
業務中の外出・出張で使ったコインパーキング・時間貸し旅費交通費課税仕入れ10%施設の利用を伴うので課税。貸付期間も1か月未満
社有車の維持費をまとめて管理している会社の駐車場代車両費その駐車場の区分に従う車両費という科目名は法令に出てこない。決めたら継続する
従業員の通勤のために負担した駐車場代通勤手当(給与手当・旅費交通費など)課税仕入れ10%(通常必要と認められる部分)所得税は、要件を満たせば限度額まで非課税。超えた分は給与として源泉徴収(要件と適用日は通勤用の駐車場代の節)
駐車場を借りるために不動産会社へ払った仲介手数料支払手数料課税仕入れ10%土地の貸付けが非課税でも、仲介の役務提供は課税(基本通達6-1-6)
契約時に預けた敷金・保証金(返還される部分)差入保証金(資産)不課税費用ではないので損益計算書には出ない

この6行は別々の制度ではありません。判定は「誰から何を買ったか」を上から順に当てはめるだけです。次の図の順で確かめると、自分の支払がどの行に当たるかが決まります。

① 契約時に預けて、退去時に返って くる敷金・保証金か 差入保証金(資産) 費用にしない・不課税 ② 駐車場を借りるために不動産 会社へ払った仲介手数料か 支払手数料 仲介は課税(6-1-6) ③ 得意先の送迎・接待に伴って 負担した駐車場代か 交際費等 損金算入に上限あり ④ 従業員が通勤のために使う 駐車場の料金を負担したか (業務中の駐車ではない) 通勤手当 非課税になるかは要件と 適用日による(下の節) ⑤ 自社の車のために、月ぎめ等で 場所を継続して借りているか (貸付期間1か月以上) 地代家賃 整備・設置・車両管理が どれも無ければ非課税 ⑥ 業務中の外出・出張で一時的に 停めたか(コインパーキング等) 旅費交通費 社有車分は車両費も可 ①〜⑥は上から順に当てはめる。同じ支払が2つに当たることはない。 太枠の2つが「駐車場代 勘定科目」で探されている大半。消費税の区分は施行令8条で決まる。
図1: 判定は上から順に1つずつ。①〜③で当たった支払は駐車場そのものの対価ではないので、駐車場代の科目の話に入る前に外れます。太枠の⑤⑥が月極と時間貸しの分かれ目です。

個人事業の開業準備では「開業費」の区分もある

個人の所得税には、事業を始めるまでの間に開業準備のために特別に支出した費用を、繰延資産の「開業費」とする区分があります(所得税法施行令7条1項1号)。対象は不動産所得・事業所得・山林所得を生ずべき事業で、資産の取得に要した金額とされるべき費用と前払費用は除かれます。駐車場代についても、営業中の支出と開業準備のための支出を分けて考える入口になりますが、開業前に払ったという時期だけで開業費になるわけではありません。

月極駐車場は地代家賃。ただし科目名を決めているのは税法ではない

月極駐車場の料金は、一般に地代家賃で処理します。理由は、土地または駐車スペースという場所を継続して借りて、その使用の対価を払っているからです。

境目になるのは「継続して場所を借りているか」です。1か月単位で契約している月極駐車場、社屋に隣接する第2駐車場、来客用にまとめて借りている区画は、いずれも継続して借りている側です。一方、営業車が客先の前で30分だけ停めたコインパーキングは、場所を借りているのではなく駐車という役務を都度買っています。同じ「駐車」でも取引の姿が違うので、科目も分かれます。

ただし注意したいのは、税法は「駐車場代は地代家賃に入れなさい」とは書いていないことです。青色申告法人の帳簿の記載事項を定めた法人税法施行規則の別表二十四は、経費についてこう書いています。

別表二十四 青色申告書の提出の承認を受けようとする法人の帳簿の記載事項
(十四) (十三)に掲げるもの以外の経費に関する事項
賃金、給料手当、法定福利費、厚生費、外注工賃、動力費、消耗品費、修繕費、減価償却費、繰延資産の償却費、地代家賃、保険料、旅費交通費、通信費、水道光熱費、手数料、倉敷料、荷造包装費、運搬費、広告宣伝費、公租公課、機密費、接待交際費、寄附金、利子割引料、雑費等に、それぞれ適当な名称を付して区分し、それぞれ、その取引の年月日、支払先、事由及び金額。ただし、少額の経費で本文の規定により難いものについては、それぞれその日々の合計金額のみを記載することができる。

ここでこの別表が青色申告法人の帳簿の経費について求めているのは、科目の定義ではなく「年月日・支払先・事由・金額」を残すことです。少額の経費で本文の規定により難いものは、日々の合計金額のみの記載でよいというただし書きがあります。しかも「それぞれ適当な名称を付して区分し」とあるとおり、科目名を決めるのは会社の側です。

損益計算書の科目を挙げた別表二十五(二)にも、地代家賃と旅費交通費は並んでいますが、こちらも例示にすぎません。青色申告法人は、その業種・業態・規模等の実情により、おおむね別表二十五に掲げる科目に従って貸借対照表と損益計算書を作成することとされています(法人税法施行規則57条)。

それでも地代家賃が第一候補になるのは、この2つの別表が挙げている名前の中に地代家賃はあり、車両費は無いからです。

同じことは個人事業主の側でも言えます。確定申告書に添付する内訳書の区分を定めた所得税法施行規則47条の3第1項2号は、必要経費の項目として次のものを挙げています。

