住民税の扶養控除とは|控除額の区分・所得要件・16歳未満の扶養親族の扱いを地方税法で整理
住民税の扶養控除は、控除対象扶養親族を有する所得割の納税義務者の前年の所得金額から、扶養親族の区分ごとに決まる額を差し引く所得控除で、令和8年度分・令和9年度分の住民税では、特定扶養親族にも老人扶養親族にも当たらない控除対象扶養親族の場合、1人につき33万円です(地方税法314条の2第1項11号、道府県民税は34条1項11号)。
特定扶養親族、老人扶養親族、同居の直系尊属である老人扶養親族には、これと別の額が定められています。
判定の時点(前年の12月31日、前年の中途でその人が死亡した場合は死亡の時)の現況で年齢16歳未満の扶養親族は控除対象扶養親族に当たらないので扶養控除の額はありませんが、所得割が課されない基準を計算するときの扶養親族の数には数えます。
この記事は、控除額の区分、扶養親族に当たる条件、16歳未満の扶養親族の扱い、税額への影響、会社を経由して出す申告書を、地方税法の条文で順に確かめます。所得税の扶養控除の額と並べた対照表は所得控除の一覧にあります。
住民税の扶養控除額 — 4つの区分
住民税は前年の所得について計算するので、令和8年度分の住民税は令和7年中の所得、令和9年度分の住民税は令和8年中の所得が対象です。
次の表は、令和8年度分・令和9年度分の住民税の扶養控除額を、地方税法314条の2第1項11号と同条4項の区分ごとに並べたものです。控除額は、所得割の納税義務者が控除対象扶養親族を有する場合に、その扶養親族1人につき前年の所得金額から差し引く額です。年齢と同居の状況は、判定の時点(前年の12月31日、前年の中途でその人が死亡した場合は死亡の時)の現況で見ます。「同居の直系尊属」は、納税義務者またはその配偶者の直系尊属で、そのどちらかとの同居を常況としている人を指します。
| 区分 | 当てはまる人 | 住民税の扶養控除額 |
|---|---|---|
| 一般の控除対象扶養親族 | 控除対象扶養親族のうち、特定扶養親族にも老人扶養親族にも当たらない人 | 33万円 |
| 特定扶養親族 | 控除対象扶養親族のうち、年齢19歳以上23歳未満の人 | 45万円 |
| 同居の直系尊属に当たらない老人扶養親族 | 控除対象扶養親族のうち、年齢70歳以上の人で、同居の直系尊属に当たらない人 | 38万円 |
| 同居の直系尊属である老人扶養親族 | 老人扶養親族のうち、納税義務者またはその配偶者の直系尊属で、そのどちらかとの同居を常況としている人 | 45万円 |
老人扶養親族の45万円は、令和8年度分・令和9年度分の住民税で、その人が納税義務者またはその配偶者の直系尊属で、かつ納税義務者またはその配偶者のいずれかとの同居を常況としている場合の額で、年齢と同居の状況は判定の時点(前年の12月31日、前年の中途でその人が死亡した場合は死亡の時)の現況で見ます(地方税法314条の2第4項、8項)。
条文が直系尊属に限っているので、おじ・おばのように直系尊属でない老人扶養親族は、納税義務者と同居していても同居の直系尊属の区分には当たりません。
扶養控除の対象になる人
扶養控除の対象は「控除対象扶養親族」で、扶養親族のうち年齢などの条件に当てはまる人です。
扶養親族に当たる条件
地方税法292条1項9号は、扶養親族を、納税義務者の親族のうち配偶者を除いた人、里親に委託された児童、養護受託者に委託された老人で、納税義務者と生計を一にする人のうち、前年の合計所得金額が一定の金額以下の人と定めていて、給与の支払を受ける青色事業専従者と事業専従者に当たる人は扶養親族から除いています。
扶養親族の所得要件は、住民税の年度で金額が変わります。次の表は、地方税法292条1項9号が定める前年の合計所得金額の上限を、住民税の年度ごとに並べたものです。扶養親族に当たるには、この所得要件のほかに、納税義務者と生計を一にすることなど同じ号の条件を満たす必要があります。
| 住民税の年度 | 判定に使う所得 | 扶養親族の前年の合計所得金額の上限 | 適用の根拠 |
|---|---|---|---|
| 令和8年度分 | 令和7年中の所得 | 58万円以下 | 令和7年法律第7号 附則8条1項 |
| 令和9年度以後の年度分 | 令和9年度分は令和8年中の所得 | 62万円以下 | 令和8年法律第2号 附則11条2項 |
年末調整で扱う令和8年中の所得は、令和9年度分の住民税の判定に使われます。
