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グループ通算制度とは|適用対象・承認申請と欠損金の確認表

グループ通算制度は、対象となる国内親子法人が承認を受け、各社の法人税申告で損益通算等を行う制度です。親会社がまとめて申告する方式ではありません。

検討の順番は、対象法人の確定、申請期限、欠損金の制限、加入・離脱時の処理です。黒字と赤字を相殺できる点だけで判断すると、持ち込めない欠損金や申告事務を見落とします。

導入前の確認表

まず対象法人と過年度の欠損金を整理します。税額の試算に進む前に、次の資料を同じ基準日でそろえると、判定のやり直しを減らせます。

確認すること用意する資料見落としやすい点
対象法人の範囲資本関係図、株主名簿、法人の種類と所在外国法人の介在、除外法人、承認取消し等の履歴
承認申請適用開始事業年度、親子法人の決算期対象子法人を任意に選別して申請できない
欠損金の持込み発生年度別の欠損金残高、支配関係の履歴当期の赤字と、過年度の繰越欠損金は別の判定
開始・加入時の処理資産明細、事業・従業者の継続見込み時価評価の要否と欠損金制限を別々に確認
申告体制各社の申告担当、決算日程、電子申告環境個別申告になっても他社の所得等の情報は必要

適用対象とグループ法人税制との違い

親法人は、国内の普通法人または協同組合等のうち法定の除外に当たらない法人です。子法人は、親法人による完全支配関係にある国内法人のうち、法定の除外に当たらない法人のすべてです(外国法人や一定の除外法人が介在する関係を除く)。

子法人の主な除外には、取りやめ・青色申告承認取消し等による制限期間中の法人、投資法人、特定目的会社、普通法人以外の法人、破産手続開始決定を受けた法人などがあります。清算中の法人は親法人になれません。国内の普通法人等の完全支配下にある法人も、外国法人や所定の除外法人が介在する関係を除き、親法人になれません。

社長個人が別々に所有する兄弟会社を、その所有関係だけで通算グループにする制度ではありません。また、対象となる子法人について「赤字の会社だけ参加させる」という選び方もできません。詳細な範囲は法人税法の通算承認の規定で確認します。

制度適用の入口この記事との分担
グループ通算制度対象国内親子法人が国税庁長官の承認を受ける損益通算、承認申請、欠損金制限を本記事で確認
グループ法人税制完全支配関係等の各規定の要件を満たす取引に適用資産譲渡・寄附金等はグループ法人税制の解説へ

通算制度を選んでも、グループ内の資産譲渡や寄附金の処理が無くなるわけではありません。所得の通算と、グループ内取引の調整を分けて確認します。

承認申請と開始までの準備

通常の承認申請期限は、親法人の最初の適用事業年度開始の日の3月前の日までです(土日祝・年末年始の休日に当たる場合は翌開庁日)。

申請は対象となる親子法人の連名で行い、親法人の納税地の所轄税務署長を経由して国税庁長官へ提出します。親法人の情報だけでなく、対象子法人を含めた出資関係と各社の状況を確認して準備します。

  1. 出資関係図で、対象子法人と除外法人を確定する。
  2. 親法人の適用開始事業年度と、各社の決算期を確認する。
  3. 開始時の時価評価、欠損金の持込み制限を試算に反映する。
  4. 申請書と添付書類をそろえ、申請後の法人異動も管理する。

通常の申請で、最初の適用事業年度開始の日の前日までに承認・却下の処分がなければ、開始日に承認があったものとみなされます。対象法人の漏れや対象外法人の混入、帳簿書類・計算の不備等は却下事由になり得るため、提出だけで確認を終えないようにします。

設立事業年度等の申請特例は、申請期限だけでなく承認の効力発生日も確認が必要です。申請の根拠は法人税法の通算承認の規定、書式はグループ通算制度関係の申請・届出手続で確認できます。

当期の損益通算の仕組み

通算対象の欠損金額を黒字法人に配分し、黒字法人で損金算入した同額を赤字法人の益金に算入します。対象は親法人の期末日に終了する事業年度で、その日に通算完全支配関係がある法人間です。通算完全支配関係とは、同じ通算グループ内の法人間の完全支配関係をいいます。

損益通算の対象外とされる欠損金額は、この計算から除きます。

通算対象の当期損失を、所得法人と欠損法人に対応させる流れ通算対象額を確定少ない方の合計が上限所得法人へ配分所得比で損金算入欠損法人へ配分欠損比で益金算入
親法人の期末日に終了し、その日に通算完全支配関係がある法人間の計算。対象外欠損金額を除いて通算します。

公表例で配分を確認する

次の表は国税庁Q&Aの損益通算の公表例です。金額は資料と同じ単位で、▲は欠損または損金算入を表します。親法人の期末日に終了し、その日に通算完全支配関係がある各法人について、対象外欠損金がない前提で当期分を計算し、繰越欠損金控除前を示します。