商品製品等の売上原価、年初において有する農産物の棚卸高、雇人費、小作料、外注工賃、減価償却費、貸倒金、地代家賃、利子割引料及びその他の経費

ここにも地代家賃はありますが、旅費交通費はありません。つまり個人事業主の内訳書では、月極駐車場代を地代家賃に入れると地代家賃の項目に、コインパーキング代を旅費交通費に入れるとその他の経費の項目に集計されるのが原則です。業種・業態・規模等の状況からみてこれらの項目により難い場合は、準ずる他の項目によることもできます。青色申告決算書では、地代家賃に入れた月極駐車場代は地代家賃の内訳欄に支払先と物件が並び、旅費交通費に入れたコインパーキング代はこの内訳欄に現れません。同じ駐車場代でも、決算書の見え方がここで分かれます。

科目を変えると税額が変わるか: 科目名を変えるだけなら変わりません。損金・必要経費になるかどうかや、どの年度に計上するか(年払いの前払費用など)は、科目名ではなく取引の中身で決まるからです。科目名で変わるのは、主に①決算書・内訳書での見え方、②社内で費用を分析するときの粒度、③消費税の税区分を間違えるリスクです。特に③は、地代家賃という1つの科目の中に課税と非課税が混在するために起きます。

業務中の時間貸し・コインパーキングは旅費交通費。車両費でもよい

業務のために移動した途中で払ったコインパーキング代・時間貸し駐車場代・有料駐車場の入庫料は、一般に旅費交通費に入れます。旅費交通費は「業務のために人が移動し、滞在するのにかかった費用」をまとめる科目で、電車・バス・タクシーの運賃や宿泊費と同じ箱です。社有車で移動した場合のガソリン代・高速道路料金と並べておくと、1回の外出にかかった費用が横並びで見えます。

社有車の維持費を1つの科目にまとめている会社では、車両費(車両関係費)にすることもあります。この場合、ガソリン代・車検費用・自動車保険料・駐車場代がすべて車両費に集まるので、車両1台あたりのコストが読めるようになります。どちらでも税額は変わりませんが、期の途中で振り替えないことが実務上の要点です。

科目向いている会社法令に名前があるか留意点
旅費交通費従業員の移動費をまとめて見たい会社。社有車を持たず、レンタカーやカーシェアを使う会社法人税法施行規則の別表二十四・別表二十五に例示あり個人の内訳書には項目がなく、原則として「その他の経費」に入る(業種・業態・規模等により準ずる他の項目も可)
車両費社有車を複数持ち、1台あたりの維持費を管理したい会社なし(会社が付けた名前)通勤のための駐車場代を混ぜない。あちらは給与計算に関わる
地代家賃月極で継続して借りている区画がある会社別表二十四・別表二十五、所得税法施行規則47条の3第1項2号に例示あり課税と非課税が同じ科目に混在するので、行ごとに税区分を打つ

もう1つ、業務中の駐車でも得意先の送迎や接待に伴って負担した駐車場代は交際費等に寄ります。得意先を車で迎えに行って店の駐車場代を負担した、というような支出です。判定は「誰のための支出か」で、自社の従業員が業務のために停めたのなら旅費交通費、得意先の接待のためなら交際費等です。交際費等は損金算入に上限があるので、旅費交通費と混ぜないほうが安全です。境目の考え方は交際費と会議費の違いで扱っています。

消費税が課税か非課税かは、施行令8条の1行と基本通達6-1-5の注で決まる

ここが、駐車場代でいちばん税額に効く部分です。消費税法6条1項は「国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表第二に掲げるものには、消費税を課さない。」と定め、その別表第二の第1号がこう書いています。

土地(土地の上に存する権利を含む。)の譲渡及び貸付け(一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合を除く。)

土地の貸付けは原則として非課税ですが、括弧書きが指す政令、消費税法施行令8条が、契約で定めた貸付期間が1か月に満たない場合と、駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合を非課税から除いています。

法別表第二第一号に規定する政令で定める場合は、同号に規定する土地の貸付けに係る期間が一月に満たない場合及び駐車場その他の施設の利用に伴つて土地が使用される場合とする。

読み解くと、非課税から外れる(=課税になる)のは次の2つです。

  1. 契約で定めた貸付期間が1か月未満の土地の貸付け。1か月未満かどうかは、消費税法基本通達6-1-4により契約で定められた貸付期間で判定します。実際に1週間で解約したかどうかではありません。
  2. 駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合。課税の理由は「駐車場だから」ではなく施設の利用に伴って土地が使用されるからです。地面の整備や設備が無くても貸主が車両の管理をしている場合の扱いは、次の消費税法基本通達6-1-5の注1のとおりです。

2つ目の建て付けを最後まで読むと、条文が想定していない駐車場が浮かび上がります。施設が無ければどうなるのか、です。答えは消費税法基本通達6-1-5の注1にあります。

事業者が駐車場又は駐輪場として土地を利用させた場合において、その土地につき駐車場又は駐輪場としての用途に応じる地面の整備又はフェンス、区画、建物の設置等をしていないとき(駐車又は駐輪に係る車両又は自転車の管理をしている場合を除く。)は、その土地の使用は、土地の貸付けに含まれる。

注1が土地の貸付けの側に置いているのは、次の3つがそろった場合だけです。

  1. 駐車場としての用途に応じる地面の整備をしていない
  2. フェンス・区画・建物の設置等をしていない
  3. 貸主が車両の管理をしていない

1つでも欠ければ施設の利用を伴う土地の使用になり、課税に振れます。白線を1本引けば2が欠けて課税になります。区画が無くてもフェンスで囲っていれば同じく2が、管理人を置いて車を出し入れさせていれば3が欠けて、やはり課税です。