控除対象扶養親族に当たる条件
地方税法314条の2第1項11号は、控除対象扶養親族を、扶養親族のうち、居住者については年齢16歳以上の人と定めていて、年齢は同条8項により、判定の時点(前年の12月31日、前年の中途でその人が死亡した場合は死亡の時)の現況で見ます。
非居住者の扶養親族は、判定の時点(前年の12月31日、前年の中途でその人が死亡した場合は死亡の時)の現況で、年齢16歳以上30歳未満の人と、年齢70歳以上の人が控除対象扶養親族に当たります。
判定の時点(前年の12月31日、前年の中途でその人が死亡した場合は死亡の時)の現況で年齢30歳以上70歳未満の非居住者の扶養親族は、令和8年度分・令和9年度分の住民税では、留学により国内に住所と居所を有しなくなった人、障害者、その納税義務者から前年に生活費または教育費に充てるための支払を38万円以上受けている人のいずれかに当たる場合に限り、控除対象扶養親族に当たります。
判定の時点
扶養親族、控除対象扶養親族、特定扶養親族、老人扶養親族に当たるかどうかは、前年の12月31日の現況で判定し、前年の中途でその人が死亡した場合は、その死亡の時の現況で判定するのが基本で、前年の中途で納税義務者の配偶者が死亡し、前年中にその納税義務者が再婚した場合の扶養親族の範囲には、政令で定める特例があります(地方税法314条の2第8項、10項)。
年齢も同じ時点で見るので、令和9年度分の住民税では、前年に当たる令和8年の12月31日の年齢で区分が決まり、令和8年の中途でその人が死亡した場合は死亡の時の年齢で区分が決まります。
2人以上の納税義務者の扶養親族に当たる場合
共働きの夫婦の子のように、2人以上の納税義務者の扶養親族に当たる人は、そのうちいずれか1人の納税義務者の扶養親族にだけ当たるものとみなされます(地方税法292条4項)。
どの納税義務者の扶養親族とするかの決め方は、政令で定められています。
年少の扶養親族 — 控除額は無いが非課税の基準で数える
判定の時点(前年の12月31日、前年の中途でその人が死亡した場合は死亡の時)の現況で年齢16歳未満の扶養親族は、控除対象扶養親族に当たらないので、扶養控除の額はありません。
一方で、所得割が課されない基準を計算するときは、判定の時点(前年の12月31日、前年の中途でその人が死亡した場合は死亡の時)の現況で年齢16歳未満の扶養親族も人数に数えます。
地方税法附則3条の3は、当分の間の措置として、前年の総所得金額、退職所得金額、山林所得金額の合計額が「35万円×(同一生計配偶者と扶養親族の数+1)+10万円」に、同一生計配偶者または扶養親族がいる場合は32万円を加えた金額以下である人には、分離課税に係るものを除いて所得割を課すことができないと定めていて、ここで数える扶養親族は、判定の時点(前年の12月31日、前年の中途でその人が死亡した場合は死亡の時)の現況で年齢16歳未満の人と、控除対象扶養親族に限られ、令和8年度分・令和9年度分の住民税にも当てはまります。
次の表は、令和8年度分・令和9年度分の住民税について、同一生計配偶者がいない人の場合に、地方税法附則3条の3の算式へ扶養親族の数を当てはめた金額です。地方税法附則3条の3の所得割が課されない基準の算式で数える扶養親族は、判定の時点(前年の12月31日、前年の中途でその人が死亡した場合は死亡の時)の現況で年齢16歳未満の人と、控除対象扶養親族です。前年の総所得金額、退職所得金額、山林所得金額の合計額が、地方税法附則3条の3の算式「35万円×(同一生計配偶者と扶養親族の数+1)+10万円」に、同一生計配偶者または扶養親族がいる場合の32万円を加えた表の金額以下の人には、令和8年度分・令和9年度分の住民税で、分離課税に係るものを除き、所得割が課されません。
| 扶養親族の数 | 所得割が課されない合計額の上限 |
|---|---|
| 1人 | 112万円 |
| 2人 | 147万円 |
| 3人 | 182万円 |
この基準を少し超える人についても、所得割の額を減らす調整が同じ条に置かれています。
均等割が課されない基準は別の規定で、地方税法の施行地に住所を有する人で均等割のみを課すべき人のうち、前年の合計所得金額が、政令の基準に従って市町村の条例で定める金額以下である人が対象です(地方税法295条3項)。
所得割と均等割が課されない基準の境目で税額がどう変わるかは、住民税非課税のボーダーで扱っています。
