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健康保険組合とは|協会けんぽとの違い・料率と負担割合・会社の届出先

健康保険組合は、健康保険法で協会けんぽ(全国健康保険協会)と並ぶ健康保険の保険者とされる法人です。組合を設立した事業所(設立事業所)に使用される被保険者はその組合の健康保険に、それ以外の会社の被保険者は協会けんぽに入ります(日雇特例被保険者と、2つ以上の事業所に同時に使用される人を除く)。

会社の実務で協会けんぽと違う主な点は、保険料率を組合が決めること、規約で事業主の負担割合を増やせること、規約で付加給付を行えること、健康保険の届出と保険料の徴収が組合になることです。

健康保険組合は健康保険の保険者の1つ

健康保険法4条は、健康保険の保険者を次のように定めています。

健康保険(日雇特例被保険者の保険を除く。)の保険者は、全国健康保険協会及び健康保険組合とする。

健康保険組合はその組合員である被保険者の保険を管掌し、協会けんぽは健康保険組合の組合員でない被保険者の保険を管掌します(5条1項・6条、日雇特例被保険者は除き、2つ以上の事業所に同時に使用される人は7条で別に決まる)。

組合員になるのは、組合が設立された適用事業所(設立事業所)の事業主と、その設立事業所に使用される被保険者で、退職後も任意継続被保険者であれば組合員のままです(17条1項・2項)。

健康保険組合そのものは、適用事業所の事業主、その適用事業所に使用される被保険者、任意継続被保険者で組織する法人です(8条・9条1項)。

勤め先の事業所は、健康保険組合の 設立事業所か? はい → 健康保険組合(組合員になる) いいえ → 協会けんぽ ・一般保険料率などは組合が決める ・規約で事業主の負担割合を増やせる ・規約で付加給付を行える ・健康保険の届出と保険料は組合 ・厚生年金の届は要るとき日本年金機構へ ・一般保険料率は都道府県の支部ごと ・負担は労使で折半(任意継続を除く) ・付加給付の規定は無い ・資格の届は日本年金機構へ出す ・同時に得喪なら健保と厚年は1枚の様式 日雇特例被保険者と、2つ以上の事業所に 使用される人は別の扱い
どちらに入るかは勤め先の事業所で決まる(健康保険法5条1項・6条・17条1項。2つ以上の事業所に同時に使用される人を除く)。

協会けんぽとの違い(比較表)

健康保険法の条文で決まる違いを並べます。条番号は健康保険法と同法施行規則のものです。2つ以上の事業所に同時に使用される被保険者の保険者は、この表と別に省令で決まります(7条)。保険給付の種類(52条)は両方に共通で、健康保険組合は規約で定めればそれに上乗せできます(53条)。

項目協会けんぽ健康保険組合根拠
保険を管掌する相手健康保険組合の組合員でない被保険者(日雇特例被保険者を除く)その組合の組合員である被保険者5条1項・6条
一般保険料率を決める単位都道府県の支部ごとに協会が決める組合が決める160条1項・13項
介護保険料率・子ども・子育て支援金率(支援金率は政令で定める率の範囲内)協会が定める組合が定める160条16項・160条の2
保険料の負担被保険者と事業主が折半折半のほか、規約で事業主の負担割合を増やせる161条1項・162条
保険給付52条の保険給付52条の保険給付に、規約で付加給付を上乗せできる52条・53条
保険料の徴収厚生労働大臣その組合5条2項・155条1項
資格取得届・資格喪失届の提出先日本年金機構その組合施行規則24条1項・29条1項

任意継続被保険者は、どちらでも保険料の全額を自分で負担します(161条1項ただし書)。協会けんぽの任意継続被保険者の保険料は、厚生労働大臣ではなく協会が徴収します(155条2項)。

保険料率と事業主の負担割合

健康保険組合の会社では、協会けんぽの都道府県別の料率表や保険料額表は使えません。料率は組合ごとに決まるので、組合の通知・案内で確かめて計算します。

一般保険料率の範囲は、協会けんぽも健康保険組合も1000分の30から1000分の130までです(160条1項を13項で組合に準用)。組合が一般保険料率を変えるときは、協会けんぽと同じく厚生労働大臣の認可を受けます(160条8項を13項で準用)。

負担は原則として被保険者と事業主で折半で、健康保険組合は規約で事業主の負担割合を増やせます(161条1項・162条)。任意継続被保険者は全額を自分で負担します(161条1項ただし書)。162条は次のとおりです。

健康保険組合は、前条第一項の規定にかかわらず、規約で定めるところにより、事業主の負担すべき一般保険料等額又は介護保険料額の負担の割合を増加することができる。

事業主は、通貨で支払う報酬からは前月の標準報酬月額に係る被保険者負担分(使用されなくなったときは前月とその月の分)を、通貨で支払う賞与からはその標準賞与額に係る被保険者負担分を控除できます(167条1項・2項)。控除したときは計算書を作り、控除額を被保険者に通知します(同条3項)。規約で事業主の負担割合を増やしている組合では、給与から控除する額が折半より少なくなります。