逆に、地方の資材置場の一角、農地の一部、砂利も敷いていない空き地を、貸主が何も手を入れず管理もしないまま停める場所として貸しているようなケースでは、実際に非課税のことがあります。貸付期間が1か月以上であることも前提です。借りている側から見ると、これはその支払が課税仕入れにならないということで、10%を控除できません。

税区分は契約書と現地の状況で確認します。地面の整備・設備・貸主による車両管理の有無と、契約で定めた貸付期間を、上の判定手順と照らし合わせてください。

ここで気をつけたいのは、請求書の書きぶりで課税か非課税かが決まるわけではないことです。課税性を決めるのは契約の内容とその駐車場の実態で、判定は上の3つの要件と貸付期間で行います。請求書に消費税額の記載が無い理由には、貸主がその貸付けを非課税と考えている場合や、貸主が適格請求書発行事業者ではない場合などがあり、記載の有無だけでは課税か非課税かは決まりません。登録番号についても、課税事業者であっても適格請求書発行事業者の登録をしていなければ登録番号はありません。

そのうえで、仕入税額控除が取れるかどうかは別に確かめます。課税の駐車場代であっても、控除するには原則として、帳簿に加えて請求書等を保存していることが要ります。請求書等とは、適格請求書発行事業者である貸主から交付を受けた適格請求書(コインパーキングなら適格簡易請求書)などです。帳簿のみの保存で控除できる例外は次の節で扱います。請求書に消費税額が書かれていないのに課税仕入れで処理している行は、課税性の判定と控除の要件を両方とも見直す合図です。

消費税計算機で、税込の駐車場代から税抜金額と消費税額を「税率ごとに1回」の端数処理で計算する

なお、集合住宅に付属する駐車場が住宅の家賃に吸収されて非課税になる場合や、住宅として借りた部屋の扱いなど、貸す側から見た地代家賃という科目の中で課税と非課税が割れる線は地代家賃とはで条文と通達をたどっています。本記事は借りて払う側の処理に絞ります。

コインパーキングの運営者が登録事業者なら適格簡易請求書。自動販売機特例は使えない

課税仕入れだと分かった次は、仕入税額控除の要件です。ここでコインパーキングは、実務でよく取り違えられる位置に立っています。

まず、自動販売機特例は使えません。この特例の根拠は消費税法施行令70条の9第2項3号です。対価の額が通常少額で、不特定かつ多数の者に対して行われ、取引の状況から適格請求書を交付することが著しく困難な課税資産の譲渡等として財務省令で定めるものについて、交付義務を免除しています。これを受けた同法施行規則26条の6第1号が定めているのは「自動販売機又は自動サービス機により行われる課税資産の譲渡等のうち…税込価額が三万円未満のもの」です。

国税庁のインボイス制度に関するQ&A問47は、この自動販売機・自動サービス機を「代金の受領と資産の譲渡等が自動で行われる機械装置であって、その機械装置のみで、代金の受領と資産の譲渡等が完結するもの」と説明しています。そのうえで、コインパーキングと自動券売機を「代金の受領と券類の発行はその機械装置で行われるものの資産の譲渡等は別途行われるようなもの」として対象から外しています。駐車という役務は精算機の外で提供されているから、という理屈です。

ではどうするのか。同じQ&Aの参考が答えを書いています。コインパーキングは駐車場業(不特定かつ多数の者に対するもの)に当たるので、運営者が適格請求書発行事業者なら、適格請求書に代えて適格簡易請求書を交付できます。根拠は消費税法施行令70条の11で、適格簡易請求書を交付できる事業を4号にわたって列挙したうちの第3号です。

駐車場業(不特定かつ多数の者に自動車その他の車両の駐車のための場所を提供するものに限る。)

括弧書きの「不特定かつ多数の者に」が効きます。コインパーキングは誰でも入庫できるので当たりますが、特定の借主と契約して区画を貸す月極駐車場は当たりません。

適格請求書発行事業者である月極の貸主は、課税となる駐車場の貸付けについて、他の事業者(免税事業者を除く)から交付を求められたときは、次のどちらかをしなければなりません(消費税法57条の4第1項・5項)。

交付義務を負うのは登録した事業者だけで、登録していない貸主にこの義務はありません。同じ適格請求書発行事業者の駐車場業でも、適格請求書に代えて適格簡易請求書を交付できるかどうかは、不特定かつ多数の者に駐車のための場所を提供するものか、特定の借主に貸すものかで分かれます。

支払の形受け取る書類帳簿だけで控除できるか
コインパーキング(時間貸し、事業者が直接支払う場合)精算機のレシート(運営者が適格請求書発行事業者で、必要事項を満たすものが適格簡易請求書)原則できない(少額特例など、帳簿のみの保存で足りる場合を除く)
月極駐車場(特定の借主と契約、事業者が直接支払う場合)適格請求書(課税の駐車場で、貸主が登録事業者の場合)原則できない(少額特例など、帳簿のみの保存で足りる場合を除く)
従業員に支給する通勤手当のうち、その通勤に通常必要と認められる部分不要(一定の事項を記載した帳簿を保存)できる(消費税法施行規則15条の4第3号)
従業員が出張中に立て替えた駐車場代を出張旅費として精算したもののうち、その旅行に通常必要と認められる部分不要(一定の事項を記載した帳簿を保存)できる(同規則15条の4第2号)