扶養控除で住民税の額がどう変わるか
総務省の説明では、住民税の所得割は、所得金額から所得控除を引いた課税所得金額に税率を掛け、そこから税額控除を引いて計算します。
所得割の標準税率は、市町村民税が6%、道府県民税が4%で、指定都市に住所がある人は市町村民税が8%、道府県民税が2%となり、どちらも合わせて10%です(地方税法314条の3第1項、35条1項)。
次の表は、令和8年度分・令和9年度分の住民税の扶養控除額に、所得割の標準税率の合計10%を掛けた金額です。標準税率の市町村と都道府県に住所があり、扶養控除額を差し引く前の課税総所得金額が扶養控除額以上ある人について、税率を掛ける金額が扶養控除額の分だけ減ることによる差を示しています。調整控除の額が変わる分は含めていないので、実際の所得割の差はこの金額と一致しないことがあります。条例で標準税率と異なる税率を定めている団体では、金額が変わります。所得割が課されない人には、この差は生じません。「同居の直系尊属」は、納税義務者またはその配偶者の直系尊属で、そのどちらかとの同居を常況としている人を指します。
| 区分 | 住民税の扶養控除額 | 扶養控除額に標準税率の合計10%を掛けた金額 |
|---|---|---|
| 一般の控除対象扶養親族 | 33万円 | 33,000円 |
| 特定扶養親族 | 45万円 | 45,000円 |
| 同居の直系尊属に当たらない老人扶養親族 | 38万円 | 38,000円 |
| 同居の直系尊属である老人扶養親族 | 45万円 | 45,000円 |
調整控除で使う金額
前年の合計所得金額が2,500万円以下の所得割の納税義務者は、所得割の額から調整控除を差し引きます(地方税法314条の6、37条)。
次の表は、令和8年度分・令和9年度分の住民税で、調整控除の計算に使う金額として地方税法314条の6の表が定める額のうち、扶養親族に関する区分を抜き出したものです。金額は、その区分の扶養親族1人についての額です。「同居の直系尊属」は、納税義務者またはその配偶者の直系尊属で、そのどちらかとの同居を常況としている人を指します。
| 区分 | 調整控除の計算に使う金額 |
|---|---|
| 控除対象扶養親族で、下の3つの区分に当たらない人 | 5万円 |
| 特定扶養親族 | 18万円 |
| 同居の直系尊属に当たらない老人扶養親族 | 10万円 |
| 同居の直系尊属である老人扶養親族 | 13万円 |
調整控除の額は、表の金額をそのまま税額から引くのではなく、合計課税所得金額に応じた同じ条の算式に当てはめて計算します。
住民税 計算機で、年収と家族構成から所得割と均等割の目安を確かめる19歳以上23歳未満の親族が所得要件を超える場合
判定の時点(前年の12月31日、前年の中途でその人が死亡した場合は死亡の時)の現況で年齢19歳以上23歳未満の、生計を一にする親族で配偶者でない人(給与の支払を受ける青色事業専従者と事業専従者に当たる人を除きます)が、扶養親族の所得要件を超えて控除対象扶養親族に当たらない場合でも、前年の合計所得金額が123万円以下であれば「特定親族」に当たり、その特定親族自身が扶養控除または特定親族特別控除の適用を受けている場合を除いて、特定親族特別控除の対象になり、2人以上の納税義務者の特定親族に当たる人は、扶養親族の場合と同じく、そのうちいずれか1人の納税義務者の特定親族にだけ当たるものとみなされ、ある納税義務者の配偶者特別控除の対象となる配偶者で、他の納税義務者の特定親族にも当たる人は、そのいずれか一方にだけ当たるものとみなされます(地方税法314条の2第1項12号、292条3項、4項)。
特定親族特別控除の額は、令和8年度分・令和9年度分の住民税で、特定親族の前年の合計所得金額が95万円以下の場合は45万円、特定親族の前年の合計所得金額が120万円を超え123万円以下の場合は3万円で、特定親族自身が扶養控除または特定親族特別控除の適用を受けている場合は控除できません。
特定親族の前年の合計所得金額が95万円を超え120万円以下の場合の額を含め、所得の区分ごとの特定親族特別控除の額は、特定親族特別控除の記事で扱っています。
会社を経由して出す申告書