設例の仮定:標準報酬月額30万円、一般保険料率1000分の90(仮の率)、子ども・子育て支援金と介護保険料は含めない、端数は出ない設例です。

負担の定め(設例)事業主の負担被保険者の負担(給与から控除)
折半(161条1項)13,500円13,500円
規約で事業主1000分の50・被保険者1000分の40(仮の規約)15,000円12,000円

この設例では、どちらも保険料の合計は27,000円(30万円×1000分の90)で、変わるのは内訳だけです。実際の料率と負担割合は組合の規約・通知で確かめます。

協会けんぽの会社の料率は協会けんぽの都道府県別料率の一覧に、標準報酬月額の等級は標準報酬月額表にまとめています。

社会保険料 計算機(協会けんぽの料率で計算) →

付加給付は規約で「行うことができる」

健康保険組合は、法定の保険給付に上乗せする給付(付加給付)を規約で定められます。53条の規定です。

保険者が健康保険組合である場合においては、前条各号に掲げる給付に併せて、規約で定めるところにより、保険給付としてその他の給付を行うことができる。

「できる」なので、付加給付を行うかどうかと、その中身は組合の規約で決まります。どの組合にも同じ付加給付があるわけではありません。53条は保険者が健康保険組合の場合の規定で、協会けんぽには当てはまりません。

「前条各号に掲げる給付」は52条の保険給付で、療養の給付、傷病手当金、出産育児一時金、出産手当金、高額療養費などです。高額療養費の計算は高額療養費の記事で扱っています。

会社の手続きで違いが出るところ

健康保険組合の会社では、健康保険の届はその組合に、厚生年金保険の届は日本年金機構に、別々に出します(厚生年金保険の喪失届を要しない場合を除く)。協会けんぽの会社は、健康保険と厚生年金保険の資格を同時に取得・喪失するとき、1枚にした様式で日本年金機構に出せます。

手続き協会けんぽの会社健康保険組合の会社
健康保険の資格取得届・資格喪失届日本年金機構へ(厚生年金保険と1枚の様式あり)その組合へ
厚生年金保険の資格取得届・資格喪失届協会けんぽの資格と同時の取得・喪失なら、健康保険と1枚の様式で日本年金機構へ(届出を要しない例外あり)日本年金機構へ別に出す(届出を要しない例外あり)
一般保険料率都道府県の支部ごとの率組合の率(組合の通知で確認)
退職者の任意継続の申出先協会けんぽその組合

1枚の様式は、健康保険法施行規則の様式第3号の2・第8号の2(提出先は日本年金機構)と、厚生年金保険法施行規則の様式第7号の2(協会けんぽの資格を同時に取得するとき)、同規則22条3項の併記(協会けんぽの資格を同時に喪失するとき)です。

健康保険の資格取得届・資格喪失届の期限は、事実があった日から5日以内です(任意継続被保険者を除く、健康保険法施行規則24条1項・29条1項)。喪失届の流れは健康保険資格喪失証明書の記事、家族を扶養に入れる届は被扶養者(異動)届の記事で扱っています。

任意継続の申出は、元の保険者に出します(3条4項・施行規則42条1項)。健康保険組合の被保険者だった人のうち3条4項の要件(喪失の日の前日まで継続2か月以上の被保険者期間など)を満たす人は、原則として資格を喪失した日から20日以内にその組合へ申し出ます。正当な理由があると保険者が認めるときは、期間後の申出も受理できます(37条1項)。初回の保険料を納付期日までに納めないと、納付の遅延に正当な理由があると保険者が認めた場合を除き、任意継続被保険者にならなかったものとみなされます(37条2項)。任意継続を選べる人の要件(3条4項)と保険料の比べ方は任意継続の記事にまとめています。

設立の要件と組合の運営・解散

事業主が自ら健康保険組合を設立するには、人数の要件と、被保険者の同意・規約・厚生労働大臣の認可が要ります(例外は表の下の注)。

項目内容根拠
単独で設立1つまたは2つ以上の適用事業所で、常時700人以上の被保険者を使用する事業主11条1項・施行令1条の3第1項
共同で設立適用事業所の事業主が共同で設立し、被保険者の数を合算して常時3,000人以上11条2項・施行令1条の3第2項
同意と認可適用事業所ごとに被保険者の2分の1以上の同意を得て規約を作り、厚生労働大臣の認可を受ける12条1項・2項
成立の時設立の認可を受けた時15条

任意適用の認可(31条1項)と同時に設立を申請するときは、「被保険者」を「被保険者となるべき者」と読み替えます(13条)。常時政令で定める数以上の被保険者を使用する事業主(任意適用事業所を除く)に、厚生労働大臣が設立を命ずることもあり、その場合は規約を作って認可を受けます(14条)。