表の下2行が、駐車場代の実務でいちばん効く逃げ道です。消費税法施行規則15条の4は、請求書等の交付を受けることが困難な課税仕入れを3号にわたって挙げており、その第2号が出張旅費等、第3号が通勤手当です。従業員が勤務する場所を離れて職務を遂行するための旅行の途中で立て替えたコインパーキング代を出張旅費の一部として精算しているなら、その旅行に通常必要と認められる部分は、レシートが無くても一定の事項を記載した帳簿の保存だけで控除できます。

ただし2号が対象にしているのは「勤務する場所を離れてその職務を遂行するため」などの旅行に必要な支出なので、日常の近距離の外出まで無条件に含まれるとは限りません。レシートを集める運用を止める判断は、旅費規程の作りとあわせて考える場面です。

少額特例は令和11年9月30日で終わる: 次の3つに当たる課税仕入れは、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除ができます(国税庁No.6496)。
  • 事業者: 基準期間における課税売上高が1億円以下、または特定期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者(免税事業者を除く)
  • 期間: 令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に行った課税仕入れ
  • 金額: 税込1万円未満
コインパーキング代はほぼこの枠に収まりますが、これは期限のある経過措置です。期限後もレシートが手元にある運用にしておくほうが、切り替えの手間が小さくて済みます。

従業員の通勤用の駐車場代は、場所・距離・料金負担の要件で通勤手当と給与に割れる

ここからは払う相手が従業員になります。従業員が通勤に使う駐車場の代金を会社が負担したとき、次の3つをすべて満たせば、その駐車場の料金に相当する金額(月5,000円が上限)が非課税の通勤手当に加算されます。

  1. 交通用具を使用することを常例とし、交通用具を使う距離が片道2km未満でないこと
  2. その駐車場が勤務する場所の周辺又は通勤のため利用する駅・停留所その他の施設の周辺にあること
  3. その駐車場を利用し、料金を負担することを常例としていること

この加算は、令和8年4月1日以後に受けるべき通勤手当から適用されます。それより前の月分の差額として追給されるものは除かれます。根拠は所得税法施行令20条の2第3号・6号、同施行規則2条の2第1項、同令附則4条です。

根拠の条文と、加算できる2つの区分

所得税法9条1項5号は次のとおりです。

給与所得を有する者で通勤するもの(以下この号において「通勤者」という。)がその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用(自動車その他の交通用具の駐車のための施設の利用のために支出する費用を含む。)に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当(これに類するものを含む。)のうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定めるもの

括弧書きの「自動車その他の交通用具の駐車のための施設の利用のために支出する費用を含む。」が、駐車場代を非課税の通勤手当の対象に引き入れた部分です。金額を決めているのは政令、所得税法施行令20条の2で、通勤の形に応じて1号から6号までの6つの区分を置いています。駐車場等の料金相当額を加算できるのは3号と6号の2つです。

次の表は、交通用具を使う人の区分のうち、3号・6号と、6号の元になる5号を並べたものです。金額はどれも1か月あたりです。

区分対象になる人非課税の限度額
3号交通用具(マイカー・バイク・自転車など)を使って通勤することを常例とし、駐車場等の料金を負担することを常例とする人距離別の限度額+駐車場等の料金相当額(5,000円が上限)
5号交通機関又は有料の道路を利用するほか、交通用具も使うことを常例とする人(6号の人を除く)運賃等の額又は定期乗車券の価額+距離別の金額。合計で15万円が上限
6号5号と同じ併用をすることを常例とし、駐車場等の料金を負担することを常例とする人5号の2つの金額+駐車場等の料金相当額(5,000円が上限)。合計で15万円が上限

対象になる駐車場の場所

どんな駐車場でもよいわけではありません。3号が「財務省令で定める要件を満たすものに限る」と絞り、受けた所得税法施行規則2条の2第1項がこう書いています。

令第二十条の二第三号(非課税とされる通勤手当)に規定する財務省令で定める要件は、同号に規定する交通用具の駐車のための施設が、その受ける同条に規定する通勤手当に係るその者の勤務する場所の周辺又はその者が通勤のため利用する交通機関の駅若しくは停留所その他の施設の周辺にあることとする。

挙がっている場所は「勤務する場所の周辺」と「通勤のため利用する交通機関の駅若しくは停留所その他の施設の周辺」の2つだけです。自宅の周辺は挙がっていません。したがって、マイカー通勤の従業員に自宅の駐車場(勤務先や利用する駅等の周辺に当たらないもの)の代金を会社が負担しても、この加算の対象にはならず、負担した額は給与として課税されます。パーク・アンド・ライドで駅前の駐車場を使う人の駐車場は、場所の要件のうち2つ目に当たります。

計算例: 片道18km・駐車場代が月6,000円の場合

片道18km(15km以上25km未満)をマイカーで通勤することを常例とする従業員の例です。勤務先の周辺の月極駐車場を毎月6,000円で借りて、その料金を負担することを常例としています。会社は、令和8年4月1日以後に受けるべき月分の通勤手当として20,000円を支給しました。