所得税の扶養控除等申告書を提出しなければならない給与所得者は、住民税についても、扶養親族または特定親族の氏名など同条1項各号に掲げる事項を記載した申告書を、その給与支払者から毎年最初に給与の支払を受ける日の前日までに、給与支払者を経由して住所所在地の市町村長に提出することとされていて、前年に同じ給与支払者を経由して出した申告書(前年の中途で異動の申告書を出した場合は、前年の最後に出した異動の申告書)と記載事項に異動がない場合は異動がない旨を記載した申告書を出すことができ、政令で定める要件を満たす給与支払者には、申告書の提出に代えて記載事項を電磁的方法で提供することができます(地方税法317条の3の2第1項、2項、5項)。
この申告書の記載事項には「扶養親族又は特定親族の氏名」があるので、前年と異動がない旨を記載した申告書を出す場合を除き、扶養控除の対象にならない扶養親族の氏名も記載します。
年の中途で申告書に記載した事項に異動があった場合は、異動の日の後、最初に給与の支払を受ける日の前日までに、異動の内容を記載した申告書を同じ給与支払者を経由して提出し、政令で定める要件を満たす給与支払者には、申告書の提出に代えて記載事項を電磁的方法で提供することができます。
給与支払者が申告書を受理した日に、その申告書は市町村長に提出されたものとみなされます。
申告書の用紙と欄の書き方は扶養控除等申告書の書き方、年末調整の内容が住民税に届く道筋は年末調整と住民税の関係で扱っています。
扶養控除シミュレーターで、扶養親族1人あたりの税額の目安を確かめる- 住民税の扶養控除は、控除対象扶養親族を有する所得割の納税義務者の前年の所得金額から差し引く所得控除で、額は扶養親族の年齢と同居の区分で決まる。
- 扶養親族の所得要件は、住民税の年度で前年の合計所得金額の上限が変わる。
- 判定の時点(前年の12月31日、前年の中途でその人が死亡した場合は死亡の時)の現況で年齢16歳未満の扶養親族は扶養控除の額が無いが、所得割が課されない基準を計算するときの扶養親族の数には数える。
- 扶養親族の年齢と同居の状況は、前年の12月31日の現況で見て、前年の中途でその人が死亡した場合は死亡の時の現況で見る。
よくある質問
住民税の扶養控除はいくらですか?
令和8年度分・令和9年度分の住民税の扶養控除額は、特定扶養親族にも老人扶養親族にも当たらない控除対象扶養親族が1人につき33万円、特定扶養親族が45万円、同居の直系尊属に当たらない老人扶養親族が38万円、納税義務者またはその配偶者の直系尊属でそのどちらかとの同居を常況としている老人扶養親族が45万円で、年齢と同居の状況は判定の時点(前年の12月31日、前年の中途でその人が死亡した場合は死亡の時)の現況で見ます。
16歳未満の子は住民税の扶養控除の対象ですか?
判定の時点(前年の12月31日、前年の中途でその人が死亡した場合は死亡の時)の現況で年齢16歳未満の扶養親族は控除対象扶養親族に当たらないので扶養控除の額はありませんが、所得割が課されない基準を計算するときの扶養親族の数には数えます。給与支払者を経由して出す申告書の記載事項にも、扶養控除の対象にならない扶養親族の氏名が含まれます。
扶養親族の所得はいくらまでですか?
扶養親族の所得要件は、令和8年度分の住民税では前年の合計所得金額が58万円以下、令和9年度以後の年度分の住民税では前年の合計所得金額が62万円以下です。扶養親族に当たるには、この所得要件のほかに、納税義務者と生計を一にすることなどの条件を満たす必要があります。
年の途中で子が19歳になりました。いつの年齢で区分しますか?
住民税の扶養控除の区分は、前年の12月31日の現況で判定し、前年の中途でその人が死亡した場合は、死亡の時の現況で判定します。
出典
地方税法の条文(e-Gov法令検索)と総務省の資料で確認して作成。確認日:2026年10月9日。
- e-Gov法令検索「地方税法」292条(用語の意義)、295条(非課税の範囲)、314条の2・34条(所得控除)、314条の3・35条(所得割の税率)、314条の6・37条(調整控除)、317条の3の2(給与所得者の扶養親族等申告書)、附則3条の3(所得割の非課税の範囲等)
- e-Gov法令検索「地方税法」令和7年法律第7号 附則8条、令和8年法律第2号 附則11条(市町村民税に関する経過措置)
- 総務省「個人住民税」— 個人住民税所得割の計算の仕組み
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。住民税の税率や非課税の基準は市区町村の条例により異なることがあります。個別の判断は、住所地の市区町村または税理士にご確認ください。