規約には、名称、事務所の所在地、設立事業所、組合会、役員、組合員、保険料、財産の管理、公告などを定めます(16条1項)。規約の変更は、厚生労働省令で定める事項を除き、厚生労働大臣の認可を受けなければ効力を生じません。省令で定める事項に係る規約の変更は、認可は要らず、遅滞なく届け出ます(16条3項)。

規約の変更や予算・決算は、組合会の議決を経ます(19条1項)。組合会の議員の半数は設立事業所の事業主が選定し、残りの半数は被保険者である組合員が互選します(18条3項)。事業主が選定する議員は、設立事業所の事業主(代理人を含む)と設立事業所に使用される人のうちから選びます。

組合が解散したときは、協会けんぽがその権利義務を承継します(26条4項)。組合が解散する場合に財産で債務を完済できないときは、設立事業所の事業主に費用の負担を求めることがあります(26条3項)。解散の理由は、組合会の議決(議員の定数の4分の3以上の多数)、事業の継続の不能、解散の命令です(26条1項)。組合会の議決(議員の定数の4分の3以上)または事業の継続の不能で解散するときは、厚生労働大臣の認可を受けます(26条2項)。

国民健康保険組合とは別の制度

名前は似ていますが、国民健康保険組合は国民健康保険法による別の制度で、国民健康保険を行う組合です(同法3条2項)。組合員の範囲(同種の事業・業務に従事し、組合の地区内に住所がある人など)と、その例外は同法13条が定めています。

健康保険との関係では、国民健康保険組合の事業所に使用される人は、日雇特例被保険者となる場合を除き、健康保険の被保険者になれません(健康保険法3条1項6号)。厚生労働大臣・健康保険組合・共済組合の承認を受けた人も、日雇特例被保険者となる場合を除き、健康保険の被保険者でないことにより国民健康保険の被保険者であるべき期間は、健康保険の被保険者になれません(同項8号)。

日本年金機構の案内では、国民健康保険組合に引き続き加入し、一定の要件に該当する場合などの適用除外の承認申請は、国保組合の理事長が認めた場合に限られ、事実発生日から14日以内に届け出ます(やむを得ない理由で14日以内に届け出られないときは、申請と同時に理由書を添付)。医療保険の全体の中での位置は公的医療保険の種類の記事で扱っています。

まとめ

  • 健康保険組合は、協会けんぽと並ぶ健康保険の保険者で、法人です(健康保険法4条・9条1項)。
  • 設立事業所に使用される被保険者は組合の健康保険に、それ以外の会社の被保険者は協会けんぽに入ります(日雇特例被保険者と、2つ以上の事業所に同時に使用される人を除く)。
  • 保険料率は組合が決め、規約で事業主の負担割合を増やすことも、付加給付を行うこともできます。
  • 健康保険の届はその組合へ、厚生年金保険の届は日本年金機構へ別に出します(厚生年金保険の届出を要しない場合を除く)。
  • 国民健康保険組合は、国民健康保険法による別の制度です。

よくある質問

健康保険組合の会社でも、日本年金機構に1枚出せば届出は済みますか?

済みません。健康保険の資格取得届・資格喪失届はその健康保険組合に出し、厚生年金保険の届は日本年金機構に別に出します(届出を要しない場合を除く)。健康保険と厚生年金保険を1枚にした様式(厚生年金保険法施行規則の様式第7号の2)は、協会けんぽの資格を同時に取得するときのものです。

健康保険組合の保険料率はどこで分かりますか?

組合ごとに決まるので、加入している組合の通知・案内で確かめます。協会けんぽの都道府県別の料率や保険料額表は当てはまりません。規約で事業主の負担割合を増やしている組合では、給与から控除する被保険者の負担額も組合の定めで決まります。

付加給付は、どの健康保険組合にもありますか?

あるとは限りません。健康保険法53条は、健康保険組合が規約で定めるところにより、法定の保険給付に併せてその他の給付を行うことが「できる」としています。行うかどうかと内容は、組合の規約で決まります。

健康保険組合が解散したら、従業員の健康保険はどうなりますか?

解散により消滅した組合の権利義務は協会けんぽが承継します(健康保険法26条4項)。組合が解散する場合に財産で債務を完済できないときは、設立事業所の事業主に費用の負担を求めることがあります(26条3項)。

国民健康保険組合は健康保険組合と同じですか?

別の制度です。国民健康保険組合は国民健康保険法で国民健康保険を行う組合です。健康保険組合は健康保険法による健康保険の保険者です。

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出典

健康保険法・同法施行令・同法施行規則・厚生年金保険法施行規則・国民健康保険法の条文(e-Gov法令検索、2026年10月1日施行の版)と、日本年金機構の案内で確認して作成。確認日:2026年10月14日。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。料率・負担割合・付加給付などの個別の扱いは、加入している健康保険組合、年金事務所、社会保険労務士にご確認ください。

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