法人通算前の所得・欠損損益通算の調整通算後
親法人500▲250所得250
黒字子法人100▲50所得50
赤字子法人A▲5050を益金算入欠損0
赤字子法人B▲250250を益金算入欠損0

黒字側の所得が減る一方で、赤字側の欠損も減ります。「親会社の所得から子会社の赤字を引くだけ」でなく、各社の申告に対応する調整が入る点が実務の要所です。

修正申告等では、通算に用いる金額を当初申告額に固定して他社への影響を遮断する仕組みがあります。ただし、所定の要件に当たる場合はグループ全体で再計算し、濫用防止のため税務署長が再計算する場合もあります。

繰越欠損金は別に判定する

過年度の欠損金は、グループに入れば自由に他社へ回せるわけではありません。開始・加入時に切り捨てられる部分と、残る部分の区分を先に確認します。

区分・場面確認事項
開始・加入時時価評価除外法人(開始・加入時に時価評価の対象とならない法人)か、欠損金の切捨てがあるか
特定欠損金額切捨てを免れた持込み分等。自社の欠損控除前所得と法定の損金算入限度額の範囲で控除
非特定欠損金額特定欠損金額以外の欠損金額をグループ内で配分し、各社の損金算入限度額を確認
控除する年度発生年度、使用済み額、控除可能期間と古い年度からの控除順序を確認

時価評価をしない法人でも、支配関係の継続期間や共同事業の要件、新たな事業の開始等により、過年度欠損金が制限される場合があります。時価評価が不要という判定だけで、欠損金も持ち込めるとは判断できません。

実務では各社ごとに、欠損金の発生年度、支配関係が生じた日、時価評価の判定、切捨て額、特定・非特定の区分を一覧にします。詳しい欠損金の一般的な管理は繰越欠損金の解説も参照できます。

加入・離脱時の確認事項

買収・売却の前に、税務上の区切りと資産・欠損金の処理を確認します。株式の売買日だけで決算日程を決めると、加入時期の特例やみなし事業年度を見落とします。

場面経理で整理する項目
制度を開始各社の事業年度、開始時の時価評価の要否、過年度欠損金の持込み制限
子法人が加入完全支配関係の発生日、承認の効力発生日、加入時期の特例、加入前の申告
子法人が離脱承認の失効日、みなし事業年度、離脱時の時価評価の要否、欠損金の処理
通算子法人株式を売却保有する通算法人側で投資簿価修正の適用要否と調整額を確認

時価評価は、対象法人と対象資産の除外を確認する必要があります。開始・加入・離脱のたびに全資産へ同じ評価課税をする制度ではありません。

投資簿価修正は、一定の通算子法人が承認の効力を失う際に、その株式の税務上の帳簿価額等を調整する仕組みです。初年度離脱などの適用除外や、資産調整勘定対応金額等の加算措置もあるため、株式売却益を取得原価だけで確定しないようにします。

申告・納付と取りやめ

法人税の申告と納付は各社が行い、通算法人はe-Taxで申告します。通算計算に必要な所得・欠損の情報を親法人側で集約し、各社へ戻す日程が必要です。

通算法人は、通算完全支配関係がある期間内に納税義務が成立した他の通算法人の法人税について、連帯納付の責任を負います。

任意の取りやめには、やむを得ない事情と国税庁長官の承認が必要です。単に税負担が軽くなるという理由だけでは該当せず、承認による取りやめは承認日の属する事業年度終了日の翌日から効力を失います。解散等の一定の事実や青色申告の承認取消しで失効する場合とは分けて確認します。

申請前にそろえるもの

  • 対象法人を確定できる出資関係図と各社の履歴
  • 当期損失と区分した、発生年度別の繰越欠損金一覧
  • 開始・加入・離脱時の処理を含む試算と、各社の電子申告日程

よくある質問

黒字の会社と赤字の会社があれば適用できますか?

それだけでは適用できません。法定の除外に当たらない国内親法人と、その親法人による完全支配関係にあり、法定の除外に当たらない国内子法人のすべてが承認を受ける必要があります。外国法人や一定の除外法人が介在する関係も対象外です。

親会社が子会社の分もまとめて申告しますか?

納税単位は各社で、各通算法人が個別に申告・納付します。通算親法人の電子署名で子法人の申告を行える特例もありますが、親法人だけの申告書に一本化する方式ではありません。

加入前の繰越欠損金も他社の所得と相殺できますか?

加入前の欠損金は、まず切捨ての有無を確認します。持ち込めるものも特定欠損金額として、その法人の欠損控除前所得と法定の損金算入限度額の範囲で控除する扱いがあり、当期の損失と同じようには扱えません。

グループ通算制度は自由にやめられますか?

任意の取りやめには、やむを得ない事情と国税庁長官の承認が必要です。税負担が軽くなるという理由だけでは認められず、承認による取りやめは承認日の属する事業年度終了日の翌日から効力を失います。

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出典

本記事は一般的な情報の整理です。個別の税務・労務相談には応じられません。具体的な適用判断や申告は、所轄税務署または税理士に確認してください。

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