支給した通勤手当 20,000円(月額) 距離別限度額 13,500円 駐車場 5,000円 1,500 施行令20条の2第2号ハ(片道18km) 同3号(実額6,000円→上限5,000円) 給与課税 非課税 18,500円 / 給与として源泉徴収の対象 1,500円 駐車場は「勤務する場所の周辺」または「駅・停留所等の周辺」に限る (所得税法施行規則2条の2第1項)。自宅の周辺はこの要件に挙がっていない。 前提: 令和8年4月1日以後に受けるべき月分(前の月分の差額追給を除く)。 マイカー通勤と、この駐車場の料金負担を常例とする人の場合(所得税法施行令附則4条)。
図2: 上の計算例の内訳です。通勤手当の非課税限度は距離別限度額と駐車場等料金相当額の積み上げで決まります。駐車場側は実額が6,000円でも5,000円で頭打ちになり、はみ出した1,500円が給与課税に回ります。
所得税の非課税と消費税の課税仕入れは一致しない: 上の例で給与課税になる1,500円も、その通勤に通常必要であると認められる部分に含まれるなら、消費税では課税仕入れになります。消費税法基本通達11-6-5が、帳簿のみの保存で控除できる通勤手当の範囲は、所得税法施行令20条の2各号に定める金額を超えているかどうかにかかわらないと述べているためです。ただし同通達が対象にしているのはあくまで「通常必要であると認められる部分」なので、限度額を超えた分が自動的に全額控除できるという意味ではありません。給与計算の画面に出る「非課税通勤費」という名称を、そのまま消費税の非課税区分へ転記しないことが要点です。

駐車場の料金の数え方

料金の数え方も決まっています。所得税法施行規則2条の2第2項は、駐車場等の料金の1か月あたりの額を、料金の定め方に応じて次の4つの方法で出します。

この3号があるので、駅前のコインパーキングを利用の都度払っている人でも、1か月あたりの額に引き直せます。2つ以上の駐車場等を利用する場合は、それぞれの金額を合計します。

会社が駐車場の契約者になって従業員に使わせている場合も、所得税法9条1項5号の「通勤手当(これに類するものを含む。)」に当たるものとして同じ枠で考えます。現金で渡すか、場所を用意するかで結論が変わる制度ではありません。

役員の駐車場代を会社が負担した場合

役員の駐車場代を会社が負担すると、限度額を超える部分は役員給与の損金不算入の判定に乗ります。法人税法34条4項が「前三項に規定する給与には、債務の免除による利益その他の経済的な利益を含むものとする。」と定めているためです。従業員のときには考えなくてよい論点が1つ増えます。

源泉徴収税額 計算機で、通勤手当のうち課税になる部分を給与に足した月額の源泉徴収税額を令和8年分の月額表で確認する

距離別限度額の全区分、片道65km以上の細分化、2km未満の除外といった通勤手当そのものの詳細は通勤手当の非課税限度額に、マイカー通勤のガソリン代とあわせた実務はガソリン代の勘定科目にまとめています。

年払いした駐車場代は前払費用。法人は、支払った日から1年以内に提供を受ける分で継続適用なら支払時の損金にできる(収益と対応させるものを除く)

駐車場の契約は、年払いや半年払いを求められることがあります。この場合、支払った時点ではまだ役務の提供を受けていないので、原則は前払費用として資産に計上し、月が来るごとに費用へ振り替えます。ただし例外があります。法人税基本通達2-2-14です。

前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。以下2-2-14において同じ。)の額は、当該事業年度の損金の額に算入されないのであるが、法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める。
(注) 例えば借入金を預金、有価証券等に運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、後段の取扱いの適用はないものとする。

本文の条件は次の3つです。

  1. 一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるもの(駐車場の賃借は当たります)
  2. 支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るもの
  3. その処理を継続していること

注は、借入金の利子のように収益の計上と対応させる必要があるものを、この取扱いから除いています。

たとえば3月決算の法人が3月31日に、4月1日から翌年3月31日までの1年分240,000円を払った場合です。役務の提供を受け終わる日が支払った日から1年以内に収まるので、2つ目の条件を満たします。1つ目と3つ目も満たし、注で除かれる費用にも当たらなければ、240,000円を当期の損金にできます。逆に同じ1年分でも支払が3月1日なら、受け終わるのは翌年3月31日で支払った日から1年を超えるため、2つ目の条件を満たしません。個人事業主にも所得税基本通達37-30の2に同じ取扱いがあります。

1年以内の起算日を間違えやすい: 「1年分だから短期前払費用」ではありません。数えるのは支払った日から、役務の提供を受け終わる日までです。契約期間が翌期の途中から始まること自体は問題ではなく、たとえば9月1日に払って翌年8月31日までの分なら、期をまたいでいても1年以内に収まります。逆に3月決算の法人が3月に「翌年4月から翌々年3月まで」の1年分を前倒しで払うと、受け終わるのは支払った日から約2年後になり、2つ目の条件を満たしません。この場合は前払費用(1年を超える部分は長期前払費用)として資産に計上します。起算日の考え方は前払費用と短期前払費用で詳しく扱っています。

課税仕入れに当たる駐車場代の前払いでこの取扱いを適用しているなら、消費税も同じ日に動きます。消費税法基本通達11-3-8は、所得税基本通達37-30の2または法人税基本通達2-2-14の適用を受けている前払費用について、その課税仕入れは支出した日の属する課税期間に行ったものとして扱うと定めています。課税仕入れに係る前払費用について、法人税で法人税基本通達2-2-14により当期の損金にしながら、消費税だけ月割りで控除するという処理にはなりません。逆に、短期前払費用の要件を満たさず資産計上したときは、課税仕入れの時期も役務の提供を受けた時に寄ります。

個人事業主の家事按分は、業務に必要な部分を明らかに区分できるかが分かれ目(生計を一にする親族への賃料は別扱い)

自宅の駐車場に事業にも使う車を停めている個人事業主は、駐車場代のうち業務に必要な部分を明らかに区分できれば、その部分を必要経費にできます。ただし駐車場の貸主が生計を一にする親族なら、下の囲みのとおり別の扱いです。

駐車場代で区分の根拠になりやすいのは次の3つです。どれも、業務の内容や資産の利用状況等に照らして、業務に必要な部分を明らかに区分できる場合に使えます。いずれも、後から他人が検証できる形で残しておくことが前提になります。

区分の基準計算の例残しておく記録
走行距離年間12,000kmのうち業務8,400km → 70%。駐車場代 年144,000円 × 70% = 100,800円運転日報・カーナビの履歴・給油記録
使用日数月20日を業務に使用(30日中) → 20/30(約66.6%)。駐車場代に20/30を掛け、最後に1円未満の端数処理をする(処理の方法は固定する)業務用の予定表・訪問記録
台数・区画2台分借りている駐車場のうち1台が事業専用 → 事業専用の1区画分の料金をそのまま計上(2区画が同じ料金なら50%)駐車場の契約書(区画番号・台数)

3行目のように事業専用の区画を別に借りているなら、按分の話にすらならず全額が必要経費です。家事関連費になるのは、1つの支出が家事と業務の両方に使われている場合だけです。自宅の駐車場が1台分しかなく、そこに事業とプライベートの兼用車を停めているときが典型的な家事関連費です。この場合は、上の表のような基準のうち、業務に必要な部分を明らかに区分できるものを選んで区分します。

駐車場が生計を一にする親族の名義なら: 所得税法56条により、生計を一にする配偶者その他の親族に支払う対価は必要経費に算入しません。事業専用の区画の賃料も、上の表の基準で区分した賃料も、この扱いです。実家の駐車場を親に月10,000円払っていても、その10,000円は経費になりません。代わりに、その親族が負担した固定資産税など(その駐車場に係る必要経費に算入されるべき金額)を自分の必要経費に取り込みます。

根拠の条文と、50%の基準の読み方

根拠は所得税法45条1項1号の裏側にある所得税法施行令96条で、条文は次のとおりです。

法第四十五条第一項第一号(必要経費とされない家事関連費)に規定する政令で定める経費は、次に掲げる経費以外の経費とする。
一 家事上の経費に関連する経費の主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費
二 前号に掲げるもののほか、青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者に係る家事上の経費に関連する経費のうち、取引の記録等に基づいて、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務の遂行上直接必要であつたことが明らかにされる部分の金額に相当する経費

この条文は「経費にできる」と書いているのではなく、必要経費に算入しない家事関連費から除かれるものを定めています。読みにくいのはそのためです。1号が求めているのは2つあります。①その経費の主たる部分が業務の遂行上必要であることと、②その必要である部分を明らかに区分することができることで、1号はこの両方を満たす場合の②の部分を必要経費不算入から外しています。①を満たさない場合の扱いは、次の所得税基本通達45-2のただし書きと、青色申告者の2号が定めています。

①の「主たる部分」に数字を入れているのは所得税基本通達45-2で、業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかで判定するとしています。ただし同じ通達のただし書きは、必要な部分の金額が50%以下であっても、その必要である部分を明らかに区分することができる場合には必要経費に算入して差し支えない、としています。①を満たさない場合の受け皿はこのただし書きで、1号の要件が消えるわけではありません。

青色申告の承認を受けている居住者には施行令96条2号という別の道もあります。こちらは「取引の記録等に基づいて」「業務の遂行上直接必要であつたことが明らかにされる部分」と語が厳しく、対象所得に雑所得が入っていません。1号と2号の違い、および「事業使用が50%を超えないと経費にできない」という説明の出所は家事按分の割合に上限はないで扱っています。

返還される敷金・保証金は費用ではない。返ってこない礼金は繰延資産になることがある

駐車場を借りるときの初期費用は、性質ごとに分かれます。返還されるものは資産です。返還されないものは、その内容(資産の取得に要した金額とされるべき費用に当たるか、前払費用に当たるか)と支出の効果が及ぶ期間によって、扱いが分かれます。

初期費用の名前処理消費税
敷金・保証金(退去時に返還される部分)差入保証金(資産)。費用にしない不課税
敷金のうち返還されない部分・礼金・権利金支出の効果が1年以上に及ぶものは繰延資産。20万円未満なら支出時の損金・必要経費にできる(条件は表の下)課税仕入れ(課税の駐車場の場合)
仲介手数料支払手数料(費用)課税仕入れ
前家賃(初月分の駐車場代)役務の提供を受けた時に地代家賃。事業年度末にまだ提供を受けていない分は前払費用(短期の前払費用の扱いは年払いの節)その駐車場の区分に従う

法人の場合、返還されない部分のうち支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶものが繰延資産になる根拠は、法人税法施行令14条1項6号ロです。資産の取得に要した金額とされるべき費用や前払費用に当たるものは除かれます。同項は繰延資産を6号にわたって列挙しており、同項の柱書と6号の柱書・6号ロは次のとおりです。

法第二条第二十四号(繰延資産の意義)に規定する政令で定める費用は、法人が支出する費用(資産の取得に要した金額とされるべき費用及び前払費用を除く。)のうち次に掲げるものとする。
(中略)
六 前各号に掲げるもののほか、次に掲げる費用で支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶもの
(中略)
ロ 資産を賃借し又は使用するために支出する権利金、立ちのき料その他の費用

ただし6号の柱書に「支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶもの」という限定があるので、効果が1年未満のものは6号の繰延資産に当たらず、支出時の費用です。

繰延資産に当たる費用のうち支出する金額が20万円未満のものには、次の扱いがあります。

所得税法施行令7条1項3号に掲げる費用とは、資産を賃借するための権利金などで支出の効果が1年以上に及ぶものです。資産の取得に要した金額とされるべき費用と前払費用は除かれます。

駐車場の礼金は20万円未満に収まることが多く、その場合は上の扱いで、実務上そのまま支出時の費用として処理して差し支えありません。

繰延資産に当たる費用で支出する金額が20万円以上のものは、支出の効果の及ぶ期間(償却期間)の判定が必要になります。法人については法人税基本通達8-2-1により、同8-2-3の表に掲げる種類の費用に当たるものはその表によります。契約書を持って個別に確認する場面です。

返還される敷金・保証金を「地代家賃」で処理してしまうと、資産が費用に化けて所得が過少になります。これは科目の選び方の問題ではなく、資産か費用かという段の間違いなので、税額に直結します。

仕訳7例 — 同じ「駐車場代」でも消費税区分が分かれる

税抜経理・課税事業者の法人(3月決算)を前提に、7つの支払を並べます。科目より先に、右端の消費税区分の列を見てください。同じ駐車場代でも、課税・非課税・不課税の3つに割れます。

例1: 月極駐車場(アスファルト舗装・区画あり)22,000円(税込)を普通預金から支払

借方金額貸方金額消費税区分
地代家賃(舗装・区画ありの駐車場)20,000普通預金22,000課税仕入れ10%
仮払消費税等2,000

例2: 用途に応じた地面の整備、フェンス・区画・建物等の設置がなく、貸主による車両の管理もしていない土地を停める場所として借りている(契約期間1年)。月額15,000円を普通預金から支払

借方金額貸方金額消費税区分
地代家賃(整備・設置・車両管理が無く、契約期間1年の土地)15,000普通預金15,000非課税仕入れ

例1と例2は科目が同じで、消費税区分だけが違います。違いを作っているのは施行令8条と基本通達6-1-5の注1です。例1は舗装と区画という施設の利用を伴うので課税、例2は契約で定めた貸付期間が1年(1か月以上)で、地面の整備・フェンス・区画・建物の設置も貸主による車両の管理も無いので土地の貸付けとして非課税です。区画線1本の有無だけで決まるのではなく、このうちどれか1つでもあれば課税に振れます。

例3: 営業先で使ったコインパーキング 660円(税込)を従業員が立替、小口現金で精算

借方金額貸方金額消費税区分
旅費交通費(時間単位で停めたコインパーキング)600小口現金660課税仕入れ10%
仮払消費税等60

例4: 駐車場代を含む通勤手当20,000円を支給

借方金額貸方金額消費税区分
旅費交通費(通勤手当、全額が通常必要と認められる場合)18,182未払金20,000課税仕入れ10%
仮払消費税等(通常必要と認められる通勤手当分)1,818

所得税では、上の計算例と同じ条件なので、18,500円が非課税、1,500円が給与課税です。この1,500円を課税支給額に加えて源泉徴収税額を計算します。

一方、消費税で、請求書等の保存がなくても一定の事項を記載した帳簿のみの保存で控除できるのは、消費税法施行規則15条の4第3号の「通勤者につき通常必要であると認められる部分」です。基本通達11-6-5は、この範囲が所得税法施行令20条の2各号の金額を超えているかどうかにかかわらないと述べているだけで、支給額の全額を保証しているわけではありません。

この例は20,000円の全額がその通勤に通常必要であると認められる場合なので、所得税の非課税18,500円と消費税の課税仕入れ20,000円という食い違いが生じます。通常必要と認められる額が20,000円に満たないなら、課税仕入れになるのはその額までです。

例5: 従業員の自宅(勤務先・通勤に利用する駅等の周辺に当たらない)の駐車場代 8,000円を会社が現金で負担

借方金額貸方金額消費税区分
給与手当8,000現金8,000不課税

勤務先や利用する駅等の周辺に当たらない自宅の駐車場は、所得税法施行規則2条の2第1項の場所の要件に当たらないので、全額が給与です。給与の支払は消費税の課税仕入れになりません。なお、会社自身が駐車場の契約者になって従業員に使わせている場合は、駐車場業者への支払として処理するので仕訳の姿が変わり、その消費税区分も施行令8条の判定によります。

例6: 3月31日に、4月1日から翌年3月31日までの1年分の月極駐車場代(アスファルト舗装・区画あり)264,000円(税込)を前払い(3月決算・継続適用)

借方金額貸方金額消費税区分
地代家賃(舗装・区画ありの駐車場)240,000普通預金264,000課税仕入れ10%
仮払消費税等24,000

この例は、支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るもので、毎期継続してこの処理をしており、収益の計上と対応させる必要があるものでもないので、法人税基本通達2-2-14の短期前払費用として当期の損金にしています。役務の提供を受け終わる日が支払った日(3月31日)から1年以内に収まっているので、「支払った日から1年以内に提供を受ける役務」という要件を満たします。

舗装・区画のある課税の駐車場で、上のとおり2-2-14の適用を受けている前払費用なので、消費税も基本通達11-3-8により、支出した課税期間(当期)の課税仕入れです。

例7: 駐車場の契約時に敷金100,000円と仲介手数料22,000円(税込)を普通預金から支払

借方金額貸方金額消費税区分
差入保証金100,000普通預金122,000不課税
支払手数料20,000課税仕入れ10%
仮払消費税等2,000

敷金は返還されるので費用ではありません。仲介手数料は、たとえその駐車場の貸付けが非課税でも、仲介という役務の提供の対価なので課税です。消費税法基本通達6-1-6が、土地等の貸付け(施行令8条に該当する貸付けを除く)に係る対価は非課税だが仲介料を対価とする役務の提供は課税資産の譲渡等に該当すると明示しています。

7例に共通する検算: 支払額の合計は 22,000+15,000+660+20,000+8,000+264,000+122,000 = 451,660円、うち仮払消費税等は 2,000+60+1,818+24,000+2,000 = 29,878円です。もし451,660円を全額まとめて「課税仕入れ10%」で入力すると、仮払消費税は 451,660×10/110 = 41,060円になり、差額の11,182円だけ仮払消費税等が過大になります。一般課税でその仮払消費税等を全額控除すると、その分だけ消費税の納付額が少なくなります。これは7例を1回入力しただけの差です。行ごとに税区分を打つことが、この科目の実務のほぼすべてです。

科目名そのものの一覧と、迷ったときの探し方は勘定科目一覧にまとめています。社有車そのものを買ったときに、どこまでを車両運搬具の取得価額に入れるかは社用車の取得価額と仕訳で扱っています。

よくある質問

月極駐車場代は地代家賃と車両費のどちらが正しいですか?

どちらでも税額は変わりません。税法は駐車場代を特定の1つの科目に入れるよう定めてはおらず、法人税法施行規則の別表二十四が「それぞれ適当な名称を付して区分し」と書いているとおり、名前を付けるのは会社の側です。ただし別表二十四と別表二十五が挙げているのは地代家賃のほうで、車両費という科目名はこの2つの別表には出てきません。社有車の維持費を1つの科目にまとめたい会社は車両費でもよく、決めたら継続することのほうが大切です。前年と科目が違うと、前年比の分析が成り立ちません。

コインパーキング代に消費税はかかりますか?

かかります。消費税法別表第二第1号は土地の貸付けを非課税としていますが、同法施行令8条が「駐車場その他の施設の利用に伴つて土地が使用される場合」を非課税から除いており、コインパーキングは機械式ゲートや区画といった施設の利用を伴うためです。あわせて、契約で定めた貸付期間が1か月未満の土地の貸付けも施行令8条で非課税から外れます。

舗装も区画もない駐車場を借りています。消費税はどうなりますか?

非課税の土地の貸付けになる場合があります。消費税法基本通達6-1-5の注1が、地面の整備やフェンス・区画・建物の設置をしておらず、車両の管理もしていない土地の使用は土地の貸付けに含まれるとしているためです。この場合、支払っても仕入税額控除はできないので、帳簿の税区分を課税仕入れではなく非課税仕入れにします。実際に使った期間ではなく契約で定めた貸付期間が1か月未満なら、更地でも課税に戻ります。

従業員に払う駐車場代は給与になりますか?

駐車場の場所と、通勤の距離・料金負担の要件で分かれます。駐車場が勤務する場所の周辺または通勤に利用する駅・停留所その他の施設の周辺にあり、交通用具の使用とその駐車場の料金の負担が常例なら、料金相当額(月5,000円が上限)が非課税の通勤手当に加算されます。片道2km未満の人は対象外で、令和8年4月1日以後に受けるべき通勤手当からの扱いです。勤務先や利用する駅等の周辺に当たらない自宅の駐車場の代金を会社が負担した分は、給与として課税されます。交通機関と併用する人の計算と適用日の細部は通勤用の駐車場代の節にあります。

法人が1年分の駐車場代を前払いしました。支払った事業年度の損金にできるのはどんな場合ですか?

法人税基本通達2-2-14の短期前払費用に当たる場合です。一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるための前払費用で、支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るもので、その処理を継続していることが条件です。借入金の利子のように収益の計上と対応させる必要があるものは除かれます。見るのは契約期間が翌期のいつから始まるかではなく、役務の提供を受け終わる日が支払った日から1年以内に収まるかどうかです。3月31日に払って翌年3月31日までの分なら収まりますが、3月1日に払うと1年を超えるので使えません。消費税の扱いは年払いの節にあります。

コインパーキングの領収書がなくても仕入税額控除はできますか?

原則として請求書等の保存が要ります。コインパーキングは自動販売機特例の対象外で、精算機から出るレシートが適格簡易請求書に当たるかを確かめる必要があります。ただし少額特例の対象になる事業者は、令和11年9月30日までの税込1万円未満の課税仕入れについて、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で控除できます。対象になる事業者と期間は少額特例の囲みにあります。

自宅兼事務所の駐車場代は経費にできますか?

業務に必要な部分を明らかに区分できるなら、その部分を必要経費に算入できます(生計を一にする親族に払う駐車場代は、所得税法56条により別の扱いです)。所得税法施行令96条1号は、家事関連費のうち主たる部分が業務の遂行上必要であり、かつその必要である部分を明らかに区分できる場合の当該部分を必要経費不算入の対象から外しています。駐車場代なら走行距離や業務使用日数など、後から検証できる基準で区分します。

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出典

消費税法・同施行令・同施行規則、所得税法・同施行令・同施行規則、法人税法・同施行令・同施行規則、消費税法基本通達、法人税基本通達、国税庁タックスアンサーおよびインボイス制度に関するQ&Aの一次情報に基づく。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。

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